シャッター アイランド - 前田有一

シャッター アイランド

© 2009 by PARAMOUNT PICTURES. All Rights Reserved.

◆技巧はあれど、成功するとは限らず(55点)

 「アリス・イン・ワンダーランド」でティム・バートン監督とジョニー・デップが7度目のタッグを組んだように、映画界にはうまの合うコンビというものがある。本人同士の相性だったり、興行面での有利であったりと理由はさまざまだが、『シャッター アイランド』が4回目の顔合わせとなるレオナルド・ディカプリオ&マーティン・スコセッシ監督も、そうした相思相愛カップルのひとつだろう。

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第9地区 - 前田有一

第9地区

© 2009 District 9 Ltd All Rights Reserved.

◆無法地帯、南アにエイリアンがやってきた(65点)

 CS局での番組収録の合間、世界を駆け巡る女性ジャーナリスト(独身)に私は次のような質問をしてみた。「ここだけは行くのを躊躇するヤバい国ってどこ?」

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月に囚われた男 - 前田有一

月に囚われた男

◆SFの体裁を借りて労働問題を描く(70点)

 同週公開『第9地区』が社会派SFアクションなら、『月に囚われた男』はそれ以上に社会風刺の効いたSFドラマだ。こうした優れたSFが、同じ週に二本も見られると言うのはうれしい限り。私としても、ぜひ両方見てほしいと思う。

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ダーリンは外国人 - 前田有一

ダーリンは外国人

© 2010「ダーリンは外国人」フィルムパートナーズ

◆面白い素材を生かすことができず(40点)

 『ダーリンは外国人』はコメディ、とくにラブコメ作りの肝を分析せずに作ったこのジャンルの映画がいかにひどい代物になるかがよくわかる、すぐれたサンプルである。

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月に囚われた男 - 佐々木貴之

月に囚われた男

◆ディティールは低予算作品にありがちな安っぽさをまったく感じさせないほど完璧な出来栄え(70点)

 名ロック歌手デヴィッド・ボウイの長男ダンカン・ジョーンズの映画監督デビュー作品であり、予算は500万ドル以下という超低予算のSFサスペンス・スリラー。

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シャッター アイランド - 福本次郎

シャッター アイランド

© 2009 by PARAMOUNT PICTURES. All Rights Reserved.

◆感覚はどこまで正しいのか、何が正常で何が異常なのか、主人公が事件の真相を追う過程で、閉ざされた島、消えた患者、謎の灯台、巨大な陰謀といったさまざまな要素が混沌と秩序のメタファーとなり、主観の本質に迫っていく。(60点)

 しっかりと地に足を付けきちんと観察しているはずなのに、どこか現実が歪んでいく。回りの人間が抱く秘密と嘘に、逆に監視されているような気分になっていく。そんな主人公が覚える違和感を、身にまとわりつくようなねっとりとしたカメラワークで再現する。感覚はどこまで正しいのか、何が正常で何が狂ってのか、彼が事件の真相を追う過程で、閉ざされた島、消えた患者、謎の灯台、巨大な陰謀、といったさまざまな要素が混沌と秩序のメタファーとなって、人間の主観の本質に迫っていく。

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ミュータント・クロニクルズ - 渡まち子

ミュータント・クロニクルズ

© 2008 CAMPFAME LIMITED. ALL RIGHTS RESERVED.

◆28世紀だというのに、4つの企業が繰り広げる戦いは何とも古風で、まるで第一次世界大戦のような趣(30点)

 スウェーデンのゲームシリーズの映画化である本作は、最終戦争を描いたB級SFアクションだ。はるか昔に宇宙からやってきた“マシーン”は、人間を凶暴なミュータント(突然変異体)に変える力を持っていたが、人間の決死の判断で地中深く封印される。そして28世紀の地球。わずかに残された天然資源を巡って、世界を支配する4つの巨大企業が壮絶な戦いを繰り広げる中、マシーンの封印が解かれ、瞬く間に地球全体を恐怖で覆いつくした。人間は滅亡する運命なのか。勇者の末裔である僧侶サミュエルは、世界中から精鋭を募り、マシーンとの対決を決意するが…。

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やさしい嘘と贈り物 - 山口拓朗

やさしい嘘と贈り物

© 2009 Overture Street Films, LLC

◆いくつになろうとも、人は思春期のころのようなまっさらな気持ちで恋をすることができる(70点)

 「やさしい嘘と贈り物」を見てまっさきに思い出したのはクリスマスだ。クリスマスの根源的な意味はさておき、サンタクロースがやって来るその日は、世界中が「やさしい嘘と贈り物」で満たされる。大人たちはしばしば「嘘はいけません!」と子供に説教するが、正しくは「やさしくない嘘はいけません!」であるべきなのかもしれない。 

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マイレージ、マイライフ - 山口拓朗

マイレージ、マイライフ

Copyright © 2009 DW STUDIOS L.L.C and COLD SPRING PICTURES. All Rights Reserved.

