◆北欧発のミステリーは、型破りのヒロイン像が興味深い。話は面白いが映画の構成は少々疑問。(65点)
ジャーナリストのミカエルは、大企業ヴァンゲル・グループの前会長ヘンリックから、40年前に失踪した少女の調査を依頼される。実業家の不正を告発し、失業中のミカエルは、天才ハッカーのリスベットと共に調査を始めるが…。
◆北欧発のミステリーは、型破りのヒロイン像が興味深い。話は面白いが映画の構成は少々疑問。(65点)
ジャーナリストのミカエルは、大企業ヴァンゲル・グループの前会長ヘンリックから、40年前に失踪した少女の調査を依頼される。実業家の不正を告発し、失業中のミカエルは、天才ハッカーのリスベットと共に調査を始めるが…。
◆タフで優しい女2人が、人種を超えた絆を結ぶ(70点)
サンダンス映画祭でグランプリを獲得、アカデミー賞で脚本賞にノミネートと高い評価を受けながら、地味なるがゆえに日本での公開が危ぶまれていた作品。遅ればせながらも公開された背景には本来、配給は専門外である映画館「シネマライズ」の尽力があったらしい。その英断を称えたい。
◆多様な海の生物の愛らしさやヘンテコさは必見(60点)
2001年製作の『WATARIDORI』は、邦題だけ見ても(そう、邦題です)どんな映画なのかさっぱりわからないが(字面はホラー映画みたいですね。配給各社様、邦題を付ける際は客観的な目を持ちましょう)、飛翔する渡り鳥を空中撮影でとらえた特異なドキュメンタリーだった。その『WATARIDORI』の製作・総監督を務めたフランス人俳優のジャック・ペランが、今度は海とその生物をテーマに新たなドキュメンタリーを撮り上げた。
◆一見、ニール・サイモン風の恋愛会話劇に見えながら、叙述トリックで驚くべき展開を見せる。夫婦にとって互いの存在とは何かを問う、「喪失感」がテーマの秀作(81点)
小説に「叙述トリック」という言葉がある。ある事実をわざと隠すような書き方をして、読者に間違った先入観を持たせて驚きの展開に持って行く手法で、アガサ・クリスティーの「アクロイド殺人事件」などがその代表作だ。本作にはその叙述トリックが実に巧みに使われている。最初はニール・サイモン調のユーモラスな恋愛会話劇のように思えるが、中盤で驚くべき展開を見せる。そこから、前半の場面の様々な意味が全く変わってくる。
◆SFの醍醐味を十分に味わわせてくれる(90点)
ときは22世紀。車いす生活を余儀なくされていたジェイク(サム・ワーシントン)は、事故死した双子の兄に代って、地球から5光年離れた衛星パンドラへ向かった。彼は特殊な装置を使って、人間と現地人のナヴィ族のハイブリッドであるアバター(分身)なるものへ意識をリンクし、その肉体を自由に操ることに成功した。ある日、アバターの肉体を借りて森を探索していると、ジェイクは獣のヴァイパー・ウルフに襲われそうになる。が、運よくナヴィ族長の娘ネイティリ(ゾーイ・サルダナ)に助けられて……。
◆こびない作風と激しい飛躍がいかにもスパイク・ジョーンズらしい(55点)
ミュージック・ビデオ出身のスパイク・ジョーンズは、映画界でもとびきりのクセモノである。そんな監督が、大人気の絵本を実写化するからには、普通の映画であるはずがない。寂しがりやでいたずら好きの少年マックスは、いつものようにママと喧嘩して、外に飛び出してしまう。懸命に走り、ふと気付くと、不思議な“かいじゅう”たちが住む島に辿り着いた。マックスは個性豊かな怪獣たちの王様になって、遊び、踊り、願いがかなう理想の場所を作ろうとするが…。
◆ヒロインのリスベットのルックスは一度観たら忘れられないほど強烈(75点)
世界中で大ベストセラーとなったスティーグ・ラーソン原作「ミレニアム」三部作の第一部を、ニールス・アルデン・オプレヴ監督が映像化した153分の力作。
◆原作も奇妙な絵柄だが、実写にするとなおさら不気味(30点)
『かいじゅうたちのいるところ』は、特に欧米では知らぬ者のいないモーリス・センダック作の名作絵本だが、それにしてもこれを製作費100億円クラスの実写大作にしようというアメリカ映画界の景気よさには驚かされる。いくら売れているといったって、日本ではノンタンを超大作にしようなどという企画はありえない。つくづく、恐ろしい世界である。
◆ギャグの切れ味は最高、映像面にも映画的な仕掛けあり(65点)
2009年の元旦は『ピューと吹く!ジャガー ~いま、吹きにゆきます~』だったが、2010年の初笑いは同じFROGMAN監督の『秘密結社 鷹の爪 THE MOVIE3 ~http://鷹の爪.jp は永遠に~』がおすすめだ。やはりこの監督のノーテンキな作風は、お正月によく似合う。あと2週間公開を早めればなおよかったのだが。
◆映像よりも書物向きの内容ではないか(30点)
『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』の原作は、雑誌の海外ミステリランキングなどでも絶賛された作品で、全世界1500万部以上を売り上げたといわれるベストセラーである。3部作の第一部を映画化した本作は、本国スウェーデンや同時公開されたデンマークで期待通りの大ヒットを記録した。
◆水問題を、おどろおどろしい編集で危機感をあおりまくるドキュメンタリー(60点)
石油をめぐり、世界の国々が戦争も辞さぬ獲得競争をしていることは常識だが、そうした時代が永遠に続くことはない。エネルギー源としてのみ見るならば、石油の代替になるものはすでにいくつもあり、あとはコスト次第というところまで来ている。
◆「甘さ」に疲れる(40点)
子供のいない夫婦にとって、離婚のハードルはさほど高くない。男にとっては経済的な痛手だがそれは、別れなくとも似たようなもの。基本的には、それほどドラマチックなイベントではなく、むしろアチラから言い出してくれりゃ万々歳、てなものである。
◆恋愛に振り回される青年の500日を描く、記憶と空想に閉じ込められた物語。ズーイー・デシャネルの瞳の色が魅力的(84点)
「テラビシアにかける橋」(2007)で、ズーイー・デシャネルを見たとき、何と綺麗な瞳の色かと驚いた。それほど綺麗な瞳は、それまで見たことがなかった。以来、デシャネルは私にとっては特別な女優となった。
◆声を失った柴咲コウが田舎で料理店を開き、周囲を癒していく物語。「食べることの意味」がテーマだが、それがドラマとして物語を引っ張っていかない(66点)
頭に浮かんだのは、「ロハス」や「エコロジー」という言葉だった。今の一種の「時代の気分」であって、だからこそ原作もベストセラーになったのだろう。しかし、真っ向から「癒やし」を描かれると、見ていてどうにも居心地が悪い。映画の中で登場人物たちが癒やされるほどには、観客は癒やされない。