劔岳 点の記 - 渡まち子

冬山の厳しい美しさと同時に色鮮やかな緑や紅葉の木々が素晴らしい(70点)

劔岳 点の記

© 2009『劔岳 点の記』製作委員会

 日本地図誕生にこんな秘話があったとは。明治40年、未踏峰の劔岳山頂を目指す測量手と山の案内人がいた。軍部が、日本山岳会への強いライバル意識をあらわにする中、命がけで地図作りに挑んだ男たちの気骨に胸を打たれる。名カメラマン木村大作の初監督作だが、圧巻なのは、CGや空撮を使わずに撮影した本物嗜好の映像。冬山の厳しい美しさと同時に色鮮やかな緑や紅葉の木々が素晴らしい。クラシック中心の音楽が荘厳すぎて少々重苦しいのが惜しいが、それを緩和するのが飄々としながらも軽くならない浅野忠信の存在感だ。ラストには意外な展開が用意され聖なる山のイメージを新たにする。長期にわたる危険な撮影ではスタッフに怪我人も出たと聞く。地図作りと同じくらい、この映画製作の労をもねぎらいたい。

WHATEVER WORKS - 岡本太陽

◆あの鬼才がニューヨークに帰って来た! ウディ・アレン監督最新作(45点)

 『マッチ・ポイント』『それでも恋するバルセロナ』を含む前4作はヨーロッパで映画を撮ったウディ・アレン。予算の関係でニューヨークを離れていた彼の次のロケーションはどこになるのかが期待されていたのだが、なんと彼は再びニューヨークに帰って来た。その新作が映画『WHATEVER WORKS』だ。本作の脚本自体は70年代初期に書かれたのだが、それはゼロ・モステルを主人公と考え書かれていたため、77年のモステルの死により映画制作は闇に葬られた。しかし、アレンが30年の後にその脚本を政治や社会情勢の変化に伴い現代風にアレンジし映画として再び制作されるに至ったのである。

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真夏のオリオン - スタッフ古庄

◆ライトな戦争映画(50点)

 ん? ん。戦争ものにしてはほのぼのとした印象を受けました。。

 第二次世界大戦終戦間近の日本海軍、イ-77をはじめとする潜水艦と、アメリカ海軍駆逐艦との戦いを通して艦内の内情や友情と艦長:倉本(玉木 宏)の淡い恋を描いた作品です。

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いけちゃんとぼく - 渡まち子

ファンタジックな愛に泣かされる(65点)

いけちゃんとぼく

© 2009『いけちゃんとぼく』製作委員会

 いけちゃんとは何者か?この謎が本作の感動の震源だ。謎が解けたとき、ファンタジックな愛に泣かされる。悪ガキのいじめに屈しない少年よしおのそばには、彼にしか見えない不思議な生き物いけちゃんがいた。幼いながらに現実の痛みを知るよしおは、自分だけの世界を持っている。その異界に入れる唯一の存在、それがいけちゃんだ。いけちゃんの声を担当する蒼井優のおおらかな“演技”が魅力的で、思わず感情移入してしまう。よしおがいけちゃんと別れるときのやるせなさ。そして思いがけない再会の驚き。いけちゃんの告白に、切なさがこみあげた。この物語がラブストーリーだったとは。思い出が最も輝くのは、過去と現在が交錯した瞬間なのだと分かる。見終わると、冒頭に登場するお墓参りのシーンが胸にしみた。

トランスフォーマー/リベンジ - 前田有一

マイケル・ベイらしさ全開のすてきなトンデモ映画(90点)

トランスフォーマー/リベンジ

© 2009 Dreamworks LLC. and Paramount Pictures. All rights reserved. Photo Credit: Industrial Light & Magic

 『トランスフォーマー/リベンジ』は、いかにもマイケル・ベイ監督らしい、華やかで楽しくて、かつゴーマンな超大作であった。

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人生に乾杯! - 前田有一

80代の老人が強盗に転職(55点)

人生に乾杯!

© M&M Films Ltd.

 ハンガリー映画の小品『人生に乾杯!』は、彼らの国で高齢者が抱える問題をチクリと風刺する作品だが、奇しくも我々日本人にとっても共感できる内容になっている。

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闇の列車、光の旅 - 岡本太陽

◆アメリカに豊かな暮らしを求め旅をする中米移民の現状をリアルに描く(70点)

 アメリカに豊かな暮らしを求め、毎年特に中米から多くの移民がメキシコ、アメリカ間の国境を越えてやって来る。移動手段は電車やトラック等があるが、彼らは警察に逮捕されたり、時には殺される事もあり、多くの者は夢半ばで敗れてしまう。2009年のサンダンス映画祭で旋風を巻き起こした日本語で「名無し」の意味を持つ映画『闇の列車、光の旅(原題:SIN NOMBRE)』では移民の少女とメキシコのギャング集団に所属する少年の織りなす物語の中で、移民達がアメリカに辿り着く過程をリアルに描く。

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守護天使 - 福本次郎

命を懸けて守りたいもの、それは家族でもプライドでもなく見知らぬ女子高生。家では鬼嫁に虐げられ、会社は薄給、唯一見出した希望が彼女を見守ること。主人公の冴えない日常が、リアルな中にもほのかな笑いと共感を誘う。(60点)

