俺たちフィギュアスケーター - 渡まち子

(75点)

 男子フィギュアのペアという暑苦しいアイデアだけで勝ったも同然だ。下ネタ満載で、品位のかけらもないおバカなコメディなので、良識派には勧めない。だが、日頃エラそうにコ難しい映画評をブッている輩(注:筆者含む)に限って、こういう映画が大好きだということを、私はちゃーんと知っている。

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AVP2 エイリアンズ VS. プレデター - 渡まち子

(40点)

 題名が複数形VS単数形であることに注目。今回の主役はプレデターから生まれたプレデリアンだが、モンスターはどちらも黒っぽく区別が付きにくいのが難点。映画は、2種類の宇宙生命体がなぜか地球で大喧嘩する迷惑なお話だ。人間は逃げて死ぬだけで何の役割も果たさないから情けない。「政府はウソをつかないわ」という日米共に冗談にもならないセリフが笑いを誘う。残酷描写と二流俳優、ありがちなラスト。B級映画の域を出ない凡作だ。

北辰斜にさすところ - 渡まち子

(50点)

 旧制高校のバンカラな友情を描き、年配の映画ファンの胸を熱くしそうな映画だ。途中、戦争の悲劇を盛り込むが、野球を愛し、自由でのびのびとした彼らの青春の輝きの方が印象に残る。鹿児島の七高と熊本の五高はライバル同士。だが“敵”への敬意は忘れない。現代の学校制度との対比を盛り込むなどの工夫で、若年層へのアピールがほしかったところ。生真面目な作品だが、クスリと笑えるセリフもあり意外にも楽しめる。

レディ・チャタレー - 渡まち子

(65点)

 あまり知られていない第2稿を映画化した文芸映画。自然を美しくとらえたカメラや心理描写はすこぶる丁寧だ。貴族の妻コンスタンスと森番バーキンの恋は、不倫にして身分違いの恋だが女性に罪の意識はなく、幸せそうなその言動はほとんど“天然”。互いの体を花で飾り、雨の中ではしゃぐなどの描写は小説の文字では美しいかもしれないが、映像だと引いてしまう。バーキンのルックスに全く魅力がないのが何より致命的だった。

再会の街で - 渡まち子

(75点)

 米同時多発テロを描く映画も、事件そのものから遺族の気持ちへとスライドしてきた。時間の経過を感じるが、腫れ物に触るような描写を見ると、やはり傷は深い。主人公はやつれた元ルームメイトに再会、妻子を一度に失くし心を病んだ彼の力になろうとする。アダム・サンドラーが狂気すれすれの難役を好演。キッチンのリフォームを繰り返す短いエピソードが泣ける。家族への思いに収束する展開は平凡だが、真摯な人間ドラマのあと味は悪くない。

魍魎の匣 - 渡まち子

(60点)

 小説と映画は別物なので、大胆な換骨奪胎はよしとする。だが故・実相寺昭雄の後続が、品位に欠ける娯楽系監督原田眞人で良かったのか?との疑問が残った。少女連続失踪と謎のハコ事件に京極堂らが挑む物語は、複雑でまとまりがなく、集中力が必要。加えて、上海ロケは、美しいがどうにも日本に見えず苦笑を誘う。ところで、美人女優の黒木瞳は声としゃべり方がカマトトで個人的にいつもNG。題名の読みは“もうりょうのはこ”。

ペルセポリス - 渡まち子

(80点)

 センス溢れる映像は、ほとんどが美しいモノクローム。色彩がないからこそ際立つ構図の鋭さや作画の個性など、このアニメの魅力は尽きない。常に前向きなイラン人女性マルジの激動かつユーモラスな半生を活写する。意外とのびやかだった王政期のイランの事情も巧みに盛り込み、自由の意味を問う知的な映画だ。優しくりりしい祖母がマルジに言う「これから沢山のバカに会うだろう」のセリフが最高だ。イランでは上映禁止の話題作である。

茶々 天涯の貴妃(おんな) - 渡まち子

(70点)

 悲壮美路線の東映が放つ、変化球的な時代劇大作だ。秀吉の側室の茶々こと淀君の波乱の人生を描く物語だが、主役は元宝塚男役スターの和央ようか。りりしい男装も披露し、女性ファンの声援が聞こえそうである。男役風の演技を強調したのは、新たな客層を掴もうとする新機軸。現代的な女性像は新鮮で悪くない。ただ、古狸で思慮深い家康役に中村獅童はないだろう。豪華な衣装や、闇夜に崩落する大坂城など、華麗な映像が見所だ。