◆映画はライアンの気づきを通じて、「他人の価値」そして「人間と人間がつながる意味」について考えさせる(80点)

 ライアン・ビンガム(ジョージ・クルーニー)の仕事は、企業のリストラ対象者に解雇を告げるリストラ宣告人。アメリカ国内を飛び回り、年間322日も出張している根無し草のビジネスマンだ。あるときライアンは、自分と同じように国内を飛び回っているキャリアウーマン、アレックス(ヴェラ・ファーミガ)と出会って意気投合する。一方、仕事では、ネット上で解雇通告を行う新システム導入を提案する新人ナタリー(アナ・ケンドリック)と意見が対立し……。

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昆虫探偵 ヨシダヨシミ - 渡まち子

昆虫探偵 ヨシダヨシミ

© 青空大地(講談社刊「モーニングKC」)/昆虫探偵製作委員会

◆冒頭からカブトムシの濃厚な交尾シーンにのけぞった(50点)

 脱力系昆虫サスペンスで、無類の昆虫好きという哀川翔のとぼけた演技が笑いを誘う。謎の大爆発で壊滅した新宿。ヨシダヨシミは、なぜか虫たちと会話できるため、都内で唯一の昆虫専門探偵として活躍していた。助手は犬のムギとインコのピータン。日々、虫の浮気調査や行方不明の虫探しの捜査を行っているヨシミの探偵事務所に、マリという女性が捜査の依頼にやってくる。マリの正体は刑事で、彼女いわく、ヨシミは新宿爆発事件で失踪した自分の恋人の野獣デカ・田中だというのだが…。

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シャッター アイランド - 小梶勝男

シャッター アイランド

© 2009 by PARAMOUNT PICTURES. All Rights Reserved.

◆マーティン・スコセッシ監督、レオナルド・ディカプリオ主演の謎解きミステリー。「超日本語吹き替え版」は、日本に吹き替え版を定着させるきっかけになるだろうか(75点)

 昨年辺りだっただろうか。シネコンで、「吹き替えの方が楽だから」と、字幕版がすぐに上映されるのに、わざわざ吹き替え版の上映を待っているカップルを見かけて、ショックを受けた。どんな作品だったか忘れたが、3Dではなかったと思う。

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ソラニン - 福本次郎

ソラニン

© 2010 浅野いにお・小学館/「ソラニン」製作委員会/写真:太田好治

◆夢だけを追うには歳を取り過ぎ、夢をあきらめるには若すぎる。何者にもなれずにもがいている主人公の感情が非常に切なくてリアルだ。映画はどこかにある希望を探し求める若者の姿を通じて、生きることの辛さと素晴らしさを描く。(70点)

 夢だけを追うには歳を取り過ぎ、夢をあきらめるには若すぎる。大人になる前にやり残したことに未練を覚えている若者と、彼を応援ている恋人。目標に向かって努力しているつもりでも、居心地のいい“今”に押し流され、何者にもなれずにもがいている主人公の感情が非常に切なくてリアルだ。そして彼に身を託し、一緒に寄り添うヒロインもまた、自己の証を求めている。ぬるま湯のような現在に浸りきってしまいそうな恐れと、不確定な未来への不安、映画は閉塞感に覆われそうになりながらもどこかに希望があるのではと彷徨する彼らの姿を通じて、生きることの辛さと素晴らしさを描く。

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誘拐ラプソディー - 福本次郎

誘拐ラプソディー

© 2010「誘拐ラプソディー」製作委員会

◆人生に嫌気がさした男が、父親の愛を知らずに育った少年と旅に出る。コミカルなテンポの中にも人情を交え、男が人としての責任を学び、少年に他人を信じる気持ちが芽生える過程は、信頼を取り戻していく物語に昇華される。(50点)

 思い通りにならない人生に嫌気がさした男が、父親の愛を知らずに育った少年と旅に出る。その途中、男は少年に約束を守る重要性を説き、少年は男に理想の父親像を見る。家族のあたたかさに無縁だったふたりは、やがてお互いに親子のような感情を抱き始める。ふとしたきっかけで誘拐に手を染めた男と少年の逃避行、それはストックホルム症候群以上の依存関係をふたりの間に生む。映画はコミカルなテンポの中にも人情を交え、男は人としての責任を学び、少年に他人を信じる気持ちが芽生える過程は、人間同士の配慮や信頼を取り戻していく物語に昇華される。

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誘拐ラプソディー - 渡まち子

誘拐ラプソディー

© 2010「誘拐ラプソディー」製作委員会

◆ロード・ムービーというほどの開放感はないのだが、秀吉と伝助の擬似親子の関係性には好感が持てる(55点)

 追いつ追われつのクライム・エンタメ・ムービーは、さえない中年男と少年の絆がジンとくる。借金にまみれ、人生にくたびれた前科者の伊達秀吉。自殺さえも失敗してしまうダメ男の前に、偶然、金持ちの子供で家出中の伝助が現われる。家出を手伝うと6歳の伝助を丸め込み、誘拐して身代金をせしめようと企むが、伝助は、暴力団・篠原組の組長の一人息子だった。ヤクザと警察の両方から追われるハメになった秀吉は、大ピンチに陥るが…。

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ソラニン - 小梶勝男

ソラニン

© 2010 浅野いにお・小学館/「ソラニン」製作委員会/写真:太田好治

◆浅野いにおの漫画を映画化。宮崎あおいと高良健吾の主演で、夢と現実の間でもがく若者たちの青春をリアルに描く(75点)

 劇場用長編を初めて演出する三木孝浩監督が描く若者たちの世界は、ある意味、生ぬるいと思う。まるで大学のサークルの延長のような、優しい人間関係。そこには社会の厳しさは感じられない。お互いに甘え合って生きているような印象なのだ。しかし、現実とは、そういうものではないだろうか。本作の生々しいほどのリアリティーは、三木監督の徹底的に若者サイドに寄り添った視点にあるような気がする。

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