守護天使

© 2009『守護天使』製作委員会

 命を懸けて守りたいもの、それは家族でもプライドでもなく見知らぬ女子高生。家では鬼嫁に虐げられ、満員電車に揺られて出勤する会社は仕事の割に薄給、唯一見出した希望が彼女を見守ること。カンニング竹山扮する主人公が送る冴えない日常、何をやってもうまくいかずまわりに怯えながら生きている姿が、リアルな中にもほのかな笑いを織り込んで共感を誘う。そんな男が得体の知れない悪と対峙したとき、ありったけの勇気で体当たりする。「生きるってみっともないけど、それでいい」という少年のセリフは彼にとっては最高のホメ言葉なのだ。

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築城せよ! - 福本次郎

昇りかけた朝日を反射して黄金に輝く天守閣。それが美しいのは威容から来るのではなく、築城に参加した市民・学生・武将たちの夢を乗せているから。みんなで力を合せ、段ボールの城を完成させるという目標に向かって突き進む。(50点)

築城せよ!

© 2009映画『築城せよ』製作委員会

 昇りかけた朝日を反射して黄金に輝く天守閣。それが美しいのは石垣の上に建てられた威容から来るのではなく、築城に手を貸した市民・学生・武将たちの夢を乗せているから。すぐに壊れてしまうと分かっていても、みんなで力を合せ段ボールの城を完成させるという目標に向かって突き進む、大変だけれど楽しいお祭り騒ぎ。その過程で意見が分かれていた小さな街も、自分たちが本当に大切なものは何かに気づき、指導者たちも住民の意見を無視してまで事業を推進することに疑問を感じ始める。上から目線の利益誘導に頼るだけでなく、納税者が積極的に参加できる街おこしが、さびれた街に活気を取り戻す秘訣だ。

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トランスフォーマー/リベンジ - 渡まち子

ビジュアルは驚異的(60点)

トランスフォーマー/リベンジ

© 2009 Dreamworks LLC. and Paramount Pictures. All rights reserved. Photo Credit: Industrial Light & Magic

 前作同様、ぶっ壊してばかりの騒々しい映画だが、予算もスケールも各段にアップしただけに、ビジュアルは驚異的だ。総勢60体以上のトランスフォーマーの変身のバリエーションは実に創意工夫がある。宇宙から地球へ戻った悪玉ディセプティコン軍団と、親地球派で善玉のオートボットたちはついに全面戦争に。主人公サムは、またしても地球と人類を救うはめになる。

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愛を読むひと - 前田有一

21歳上の女性と恋する15歳(40点)

愛を読むひと

© 2008 TWCGF Film Services II, LLC. All rights reserved.

 19歳の三浦皇成騎手との熱愛スクープを抜かれたほしのあきは、先日『トランスフォーマー/リベンジ』のワールドプレミアに出ていたが、むしろコチラの宣伝に協力したらよかった。

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劔岳 点の記 - 前田有一

苦労したことはわかるが、そればかり前面に出すのはどうか(60点)

劔岳 点の記

© 2009『劔岳 点の記』製作委員会

 日本地図最後の空白地を埋めるため、命がけの挑戦をした男たちの実話ドラマ。『劔岳 点の記』は、かように魅力的な題材であるが、初監督作品特有の限界が見える、惜しい一品であった。

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築城せよ! - 前田有一

ダンボールでお城を作ってしまうとは(55点)

築城せよ!

© 2009映画『築城せよ』製作委員会

 古波津陽(こはつよう)監督が、わずか300万円で作った本作のオリジナルは、意外なことにアメリカ(サンフェルナンドバレー国際映画祭)で高く評価された。そこで、もっとお金をかければよくなるはず、と考えた日本のプロデューサーの尽力により、このたび製作費3億円でリメイクされることになった。まさに、映画界のわらしべ長者である。

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築城せよ! - 山口拓朗

◆奇想天外なアイデアを実現させた企画にまずは拍手

 舞台は2009年の日本。ある夜、過疎の町・猿投(さなげ)に、かつてこの土地を治めていた恩大寺(片岡愛之助)ほか2名の戦国武将の霊が現れる。彼らは今から約400年前に、自分たちの城を完成させることがきないまま無念の死を遂げていた。そんな元領主の「築城せよ!」の号令により、段ボールで城を作るという無謀なプロジェクトがスタート。建築学を専攻する大学生ナツキ(海老瀬はな)が棟梁になって築城を進める。ところが、築城を快く思わない町長(江守徹)や役場の人間が、城攻めの計画を練り始め……。

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愛を読むひと - 渡まち子

献身的な朗読が愛の証となる崇高な物語だ。ウィンスレットが渾身の名演でオスカーを受賞。(90点)

愛を読むひと

© 2008 TWCGF Film Services II, LLC. All rights reserved.

1958年ドイツ。15歳のマイケルは21歳年上のハンナに恋をする。逢瀬を重ねる二人だったが、ある日突然、彼女は姿を消してしまう。法科の学生になったマイケルはナチスの戦犯を裁く法廷の被告席にハンナを発見し衝撃を受ける…。

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