不気味な洋館、狂った母親、恐ろしい乳母とムードは満点(45点)
ハチャメチャのギャグが得意の山口雄大監督にしては、まっとうなホラー映画。昭和30年代、孤児院で育った美少女葉子が、引き取られた生家で、謎の赤ちゃんタマミに襲われる。不気味な洋館、狂った母親、恐ろしい乳母とムードは満点。タマミの行動は計画的なようでムチャクチャなのだが、葉子との関係は切ないものだ。空中を軽快に飛び跳ね暴挙を繰り返すタマミに思わず笑いが。浅野温子のベビーピンクの唇が一番コワかった。
不気味な洋館、狂った母親、恐ろしい乳母とムードは満点(45点)
ハチャメチャのギャグが得意の山口雄大監督にしては、まっとうなホラー映画。昭和30年代、孤児院で育った美少女葉子が、引き取られた生家で、謎の赤ちゃんタマミに襲われる。不気味な洋館、狂った母親、恐ろしい乳母とムードは満点。タマミの行動は計画的なようでムチャクチャなのだが、葉子との関係は切ないものだ。空中を軽快に飛び跳ね暴挙を繰り返すタマミに思わず笑いが。浅野温子のベビーピンクの唇が一番コワかった。
臓器密売を告発する問題作(70点)
日本とも係わる幼児売・買春と臓器密売を告発する問題作。タイに住む新聞記者と女性ボランティアの目を通して、闇の世界を描くものだ。物語はスリリングだが後半の描写が慌しく、特にラストの主人公の秘密はとってつけたよう。それでも、善悪の感覚が麻痺し金銭にものを言わせる日本人をクールに描いて考えさせられる。自らも被害者の斡旋業の男が悪循環を体現して悲しい。この映画を見れば、もはや知らなかったとは言えなくなる。
クライマックスに泣けた(75点)
主人公の苦悩はドラマとして、愛する女性を守る気持ちはラブストーリーとして見応えがある。科学者ブルースは、心拍数が上ると巨人ハルクと化す肉体の治療法を研究しているが、陰謀を企てる軍により追いつめられる。超人になりたくないヒーローという個性に加え、恋人ベティのために自分の意思で変身するクライマックスに泣けた。迫力のサウンドとキレのあるアクションも秀逸。マーベルの新企画なのか、終盤のアイアンマン的予兆が気になる。
伝えたいのは希望。難解さを排除したストーリーは、押井アニメ初心者にもおすすめだ。(85点)
思春期のままで永遠に生き続ける子供“キルドレ”により、ショーとしての戦争が行われる時代。戦闘機のパイロットで、新しく前線基地に赴任してきたユーイチは、元エース・パイロットの女性指揮官スイトと出会う…。
脱力系おバカ映画(40点)
脱力系おバカ映画だが、サミットの記憶が新しい今なら結構楽しめる。洞爺湖サミット開催中に突如襲来した怪獣ギララとの戦いだ。チープな特撮を逆手にとった作りはよくあるパターンだが、各国首相のそっくりさんが繰り出すギララ退治の奇策がウケる。ただし一番のアホらしさは日本の政治家の頼りなさと、襲来の目的さえ不明のギララの心意気。伝説のタケ魔人様は軽くスルーするとして、松竹唯一の怪獣ギララの復活は、特撮ファン必見だ。
暑苦しいロック魂で笑わせる音楽系おバカ映画(55点)
熱いというより暑苦しいロック魂で笑わせる音楽系おバカ映画。デブとハゲというさえないミュージシャン二人が、悪魔の歯から作られた伝説のギターピックを探す旅に出る。バカバカしさとヘビー・メタルへの愛が満載で、おふざけに付き合う脇役が、ティム・ロビンスなのだから、むやみに豪華だ。テネイシャスDはブラックとガス二人の、実在の人気ユニット。どうりでビーチで歌うクラシックの名曲の替え歌がサエている。
静かだが1本筋が通った青春映画(70点)
静かだが1本筋が通った青春映画の秀作。孤独な少女二人の友情を軸に、喪失感と共に今を生きるヒロインの成長を描いていく。現在と過去を行き来しながら、いくつかの独立した話をつなげるが、ヒロイックな人物ではなく、影にいるタイプをスケッチするのがこの作品の個性だ。大勢の友だちに囲まれるより、本当に大切な友を忘れない。たとえ彼女がこの世から消えてしまっても。雲の写真の個展に、そっと加えられる二人の写真が感動的だ。
見所は2大スターの競演のみ(60点)
