◆ホラー映画なのに怖くない。青春映画なのに楽しくない。エロくもなければグロくもない(30点)
才人ディアブロ・コディの脚本と聞いて大いに期待したが、蓋を開けてみればトホホの出来ばえで、脱力した。とある田舎町に住む、学園一の美女ジェニファーと内気で地味なニーディは幼馴染。正反対の2人はなぜか親友だが、ニーディはジェニファーに振り回されてばかりだ。ある日、2人でライブに出かけるが、そこで火事が勃発。その騒動の最中にバンドのメンバーに連れ去られたジェニファーが戻ってきて以来、街では凄惨な殺人事件が続発する…。
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◆哀しみを共有しながらしっかりと生き抜く、したたかな庶民のハッピーエンド(70点)
ファシズムの時代を背景に、ある家族に起こった悲劇からそれぞれの愛情の形を描く人間ドラマだ。名もない家族が主人公の、ささやかな物語だが、イタリア映画の底力を感じさせる秀作である。1938年、イタリア・ボローニャで慎ましく暮らすカサーリ家は、美術教師の父ミケーレ、美しい母デリア、地味な外見と内気な性格の17歳の娘ジョヴァンナの3人家族。ミケーレは娘を溺愛するあまり、学校で人気の男子生徒ダマストリに娘に好意を示すようにやんわりと強要する。そうとは知らず喜ぶジョヴァンナの姿を見て冷静な母はミケーレを非難する。やがて学校で女子生徒の殺害事件が。それはジョヴァンナの犯行によるものだった…。
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◆歌を愛する気持ちは本物だろうが、実際のところジャニーヌが本当に何をしたかったのかはあまり見えてこなかった(50点)
60年代に誕生し今でも愛される名曲「ドミニク」を作って歌った女性ジャニーヌ・デッケルスを描くが、彼女の生き方と顛末は、自由の意味を考えさせられる。1950年代終わりのベルギー。生き方を模索するジャニーヌは、ギターを手に修道院に入る。厳格な規律に反発しながら大好きな音楽の才能に導かれるように、修道会の聖人ドミニコを讃える歌「ドミニク」を作詞作曲する。美しい歌声とメロディーは評判を呼び、彼女は「シスタースマイル」としてレコードデビューを果たして一躍スターになるのだが…。
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◆映像は静謐で冷やかだが、12歳の初恋はぬくもりに満ちている(75点)
北欧特有の冷気と幻想の中で繰り広げられる残酷で美しいメルヘン。孤独な少年とヴァンパイアの少女の結びつきを、ポエティックに描いていく。12歳のオスカーはストックホルム郊外の街で暮らす繊細で孤独な少年。学校で深刻ないじめにあっているが、親も教師も彼の状況に気付かない。ある日、アパートの隣に引っ越してきたエリという少女に出会う。一方、街では、残虐な殺人事件が連発していた。夜しか会えないエリに、オスカーは心惹かれていくが、ある時、エリが人の血を吸って生きるヴァンパイアだと気付いてしまう…。
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◆現実には遠い存在である大統領を、庶民的、若さ、女性という3つの要素でぐっと観客に近付けている(55点)
公人である大統領の、私人としての顔を描きながら、やんわりと社会風刺するヒューマンドラマ。半年後に任期を終えるキム大統領は応募したロトで大金が当たるが、公約で全額寄付を宣言していたので、大いに悩む。チャ・ジウクは最年少で大統領に。男やもめの彼は、朝鮮半島をめぐる一触即発の危機と同じくらい、初恋の相手との再会に動揺する。ハン・ギョジャは韓国初の女性大統領。超多忙な妻を支える優しい夫は、ストレスから青瓦台のルールを破り、支持率低下を招いてしまう。責任をとって離婚を切り出すが…。
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◆これほど陽性のゾンビ映画は初めてで、大いに楽しんだ(65点)
ゾンビものなのに妙にさわやかなところが魅力的。ホラー、コメディー、ラブストーリーと、複数のジャンルを盛り込むこの映画は、ゾンビ映画というより青春ロード・ムービーと呼びたい。人類の大半がゾンビと化したアメリカ。オタクで引きこもりの青年コロンバスは、生き残るために独自の32のルールを作って実践していた。故郷へ向かう旅の途中で、ゾンビを殺しまくるマッチョな男タラハシーや、詐欺師姉妹ウィチタとリトルロックらと出会う。4人は、ゾンビがいないと噂されるLAの遊園地“パシフィックランド”を目指すのだが…。
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◆子供の命を救うという目的のため、数々の障害をクリアしていく主人公の現実主義に感服する(60点)
いわゆる難病ものの実話だが、子供の命を救うという目的のため、数々の障害をクリアしていく主人公の現実主義に感服する。エリート・ビジネスマンのジョンには、筋力が低下していく難病・ポンペ病に冒された2人の幼い子供がいた。平均寿命9年といわれるこの病に治療薬はない。あきらめきれないジョンは、ポンペ病の権威のストーンヒル博士の研究に着目。やがて二人は共同で製薬会社を立ち上げるが、彼らの前には多くの困難が待ち受けていた…。
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© 2010 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.
