ベスト・キッド - 渡まち子

ベスト・キッド

◆壮麗な中国の景色をバックに武道の修行に励む図はそれだけで美しい(65点)

 1985年の同名映画のリメイクだが、舞台を中国に、空手をカンフーに、主人公の年齢を高校生から小学生に変更し、師弟関係と少年の成長を描くカンフー・サクセス・ストーリーだ。アメリカから北京に引っ越してきた12歳の少年ドレは、言葉や文化の違いから新しい環境になじめず地元の少年たちからいじめに遭う。必死に仕返しをしてもさらに手痛いメに遭うドレ。ある日、一見冴えない中年男に見えたアパートの管理人ハンがドレの窮地を救う。カンフーの達人のハンは、なりゆきでドレが出場することになった武術大会に向けて猛特訓を始めるが…。

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キャタピラー - 渡まち子

◆若松監督にとって戦争を描いた本作は過去の歴史をより深く総括する、ある種の集大成と言える(70点)

 平和な田園風景を背景に、一組の夫婦の生き様から戦争の愚かしさを炙り出す強烈な反戦映画だ。太平洋戦争末期、シゲ子の夫・久蔵は、盛大な見送りを受けて戦地へと赴くが、手足を失い顔面が焼けただれた姿で帰還する。無残な姿ながら“生ける軍神”として祭り上げられる久蔵。戸惑いながらも軍神の妻として久蔵に尽くすシゲ子。四肢や言葉を失っても食欲と性欲が衰えず、勲章や自らを讃える新聞記事を誇りにする久蔵に、シゲ子は空虚なものを感じ始めていた。やがて二人に敗戦の日が訪れる…。

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魔法使いの弟子 - 渡まち子

◆ジェリー・ブラッカイマー映画らしく、お話はとんとん拍子に進み、派手なVFXの連打だが、随所にユーモラスな魔法が盛り込まれているところが楽しい(50点)

 ド派手なCGをふんだんに使ったマジカル・ファンタジーだが、選ばれし者である青年が、およそヒーローとはほど遠いオタク・キャラだというところ
が本作の個性だ。現代のNYで800年にわたって繰り広げられてきた魔法戦争が勃発。今は亡き魔法使いの最高指導者の後継者を探し続けていたバルサザール
は、その運命を持つ若者デイヴを見出して、自分の弟子にする。しかしデイヴは気弱な上に初恋の相手ベッキーに再会して気もそぞろ。いっこうに魔法の技が習
得できない。一方で、史上最強の魔女モルガナが復活しつつあった…。

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日本のいちばん長い夏 - 渡まち子

◆この座談会の再現は、戦争を子孫に伝える未来へのバトンの役割を担っている(55点)

 第二次世界大戦末期の日本の実情とそれぞれの立場で終戦を迎えた人々の体験を語る作品で、文士劇というスタイルがユニークだ。平成22年、1人のTV演出家が終戦についてのある番組を企画する。それは、昭和38年に文藝春秋が企画した座談会を再現するという試みだった。政治家、元軍人、ジャーナリスト、作家、民間人など、さまざまな立場の人々が終戦間際の戦地の様子や、国内外の政治の動きを、彼らの心情を交えて語り尽くしていく。

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フローズン - 渡まち子

◆ほんの少しの不注意とわがままが恐ろしい状況を生むという、このバッド・シチュエーション映画はかなり怖い(60点)

もしかしたら自分にも起こるかも…。そんなリアルな恐怖に襲われるシチュエーション・スリラーだ。主な登場人物は3人だけだが、不安やエゴが交錯し、緊張感が途切れることはない。スキー場にやってきたダン、ジョー、パーカーは、夜、最後の滑りを楽しもうとリフトに乗りこむが、山頂へと向かう途中でリフトが突如ストップしてしまう。氷点下の気温の中、携帯電話も食料もなく、助けの声も届かない。ゲレンデの再開は1週間後で、宙吊り状態のままでは確実に凍死してしまう。3人はなんとか脱出を試みるのだが…。

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セラフィーヌの庭 - 渡まち子

◆ヒロインを演じる実力派女優ヨランド・モローがすさまじいまでの名演技で圧倒される(70点)

