◆前半には哲学的なムードが漂うのだが、後半は迫力のアクション・ムービーに(65点)
独特の味わいの異色アニメーションの映像は、アメリカ映画というより東欧のそれを思わせる。古い研究室で一体の人形が目を覚ます。麻で出来た身体、腹部には大きなジッパー、背中には数字の“9”の文字。状況が分からないまま外に出ると、街は見渡す限りの廃墟と化していた。世界は終わってしまっているのか?! そんな9の前に2の背番号の人形が現われ自分たちは仲間だと告げるが、突如現われた巨大な機械のモンスターに襲われてしまう…。
◆前半には哲学的なムードが漂うのだが、後半は迫力のアクション・ムービーに(65点)
独特の味わいの異色アニメーションの映像は、アメリカ映画というより東欧のそれを思わせる。古い研究室で一体の人形が目を覚ます。麻で出来た身体、腹部には大きなジッパー、背中には数字の“9”の文字。状況が分からないまま外に出ると、街は見渡す限りの廃墟と化していた。世界は終わってしまっているのか?! そんな9の前に2の背番号の人形が現われ自分たちは仲間だと告げるが、突如現われた巨大な機械のモンスターに襲われてしまう…。
◆懸命に幸福を求めてもがくノーマを演じるキャメロン・ディアスが、いつもの明るいキャクターとは違って本格的な演技をみせて素晴らしい(65点)
傑作短編を大胆に膨らませたSF不条理劇。ある朝、ノーマとアーサー夫妻の元に、赤いボタンの付いた不思議な装置が送られてくる。夕方、謎めいた男スチュワード氏がノーマを訪ね驚くべき提案を持ちかける。「このボタンを押せばあなたに100万ドル(1億円)を差し上げます。ただし世界のどこかで見知らぬ人がひとり死にますが」。期限は24時間で他言すれば取引は無効。夫妻は怪しみ、道徳的ジレンマに悩むが、結局ボタンを押してしまう…。
◆凶暴なクリーチャーや派手は爆発など何一つ起こらないのに、ジワジワと広がる恐怖はリアリティたっぷりで緊迫感があり、アイデア勝負の作品と言える(65点)
低予算で、ありがちな設定にもかかわらず人間の本性を暴く、意外にも出来のいいバニック・スリラーだ。致死率100パーセント、治療薬もないウイルスがまん延する世界で、感染を免れたブライアンとダニーの兄弟は、それぞれの恋人と共に、彼らが幼い頃過ごした思い出の地である海岸を目指して車を走らせていた。4人は、ゴーストタウンと化した途中の街で、さまざまな状況で生き残った人々に遭遇する。しかし、やがて4人のうち1人が感染していることが発覚すると、封印されていた本性がむき出しになっていく…。
◆どんな場所、どんな時代にも荒野には争いが存在するが、ヒーローの登場を信じる人々の希望が西部劇を神聖化する(55点)
内藤泰弘による人気コミックで、ド派手なガンアクションが魅力のサイバー・SF・ウエスタンの劇場版。近未来、流砂の町・マッカでは、市長のケプラーが、希代の大強盗ガスバックの襲来に怯えていた。一方、ガスバックに賭けられた巨額の懸賞金目当てに、名うてのガンマンたちが続々と町に集結。その一行の中には、伝説のガンマンで人間台風(ヒューマノイド・タイフーン)と呼ばれる賞金首のヴァッシュ・ザ・スタンピードの姿が。だがヴァッシュは美貌の女ガンマンのアメリアにちょっかいを出してふざけてばかり。やがてガスバック一味が現れるが…。
◆残念ながらミステリーと呼べるほどのドキドキ感は希薄。その分、思春期の少年少女たちの心の葛藤や切なさは全開だ(55点)
野村美月の人気ライトノベル「文学少女」シリーズの映画化。高校に入学した新入生・井上心葉は、本をちぎって食べてしまうほど物語を愛する文学少女・天野遠子に、無理やり文芸部に入部させられてしまう。それから1年後、文芸部が設置した“恋愛相談ポスト”に不思議なイラストが描かれた手紙が入っていたが、その絵は宮沢賢治が描いた落書きと同じだった。誰が、何のために? 遠子と心葉は、手紙の贈り主とその意図を探り始めるのだが…。
