音楽ファン以外も十分に楽しめる内容(70点)
常に音楽シーンを牽引するブリテイッシュ・ロックにこんな規制秘話があったとは。1966年、英国では国営のBBCラジオからロックを流す時間はわずか45分。だが法が及ばない海上に海賊放送局があったというお話だ。高校を退学になったカールは、更正のため母の旧友のクエンティンの船に乗り込む。そこは個性的でクールなDJたちが政府の目を盗んで1日中ロックを流し続ける海賊放送局だった。自由を謳歌する船での生活で、カールは徐々に変化していく。
音楽ファン以外も十分に楽しめる内容(70点)
常に音楽シーンを牽引するブリテイッシュ・ロックにこんな規制秘話があったとは。1966年、英国では国営のBBCラジオからロックを流す時間はわずか45分。だが法が及ばない海上に海賊放送局があったというお話だ。高校を退学になったカールは、更正のため母の旧友のクエンティンの船に乗り込む。そこは個性的でクールなDJたちが政府の目を盗んで1日中ロックを流し続ける海賊放送局だった。自由を謳歌する船での生活で、カールは徐々に変化していく。
◆米映画「サイドウェイ」を日本人キャストでリメーク。四人の主人公たちを日本人に変えたことで、オリジナルよりもしっくりと来る作品になった(75点)
アカデミー賞で5部門の候補となり、脚色賞を受賞した米映画「サイドウェイ」を、舞台は同じ米カリフォルニアで、日本人キャストでリメークした作品。あのいかにもアメリカ的な映画を、主要な登場人物だけ日本人に替えてリメークするという、非常に変わった企画で、何の意味があるのだろうかと思ったが、これが意外に面白かった。オリジナルで共感できなかった部分がちゃんと共感できるように直されていて、外国人スタッフが作ったにもかかわらず、日本人が見て違和感がないばかりか、日本映画らしい作品になっている。監督のチェリン・グラックが日本で生まれて高校まで育ち、日本人の感覚を分かっているからだろう。多くの日本人にとっては、オリジナルよりも本作の方がしっくりとくるだろう。
◆この壮絶な物語は感動の嵐を呼ぶ(90点)
1人の女が枯野原の丘を肩落としながら登って来る。彼女は歩みを止めず、一瞬うしろを振り向く。くたびれた表情を浮かべる彼女は、ある地点でおもむろに体を揺さぶり始める。そしてその動きは徐々に大きくなりダンスになる。彼女の体全体を映していたカメラは彼女の顔にズームインする。その表情は笑っているのか、泣いているのか。ルンバ調の奇妙なリズムのサウンドトラックがドラマチックにわたしたちに語りかける。これは韓国人映画監督ポン・ジュノ最新作『母なる証明(英題:MOTHER)』の完璧なるオープニングだ。鳥肌が立った。一体彼女が振り向いた先には何があったのだろう。
◆「誰かの代わりになる」ことをテーマに運転代行業を営む家族とその周囲を淡々と描く人間ドラマ。新人・山口智の監督・脚本で、山田辰夫はこれが最後の主演作となった(62点)
ショートショートフィルムフェスティバル日本部門でグランプリを受賞した山口智が脚本・監督を務めた人間ドラマ。今年(2009年)7月に死去した山田辰夫にとって、最後の主演作となった。
◆CCDカメラによるサブ視点が取り入れられたことによって演出面がパワーアップ(75点)
スペイン製パニック・ホラー『REC/レック』(07)は世界各国でヒットし、アメリカでは『REC:レック/ザ・クアランティン』(08、日本未公開)としてリメイクされた。そして、待望の第二弾が作られた。監督は、前作同様にジャウマ・バラゲロとパコ・プラサとの共同。
ちょっと自虐的なユーモアがいい(65点)
全編にレトロ・モダンな雰囲気が漂う、異色の青春映画にして文芸映画だ。終戦を迎えた年、結核を患う少年・利助は、風変わりな療養施設・健康道場に入る。患者や看護婦を互いにあだ名で呼び合うその場所で彼は“ひばり”と呼ばれ、看護婦の竹さんやマア坊、同じ病を患う仲間と過ごすうち、少しずつ希望を見出していく。
3時間22分、途中休憩10分の大長編(70点)
『沈まぬ太陽』は、山崎豊子の長編小説の映画化。この原作は彼女の作品の中でも「映像化されていなかった最後の傑作」という位置づけらしい。これまでなぜ映画化、ましてテレビドラマ化されなかったのか。様々な理由があるだろうが、その一つは内容が猛烈なJAL批判にならざるを得ない、という点と無縁ではないだろう。
内容は悪くないが、宣伝が大ネタバレ(65点)
『あの日、欲望の大地で』という、先日公開されたサスペンス映画があるが、それについての記事で私は、ネタバレに無頓着な宣伝会社の姿勢を静かに批判した。こういう事を書くと業界では嫌われるのだが、あの記事に反応して送られてきたメールはすべて、よくぞ言ってくれた、という好意的なものであった。
タイムトラベラーとの恋はこうなる?(55点)
© MMVIII INTERNATIONALE SCARENA FILMPRODUKTIONSGESELLSCHAFT 2 MBH & CO.KG TM NEW LINE PRODUCTIONS, INC.
