NINE - 小梶勝男

◆フェリーニの「8 1/2」のミュージカル版の映画化だが、全く別物と考えた方がいい。大物女優たちの「隠し芸大会」としては楽しめる(70点)

 冒頭、主人公の映画監督グイド(ダニエル・デイ=ルイス)が撮影所で幻想を見る場面で、もう心を打たれてしまった。ニコール・キッドマンをはじめ、大物女優たちが次々と登場し、最後はイタリアの顔、ソフィア・ローレンである。老いてなお毅然とした(そして胸も大きい)ローレンを見ることが出来ただけで、本作の価値はあると思った。

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スパイアニマル・Gフォース - 小梶勝男

◆人間と話が出来るモルモットが活躍するデジタル3Dのアクション映画。製作のジェリー・ブラッカイマーらしい、大味だが豪快な映像が楽しめる(66点)

 完全に子供向けの話なのだが、子供が見て楽しいかどうかは微妙だ。主役のモルモットはリアル過ぎて余りかわいくない。実写とCGアニメーションの合成が巧み過ぎて、生き物の感じがしない。擬人化され過ぎているのだ。むしろ、大人の方が楽しめるかも知れない。製作はジェリー・ブラッカイマー。ストーリーは単純で大味だが、彼らしい豪快な映像を楽しめる。

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誰かが私にキスをした - 福本次郎

◆記憶喪失をきっかけに過去を一新しようとする少女は、違う自分になれるような気がしている。3人の少年の間で揺れ動くヒロインの気持ちを軸に、繊細な年頃の残酷な感情を実験精神にあふれたスタイリッシュな映像で再現する。(40点)

 記憶喪失をきっかけに過去を一新しようとする少女は、古いしがらみを思い出すより新たな人間関係を築いて違う自分になれるような気がしている。恋なのか憧れなのか、大人になる一歩手前の複雑な心理がリアルに描かれる。胸の内をストレートに口にするのは偽善者と思われたくないため、しかし、己の言葉が他人を傷付けることもあると知って彼女は成長していく。映画は3人の少年の間で揺れ動くヒロインの気持ちを軸に、繊細な年頃の残酷な感情を実験精神にあふれたスタイリッシュな映像で再現する。だが、エピソードがあまりにもとりとめがなく、何が言いたかったのかさっぱり理解できなかった。まあ、イマドキの高校生が考えている内容など最初からわからんが。。。

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シェルター - 福本次郎

◆多重人格は犯罪者が罪を軽くするための演技、そう断罪する女医が遭遇した信じがたい男は二つの人格が完璧に別れている。心霊かトリックか、科学で解明できない出来事を探るヒロインが、やがて怨念の渦に巻き込まれていく。(40点)

 多重人格は犯罪者が罪を軽くするための演技、そう断罪する女医が遭遇した信じがたい男は二つの人格が完璧に別れている。それは内面的な特徴だけでなく、肉体的な疾患までもが人格によって変化する特異なもの。そんな超自然現象を目の当たりにしたヒロインが彼の秘められた謎を解き明かす過程で、驚愕の過去に突き当たる。心霊かトリックか、科学で解明できない出来事はいったいなぜ起きるのかを探る彼女が、やがて怨念の渦に巻き込まれていく。

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シェルター - 渡まち子

◆多重人格という難役に挑むジョナサン・リス・マイヤーズが熱演で、人格が入れ替わる瞬間の演技は狂気を感じさせるほど(55点)

 科学では解明できない超常現象を信仰と結びつける展開がいかにも欧米らしい。カーラは、解離性同一性障害疾患(多重人格)を認めていない精神分析医。ある日、多重人格と思われるデヴィッドと名乗る男性を診察すると、彼の中から別人格が現われる。この時点では疾患を認めてなかったカーラだが、デヴィッドの過去を調査するうちに、次々に別の人格が入れ替わり混乱をきたしていく。デヴィッドは実は25年前に亡くなった故人であることが判明、さらにカーラが辿り着いたのは歴史の闇に葬られたおぞましい事実だった…。

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半分の月がのぼる空 - 小梶勝男

◆少年少女の難病と恋愛を描く青春映画だが、映画ならではの叙述トリックが驚きの展開を見せる。(85点)

 単なる少年少女の難病・恋愛を描いた青春映画だと思っていたら、びっくりさせられる。見事な叙述トリックが使われているのである。それが単に驚かせるだけでなく、クライマックスの感動につながっているのが素晴らしい。

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ステップファーザー 殺人鬼の棲む家 - 小梶勝男

◆「プロムナイト」をリメークしたネルソン・マコーミックが、今度は「Wステップファーザー」をリメークした。米国ではそれなりにヒットしたが、地味で日本では劇場未公開に。スリラーとしてはまずまずの出来(76点)

 ホラーファンの間では知られている1987年公開のジョセフ・ルーベン監督作「Wステップファーザー」のリメークだ。2009年の米映画で、米国でそれなりにヒットしたにもかかわらず、日本では劇場未公開で、DVDのリリースのみとなってしまったサイコ・サスペンス。