◆宮藤官九郎の脚本と三池崇史監督のアイデアが冴えて、ハチャメチャながらどこか説得力がある世界観が面白い(50点)
エイリアンを倒して白黒つけたゼブラーマンが再び立ち上がる異色ヒーロー映画の続編。西暦2025年、ゼブラシティとなった東京。そこでは、艶かしいゼブラクィーンの歌声の中、殺人OKのゼブラタイムが導入されていた。教師の市川新市は警官から発砲されて意識を失う。目覚めるとそこはゼブラシティの犠牲者たちが集まるコミューン「白馬の家」だった。新市は15年間の記憶を失っていたが、かつて自分はゼブラーマンだったことを知る…。
◆どんな悪ノリが見られるかと思ったら、ビジュアルはさておき、ストーリーは思ったよりまっとうだった(50点)
バラエティー番組から生まれた人気女性(?)ユニット「矢島美容室」がまさかの映画化。どんな悪ノリが見られるかと思ったら、ビジュアルはさておき、ストーリーは思ったよりまっとうだった。アメリカのネバダ州で、父親・徳次郎が営む矢島美容室。母マーガレット、おしゃれに夢中でオスカー女優を目指す長女ナオミ、ソフトボールチームのエースの次女ストロベリーは、幸せに暮らしている。だが徳次郎の突然の家出で事態は急変。父を探す足がかりとしてミス・ネバダコンテストの優勝を目指すナオミ。そして宿敵ラズベリーとのソフトボールの試合に臨むことになるストロベリーは、友情と愛の板挟みに。矢島家はいったいどうなってしまうのか…?
家族の絆、友情、恋。ニッポン人よりニッポン人らしい矢島美容室の3人が、なぜジャパンの東京でデビューするに至ったのかという秘密を解き明かすこの物語は、いわばエピソード・ゼロだ。矢島美容室はモータウンサウンドを思わせる女性3人によるユニットだが、デビューはてっきりなりゆきだと思っていたら、父を探すためという泣かせる理由が。しかもその父親とは…、いやいや、これは見てのお楽しみだ。ヒットチャートを賑わせた彼女たちの音楽も、超絶的な振り付けと共に映画用にアレンジした華麗なバージョンで披露される。TV局主導の映画ばかりと常日頃ボヤいてばかりだが、この映画はそれすら逆手にとった商魂たくましい作品で、バラエティー番組という出自をマックスに利用して悪ふざけを正当化。その極みともいえる演出が最後の最後に仕込まれている。ラズベリー役の黒木メイサいわく「この借りは続編で返すわ!」。あるのか、続編?! 個人的には、もっと歌と踊りをふんだんに盛り込んでミュージカル度数を上げてほしかった気も。劇場の大スクリーンでこれを見る価値があるかどうかはこの際別問題として、無駄に豪華なゲスト出演と確信犯的にユルい物語を味わってほしい。
◆主人公アーサーが身長2ミリのミニモイ族の国とその国の王女セレニアを救ったということだけ知っておけば、前作未見でも問題はない(50点)
実写からアニメへの自然な移行が特徴の仏発ファンタジー・アドベンチャー「アーサーとミニモイの不思議な国」の続編だが、物語は消化不良の感が否めない。おじいちゃんの家の庭で、体長2ミリのミニモイ族と彼らが暮らす国の危機を救ったアーサー。ミニモイの国の扉が開き、大好きな王女セレニアと再会できる満月の日を楽しみしていた矢先、アーサーのもとに「助けて!」と書かれた米粒が届く。このSOSのメッセージに応え、再びミクロの身体になってミニモイの国を訪れるアーサーだったが、宿敵である魔王マルタザールの魔の手が迫っていた…。
◆さまざまな困難を乗り越えるプロセスは少々駆け足だが、それでもクライマックスに、ついにサンゴの産卵に成功する場面は感動的(55点)
沖縄のおおらかなイメージと厳しい現実が交差する物語は、さながらサンゴ版プロジェクトXだ。子供の頃から海の生物が大好きだった健司は、幼馴染の由莉と結婚し子供にも恵まれ、レストラン事業を営みながら幸せに暮らしていた。だが久しぶりに潜った海で、サンゴが危機的な状況にあるのを知る。健司は順調だった店を閉めてサンゴ再生を宣言、試行錯誤を繰り返すが、そこには行政の壁や産卵の失敗、多額の借金など、多くの試練が待っていた…。
