一見、たわいないファンタジー。でも裏側には異才の英国人原作者の皮肉めいた視線がある。ベテランの脇役が豪華。(65点)
イングランドのはずれにあるウォール村。青年トリスタンは村一番の美女に愛の証として流れ星を取ってくると約束する。落ちた場所に行くと、流れ星は美女イヴェインに姿を変えていた。同じ頃、村の外壁の向こうの魔法の国ストームホールドでは、不老を求める邪悪な魔女や、王位継承を狙う王子たちも流れ星を狙っていて…。
一見、たわいないファンタジー。でも裏側には異才の英国人原作者の皮肉めいた視線がある。ベテランの脇役が豪華。(65点)
イングランドのはずれにあるウォール村。青年トリスタンは村一番の美女に愛の証として流れ星を取ってくると約束する。落ちた場所に行くと、流れ星は美女イヴェインに姿を変えていた。同じ頃、村の外壁の向こうの魔法の国ストームホールドでは、不老を求める邪悪な魔女や、王位継承を狙う王子たちも流れ星を狙っていて…。
(75点)
トルナトーレ監督の代表作「ニュー・シネマ・パラダイス」とは全く趣が異なるミステリアスな人間ドラマ。北イタリアを舞台にしたのが珍しい。裕福な家庭にメイドとして雇われた外国人女性の目的とは?フラッシュバックで、主人公の忌まわしい過去が映るたびに目を覆いたくなる。人生の中で彼女が行う愚行を責めるのは酷というもの。つらい物語だが、最後の最後に、小さな贈り物が用意されていて救われる。
(40点)
何度もリメイクされた手垢のついた作品を、なぜ今、作るのか?との疑問がわく凡作SF。ハリウッドのネタ不足はかなり深刻だが、この作品はあまりに創意工夫がない。睡眠中に感染する謎の病原体の恐怖を描くが、21世紀の今、映像化するというのに、ラストのあっけなさは唖然。人格をのっとられた人々は無表情になる設定だが、感染したフリをしたニコールの美しい人形のような顔付きが印象的だ。
(65点)
「アップルシード」の続編のCGアニメ。映像は美しく進化したが、今回はSFアクションというよりラブストーリーの要素が強い。人間、サイボーグ、クローンが共存する未来社会で女性特殊部隊員デュナンが大規模な陰謀に挑む物語。製作はジョン・ウーで、白い鳩、スローの多用、二挺拳銃と、露骨なウー風の演出に笑いが出そう。衣装の一部がプラダなど、製作スタッフに一流どころを揃え、世界市場を狙っている。
(75点)
重厚な演出とギリシャ悲劇のような展開は、「ゴッド・ファーザー」を連想させる。CIA誕生秘話と、組織と家庭の間で苦悩する男の物語だ。非情な世界で人生を狂わせるエリートをマット・デイモンが静かに熱演するが、老け役には少々無理があったか。スパイ活動の先輩英国の役割が興味深い。中盤ややダレるが、冷戦下の国家間の争いから、米国の未来に疑問を投げかける作品の熱意を評価したい。
(85点)
ヘビーな主題を軽やかなノリで描いた松尾スズキの快作。監督自らが執筆した同名小説が原作だ。薬の過剰摂取で閉鎖病棟に入院するハメになった女性の再生物語である。内田有紀が魅力的で、脇を固める個性的なキャラも豪華。拒食症の患者を演じた蒼井優が特に印象深い。精神病棟という密室空間にふさわしい狂騒に、舞台のような演出がさえまくる。寂しいのに前向きになれるラストが秀逸。
太めの女の子が主人公の、にぎやかで痛快なミュージカル映画。個性的なキャラが魅力的だ。(85点)
1962年のボルチモア。ぽっちゃり太めの女の子トレーシーは、歌と踊りが得意な、元気いっぱいの高校生。ひょんなことから大好きなTV番組コーニー・コリンズ・ショーに出演して人気者に。だが彼女を快く思わない母娘が様々な妨害を企てて…。
