(50点)
言葉が通じても通じなくても、本気で相手と向かい合えば、気持ちは本物になる。偶然出会った日本人青年と、中国人の女性タクシードライバーの心の触れ合いをスケッチする小品。道路に口紅で文字を書いて互いの心情を伝え合う場面が印象的だ。エキセントリックな竹中直人が一人浮いていて映画の雰囲気を壊すのが残念。彼をこういう風にしか使えない作り手側の責任だろう。飾らないV.チャオが可愛い。
(50点)
言葉が通じても通じなくても、本気で相手と向かい合えば、気持ちは本物になる。偶然出会った日本人青年と、中国人の女性タクシードライバーの心の触れ合いをスケッチする小品。道路に口紅で文字を書いて互いの心情を伝え合う場面が印象的だ。エキセントリックな竹中直人が一人浮いていて映画の雰囲気を壊すのが残念。彼をこういう風にしか使えない作り手側の責任だろう。飾らないV.チャオが可愛い。
(65点)
「カサブランカ」や「第三の男」を彷彿とさせるミステリーは、見応えはあるが、過去の作品への敬意だけでは才人ソダーバーグの才能が泣く。戦後のベルリンを訪れた主人公はかつての恋人と再会するが彼女には大きな秘密があった。クルーニー、ブランシェットの実力派が中心だが、小悪党を演じるトビー・マグワイアがおもしろい味を出している。40年代のフィルム・ノワールを徹底的に意識したモノクロ映像が美しい。
(65点)
何もないことそのものを描いたと言われればそれまでだが、あまりに芸がない。海辺の小さな町で“たそがれて”すごす人々の交流を描く癒し系映画。見ている間は気持ちがいいが、見終わって「だから何?」という気も。めがねというタイトルもどこかピントがズレている。おいしそうな食べ物や美しい海など、旅気分が味わえるので、お疲れ気味の人にはおすすめ。見る人の体調によって評価が変わる作品と言えよう。
(60点)
実写と3Dアニメの融合がつむぎ出す不思議な映像は、フランス発のおとぎ話。幻想的な絵柄が米国や日本のアニメとは一線を画している。裏庭に住む体長2ミリのミニモイ族の世界に入り込み、大冒険を繰り広げる少年の物語だ。難点はCGのキャラクターがまったく可愛くないこと。この映画、むしろ全て実写で作った方がよほど魅力的に仕上がったのではないか。何しろ、天才子役ハイモア君がいるのだから。
グラインドハウス第2弾は、往年のB級映画を最新技術で再現したゾンビ映画。片足マシンガンのヒロインが最高!(75点)
テキサスの田舎町の米軍基地で違法の生物化学兵器が開発されるが、破壊された装置から有毒ガスが噴射。町の人々は感染し、ゾンビと化す。ゴーゴーダンサーのチェリーは別れた恋人のレイと出会うが、ゾンビに片足を食いちぎられてしまい…。
(70点)
弱者をいたわるカウリスマキ監督らしさが漂う、無駄のない静かな小品だ。地味な俳優を使うカウリスマキにしては、今回は美男美女の組合せ。だが、見た目の美しさとは裏腹に物語は徹底的に敗北的だ。とことん孤独な人生をおくる主人公は、だまされ、痛めつけられる。だが、この主人公はそんな人生なのにどこか他者に優しいのだ。救いは最後にかすかな希望の光があること。悲しい目をした犬と、名曲ボルベールがいい。
(70点)
明快な物語と4人の超能力のメリハリが絶妙なのがこのシリーズ。今回の新キャラ、シルバーサーファーは、ビジュアルがスタイリッシュだ。最強の敵との対決を高い技術のCGで活写する。4人はグループで戦うが、仲間意識が強く、イタズラしたり、ハメをはずしたり、内輪モメしたりと、ヒーローなのに親しみやすい。地球や宇宙を救うのもどこか部活動のようだ。アルバは相変わらずキュートだが、ブロンドヘアはNG。
