ブーリン家の姉妹 - 渡まち子

若手実力派女優2人の競演が華やかな歴史劇。前後につながる実在の人物を想像しながら見ると面白い。(70点)

 16世紀のイングランド。新興貴族のブーリン家は、男子の世継ぎに恵まれない国王ヘンリー8世に、自慢の娘で美しいアンを愛人として差し出す。だが王が気に入ったのは、誠実で気立ての優しい妹のメアリーだった…。

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ブロードウェイ♪ブロードウェイ コーラスラインにかける夢 - 渡まち子

迫力のドキュメンタリー(75点)

 感動的なバック・ステージものにして迫力のドキュメンタリーだ。舞台や映画になった傑作「コーラスライン」の再演が決定、そのオーディションに集まるダンサーたちの姿をカメラが追う。8ヶ月に渡るオーディション、不安と希望が交錯するダンサーたちの心情、初演時の貴重なフィルムも登場する構成は、ドラマ以上にドラマチック。日本人ダンサーも登場し頑張る姿を見せてくれる。歌や踊りが一流なのは言うまでもないが、選ぶ側も選ばれる側も真剣勝負で火花を散らす様が素晴らしい。米国エンタメ界に底力がある理由がはっきりと分かる。記録映画で泣いてしまったのは久しぶりだ。

真救世主伝説 北斗の拳 ZERO ケンシロウ伝 - 渡まち子

ユリア伝の冒頭の部分にある空白の1年を描く(60点)

 映画完全オリジナルの物語は“真救世主伝説”第2作ユリア伝の冒頭の部分にある空白の1年を描くもの。ケンシロウが北斗神拳の伝承者に選ばれた理由、心身ともに傷ついた彼が救世主としての使命に目覚めるきっかけなどが主な主題だ。ケンシロウはまだ若く甘いので、闘いの爽快感は極めて薄い。悪役や新キャラもスケールが小さい上に、ラオウとトキの出番もほとんどなく不完全燃焼気味で寂しい。だが、エンドロールの後に、漫画そのままの静止画と無声映画風の字幕で原作のエピソードを紹介し、「おまえはもう死んでいる」のセリフでキメてみせる。これはファンへの贈り物だ。

真木栗ノ穴 - 渡まち子

白昼夢のような官能ファンタジー(65点)

 白昼夢のようなこの官能ファンタジーは、鎌倉という土地の独特の空気が活きている。売れない小説家の真木栗は古いアパートで執筆しているが、ある日壁に穴を発見。覗き見するうちに、隣に住む若い美女のとりこになっていく。多くの映画に登場する釈迦堂切り通しが印象的だ。こっち側とあっち側の世界をつなぐ役割を果たし、摩訶不思議な物語のランドマークになっている。西島秀俊がドンピシャリのハマリ役。寝転がって壁に張り付く真木栗に「ヨガですか?」と声をかけるなど、意外にもセリフがユーモラスだ。覗きは映画の本質にも通じる行為。そう考えるとこの作品、案外深い。

ボーダータウン 報道されない殺人者 - 渡まち子

つらさと憤りで震えがくる映画(70点)

 つらさと憤りで震えがくる映画だ。米国とメキシコの国境の町で起こっている連続女性レイプ・殺人事件を、女性記者ローレンが追うが、そこには大国と企業の都合で事件を闇に葬る不条理な現実がある。実話を基にしているが、工場での劣悪な労働の実態がまず酷い。その上、労働力である女性を襲って殺害するとは。しかもそれを事件にすることを許さない社会圧力があるとは。ロペスとバンデラスというラテン系の役者の起用で説得力のある社会派サスペンスになった。結局は権力に屈する米国メディアの実態はやるせないが、この映画が公開されることに意味を見出したい。

マルタのやさしい刺繍 - 渡まち子

スイスらしい丁寧な佳作(60点)

 手仕事の国スイスらしい丁寧な佳作である。小さな村に住む80歳のマルタは友人たちと助け合って若き日の夢であったランジェリーの店を開くが、保守的な村で反発を買う。これはおばあちゃんが起こす小さな革命の物語だ。老人を描く作品だが、牧師の不倫を責めないなど、意外にも懐が深く、ネット販売に挑戦する現代性も好感度大である。エメンタール地方独特の可愛い刺繍を施した下着、おいしそうなチーズ、すがすがしい風景と、心を和らげる魅力が満載。下着という見えない部分に気を配るおしゃれ心がマルタの若さの秘訣なのだろう。夢を持つことが人を輝かせると教えられる。

P.S.アイラヴユー - 渡まち子

どうにもミス・キャスト(60点)

© 2007 Cupid Distribution LLC. All Rights Reserved.

 感涙系のラブ・ストーリーだが、どうにもミス・キャスト。最愛の夫ジェリーを亡くし悲嘆にくれるホリーの元に亡き夫から次々に消印のない手紙が。その指示に従い、彼の故郷のアイルランドを訪れた後、次第に自分自身と希望を取り戻す物語だ。スワンクとバトラーは演技は達者だが、繊細な恋愛というより筋肉のぶつかり合いのようで、妙な男気さえ感じてしまう。第一、深く愛し合ったとはいえ、死んでまでもあれこれ指示されるのはマイる…と思うのは私だけ?それでも母親役のキャシー・ベイツの存在感はさすがだし、アイルランドの美しい自然は秋の恋愛映画にピッタリの詩情がある。

イーグル・アイ - 渡まち子

ノンストップで駆け抜けるサスペンス・アクション。全編にヒッチコックの香りが漂っている。(65点)

© 2008 DREAMWORKS LLC. All Rights Reserved.