(60点)
精神を病むカップルが病院を抜け出して逃避行するロード・ムービーの小品。イキのいい音楽が若者二人の行き当たりばったりの旅に良く似合う。病気の陰鬱さをあまり感じさせず、明るく仕上げたところがいい。福岡を出発点に九州を車で縦断しながら、時に反発しあい、時にいたわりあう二人が次第に愛しくなる。時折登場する、病気が見せる幻影の使い方も効果的だ。原作は絲山秋子の小説。
(50点)
感情のうつろい、すれ違い、苛立ちやあきらめなどを、据え置きのカメラでじっくりと撮る。別れを決意した夫婦の心情を追う会話劇だ。男女の微妙な心理を描く大人の映画だが、正直言ってかなり退屈。仏映画らしいダイアローグも魅力を感じない。映画が終わって、二人の小さな笑い声がかぶり、かすかな希望が見えたのが救い。即興演出、全編パリロケで仏語と、諏訪監督の意欲が感じられる1本ではある。
(75点)
みずみずしい初恋を描く佳作。中国の少数民族ハニ族の少女と写真家を志す漢民族の青年との淡い恋を描く物語だ。ユネスコ自然遺産の棚田の映像美、不器用な初恋をけれん味なく描く素直な手法など、全てが好感度大。ヒロインは実際にハニ族の少女で、身にまとう民族衣装が美しい。有名俳優はいないが、魅力あふれる作品だ。ウォークマンから流れる音楽に魅了されて輝く表情が忘れられない。
(60点)
パリに実在する史上最大の地下墓地を舞台にした新感覚のスリラー。情緒不安定なヒロインが地下で開催されたパーティの最中に迷ってしまい、恐ろしい怪物に出会う恐怖を描く。洞窟迷路系ホラーで、よくある展開だが、歴史ある街のカタコンベ(地下墓地)というビジュアルが新鮮。しかも恐怖の果てには、驚きのどんでん返しが待っていて、これが中々しゃれてるのだ。B級ホラーの拾い物である。
(65点)
ストンプとは、正確なステップを踏みながら手足で音を立ててリズムを刻むダンス。主人公DJが、仲間との絆で結ばれるストンプの魅力に目覚め、人間的に成長していく物語だ。物語はいたってシンプル。終盤のコンテストはどれも見事で、素人には優劣の判断は難しいほど。C. ショートの踊りは魅力的だが、軍隊のように全てを統一するストンプより、個性的なストリート・ダンスの方がより米国的に思える。
(40点)
過激すぎるフェイク(偽)ドキュメンタリーは、ジョージ・W・ブッシュ大統領が暗殺されたら、はたして米国や世界はどうなるかというもの。本物の映像と偽の映像の混在が巧妙で、真犯人と彼にたどりつくまでのプロセスも説得力がある。だが、例え相手が誰であれ、実名を出して死をシュミレーションするなど悪ふざけが過ぎる。話題性という点では十分だが、映画として嫌悪感をぬぐえないものだ。
政治的な内容を、ハリウッドらしい演出で描いた社会派娯楽映画。テロの真犯人に迫る終盤の展開は手に汗を握る。(70点)
サウジアラビアの外国人居住区で大規模な自爆テロ事件が発生。同僚を亡くしたFBI捜査官フルーリーら4人は、現地での調査を主張し、半ば強引にサウジに渡る。状況のすさまじさに愕然としつつ、僅か5日という期限付きの調査を開始するが…。
(65点)
北極の氷が溶けて生き物が絶滅の危機に。地球温暖化に警鐘を鳴らす作品だが、白クマの可愛さに目を奪われて大切なメッセージを忘れそうになるのが難点。危機感を訴えるより動物記録映画のような色合いが濃い。母子家庭の白クマと、大きな集団で暮らすセイウチの生き方を対比させたのが上手かった。厳しい自然環境の中、スタッフがこの作品の撮影のために費やした膨大な時間と労力をねぎらいたい。