◆サンドラ・ブロックが年下部下に偽装結婚を強要(80点)
日本で初めて雇用機会均等法の恩恵を受け、同時にその歪みにさらされた女性キャリアたちが、今「アラフォー」と呼ばれる年代を迎えている。彼女たちの中には、もちろん結婚・出産を経験した者もいるが、様々な事情でそれをあきらめた(あるいは、あきらめるだけのチャンスさえつかめなかった)者もまた少なくない。本作のヒロインは、まさにそんな女性たちの分身だ。
◆サンドラ・ブロックが年下部下に偽装結婚を強要(80点)
日本で初めて雇用機会均等法の恩恵を受け、同時にその歪みにさらされた女性キャリアたちが、今「アラフォー」と呼ばれる年代を迎えている。彼女たちの中には、もちろん結婚・出産を経験した者もいるが、様々な事情でそれをあきらめた(あるいは、あきらめるだけのチャンスさえつかめなかった)者もまた少なくない。本作のヒロインは、まさにそんな女性たちの分身だ。
◆林遣都と小出恵介が箱根駅伝に挑む(70点)
マラソンの中継を最初から最後まで見ていられる御仁の気が知れない。延々と人が走っているだけの2時間だ。1打席ごとの攻防があるわけでもなければ、華麗なパスやシュートが連発されるわけでもなく、フンドシ姿の巨漢が次から次へと土俵に上がるわけでもない。たまに引き離しにかかったり、追い抜いたりといった「見せ場」もないではないが、いつ起こるかわからない(ヘタするとまったく起こらないかもしれない)その5分間のために、2時間テレビの前で過ごす気にはとてもなりません。
◆見る者の死生観を揺さぶる良作(70点)
お見舞いに行ったときなどに、私たちは何の気なしに「病気に負けるな」なんてことを口にする。さしたるためらいも疑問もなくそれが言えるのは、病気と戦うことが絶対的な善であり、戦えば必ず勝てると信じているからだ。だが、肉親の健康を犠牲にしなければ、病気と戦えないのだとしたら? そうまでして戦ってもなお、病気に打ち勝てないのだとしたら?
◆不法移民の問題に一石を投じる良質の社会派ドラマ(70点)
リーマンショックで威信に陰りが見えたとはいえ、世界標準に照らせば米国はまだまだ富とチャンスの国。よりよい暮らしを求めて世界中から貧しい人々がなだれ込む。本作はそんな不法移民の諸事情を、彼らを取り締まる捜査官マックス(ハリソン・フォード)の苦渋を軸に描いた群像劇だ。舞台はポール・ハギス監督の『クラッシュ』(04)と同様、人種のるつぼのロサンゼルス。ただし、『クラッシュ』が人種間の対立に問題意識を置いていたのに対し、こちらは米国市民権の有無という切り口でアプローチを取っている点が目新しい。
◆イメージの連鎖を散りばめたジャームッシュの“遊び”が楽しい(70点)
殺しの依頼を受けた(ように思われる)殺し屋(らしき男)が、スペインに渡り、連絡者からの情報を待つ。極言すれば『リミッツ・オブ・コントロール』の4分の3はそれだけで過ぎてしまうのだが、どっこい本作は退屈とは無縁。なぜならこの作品の魅力は、ジム・ジャームッシュ監督が積み重ねるユニークなディテールにこそあるからだ。
◆命の大切さを笑いと涙にくるんだロブ・ライナーの最高傑作(90点)
死は突然にやって来る。だから多くの人々は何の準備もしないまま、思いを残して旅立っていく。が、中には自分の死期を事前に知らされ、十分な準備の時間を与えられる“不幸な”人々もいる。
◆ワシントンとトラボルタが副題どおりに“激突”!(70点)
1974年の『サブウェイ・パニック』をトニー・スコット監督がリメイク。主演のデンゼル・ワシントンとは『クリムゾン・タイド』『マイ・ボディガード』『デジャヴ』に続く4度目の顔合わせだ。共演のジョン・トラボルタとワシントンが副題そのままに繰り広げる“激突”が興奮を誘う。
