◆テレビドラマ「ライアーゲーム」の「映画化」というより「続編」。テレビと同じ演出で、「映画」を見た気にはならなかった(60点)
テレビ(ドラマ)と映画との違いは何か。正面から聞かれると困ってしまう。画面の大きさ、製作費、出演俳優、撮影時間、演出、画質・・・。違いはいろいろあるが、どれも絶対条件とは言えない。簡単のようで、実は大変難しい問題だと思う。
◆テレビドラマ「ライアーゲーム」の「映画化」というより「続編」。テレビと同じ演出で、「映画」を見た気にはならなかった(60点)
テレビ(ドラマ)と映画との違いは何か。正面から聞かれると困ってしまう。画面の大きさ、製作費、出演俳優、撮影時間、演出、画質・・・。違いはいろいろあるが、どれも絶対条件とは言えない。簡単のようで、実は大変難しい問題だと思う。
◆極北の映画人・山田誠二の現在(2010年3月)時点での代表作。江戸時代、西洋の吸血鬼と日本の妖怪、九ノ一たちの全面戦争という壮大なストーリーを、見事な「見立て」の力で描ききっている(65点)
山田誠二監督は極北の映画人といえるだろう。日本唯一の怪談映像専門プロダクションを主宰し、怪談映画や「必殺」シリーズの研究家、小説家、脚本家、コミック原作者、映像プロデューサーと様々な顔を持つ。その作風は非常にマニアック。子供じみたストーリーとチープな特殊効果で繰り広げられる残酷絵巻は、人によっては、あの“最低監督”エド・ウッドにちなみ、「日本のエド・ウッド」と呼ぶほどだ。
◆書籍の付録ながら、今年のゆうばり国際ファンタスティック映画祭で上映された短編集。美女が次々と登場するのが楽しいが、中でも亥戸碧と中西絵里奈がいい(55点)
今年のゆうばり国際ファンタスティック映画祭で上映された、極北の映画人・山田誠二監督の最新作だ。とはいえ、劇場公開用作品ではなく、DVDで販売されるものでもない。何と、書籍の付録なのだ。心霊スポットの紹介や実録怪談などを一冊にまとめた山田監督の著書「妖奇怪談全集」(ビジネス社)の付録として作られた短編6本で、1本が5分弱、全部で27分しかない。書籍の付録が国際映画祭で上映されるのは、初めてか、極めて稀なことだろう。
◆“善意”頼りの物語は一見美しいが、一方ではリアリティの欠如を招きやすい(50点)
ある日突然、声が出なくなった女性新人歌手のメイ(トン・ヤオ)は、記者会見前に姿を消し、台北郊外の菁桐(ちんとん)という町にやって来た。その町でメイは、町の人のために一所懸命働く青年モウ(チェン・ボーリン)と出会う。ふたりはお互いの身の上を話すうちに、少しずつ打ち解けていくが……。
◆余計な説明抜きでズバリ本題に入るのは、少々不親切だが、肝心なことはゲームの主旨を理解すること(65点)
究極の頭脳戦に巨額の賞金という非現実の世界が展開する人気TVドラマの劇場版で、物語のファイナルを飾るドラマ。女子大生の直は他人を疑うことを知らないバカ正直な性格。そんな彼女が騙しあいの果てに50億円という多額の賞金をかけて戦うライアーゲームに巻き込まれてしまう。決勝戦のゲーム“エデンの園”は、赤、金、銀の3種のリンゴを使って同じ赤色のリンゴをそろえるという一見単純なもの。集まったプレイヤーの中には元天才詐欺師の秋山も含まれていた。互いに信じあうことができれば必ず勝てるゲームに、直はプレイヤー同士で協力しあおうと呼びかける。しかし決勝進出者の中には、謎の刺客が身を潜めていた…。
◆ジム・キャリーとユアン・マクレガーというハリウッド二大スターがゲイカップルを体当たりで演じている(70点)