夢のタッグとはまさにこのこと。不思議な如意棒に導かれ古代中国にタイムスリップしたジェイソンは、武道の達人2人と共に冒険の旅に出る。ジャッキー・チェンとジェット・リーが一歩も引かず繰り広げるバトルは、フレッド・アステアとジーン・ケリーの競演にも似て華麗だ。だが見所は2大スターの競演のみ。一人二役などお得感はあるものの、お話は単純なので、いっそ主人公の米国人青年はいらないとさえ思える。ジャッキーの酔拳が懐かしい。
色彩が素晴らしい(70点)
タイトルバックも含め、色彩が素晴らしい。中国の平和な村に住むぐうたらのパンダが、成り行きで龍の戦士になり活躍する物語だ。動物たちの個性をいかした本格的なアクションが見事。メッセージは、自分を信じる事と、人まねではないオリジナリティの大切さである。隠れた見所は、師が弟子を導く際のモチベーションの活用だ。亀の導師が言う“物事に偶然はない”との言葉が深い。
シャマラン流のこけおどし映画。信仰への目配せも感じるが、世界の破滅の正体に苦笑するしかない。(20点)
ある日突然、ミツバチが消えた。間もなく、NYのセントラル・パークで人々が突然倒れる異常現象が起こり、街では自殺者が続出する。科学教師エリオットは、家族や同僚と共に安全な場所を目指して避難するが…。
志は高いが内容がおとなしすぎる(55点)
作品の志は高いが内容がおとなしすぎる。コーヒー原産国エチオピアでの搾取の実態を訴える人物タデッセ・メスケラを追う記録映画だ。極貧のコーヒー農家と、無邪気に消費する先進国の対比や、生活のため麻薬を育てる実態に愕然とする。だが企業の利益優先はどんな産業でも同じ仕組みだ。多国籍大企業は取材拒否だろうが、スタバの客にインタビューして実態を訴えるくらいのガッツがほしい。まずは“認知”がこの映画の目的なのだから。
派手さはないが、作り手のまなざしは温かい(65点)
派手さはないが、作り手のまなざしは温かい。うだつの上がらないOLとビル清掃のバイトをする音大生の淡いラブストーリーだ。将来への不安で揺れる気持ちが、大仰なセリフではなく微妙な表情で語られる様子がいい。寡黙な父の精一杯の励ましも泣ける。高層ビルの窓ガラス越しに出会い、少しずつ地上に近くなる展開が物語を象徴している。地味だがリアルな佳作だ。
作品にまったく好感が持てない(20点)
これほどの豪華キャストなのに、作品にまったく好感が持てないのは、登場人物全員がイヤな奴だからか。悪いヤツならまだ救われるものを。子離れできない父と成り行きまかせの息子が、結婚しようと奮闘する。名作青春映画を意識したラストは、幸せな未来ではなく、大人になることを拒み過去へと逃避するものだ。不完全燃焼は狙ってのことだろうが、これでは共感は得られない。ダサいオダジョーと謎の人物・忌野清志郎は秘かにウケた。
アイルランド紛争が図らずもエセルの目を開かせる展開は興味深い。(65点)
© Scion Premier(Third) Limited Partnership/UK Film Council/Closing The Ring Limited/CTR Canada Limited
第二次大戦下の悲恋を描くが、現代の紛争も同時に描き、物語がただ郷愁に浸るのを防いでいる。心を閉ざして生きたエセル・アンは、ある指輪によって過去を回想することに。戦時下、男3人がそれぞれの形で愛するエセルを守ろうと秘密の約束をするが、これがどうも身勝手なヒロイズムに思える。なぜエセル本人の意見を無視するのか。遠回りは彼らの責任も大きいのでは。アイルランド紛争が図らずもエセルの目を開かせる展開は興味深い。
浮世離れたした父子のゆるい姿に不思議と癒される(70点)
浮世離れたした父子のゆるい姿に不思議と癒される。互いに私生活に問題を抱えた父と息子が、ダサい山荘で過ごす夏の日々をスケッチする物語だ。古着のジャージに身を包み、自分をみつめる場所は、携帯も圏外の別世界。前に進むためには、何もしない時間と空間が必要と教えてくれる。“かのうしょう”の謎も気がきいていてクスリと笑えた。親子の少年度が心配だが、好感度は高い。文字通り、力を抜くことが出来る脱力映画の佳作だ。