ダメ人間たちを描く悲喜劇だが、完全にツボが違ってしまい最後までノレなかった(40点)
ダメ人間たちを描く悲喜劇だが、完全にツボが違ってしまい最後までノレなかった。思いつきで喫茶店を始めたぐうたら親父としっかり者の娘の日々を描く。個性的な客は一瞬芸的に描かれるだけで面白味を感じるまでには達していない。最近流行のカフェ映画の好感度の源は、なごむこと。その意味で、この作品は別ジャンルだろう。10代のヒロインの目線で描くので幸福も不幸も不安定なのはリアル。閉鎖した磯辺の前で涙ぐむ場面は印象的だ。
ダメ人間たちを描く悲喜劇だが、完全にツボが違ってしまい最後までノレなかった(40点)
ダメ人間たちを描く悲喜劇だが、完全にツボが違ってしまい最後までノレなかった。思いつきで喫茶店を始めたぐうたら親父としっかり者の娘の日々を描く。個性的な客は一瞬芸的に描かれるだけで面白味を感じるまでには達していない。最近流行のカフェ映画の好感度の源は、なごむこと。その意味で、この作品は別ジャンルだろう。10代のヒロインの目線で描くので幸福も不幸も不安定なのはリアル。閉鎖した磯辺の前で涙ぐむ場面は印象的だ。
このドラマの夢はあまりに現実味に欠ける(30点)
子供にも大人にも夢は大切。だがこのドラマの夢はあまりに現実味に欠けるので、信じたくても無理だ。宇宙飛行士の道を断たれた農場主が自作のロケットで宇宙へ挑む。ロケット作りが全くの絵空事ではないのが21世紀だが、問題は費用と技術力。やんちゃな大富豪が主人公なら説得力が出たかもしれない。何よりビリー・ボブ・ソーントンはアクが強すぎてミス・キャスト。この映画からは家族愛よりも“無茶は禁物”ということを学んでしまった。
熱いブンヤ魂が胸を打つ、ハイテンポな社会派ドラマ(70点)
熱いブンヤ魂が胸を打つ、ハイテンポな社会派ドラマ。描くのは、1985年の群馬での日航機墜落事故直後の、地元新聞記者たちのスリリングな一週間だ。激しいセリフの応酬とめまぐるしいカット割が未曾有の大事故と社内のカオスを体現して効果的。原田眞人は隠れ娯楽派で、つい盛り沢山になるのが難点だが、社長との擬似父子関係は効いていた。登場人物が多いので人間描写は物足りない。それでも堤真一をはじめ役者の演技は絶品。
VFX全開で描く驚異の映像世界。俳優たちの戯画的なキャラがアニメを連想させ楽しめる。(60点)
愛車“マッハ5”を操るスピードは、怖いもの知らずの天才レーサー。かつてレース中の事故で命を落とした兄は目標であり誇りだ。だが、レース界の陰謀に巻き込まれたスピードは、兄の命を奪った超難関ラリーに挑むことに…。
癒し系とは全く異質のアリの記録映画(65点)
仏は秀作ネイチャー・ドキュメンタリーの発信地だが、これは今までの癒し系とは全く異質のアリの記録映画。驚異的なミクロの世界の撮影テクに驚愕するが、照明などの工夫も抜かりない。アフリカに生息するシロアリとサスライアリの生存を賭けた攻防戦はまるで戦争。先が読めない展開に、思わず手に汗を握る自分がいた。ワラワラと出てくるアリの群れに、最初は嫌悪感を感じるが、映画を見ている間にどこかアートに見えてくるから不思議だ。
大人気ドラマのファンへのプレゼント的な作品(20点)
大人気ドラマのファンへのプレゼント的な作品。だが、海外ロケと特別ゲストというセオリーを踏襲するだけなら、TVの2時間ドラマで十分だ。物語は結婚を控えた貧乏なヒロインと大財閥の御曹司のカップルにふりかかる試練を描くもの。数々の困難のオチがアホらしくて、力が抜ける。映画ファンの嘆きが聞こえそうだが、はつらつとした井上真央にはちょっとコメディセンスを感じた。
香港映画らしいインパクトのあるギャグ満載(65点)
見る前はバカにしていたのに意外なほど感動でき、得した気分だ。超貧乏親子が繰り広げるシンチー版「E.T.」は、香港映画らしいインパクトのあるギャグ満載。1万人のオーディションで選ばれた主人公の少年を演じているのはなんと女の子でビックリ!緑の体の不思議な地球外生命体は、使えない宇宙犬ナナちゃん。力をふりしぼる表情とカンフーまがいのポーズに、思わず萌えた。シンチー作品らしさは、弱者への優しい視点にある。