懲役167年の刑に処せられ、現在もムショ暮らしを送っている脱獄とサギの名人スティーヴン・ラッセルの実話を基にした作品。
◆ディズニーが原点回帰の手描きアニメに立ち返ったのが話題だが、まったく古さは感じさせない。それどころか逆にシンプルな絵柄が好ましく、今までにない要素を盛り込んだストーリーの素晴らしさがより浮き彫りになった(70点)
ピンチの中でもクサらず愛に気付くヒロイン像が新鮮な良作アニメだ。米国南部のニューオリンズでウェイトレスとして働くティアナは、レストランを持つのが夢。ある時、ティアナの前に言葉を話すカエルが現われる。自分は本当はナヴィーン王子で魔術師ファシリエに呪いをかけられた身、呪いを解くためにキスしてほしいと頼まれる。必死の願いに仕方なくカエルにキスしたティアナだったが、なんと彼女までカエルになってしまう非常事態に。二人は、呪いを解き人間に戻る方法を知る女魔術師ママ・オーディの家を目指して一緒に旅をするが…。
◆息をのみ、瞬きを忘れ、背筋は固まり、拳を握りしめ座席から身を乗り出していた。ほんのわずかなミスや油断も許されない緊張感のもと、死と隣り合わせ、極限まで集中した命がけの作業は、見る者にも一瞬の気の緩みを許さない。(70点)
息ができなかった。正確には息をのみ、瞬きを忘れ、背筋は固まり、拳を握りしめ座席から身を乗り出していた。ほんのわずかなミスや油断が即爆発につながり、莫大な被害をもたらす。道路や車、果ては人体に仕掛けられた爆弾を無力化しようとする兵士たちのテンションがスクリーンから漲る。死と隣り合わせ、極限まで集中した命がけの作業は、見る者にも一瞬の気の緩みを許さない。映画は、イラクに派兵された米軍治安維持部隊の爆発物処理班兵たちの日常を通じ、 21世紀の戦争の現実を描く。圧倒的武力を持つ米軍に対し通常の戦術では勝ち目がなく、抵抗勢力は爆弾テロと狙撃でしか対抗できないのだ。
◆女性タクシー運転手のセクシー営業がコミカルだ。客が彼女の太ももに手を這わせるだけでなく、客に運転をさせて自らは口淫に励んだり、果ては背面騎上位で運転する。ヒロインのセックス大好きなキャラが男の妄想をかきたてる。(50点)
「自分の行き先が分からないから、客が行き先を決めてくれるタクシーの運転手になった」。そう語る、事故で記憶を失った女は、アイデンティティが分からないゆえに現在にも自信が持てない。迷いが仕事に反映されるのか、売上が伸びない。そんな彼女が一念発起してセクシー営業で成績を伸ばす様子がコミカルだ。助手席に座った客が彼女の太ももに手を這わせるだけでなく、客に運転をさせて自らは口淫に励んだり、果ては背面騎上位で運転する。ヒロインのセックス大好きな明るいキャラが男の妄想をかきたてる。
◆爆発物処理班の兵士を通して戦争の真実と虚無感を描く秀作。スクリーンから片時も目が離せない。(85点)
2004年イラク・バグダッド。ジェームズ二等軍曹は、駐留米軍の爆発物処理班ブラボー中隊の新リーダーとして赴任する。爆弾処理の腕は一級だが、平気で規則を無視する向こう見ずな彼の行動に、仲間や部下は不安を抱くが…。
◆報道規制と闘い続けるVJ達が伝えたい真実。アカデミー賞最有力作品。(90点)