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アーマード 武装地帯 - 渡まち子

◆こちらが心配したくなるようなマヌケな仕事ぶりに、別の意味でハラハラさせられる(40点)

 主要登場人物は全員男性という硬派なクライム・サスペンスだが、犯行計画そのものがナンだか間が抜けている。アーマード・トラック(装甲現金輸送車)は、どんな銃弾も寄せ付けず最新のテクノロジーを搭載した動く要塞のような車だ。そんなアーマードを使って4200万ドルの偽装強盗計画を企てるのは、現金輸送警備会社の6人の警備員たち。元軍人のマイクをリーダーとし、弟を養うための金策に窮した新人警備員タイを巻き込んだこの計画は、誰も傷つけない完璧な犯罪のはずだった。だが、あるアクシデントから計画は綻び始める…。

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NINE - 前田有一

◆ゴージャスなはずなのに、印象には残らず(30点)

 イタリア映画界の巨匠フェデリコ・フェリーニの代表作『8 1/2(はっかにぶんのいち)』(63年、伊)をリアルタイムで見たものは、皆そのめくるめく映像美に圧倒されたと口をそろえる。

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ウディ・アレンの夢と犯罪 - 前田有一

◆ライト感覚の古風な犯罪ドラマだが、決して古臭くはない(70点)

 毎週同じ場所でジャズを演奏し、毎年ほとんど同じフォーマットで映画を作る。そんな神経症的な映画監督ウディ・アレンの新作は、監督本人が「悲劇」と呼ぶ犯罪ドラマ。

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マイレージ、マイライフ - 前田有一

◆失業者ガンバレのメッセージを素直に受け取れないのはなぜか(70点)

 どんな国でも多かれ少なかれ、映画業界というのはプロパガンダの役割を担いがちだ。とりわけアメリカはその傾向が強く、私はハリウッドをアメリカ5番目の軍隊(沿岸警備隊を入れるなら6番目?)と呼んでいる。むろん、そこで働く人たちにそんな自覚はないだろうが、そのように利用されているという意味での話だ。そして、そう称されるだけの価値がある業界ということでもある。実際は日本のように、内外どちらに対してもそんな影響力などない国がほとんどなのだから。

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スパイアニマル・Gフォース - 前田有一

◆ディズニーが本気で送るネズミ映画(55点)

 前代未聞の欠陥商品が多数登場するこのコメディー映画の後半を、決して笑ってみることはできないであろう。──世界でただ一人、トヨタ社長だけは。

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誰かが私にキスをした - 渡まち子

◆アメリカ人の手による原作・脚本のためか、日本のティーン・エイジャーの恋物語なのに、風変わりな手触りだ(50点)

 日本の中の異国アメリカンスクールを舞台にしたことで新鮮な空気を漂わせる学園ラブストーリー。東京のインターナショナルスクールに通う女子高生ナオミは、階段から落ちて過去4年間の記憶を失う。退院して戻った日常には、すべてが初めての新鮮さと戸惑いが。ナオミの周りに、アメリカ人の彼氏のエース、親友のミライ、病院まで付き添ってくれたユウジの3人の男子学生が現れる。ナオミは何かと悪い噂のあるユウジに惹かれていくのだが…。

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やさしい嘘と贈り物 - 福本次郎

◆朝目覚め、鏡の中を見つめる。その顔には深いしわが刻まれ、目は落ちくぼみ、白髪には張りがない。そんな主人公が新たな出会いに心を弾ませるシーンが微笑ましい。いくつになっても恋の予感は人を若返らせる魔法の薬なのだ。(60点)

 朝目覚め、鏡の中を見つめる。その顔には深いしわが刻まれ、目は落ちくぼみ、白髪には張りがない。主人公は老いを自覚しながらも身だしなみを整える。昼間はスーパーでレジの補助をしつつイラストを描く彼の後ろ姿に、独居老人の現実が恐ろしい影となってのしかかっていく。そんな彼が新たな出会いによって、まるで少年のようにウキウキと心を弾ませるシーンが微笑ましい。いくつになっても恋の予感は人を若返らせる魔法の薬であることを思い出させてくれる。

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TEKKEN-鉄拳- - 福本次郎

◆あらゆる格闘技の使い手が覇を競う大会にひとりの青年が挑戦する物語は、ただ強さを競うにとどまらず怒りと憎悪について掘り下げようとする。だが、ゲームソフトを実写化しただけの奥行きのない世界観が作品の足を引っ張る。(40点)

 マーシャルアーツ、カポエラ、コマンドサンボ、骨法、合気道、剣術、忍法、キックボクシングといったあらゆるジャンルの使い手たちが一堂に会して覇を競う大会にひとりの青年が挑戦する。しかし、そこには彼の知らない秘密が待ち構え、陰謀に巻き込まれていく。映画は通常の格闘技バトルでは飽き足らず、主人公の出生や親子の確執を盛り込み、ただ強さを証明する物語にとどまらず怒りと憎悪について掘り下げようとする。だが、ゲームソフトを実写化しただけの奥行きのない世界観はかえって作品の足を引っ張り、登場人物の華麗なテクニックの数々も驚きとはほど遠い。

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