ディテールの丁寧さが光る秀作ホームドラマ(75点)
ディテールの丁寧さが光る秀作ホームドラマ。長男の命日に集まった家族の一日を描く物語だ。食事、お墓参り、昔話と、特別なことは何もないが、それぞれの心のわだかまりを絶妙な会話で描く。特にどっしりと存在する母親役の樹木希林の、辛らつでユーモラスな演技が秀逸。コンプレックスとプライドが混じる主人公役の阿部寛も好演だ。反目も愛情もすべて含め、家族の歴史は重ねられる。本音を語るときに多用する横顔のショットが印象的だ。
イラクから帰還した息子の死の真相はまさに狂気。重い人間ドラマだが見応えがある。(75点)
2004年、元軍人警官のハンクは息子のマイクがイラクから帰還後に失踪したとの知らせを受ける。女刑事エミリーの助けを借りてマイクを探すハンクだったが、予想外の真実と息子の心の闇を知ることになる…。
生と死の間で狂っていく演技が見所(65点)
キム・ギドクの才能はいつも観客の既成概念を超えた次元に存在する。自殺を繰り返す死刑囚と絶望した主婦が出会う物語だ。奇妙な愛の形を表すのは、極彩色の映像とフルコーラスで歌う四季の歌。セリフのない難役を演じるチャン・チェンの、生と死の間で狂っていく演技が見所だ。監督自らが神の視点のような役割で出演するのも興味深い。悲しみを抱えて終る悲劇だがギドク・ワールドを満喫できる。ありえない展開も含めて濃密な84分だ。
仕掛けられた罠はあまりに残酷(60点)
女二人の心理サスペンスだが、仕掛けられた罠はあまりに残酷だ。音楽への夢を断たれたメラニーは、復讐のため高名なピアニストのアリアーヌに近づく。復讐といっても心理的に追い詰めるもの。ヒロインの音楽への思いが何もないので単なる逆恨みに見えなくもないが、静かなたたずまいが、幼い頃に受けた傷の深さを際立たせる。親しみやすくコミカルな演技が持ち味のフロが、珍しくシリアスで情緒不安定な役。この女優は本当に上手い。
女性の脆さ、理不尽な悲劇、宗教考察と、見所は多い(70点)
しばらく政界に身を置いた名匠イ・チャンドンの新作の主人公は、シングルマザーと不器用な中年男だ。愛する息子を殺害された女性シネが魂の救済を求めてもがく姿を乾いたタッチで描く。見知らぬ土地で懸命に生きる女性の脆さ、理不尽な悲劇、宗教考察と、見所は多い。女が自ら髪を切るのは再生の証。その意味で、一度は心の均衡を失ったシネの最後の姿は、それでも生きていくという決心と希望だ。ドヨン、ガンホ共に名演で見事。
偶然に頼りすぎるストーリーはおとぎ話のようで現実味に欠け、感情移入できない(60点)
ピュアな少年を演じさせればピカいちのフレディ・ハイモアの今回の役は、ひたむきな孤児。天賦の音楽の才能を持つ少年エヴァンが、離れ離れになった両親と、音楽を通して奇跡の再会をはたす物語だ。あまりにも偶然に頼りすぎるストーリーはおとぎ話のようで現実味に欠け、感情移入できないのだが、音楽の素晴らしさが欠点をカバーする。特にエヴァンがギターの弦を叩きつけるようにして演奏する場面は、物語のスパイスのように効いていた。
おばあちゃんの知恵袋という言葉が浮かぶ優しい映画(65点)
おばあちゃんの知恵袋という言葉が浮かぶ優しい映画だ。“西の魔女”と呼ぶ英国人の祖母と、不登校になった少女が過ごしたひと夏の思い出を描く。魔女の力とは、何でも自分で考えて自分で決めること。少女の変化が綺麗事に見えなくもないが、それでも作品に好感が持てるのは、サチ・パーカーの透明感のある演技のおかげだろうか。働いて、食べて、自然に感謝し、ぐっすり眠る。現代ではこんな暮らしこそファンタジーかもしれない。
これぞ冒険活劇ムービー。19年ぶりの最新作には懐かしい顔と新しい顔が見えて、サービス満点だ。(65点)
冷戦時代の1957年、考古学者にして冒険家のインディアナ・ジョーンズ博士は、生意気な若者マットと共に、伝説の古代秘宝“クリスタル・スカル”を求めて南米に旅立つ。だが、ソ連の非情な工作員もその宝を狙っていて…。