© 2010「孤高のメス」製作委員会
◆「命のリレー」に感涙するもよし、医学の意義を再考するもよし(60点)
現職医師・大鐘稔彦の医療小説を『フライ,ダディ,フライ』の成島出監督が映像化。1989年、腐敗した市民病院に赴任した米国帰りの外科医、当麻(堤真一)は、卓越した手技と医療への熱意によってナースや若手医師を感化していく。世話になった市長(柄本明)が肝硬変で倒れると、当麻はまだ法律で認められていなかった脳死患者からの肝臓移植を決断。しかし当麻を快く思わない外科医長の野本(生瀬勝久)は、それを追い落としの口実にしようと目論み……。
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© 2009 Brothers Production, LLC. All Rights Reserved.
◆ナタリー・ポートマンも菩薩である(70点)
スザンネ・ビア監督のデンマーク映画『ある愛の風景』(04)を、『マイ・レフト・フット』のジム・シェリダン監督がリメイク。よき夫、よき父、よき海兵隊将校である兄のサム(トビー・マグワイア)は、厄介者の弟トミー(ジェイク・ギレンホール)が出所するのと入れ替わりにアフガニスタンに出征し、乗っていたヘリを撃墜される。自堕落だったトミーは、悲しみに沈む兄嫁のグレース(ナタリー・ポートマン)と2人の姪を支える中で次第に更生していくが、彼らの間に絆が芽生え始めた頃、死んだはずのサムが別人のようになって生還し……。
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© NTV
◆沈滞する地方都市に美少女たちが喝!(70点)
地方在住の女子高生が得意の書道で町おこしに一役買った実話を映画化。部室での衝突や友情といった普遍的な題材に、活力を失いゆく地方都市という今日的なテーマを織りこみ、瑞々しい作品に仕立てている。四国中央高校で書道部長を務める里子(成海璃子)は、新任顧問の池澤が衆人環視の中、音楽に合わせて巨大な半紙に字を書いたのを見て、「邪道だ」とショックを受ける。だが文房具屋の娘の清美(高畑充希)は、廃業を決めた父親のために商店街でそのパフォーマンスを披露しようと決意。里子らも成り行きで協力するのだが……。
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◆大会に挑むホームレスの真剣さに打たれる(65点)
アフリカ大陸初のW杯も、もう間近。試合内容もさることながら、治安やインフラなどの諸問題を抱える南アフリカ共和国が、どれほどの大会運営を見せるのかも興味深い。その南ア、実は2006年にも1度、W杯を開いていた。……といってもホームレスだけが参加資格を持つミニサッカーの世界大会だ。『ホームレス・ワールドカップ』はその大会に参加した選手たちの、ひとときの人生を切り取ったドキュメンタリーである。
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© PUSH PICTURES, LLC
◆ヒロインのどん底が観客の勇気にすり替わる(70点)
この春、私たちはスクリーン上で、2人の素晴らしい教師と出会うことになる。1人は『17歳の肖像』でオリヴィア・ウィリアムズが演じたスタッブス先生、そしてもう1人は『プレシャス』でポーラ・パットンが演じたレイン先生だ。
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◆傑作パロディの裏側に『スター・ウォーズ』への深い愛情あり(75点)
わずかなカメオ出演者を除けば、さほど名の売れた大スターが出ているわけでもない。ストーリーだって『スター・ウォーズ』オタクがジョージ・ルーカスの会社に泥棒に入るというしょーもない内容。しかも危うくDVDストレートになりかけた90分の小品だ。それでも私は、この『ファンボーイズ』を2010年のベスト10に入れるかもしれない。
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◆少女のイタ過ぎる初体験が、観る者の胸を締めつける(80点)
ニック・ホーンビィは『ぼくのプレミアライフ』(97)や『アバウト・ア・ボーイ』(02)で、大人になりきれない男のささやかな成長を描いてきた作家/脚本家だ。その彼がイギリスの女性ジャーナリストの回想録を脚色し、悲しくも瑞々しい1人の少女の成長記を書きあげた。
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◆よくできた異例の低予算SF(70点)
デヴィッド・ボウイの息子、ダンカン・ジョーンズの映画監督デビュー作。月面を舞台にした近未来SFでありながら、最新のVFXなし、大がかりなセットなし、出演者は事実上サム・ロックウェルただひとりという特異な低予算映画として作られた。