 コピー・ショップの店員ジェリーとシングルマザーのレイチェルは、突然、謎の女からの電話を受ける。「私の指示に従わないと死ぬことになる」と告げられ、とまどう2人。電話の声は次々に命がけのミッションを課すのだが…。

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しあわせのかおり - 渡まち子

心の触れ合いを描く物語(50点)

 地味だが大崩れもないヒューマン・ドラマ。金沢を舞台に、小さな中華料理店に強引に弟子入りしたシングル・マザーと、病気で老齢の店主との心の触れ合いを描く物語だ。店主の王(ワン)さんとヒロインの貴子の控えめな距離間が少々物足りないが、サッパリと健全な空気は悪くない。ただ貴子の病はあまり効果的ではなかった気も。中国で食と人生のルーツを探るなど意外な広がりがあるが、作品はあくまでも小品。中華料理の猛特訓をしたという主演二人の頑張りとグルメ映画として丁寧な作りを評価したい。海産物や野菜など、北陸特産の食材を活かした料理がどれも美味しそうだ。

アメリカン・ティーン - 渡まち子

あなどれないドキュメンタリー(70点)

 アメリカの素の高校生たちを追うあなどれないドキュメンタリーだ。インディアナ州の5人の男女を10ヶ月間にわたって記録する。登場するのは、オタクやイケメン、女王様タイプなど。悩んだり夢みたり意地悪したりヘコんだりと、10代の何でもない生活全てが等身大。カメラさえも意識しなくなるほど彼らは撮られることに慣れて自分をさらす。自己表現が浸透している米国らしい。切実でリアルなのは、進路を決定する時期に軍隊という選択肢を迫られる少年の姿。映画より映画的だ。アニメの挿入は効果的とは思えなかったが、1000時間近く回したフィルムの編集は無駄がなく見事だった。

フレフレ少女 - 渡まち子

ガッキーファン限定のコスプレ作品(20点)

 ガッキーこと新垣結衣は本当に可愛い。演技力もまぁまぁだ。なのにこの映画は彼女をまったく活かしていない。女子高生の桃子はなりゆきで応援団長に。最初は不純な動機での入団だったが、厳しい訓練を経て誰かを真剣に応援するために何よりも自分が頑張ることに目覚めていく。女の子が応援団というギャップが最大のウリだが、笑えず泣けずスベッてしまった。ガッキーはガクランは似合うが声がダメ。他の団員のやる気もさっぱり伝わらない。企画そのものが地に足が着いてない感じだ。タイトルの響きが良く印象的なのが唯一の救い。ガッキーファン限定のコスプレ作品と割り切ろう。

その土曜日、7時58分 - 渡まち子

緊迫感のある描写と役者の演技に圧倒(75点)

 ギリシャ悲劇を思わせる重厚なドラマだ。完全犯罪が崩されるサスペンスに見えるが、崩壊するのは犯罪ではなくある一家の絆。アンディと弟ハンクは共に金に困り両親が営む宝石店を襲う計画を立てる。誰も傷つかないはずの犯行はひとつの誤算から最悪の方向へ。硬派な作風のルメットらしい緊迫感のある描写と役者の演技に圧倒される。時間軸をずらして同じ場面を繰り返すスタイルも無駄がない。愛されないことが心にどす黒い憎しみを生むが、運命はどこまでも手厳しい。物語は悲痛だが、ずっしりとした手応えは満足感を得るものだ。邦題が分かりにくいのがあまりに惜しい。

ゲット スマート - 渡まち子

派手なアクションととぼけたギャグがリズミカルで楽しい(65点)

© 2008 VILLAGE ROADSHOW FILMS(BVI) LIMITED

 真面目になればなるほど笑えるスティーヴ・カレルの持ち味が活きたスパイ・アクション・コメディ。極秘諜報機関が犯罪組織に襲撃される。分析官のスマートは顔が知られていないため、あこがれのエージェントに昇格し、切れ者の美女エージェント99とコンビを組むことに。派手なアクションととぼけたギャグがリズミカルで楽しい。カレルは文科系、ハサウェイは体育会系と、キャラにメリハリがあるのもいい。スマートは失敗ばかりだが、敵を味方につける人生相談など意外とデキる面があり、実は優秀という点がこの映画のツボなのだ。終盤の怒涛のアクションはかなり本気である。

私がクマにキレた理由 - 渡まち子

新米ナニー(子守兼養育係)の奮闘記(65点)

 ヘンテコな邦題が付いているが、これは新米ナニー(子守兼養育係)の奮闘記。就職に失敗したアニーは、ひょんなことからNYの上流家庭のナニーに雇われる。未知の世界で悪戦苦闘するが、身勝手な雇い主に振り回され、堪忍袋の緒が切れる。セレブなのにちっとも幸せじゃないミセスXを演じるローラ・リニーが抜群に上手い。アニーがついにブチ切れるのもミセスXの役柄に説得力があるから。米国のセレブ・ライフへのまなざしがシニカルだが、基本は少女の成長物語なので共感できる。セクシーでビッチな役が似合うヨハンソンが珍しく健康的な役柄で、ダサい風貌が妙に新鮮だ。

僕らのミライへ逆回転 - 渡まち子

奇想天外なアイデアの中に込めたのは映画愛。前半は大笑いし、後半は胸があったかくなる。(65点)

© Newline Productions/Junkyard Productions

 時代遅れのレンタル・ショップで、ビデオの中身が全て消去される事態が発生する。困り果てた店番のマイクとジェリーは、思いつきでハチャメチャなリメイク作品を作ったらこれが大人気に。次々に旧作・名作を撮影するのだが…。

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