ユゴ 大統領有故 - 渡まち子

(70点)

 79年のパク・チョンヒ大統領暗殺は、韓国ではタブー視される題材。この映画は大統領の遺族からクレームが付いたといういわく付きだ。真偽は別にして、密室での独裁者暗殺の顛末は、あまりに無計画な成り行きでちょっと唖然。とはいえ政権交代が行われたのは事実で、歴史とは案外こういうものなのかもしれない。実力派ハン・ソッキュが、シリアスなのにどこかユーモラスな演技で上手さを見せる。“有故(ユゴ)”とは事故に遭うという意味。

ルイスと未来泥棒 - 渡まち子

(80点)

ルイスと未来泥棒

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 パーフェクトに練られた物語にほれぼれした。孤児院育ちのルイスはまだ見ぬママに会うため、メモリー・スキャナーを発明するが、未来泥棒に機械を盗まれる。未来へ、そして現在へと戻る時間旅行の間に、意外にして絶妙な人間関係を盛り込んだ脚本が見事。ピタリと合う辻褄、普遍的なメッセージ、SFらしいポップな色彩と、才人ジョン・ラセターの参加で全てのクオリティが高まった。併映のミッキーの短編が、これまた味があって良い。

その名にちなんで - 渡まち子

アメリカで暮らすインド人家族の絆の物語は、不思議な温かさと深みがある。名前に込められた父の思いとは?(80点)

 インドのコルカタで列車事故に遭ったアショケは手にした本のおかげで九死に一生を得る。その後、料理と英語が得意な美しい娘アシマと見合い結婚し、NYで暮らし始める。だが、米国生まれの子供たちとはカルチャー・ギャップが生じてしまい…。

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ナショナル・トレジャー/リンカーン暗殺者の日記 - 渡まち子

(60点)

 人気の冒険エンタメ映画の続編は、ゴージャスだが相変わらず底が浅い。次々に現れる謎は登場人物が瞬時に解決し、観客は全く頭を使う必要なし。今回は主人公ベン・ゲイツの祖先の汚名をそそぐのが目的の宝探しだ。展開はド派手だが、結局はあんたンちの問題でしょ?と言いたくなる。名優ヘレン・ミレンが珍しくコミカルな演技を披露。キャストやロケ地は贅沢だ。開き直ったご都合主義がブラッカイマー映画のいい所と割り切ろう。

チャプター27 - 渡まち子

(30点)

 ジョン・レノン殺害犯マーク・D・チャップマンの側にたっての視点は興味深いが、完全に精神を病む主人公に共感するのは難しい。物語ではレノン殺害の3日前からチャップマンの行動を追う。彼が愛読書「ライ麦畑でつかまえて」を誤読したというスタンスが明瞭でないのが致命的。犯人の人間性を理解するはずが、ますます遠のいて混乱を招く始末だ。敬服したのは、体重を30キロ増やして熱演したジャレッド・レト。役者もラクじゃない。

Little DJ 小さな恋の物語 - 渡まち子

(55点)

 物語は切なくあたたかいものだが、映画としてはパンチ不足。70年代の函館で、入院している病院の院内放送で大好きなDJを務める少年が主人公だ。子供を使った難病ものというのがそもそもあざとい。“リトルなんとか”というありふれた題名では、記憶に残ることもないだろう。天才子役の神木隆之介君のけれん味のない演技と、成長した少女のエピソードで一気に現代にリンクし、さわやかなあと味を残すのが救い。

カンナさん大成功です! - 渡まち子

(70点)

 この日韓コラボは興味深い。超肥満のゴースト歌手が好きな男性のために美容整形で美女に大変身。原作は日本の漫画だが、整形大国の韓国が映画化するところがミソだ。美女になっても残る“カンナ度”が可笑しいやら気の毒やら。異色のラブ・コメだが、すぐに人が死ぬ韓国メロドラマよりずっと好感が持てる。整形の是非より、本当に大切なものは?と問う脚本が上手い。キム・ギドクの「絶対の愛」と見比べるのもいいだろう。

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