◆鬼才ティム・バートンにしてはあまりに凡作。それでもこってりと濃厚な映像美は楽しめる。(60点)
19歳のアリスは退屈な園遊会を抜け出し白うさぎの後を追って穴に落ちる。そこは不思議なアンダーランドで、住民たちは皆アリスのことを知っていた。アリスこそ残忍な赤の女王の支配に終止符を打つ伝説の戦士だと言うのだが…。
◆鬼才ティム・バートンにしてはあまりに凡作。それでもこってりと濃厚な映像美は楽しめる。(60点)
19歳のアリスは退屈な園遊会を抜け出し白うさぎの後を追って穴に落ちる。そこは不思議なアンダーランドで、住民たちは皆アリスのことを知っていた。アリスこそ残忍な赤の女王の支配に終止符を打つ伝説の戦士だと言うのだが…。
◆外国人は習慣が違うから合わないなんて、そんなの言い訳!(80点)
この映画を観て、確かにその通りだと思いました!
こちらの原作は、2002年の発売以来、4作品で累計250万部を超える大ヒットとなった小栗左多里(おぐりさおり)さんのエッセーマンガ「ダーリンは外国人」を映画化したものです。
◆ビートルズ登場以前のイギリス・ロンドンで、大人の世界に憧れる中流階級の少女を描く。主演のキャリー・マリガンの魅力と、少女の気持ちにぴったりと寄り添った演出で、新鮮で心を打つ作品となった(91点)
世間知らずの少女が、年上の男性とロマンチックな恋に落ち、大人の社会を体験していく。よくあるストーリーだが、魅力的なキャストで時代背景などを丁寧に描いて作ると、これほど新鮮で心を打つ作品になるのかと驚いた。
◆映画が語るのは、夢と現実の板挟みにあいながら、悩み、傷つき、振り子のように心を揺らす若者たちの「命」そのもの(75点)
スタジオ練習を欠かさないバンドマンにしてフリーターの種田(高良健吾)。会社になじめずに入社2年目で辞表を提出した芽衣子(宮崎あおい)。ふたりは将来に不安を感じながらも、寄り添うように同棲している。あるとき、芽衣子に背中を押してもらうカタチで、種田は新曲「ソラニン」を創作。デモ音源をレコード会社に送るが、会社側の反応は厳しかった。追い打ちをかけるように種田の身に不幸がふりかかり……。
◆どうしてこうなるの?? との疑問ばかりが沸きあがる(35点)
雑賀俊郎監督による鹿児島3部作の第2弾の青春映画は、ヨットレースに挑戦する少女たちの奮闘を描くが、魅力に乏しい物語だ。前作「チェスト!」は小学生が遠泳にトライする姿を、さわやか、かつコミカルに描いた好編だっただけに、今回の出来栄えは残念である。高校生のミオは小説家の父親が海で行方不明になって以来、港に停泊する父のヨットに引きこもっていた。一方、ヨットの天才少女キヨミは、練習中に親友を失ったつらい過去を持つ。共に海での悲しい出来事を体験した二人の少女が出会い、友情を育んでいくのだが…。
◆日本語の知識には一般の日本人よりも精通しているのに、曖昧な返事や謙遜という日本人独特の習慣には疎い米国人。もはや語りつくされた感のあるカルチャーギャップも、個々のケースをあらためて提示されると思わず吹き出す。(50点)
日本語は達者で、漢語と和語の違いに細かく、慣用句の成り立ちにも興味津津の米国人。日本語の知識には一般の日本人よりも精通しているのに、はっきりしない返事や謙遜といった日本人独特の習慣には疎い。もはや語りつくされた感のあるカルチャーギャップも、個々のケースをあらためて提示されると思わず吹き出してしまう。そんな彼と恋に落ちた日本人女性が、付き合っているときには魅力的に思えたリアクションも、一緒に暮らす上では笑ってすませられない大問題になっている現実に気づく。結婚とは文化的背景の異なる者が共同生活し、その差異を認め合って受け入れることなのだ。
◆男同士の対決を主軸にしながらも、若手OJの成長を描いたハードボイルド風のポリスアクション(65点)
新人の制服警官OJ(エディソン・チャン)は、ある事件現場で犯人を射殺。香港警察特殊任務部隊SDUの隊長フォン(リッチー・レン)は、彼の腕前を買って部隊に採用する。時同じくして、リン・ジン(ホァン・シャオミン)という男が四年の懲役を終えて出所する。彼は元SDUの警官で唯一500メートル先を狙える名狙撃手でフォンと一、二を競うほどだったが、タオ(ジャック・カオ)率いるグループによる銀行強盗事件で誤って人質を射殺してしまったことが原因で過失致死罪に問われ、服役することになった。フォンら仲間に裏切られたと思った彼は、タオ一味の手先となってフォンへの復讐を果たそうとしていたのであったが……。
◆アカデミー賞4部門にノミネートされたピーター・ジャクソン製作のSF映画。エイリアンを「難民」と捉える視点が面白い(81点)
