爽快感よりも悲劇性が強い(50点)
© 2009 Imagi Crystal Limited Original Manga c Tezuka Productions Co., Ltd.
日本の有名アニメのハリウッド実写化はいつもビミョーだが、今回も同様。だが、違和感を感じつつの鑑賞も、次第に物語に引き込まれるのはさすがではある。ロボットと人間が共存する空中都市メトロシティ。ロボット工学の権威・テンマ博士の息子トビーが不慮の事故で命を落とす。深く悲しんだ博士は息子そっくりのロボットを作るが、やはり生身の人間とは違っていた。博士に疎まれたトビーはメトロシティを去り、地上にやってくる。“アトム”として生まれ変わったトビーだったが、胸に埋め込まれた究極のエネルギー・ブルーコアを狙う魔の手が迫る。
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◆悪趣味らしさが高まったどころかB級レベルもアップしてしまった(80点)
死の運命に翻弄された挙句にショッキングな死を遂げてしまう若者たちの姿を描いた人気ホラーのシリーズ第四弾。しかも、今回は現在流行中のデジタル3Dバージョン。監督は、第二弾『デッドコースター』を手懸けたデヴィッド・R・エリスが登板。
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リアルな人間破壊シーンを最新デジタル3Dで(55点)
© MMV New Line Productions, Inc. All Rights Reserved.
『ファイナル・デッドサーキット 3D』のメインイメージをみて、私は思わず噴き出した。エスカレーターの上で絶叫しているカップルの写真なのだが、なぜか「手すり」がない。一体全体なにがおきればこんな状況になるのか。これはさぞぶっ飛んだ「死に様」を見られるぞと、期待を高め試写室へと向かった。
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上映館に出かけるときは(いろんな意味で)気をつけて(40点)
© ショック・ラビリンス・フィルム・コミッティ2009
今週は3Dホラー作品の話題作が2本公開されるが、日本の誇る清水崇監督(呪怨シリーズ)の最新作がこれ。所要時間なんと60分、世界最長の歩行型お化け屋敷として恐れられる「戦慄迷宮」(富士急ハイランド)の実写映画化である。最新立体メガネをかけて、絶叫の清水ワールドを堪能しようというユニークな企画だ。
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◆シリーズ一作目に迫る名脚本(85点)
愛する女を救うため、何度でも過去に戻る男の物語「バタフライ・エフェクト」(04年)は、当サイトでも最高ランクの評価(98点)としたが、実際に見た人たちの満足度もきわめて高い傑作であった。あの映画の何がよかったかといえば、それは誰に聞いても脚本と回答がくる。その脚本家エリック・ブレスは、偶然にも今週公開の「ファイナル・デッドサーキット 3D」の脚本を担当。残念ながら(?)『バタフライ・エフェクト3/最後の選択』は別の人物がストーリーを書いている。
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悟りにチャレンジ(25点)
© 2009 IRH Press
『仏陀再誕』は、この秋300万人の動員を目標とする、日本アニメーション期待の超話題作である。
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◆重厚な人間描写から一転、ドラマチックな刑事物語へと変化する(70点)
ある日、残虐な少年犯罪により娘を失った長峰(寺尾聰)。奈落の底に突き落とされた長峰のもとに、犯人の正体を告げる匿名の密告電話が入る。犯人と思われる名前と住所を知った長峰は……。
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“お約束”感が安心で心地よい(60点)
女性上司が男性部下に自分との結婚を“命令”するのは新しい。だが、婚活と永住権の組み合わせは、新機軸というよりむしろ古典。いずれにしても明るいノリはロマ・コメの王道だ。出版者の鬼編集長マーガレットは、NYで成功したカナダ人・40歳のキャリウーマンだが、ビザの申請をサボッたために国外退去を命じられる。そんなことでキャリアを捨てるものかと、とっさに思いついた捨て身の案は、なんと、気弱な部下・28歳のアンドリューとの偽装結婚。バレれば重罪の二人は、入国管理官の質問に備えて、週末をアンドリューの実家のアラスカで過ごすハメに。マーガレットは、素朴な街で思いがけない歓待を受け、とまどうことになる。
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スペル - 小梶勝男
◆「スパイダーマン」シリーズのサム・ライミのホラー・コメディー。「エクソシスト」と「キューティ・ブロンド」が共存しているような面白さ(81点)