(60点)
カルト的人気を誇る作家ブコウスキーの修行時代を描くこの映画は、マット・ディロンでは少し美形すぎる感じも。だが、過去最高とも思える高い演技力を見せるディロンは絶品だ。酒とギャンブルにおぼれながら書くことへの情熱は人一倍の、矛盾した作家像が興味深い。恋人役リリ・テイラーのだらしなさスレスレの色っぽさは隠れた見所。破滅型カップルの純愛映画として見るのもおもしろいだろう。
(80点)
すこぶる美しい作品で、中身も濃い秀作。さすがは大人の国フランスのアニメーションだ。妖精を探す冒険物語の核は、異なる世界への偏見とそれを乗り越えた融和を目指す希望。栄華を誇った中世イスラムへの敬意が作品の根底に流れるが、現実のアラブ系への人種差別を思うと、物語の深みを感じてしまう。鮮やかな色彩と緻密な絵柄、大胆な構図など、華麗な映像にうっとり。オスロ監督の過去作品もぜひ。
(70点)
リアルな青春物語として、なかなかの出来栄えだ。心の傷の元になるものや場所に、包帯を巻いて癒すという発想はセンスがある。ネットを使っての活動、地方都市ならではの閉塞感が物語に活きているのがいい。柳楽優弥が初めて演技らしい演技を見せてくれるのも収穫だ。ただ、ラスト、中東らしき場所が写る数分が蛇足。戦争という現実は、包帯などで癒される甘いものではないだろう。
(85点)
作り手の、女性への畏怖と敬意を、隙のない演出でまとめて、素晴らしく出来がいい。豪華キャストも互いを殺すことなく上手く使っている。自分を捨てた母親への復讐を誓う青年と、物事全てを受け入れつつ前進する女の度量を描く物語だ。弱者への優しい視線と現実への対処が心にしみる。珍しくファンタジックなラストも好感度大だ。北九州を舞台にした前2作と関係はあるが、独立しても鑑賞できるところがいい。
(75点)
派手な衣装と個性的なキャラ、デタラメな設定と、何から何まで最高に楽しめる。埋蔵金を巡る源氏と平家のギャング抗争に凄腕のガンマンがからむ物語は、全編英語で世界照準だ。破天荒でけれん味たっぷりの和製ウエスタンのテーマは、血と暴力と愛。タランティーノの特別出演も豪華な驚きだ。桃井、木村の女優陣もカッコいい。ジャンゴとは「続・荒野の用心棒」の原題で、主人公の名前。名曲の主題歌が泣ける。
ピーターラビットの作者の半生を描く伝記。湖水地方の美しい風景に癒される。CGで動く動物たちが最高に可愛い。(70点)
2 0世紀初頭のロンドン。上流階級の女性ビアトリクス・ポターは母が勧める結婚より絵本作家として生きることを切望していた。新人編集者ノーマンの助けで、絵本を出版し、大成功を収めるビアトリクス。いつしかノーマンと愛し合うようになるが…。
(50点)
心あたたまるファンタジーだが、やはり子供向き。大人が見るには、もうひとひねりほしい。事故で大好きな父親を亡くしたチャーリーは、パパの形見のおもちゃの飛行機の秘密を知る。基本のストーリーは、少年が父の死を受け止めて乗り越えていくというものだ。特撮の素朴さを魅力と受け止めるべきだろうが、あまりに稚拙で苦笑を誘う。悪役が中途半端なのも分かりにくい。原作はベルギーの人気漫画。
(70点)
硬派な作風の社会派映画を得意とするオリバー・ストーンが、なんとカストロにインタビュー。丁々発止のやりとりが興味深い。キューバの最高権力者は、過去の歴史についてかなり本音を語っているが、はぐらかしの技を見ると中々のタヌキおやじだ。「タイタニック」が好きなど、意外とおちゃめな面もある。カリスマ性は抜群なので、この人の人生が残り少ないことを考えると、米国人が撮ったこの記録映像は極めて貴重だ。