2007年にミャンマー(旧名称:ビルマ)で大規模な反政府デモが起こった。今年のアカデミー賞ドキュメンタリー映画賞候補5作品に名を連ねる『ビルマVJ 消された革命(原題:BURMA VJ: REPORTING FROM A CLOSED COUNTRY)』はそのデモを記録したデンマーク人・アンダース・オステルガルド監督作品。本作は、多くの国民が団結し政府に抗議の意思を表したにも関わらず、酷い弾圧を受けた大事件を、厳しい報道規制の下、世界に伝え忘れさせまいと勇敢にもビデオを回す手を止めなかったビデオジャーナリスト(VJ)達の願いと血と涙の結晶だ。
◆もともとが深夜枠のTVドラマというだけあって、物語の展開やギャグはあくまでユルい。深夜ドラマではそのチープさも魅力だが、大画面のスクリーンで見るには少々キビしかった(30点)
漫画、ドラマで人気の「猿ロック」の劇場版は、水中アクションも披露するエンタメ映画。どんな鍵でも開けられないものはない天才鍵師のサルこと猿丸は、謎の美女・マユミの依頼で金庫を開ける。そこにあったトランクは実はヤクザが銀行から盗んだもので、中には多額の現金だけでなく、警察組織の権威に関わる重大な秘密が。そんなことは知らないサルはヤクザと警察の両方から追われるハメになる。マユミを信じて疑わないサルは彼女を守るために懸命だが、指名手配になったサルを助けるべく、商店街の幼なじみたちはある決断を下す…。
◆自らの知力と体力と仲間を信じて若者は旅に立ち、途中に立ちふさがる様々な困難を、友情と信頼、勇気とアイデアで乗り越える。映画は、ギリシア神話と現代米国文化を巧みにコラボさせ、壮大な特殊効果で最後まで見せ場が続く。(50点)
自らの知力と体力と仲間を信じて若者は旅に立つ。途中に立ちふさがる様々な困難を、友情と信頼、勇気とアイデアで乗り越えて、冒険の終わりにはひと回りもふた回りも成長する。それは大人への通過儀礼、英雄になる将来が約束されている少年には避けて通れない道なのだ。映画は、海神の子が現代に生まれるファンタジーの中、ギリシア神話と現代米国文化をコラボさせ、壮大な特殊効果で最後まで見せ場が続く。愛、憎しみ、怒り、嫉妬、権力、そういった人間的感情が人間よりも強いギリシアの神々が己の欲望のために動く姿は皮肉が効いている。
◆現実と妄想が複雑に入り混じり、映画はノワールな色調を湛えたファンタジーの様相を帯びる。それはイマジネーションが生む幻惑的な感覚のリアル、はかなさの中にも凶暴なきらめきを宿す映像は、生きることの切なさを訴える。(50点)
聖職者としての使命と吸血鬼としての生存本能の葛藤に加え、人間のとしての欲望が主人公の心を蝕む。生き続けるだけでも罪なのに、その上人妻を愛してしまった男の苦悩は更なる深みにはまっていく。現実と妄想、願望と幻覚が複雑に入り混じり、物語はノワールな色調を湛えたファンタジーの様相を帯びてくる。それはパク・チャヌ監督のイマジネーションが生みだした幻惑的な感覚のリアル、はかなさの中にも凶暴なきらめきを宿す映像は、生きることの根源的な切なさを訴える。
◆コミカルな役が多い演技派ソン・ガンホが、10kgも減量しスリムな姿と憂い顔を披露するのが新鮮(60点)
鬼才パク・チャヌクのバンパイア映画は、常識をヒョイと乗り越える設定と、エロティシズムやブラック・ユーモアが混在した独特の作品だ。サンヒョン神父はアフリカでの伝染病の人体実験で奇跡的に助かるが、やがて身体に異変が起こる。異常なまでに聴覚や嗅覚が研ぎ澄まされ、人の血を求めてしまうサンヒョン。彼は輸血の影響でバンパイアになってしまったのだ。韓国に戻ると幼なじみのガンウの家に招かれるが、そこで不思議な色気を持つ人妻テジュと出会う。急速に惹かれあい、愛欲に溺れる2人は、共謀してガンウ殺害を企てるが…。