「ラブコメ」というジャンルがあるが、ホラーにはホラー・コメディー、つまり「ホラコメ」とでも呼びたいものがある。残酷だが笑えるスプラッター映画とはちょっと違い、もう少しコメディー寄りの映画だ。本作の監督サム・ライミでいえば、「死霊のはらわた」(1983)はスプラッターだが、「XYZマーダーズ」(1985)はホラコメだろう。スプラッターは常に笑えるわけではない。もし笑えるとしたら、描写の過激さがリアリズムを突き抜けて笑いとなる。つまり、恐怖と笑いは表裏一体なのだが、ホラコメではホラー(的な要素)とコメディー(的な要素)が一体化しないまま共存している。無論、厳密な分類は不可能だし、分類しても意味はないが、大体そんな印象を持っている。
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息を押し殺した寡黙な語り口は、最愛の人を奪われた男の声にならない慟哭。感情を抑え青ざめた映像は、法と正義の狭間で揺れる刑事の苦悩。日本の歪んだ司法制度に挑むそんな主人公の姿は、「人権派弁護士」たちへの挑戦状だ。(40点)
© 2009『さまよう刃』製作委員会
息を押し殺した寡黙な語り口は、最愛の人を奪われた男の声にならない慟哭。感情を抑え青ざめた映像は、法と正義の狭間で揺れる刑事の苦悩。いくら殺人やレイプを繰り返しても「少年」というだけで極刑は望むべきもなく、「少年法」のもとに犯人のプライバシーは守られる。日本の歪んだ司法制度に真っ向から挑む主人公の姿は、そんな極悪人の人権ですら守ろうとする「人権派弁護士」たちへの挑戦状だ。しかし、映画は原作のストーリーをなぞるのみで、映画的な躍動感や喜怒哀楽に乏しく、重苦しい空気がスクリーンに蔓延する。
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借金を重ね、外に女を作り、家庭を顧みない男。そんな男のたった一度の優しさを受け入れてしまったせいで不幸を甘受する女。身勝手なのに不思議な魅力を持った作家と、彼の破天荒な生き方にじっと耐える妻の対比が鮮やかだ。(70点)
© 2009 フジテレビジョン パパドゥ 新潮社 日本映画衛星放送
借金を重ね、外に女を作り、まったく家庭を顧みない男。そんな男のたった一度の優しさを受け入れてしまったせいで不幸を甘受する女。常に「死にたい」と周囲に漏らし、弱さを積極的にさらけ出して相手を操っていく、あまりにも身勝手なのに不思議な魅力を持った作家と、彼の破天荒な生き方にじっと耐える妻の対比が鮮やかだ。最初に懐の大きな男と思わせておいて、信頼を勝ち得るととことんまでしゃぶりつくす卑劣な主人公のヒモ体質を浅野忠信がリアルに表現する。大人になっても甘ったれで人に迷惑ばかりかけているけれどどこか放っておけない、典型的なダメ男の本質がよく描けている。
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ラジオというメディアの力を再認識できる(60点)
© 2009「引き出しの中のラブレター」製作委員会
メールや携帯電話がコミュニケーションの中心になった現代でも、手紙の持つぬくもりは独特のものがある。ラジオ・パーソナリティの真生(まい)は、番組に寄せられた、笑わない祖父を笑わせたいとの少年の相談内容から、絶縁したまま他界した父への思いを受け止めることになる。北海道に住む少年と家族、東京で暮らす真生とその恋人や友人らが織りなす群像ドラマは、大切な人に伝えられなかった思いに改めて向き合うことで、徐々に繋がっていく。
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これぞSFの醍醐味、技術の特性もマッチした傑作(85点)
『TO(トゥー)』は、すでにレンタル中のオリジナルビデオアニメだが、2009年10月16日に六本木ヒルズの大スクリーンで一夜限りの上映が決まったので、急遽本欄で紹介することにした。
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◆押井守監督のマニアックな世界だが、3人の女優の魅力は楽しめる(66点)
押井守監督の世界は非常にマニアックで、なかなか理解が難しい。押井作品には熱狂的なファンがいる一方で、今ひとつメジャーになりきれないのも、そのせいだろう。「スカイ・クロラ」ではその殻を破って、より広い観客層に向かって物語を紡いでいたが、本作では再び自らの世界に閉じこもってしまった印象がある。
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法律とはいったい何のためにあるのかと深く考えさせられる(65点)
© 2009『さまよう刃』製作委員会
法律への不信と不満。重いテーマを扱った問題作だ。むごい事件によって大切な一人娘を失くした長峰は、娘を凌辱して殺した少年たちの名を知る。少年法によって現在の日本の法律では犯人を極刑にできないと考えた長峰は、自ら犯人を追い復讐することを決意。刑事の織部は長峰を追いながらも法と正義の狭間で悩んでいた。
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