◆娘をさらわれたリーアム・ニーソンが過激にキレる!(70点)
うるさ型の映画ファンや評論家からは時にボロクソにけなされることもあるが、アクション映画のストーリーメーカーとしてのリュック・ベッソンの手腕は、誰もが認めるところだろう。初期の『ニキータ』や『レオン』から、製作・脚本に専念するようになってからの『トランスポーター』や『ダニー・ザ・ドッグ』まで、特異な主人公を創造し、彼(女)らを激流のような物語の中で泳がせる彼の力量は、余人の追随を許さない。
◆国際派女優が自己実現と母性の間で揺れる(60点)
アジアを代表する国際派女優のマギー・チャンが、母親の微妙な心情を演じてカンヌ国際映画祭の女優賞を獲得した作品。日本の俳優が欧米資本の映画に出ると、えてして“借りてきたネコ”にしか見えないものだが、英語とフランス語を駆使するチャンが、カナダに、あるいはパリにたくましく根づいて見えるのが印象的だ。
◆ハリウッドの乱暴者同士が久々の西部劇で共演(80点)
エルモア・レナード原作の西部劇『決断の3時10分』(57)のファンだったというジェームズ・マンゴールド監督が、半世紀越しでリメイクを実現させた作品。故意か偶然か、ともに暴力沙汰で世間を騒がせたことのあるラッセル・クロウとクリスチャン・ベイルが、本作で初めての共演を果たした。
◆プレイメートがダサい女子大生の改造作戦を展開(70点)
『絶叫計画』シリーズで監督や共演者からいいようにイジられていたアンナ・ファリスが、典型的な白痴美人のプレイメートに扮したコメディ。27歳になった途端にプレイボーイ・マンションから追い出されたシェリーは、ホームレスになる寸前、寂れた大学女子寮に寮母として転がりこむ。ところがその寮に住んでいたのは、真面目で成績こそいいけれど、まったくイケてない女子ばかり。新規の寮生を増やさないと寮が潰されると聞いたシェリーは、持ち前のファッションセンスとパーティアニマルぶりで彼女たちを改造し、人気の女子寮に仕立てようとするが……。
◆快作『セルラー』を香港映画界がリメイク(70点)
スマッシュヒットを飛ばしたハリウッド映画『セルラー』(04)を、『プロジェクトBB』のベニー・チャン監督がリメイク。緩急を利かせながらいくつもの山場を連ねていくオリジナル版の脚本には当時感心したものだが、シナリオ学校の教材になりそうなそのストーリーをこちらのリメイク版もほぼ忠実に踏襲。携帯電話という今日的なツールを軸に、緊迫感あふれる物語を紡いでいる。
◆恋愛フィーバーと闇の勢力、ホグワーツに2つの嵐が吹き荒れる(60点)
ご存じ、児童文学の大ベストセラーを原作とするシリーズの第6弾。ダニエル・ラドクリフ(ハリー)、ルパート・グリント(ロン)、エマ・ワトソン(ハーマイオニー)、マイケル・ガンボン(ダンブルドア校長)といった主要キャストが全員続投し、手堅く物語の「続き」を楽しませてくれる。魔法を表現するCGはますます進化、おなじみのクィディッチのシーンも躍動感いっぱいだ。
◆『リトル・ミス・サンシャイン』の製作陣が送る良質な「2匹目のドジョウ」(70点)
安倍内閣が再チャレンジの可能な社会を作ろうと提唱したのは3年前のことだったが、なんだか世の中、再チャレンジしにくくなる一方のように感じられる。『サンシャイン・クリーニング』は、そんな時代の空気に期せずしてマッチした作品。負け犬家族を温かく見つめた『リトル・ミス・サンシャイン』の製作陣が、再びハートウォーミングなコメディを送り出した。