◆なんでもありの世界なので、どんなおふざけもOKという設定がクレバーだ(60点)
コミックやTVで人気の痛快SF時代劇が初の劇場版に! その快挙に浮かれる主要キャラクターがスクリーンで大暴れする。パラレルワールドの江戸。宇宙人・天人(あまんと)の襲撃を受けて開国した江戸の町で、万事屋を営む坂田銀時は、普段は脱力系だが、ここぞという時の筋の通った言動はまさしく侍そのものだ。江戸で辻斬りが横行し、その犯人と謎の妖刀“紅桜”を探してほしいと依頼される銀時。時を同じくして盟友・桂小太郎が失踪し、万事屋の従業員の新八と宇宙人怪力美少女の神楽は桂の行方を捜すことに。銀時は、かつては国のために共に戦ったが、今では宿敵の高杉晋助がからむ壮絶な戦いに巻き込まれていく…。
◆武士道という古風なスピリットをミニスカートの制服を着た美少女たちが体現するギャップが面白い(65点)
女の子だってやるときはやる!剣道を通して友情や人生を学んでいく二人の少女の青春物語は、若手実力派女優二人の演技合戦が魅力だ。剣道の中学チャンピオンの磯山香織は、大会で無名選手の甲本早苗にリズムを崩され敗戦を喫してしまう。甲本を倒すため同じ高校に進学するが、その選手は両親の離婚で名前は西荻に変わっていた。しかも彼女は“剣道は楽しむため”がモットーのお気楽少女で、強引に試合を申し込んでも逃げてばかり。拍子抜けしながらも悔しさが忘れられない香織は、早苗を鍛え直そうとするのだが…。
◆過酷な現実の中でヒロインに希望を与えるのは教育。母親役モニークが鬼気迫る演技を見せる。(80点)
16歳の黒人少女プレシャスは妊娠して学校を退学になり、問題を抱えた生徒ばかりが集まるフリースクールに通うようになる。熱意溢れるレイン先生と出会って文字を学び希望の光を見出すが、彼女にはさらなる試練が待っていた…。
◆3Dの効果は期待したほどではなかったが、魔物クラーケンが現われる場面はさすがに圧巻だ(60点)
1981年の同名冒険映画を3Dでリメイクした作品だが、主人公が戦うモチベーションに違いがあるのが興味深い。ギリシャ神話の神が君臨していた時代。神々の王ゼウスの子として生まれながら人間として育った青年ペルセウスは、神の怒りを買ったアルゴス国と国民が滅ぼされるのを防ぐため、冥界の王ハデスと彼の手下の猛獣クラーケンを倒す旅に出る。ペルセウスとその一行の前には多くの困難が待ち受けるが…。
◆映画は主人公の内面の深みにはあまり言及せず、父と息子の確執へと移行する(60点)
狼男といえば恐怖映画の不動のレギュラーメンバーで、ホラーにもコメディにもなる便利な素材。意外性のあるキャスティングと、格調高く正統派アプローチで描く本作は、さしずめゴシック・ホラーだ。19世紀末、人気俳優のローレンスは生家ダルボット城がある村に帰郷する。到着早々、無残な兄の遺体と対面するが、それは人間以外の魔物の手による犯罪としか思えぬほど切り裂かれていた。村人はウルフマンの仕業として恐れ、犯人の捜索が行なわれるが、ローレンスはウルフマンに襲われた上、自らもウルフマンに変身してしまう…。
◆ついに実現した二人の“共演”は、グランドフィナーレにはあまりにも地味すぎやしないか(30点)
のだめと千秋の恋の結末が気になるグランドフィナーレの後編だが、見終わってみると、わざわざ2部構成にする意味があったのだろうか?? と大いに疑問だ。音楽に集中するため、互いに距離を置こうと離れ離れに暮らすことになったのだめと千秋。孫Ruiと共演し大成功を収める千秋とは対照的に、のだめはコンクールへの参加さえ許してもらえず焦る日々だ。千秋との恋愛にも限界を感じ、失意ののだめに、シュトレーゼマンが共演話を持ちかける…。