ある意味、「裏・アバター」と言えるかも知れない。「アバター」では人間が他の星に行って、姿形を宇宙人に変えてコミュニティーに入り込もうとする。本作では逆に、宇宙人が突然、地球にやってきて、主人公は自分の意思とは無関係に宇宙人に姿を変えられてしまうのである。どちらに真実味があるかと言えば、明らかに本作の方だろう。
◆ヒロインのどん底が観客の勇気にすり替わる(70点)
この春、私たちはスクリーン上で、2人の素晴らしい教師と出会うことになる。1人は『17歳の肖像』でオリヴィア・ウィリアムズが演じたスタッブス先生、そしてもう1人は『プレシャス』でポーラ・パットンが演じたレイン先生だ。
◆傑作パロディの裏側に『スター・ウォーズ』への深い愛情あり(75点)
わずかなカメオ出演者を除けば、さほど名の売れた大スターが出ているわけでもない。ストーリーだって『スター・ウォーズ』オタクがジョージ・ルーカスの会社に泥棒に入るというしょーもない内容。しかも危うくDVDストレートになりかけた90分の小品だ。それでも私は、この『ファンボーイズ』を2010年のベスト10に入れるかもしれない。
◆幕府の目を盗んで密航しようとしたほどの松陰にならって、もう少し映画にも冒険心がほしかった(50点)
吉田松陰の生誕180年を記念して作られた歴史ドラマ。1854年、幕末期。寅次郎(松陰)は海外密航に失敗し、長州・萩の武家専用牢屋敷の野山獄に投獄される。その獄は、一度入れられたら二度と生きては外には出られない絶望的な場所だった。そんな場所にも係わらず、他の囚人たちに気さくに声をかけ希望を持つように説き、短歌の会などを主催する寅次郎。獄のただ一人の女囚の高須久は、そんな寅次郎に惹かれていくが、安政の大獄と呼ばれる粛清の時代が迫っていた…。
◆くるくると人格を変える患者の正体に迫る展開は、観客の興味と好奇心を刺激する(55点)
精神分析医のカーラ(ジュリアン・ムーア)は、ある日、同じく精神科医の父ハーディング(ジェフリー・デマン)に、デヴィッド(ジョナサン・リス・マイヤーズ)という青年の患者を紹介される。下半身不随のデヴィッドは礼儀正しく、カーラの質問への受け答えもしっかりしている。
◆肉体はコピー、記憶も偽物、しかしそこに宿る心は本物。自分が何者か知ってしまった男が、定められた運命と戦う決意をする。無機質なモノトーンの世界で繰り広げられる静謐な悲劇をシャープでスタイリッシュな映像が再現する。(70点)
血は流れ痛みも感じるのに肉体はコピー、昨日のことのように覚えている記憶も偽物、しかしそこに宿る心は本物。自分がいったい何者で、どういう未来が待ち受けているのかを知ってしまった男が、定められた運命と戦う決意をする。美しい妻と可愛い娘、彼女たちと愛し合った思い出だけが生きてきた証なのに、それすら幻に過ぎない。危険で孤独なミッションを遂行する主人公がアイデンティティクライシスに直面し、克服していく過程で、恐るべき事実に突きとめる。無機質なモノトーンの世界で繰り広げられる静謐な悲劇、捨ててもいい命などあってはいけないことをシャープでスタイリッシュな映像が再現する。
◆放蕩を繰り返し、暴力も厭わない。ドン・ジョヴァンニが挑むのは宗教的倫理に行動が縛られた旧態依然とした価値観。主人公はその物語を新しい言葉とアイデアで再編し、革新的なメロディとコラボさせて時代に変革を迫っていく。(80点)
放蕩と姦淫を繰り返し、暴力も厭わない。オペラ「ドン・ジョヴァンニ」が挑むのは宗教的倫理や道徳に行動が縛られた旧態依然とした価値観。映画の主人公である劇作家はその物語を新しい言葉とアイデアで紡ぎ直し、革新的な旋律とコラボさせて時代に変革を迫っていく。18世紀後半の、異端審問官が幅を利かせる陰鬱なヴェネチアと啓蒙君主が気軽に市民の前に姿を見せる開放的なウィーンの空気の対比が印象的だ。また、ウィーンに住むイタリア人は少なからずおり、教養あるウィーン市民はイタリア語を理解したのだろう、きちんとイタリア語とドイツ語を俳優たちが使い分けているところに好感が持てる。
◆“ド肝を抜かれる”ほどの目新しさはないものの、「みんな違って当然」という当たり前のことを教えてくれるあたたかい物語(50点)
国際結婚(カップル)に苦労はつきもの。“外国人なダーリン”を持った女性の日常をユーモラスに描くストーリーだが、恋愛の悩みは普遍的なので共感できる。語学オタクの米国人トニーと漫画家を夢見るイラストレーターのさおりは、ひょんなことから付き合いはじめ、同棲するようになる。トニーの外国人目線の素朴な疑問や思わぬ言動に笑ったり悩んだりするさおり。二人はやがて真剣に結婚を考えるようになるが、さおりの父親の反対や、日常生活の摩擦から心がすれ違い始める…。