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◆スクリーン上のセクシーな“国連会議”に酔え!(80点)
スランプに陥った映画監督の産みの苦しみを、周囲を取り巻く多彩な美女との関係を絡めて描いたミュージカル。同名のブロードウェー・ミュージカルの映画化作品だが、そのまた原点には名匠フェデリコ・フェリーニの代表作『8 1/2』(63)がある。
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◆久々の傑作山岳映画がお目見え(80点)
ジャーナリストとしては有能だが(あるいは、ジャーナリストとして有能であるがゆえに)人間性にいささか欠陥のあるベテラン記者が、劇中でいみじくもこう語る。「記事になるのは栄光か悲劇だ。『登頂を断念して無事に下山』では誰も読まない」と。この言葉はそのまま「映画になるのは栄光か悲劇だ」と言い換えられるだろう。1930年代、スイスの名峰アイガーの北壁は、「ヨーロッパ最後の難所」と呼ばれていた。本作はその初登攀を目指した若者たちの友情と苦闘を、実話を元に描いたドイツ映画。結末が「栄光」なのか「悲劇」なのかは、あえて予備知識なしで観にいくことをお勧めしたいので書かない。
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◆ホームズが武闘派アクションヒーローに(60点)
これはホームズではない……。英国グラナダTV版のホームズ(演じるはジェレミー・ブレット)を見たときにも「どこか違う」と思ったものだが、本作のホームズはさらにイメージが違う。まあ、何と違うのかと聞かれれば、こちらの基準は偕成社やポプラ社から出ていた児童書版のホームズなので(最近の子どもたちよ、信じられないだろうが、昔の子どもはテレビゲームの代わりに読書をしていたのだよ)、イギリスの映像作家が作ったホームズの方が原典に近いんだよと言われれば、グーの音も出ないのだが。
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◆都会派カップルがド田舎でロマンチックなドタバタを展開(70点)
都会で飛ぶ鳥を落とす勢いだった主人公が、ひょんなことから田舎暮らしを余儀なくされて、自分のすさんだ生き方を問い直す。そんな主題の物語は昔から繰り返し作られているけれど、『噂のモーガン夫妻』はそこに中年夫婦の愛の再生というテーマを絡めた点が新しい。監督・脚本のマーク・ローレンスは『トゥー・ウィークス・ノーティス』『ラブソングができるまで』に続いて三度ヒュー・グラントを主演に起用。彼の妻役は『SATC』のキャリーことサラ・ジェシカ・パーカーが務めた。
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◆ギリシア神話の神々やクリーチャーが現代の米国によみがえる(70点)
『ホーム・アローン』や『ハリー・ポッター』シリーズのクリス・コロンバス監督が、ギリシア神話を題材にした同名の児童文学を映像化。17歳のパーシー・ジャクソンは、メトロポリタン美術館で古代ギリシアの展示を見学中、突如、翼の生えた怪物に襲われる。思わぬ人物の助けで危機を脱したパーシーは、自分が海神ポセイドンと人間とのハーフであること、全能の神の最強の武器<ゼウスの稲妻>を盗んだ疑いをかけられていることなどを聞かされて……。
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◆ディズニーが手描きアニメに回帰(70点)
ディズニー映画の衣鉢を継いだ物語なら、プリンセスが醜いカエルにキスしたところで、カエルが王子様の姿に戻るのが常道。その種のおとぎ話を臆面もなく是とするディズニー・スピリットは、ドリームワークスに『シュレック』という傑作パロディを作らせるほど、あまねく広く流布している。『プリンセスと魔法のキス』は、ディズニーがそれを逆手に取った新作。呪いが解けるどころか、プリンセス(と勘違いされた娘)までがカエルになってしまったところから始まるファンタジーだ。
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◆独り試練に立ち向かう少女の決意が心を揺さぶる(70点)
『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』(93)のヘンリー・セリック監督が、またまたストップモーション・アニメを駆使して創り上げた、ちょっぴりダークなファンタジー。11歳の少女コララインは、新居で見つけた不思議な扉の向こうで、現実世界とよく似た「もうひとつの世界」と出会う。「別のママ」は料理上手、「別のパパ」は楽しいことが大好きと、構ってくれない本当の両親とは大違いだが、なぜか彼らの目はボタンになっていて……。
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