公開したばかりの『バタフライ・エフェクト3/最後の選択』を私はオススメにしたが、幸い見た人たちの満足度も高かったようだ。この『きみがぼくを見つけた日』も同じくタイムトラベルものだが、あのシリーズからサスペンス色を消し、甘いラブストーリー仕立てにしたような一品。
前作よりはるかに面白く、そして怖い(85点)
自分がみたままを映像にする、いわゆる主観撮影という技法が流行している。中でも『REC/レック』は本国スペインで記録的大ヒット、成功例といえるだろう。早々にハリウッドに買われたリメイク権は、誰も気づかぬままいつのまにかビデオスルー作品となっていたが、オリジナルの続編である『REC/レック2』は、無事日本でも劇場公開が決定した。
彼女がボスを務める職場では、ミスも妥協も許されず、盾つく者は潰される。オフィスでの噂話がツイッターを通じて交わされるシーンがいかにも知の最先端ぽくてシャレていると同時に、ヒロインの置かれている立場が端的に示される。(40点)
彼女がボスを務める職場では、一切のミスも妥協も許されず、盾つく者は容赦なく叩き潰される。オフィスでの噂話がツイッターを通じて交わされるシーンがいかにも知の最先端ぽくてシャレていると同時に、ヒロインの置かれている立場が端的に示される。仕事が恋人、ライバルに情けは無用、有能だが唯我独尊、部下からは“魔女”と恐れられている。そんな、弱肉強食のビジネスの世界で勝ち抜いてきたキャリアウーマンは、恋愛ですら計算ずくで進めようとする。映画は、彼女が人間らしい感情を取り戻していく過程を通じて、愛の大切さを説く。
ボキューズ・ドールに挑むための準備と苦労、戦いの熾烈さには驚かされる(65点)
道を極めることは並大抵のことではない。スポーツでも学問でも、料理でも同じだ。本作は、2年に一度開催されるフランス料理の国際大会“ボキューズ・ドール”を舞台に、世界最高のシェフの称号を目指して戦う一流の料理人を追ったドキュメンタリーである。まだ満足な成績を残せていない美食の国スペインの料理界を背負って大会に挑む、若き代表ヘスース・アルマグロを中心に、入念な準備と熱い戦いの様子が描かれる。
◆この映画はまるで『スパイナル・タップ』×『レスラー』だ(85点)
1984年に公開された架空バンドの全米ツアーの模様を追う映画『スパイナル・タップ』。『スタンド・バイ・ミー』で知られるロブ・ライナーが監督を務めた「ロキュメンタリー」と称すこのモキュメンタリー作品は今もなおカルト的人気を誇っている。2009年、まるで『スパイナル・タップ』を観ているかの様な感覚に陥ってしまう正真正銘のドキュメンタリー映画が全米で公開された。『アンヴィル!夢を諦めきれない男たち(原題:ANVIL! THE STORY OF ANVIL)』。そう、あのバンド、アンヴィルのドキュメンタリー映画だ。
◆ケイト・ベッキンセールの魅力を堪能できるサスペンス。寒さが「凶器」として描かれているのが面白いが、犯人捜しのサスペンスが弱い(68点)
ホワイトアウトとは、吹雪などですぐ目の前も見えなくなる現象をいう。「南極料理人」と同じ南極の観測基地が舞台で、織田裕二主演の角川映画と同じタイトル。だが、両作とはもちろん無関係だし、まるでムードが違う。人間不信がテーマのサスペンスだ。
◆実存主義者クリント・イーストウッドが到達した一つの頂点。「ダーティーハリー」と「ラスト・シューティスト」を意識しつつ、米国の正義を個人の行動によってアクロバティックに取り戻そうとした傑作(97点)
本作には二つの「懺悔」の場面がある。一つは、教会での神への懺悔だ。頑固爺さんウォルト・コワルスキー(クリント・イーストウッド)は、神など全く信じていない。神父への問いかけにはシニカルに答えて本心を明かさない。それが、最後に敵のアジトに行く前に、少年の前で本当の懺悔をする。コワルスキーと少年とを隔てる鉄の扉が、懺悔室の小窓のように見える。