◆物語は複雑だがスタイリッシュなアクションで一気に魅せるSF娯楽作。夢と現実を結ぶのは願いだった。(70点)
コブは、人が最も無防備になる夢の中で、他人のアイデアを盗む犯罪分野のスペシャリスト。国際指名手配中でアメリカに戻れない彼に、大実業家・サイトーが半ば強引に仕事を依頼する。それは他人の潜在意識に入り込み、ある考えを植えつける“インセプション”という最高難易度の犯罪だった…。
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◆とりあえずポップな青春映画として楽しんでほしい(50点)
主人公の自意識や妄想を過剰な演出で描く、いわゆるセカイ系青春映画は、アニメーション出身の監督のカラーが色濃く出ている。都会から小さな島に引っ越してきた女子高生のヤマコは、憧れの南先輩を遠くからみつめるだけで幸せ。告白もできずに妄想ばかりが膨らんでいたが、ずっと渡せずにいたラブレターの存在を、天敵の不破先輩に知られてしまう。おせっかいな不破先輩は無理やりヤマコの告白計画を打ち立て“夏祭りたこ焼き大作戦”がスタートすることに。地味な同級生のキクコをも巻き込んで、次第にその気になるヤマコだったが…。
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◆思わせぶりな登場人物を配しているだけで、人間描写に深みはない(45点)
アガサ・クリスティーらしい華麗なムードのミステリーだが、謎解きの快感やスリルより、犯罪の裏側にある複雑な愛憎劇が主流の物語だ。フランスの小さな村にある上院議員夫妻の邸宅に9人の男女が集まる。そのパーティには、何人もの女性と関係を持つ精神分析医のピエールと、その妻クレールが招待されていた。そこにピエールの現在の愛人や過去の火遊びの相手、復縁を迫る元恋人らが加わり、パーティの場は独特の緊張感が走る。翌日、一発の銃声が。プールサイドには撃たれて血を流すピエールと放心状態のクレールの姿があった…。
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◆主人公の年齢が29歳というビミョーなところが上手い(50点)
夢に向かってゆる~く頑張る若者の姿がリアルだ。気合は感じないが譲れない一線があるところがいい。マンガ家を目指して故郷の大阪から無計画に上京した29歳の聡。なんとかみつけたおんぼろアパートで、クセのある住人たちとともに、貧しくも楽しい生活が始まった。だが唯一連載していた雑誌が休刊に。ただの無職の男になって途方にくれる聡は、仕事が上手くいかず大阪に戻ろうかと悩むが、その矢先に父親がガンで入院したことを知る…。
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◆若さゆえの無謀と情熱を感じる青春映画(50点)
人気俳優の小栗旬の初監督作品は、彼の人脈をいかしたキャストのイキの良さが伝わる青春ムービーだ。過去の悪ふざけのツケで目標のない毎日を生きている若者たちが、冴えない人生を変えようと暴走する。タクミら5人の高校生は、バンドを組み文化祭に向けて練習していたのに、文化祭が中止になると知り激怒。抗議するために狂言の爆破事件を予告するが、手違いで本当に爆発が起きてしまう。それから3年、学校を退学になった彼らは、自分たちが起こした事件が引き金で、親しかった人の人生が大きく狂ってしまったことを知る…。
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◆とりあえず物語の続きを待つしかない(50点)
良くも悪くも観客を翻弄するシャマラン監督の新作だが、なんと物語半ばでプツリと終わる。これでは映画の評価は難しいのだが、とりあえずは、シャマランがストーリーより映像に重きを置いた点は注目したい。有史以前、気・水・土・火の4つの王国が均衡を保つ世界。各国にはそれぞれ4つのエレメントを操る“ベンダー”がいた。だが火の国が反乱を起こし世界を征服する力を得ようとして争いが起こる。4つのエレメントすべてを操ることができる“アバター”である、気の国のエアベンダー・アンに、世界の希望が託されるが…。
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© 2010GNDHDDTW
◆小人の少女アリエッティのまなざしで人間の世界を照射する物語。日常のすべてが冒険に思えてくる。(70点)
郊外の古い屋敷の台所の床下に住み、生活に必要なものは人間から借りて暮らす小人の一家。アリエッティは、ある日、人間に姿を見られてしまう。小人の種族では人間に姿を見られたら引っ越さなくてはいけない掟があった…。
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◆ヒロインは、セックスだけでなく恋人としての役割をもこなしていることから、充実した癒しの時間を売っているとも言える(60点)
大都会NYで暮らす高級エスコート嬢の日々を、ドキュメンタリータッチで綴る異色作だ。スタイリッシュな映像で、ヒロインの繊細な感情を浮き彫りにしていく。2008年のNY。22歳のチェルシーは、エリートを相手に本物の恋人と過ごすような時間を提供して大金を稼いでいる。常に自分を磨きビジネスもコントロールするチェルシーは、自分の仕事を理解する恋人のクリスとの関係も良好だ。だがある時、心惹かれる男性客が現れて特別な感情を持ってしまう…。
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