 芸術に神に愛された者は、こんなにも心が繊細で傷つきやすい存在なのか。素朴派の女性画家セラフィーヌ・ルイの“描くこと”への本能的な情熱を描く伝記映画だ。20世紀初頭のパリ郊外・サンリス。貧しく孤独な中年女性セラフィーヌは、家政婦として働きながら、自室でもくもくと絵を描く毎日を送っていた。神への信仰、自然との対話、何よりも絵を描くことが、彼女の生きがいだった。そんなある日、高名な独人画商ウーデが彼女の才能を見出す。ウーデの経済的援助を受け、才能を開花させるセラフィーヌだったが、戦争や大恐慌が起こり、ウーデは彼女を援助することができなくなる。やがてセラフィーヌは精神のバランスを崩していき…。

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ヒックとドラゴン - 渡まち子

ヒックとドラゴン

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◆大空を自由に舞うドラゴン側からの物語もぜひ見てみたい(80点)

 敵同士が歩み寄って互いのことを理解する。言うは易し行うは難しのこの行動を、弱虫の主人公がやってのけるファンタジー・アニメの秀作だ。現状に風穴をあけるのは、いつの時代も意外性である。遠い昔、バイキングとドラゴンは長きに渡って戦いを繰り返していた。バイキングの少年ヒックは族長の息子なのに何をやっても冴えない弱虫。そんなヒックがある日、天敵のドラゴンと巡り会う。トゥースと名付けたそのドラゴンは伝説の“ナイト・フューリー”だったが、怪我をして飛べなくなっていた。心優しいヒックにはどうしてもトゥースを殺すことができず、おそるおそる近付き、好物の魚を差し出す。2人の間には、秘密の友情が芽生えるが…。

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瞳の奥の秘密 - 渡まち子

◆殺人事件が浮き彫りにするのは壮絶な愛と哀しみ。サスペンスとしてもドラマとしても一級の傑作。(95点)

 刑事裁判所を退職したベンハミンは、25年前の未解決事件を題材に小説を書き始める。1974年に起こった残忍な殺人事件は、政治の力でもみ消され、ベンハミンを苦しめたが、事件を思い出すことで封印された愛が蘇ってくる…。

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Beautiful Islands ビューティフル アイランズ - 渡まち子

◆寡黙なこの内容は、作品としての強さはないのだが見終わった後に余韻となる(50点)

 やがて消えてゆくであろう美しい場所を巡る静かなドキュメンタリーだ。ナレーションやBGMを排除した作りは、一般観客に訴える力は削がれているものの、その分、作り手の“本気”を感じる。気候変動による悪影響を直接受ける、南太平洋のツバル、イタリアのベネチア、アラスカのシシマレフ島を舞台に、そこで暮らす人々、とりわけ子供たちにスポットをあてながら、今やグローバルな懸案事項になっている地球温暖化という問題を無言で訴えていく。

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Bubble/バブル - 渡まち子

◆2人の友情が惰性的で危ういものであることは誰の目にも明らかなのだが、マーサがこの偽りの“親友”に依存し執着しているという現実がリアルで怖い(60点)

 個性派監督ソダーバーグの原点を見るような低予算のインディペンデント映画で、孤独な人間に潜む狂気が冷徹な視点で描かれる。オハイオ州の小さな人形工場に務めるマーサとカイルは何となく友情で結ばれていた。カイルは、工場に新しく入ったシングルマザーのローズと親密になるが、それを知ったマーサは動揺する。ゆるく恒常的だった関係が壊れ始めた中、殺人事件が起こり、彼らの日常は崩壊していくのだが…。

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ザ・ホード 死霊の大群 - 渡まち子

◆映像は平坦で工夫に乏しい(50点)

 ゾンビものとフィルム・ノワールの組合せが、新しい味わいを生むフランス発のゾンビ映画。徹底したスプラッタ描写の連打に唖然とするが、ここまでやってくれると逆にすがすがしい。パリ北部。ギャング一味に同僚を惨殺された警官たちは、復讐を誓って、一味の潜伏する廃屋同然の高層ビルに乗り込む。だがギャングの返り討ちに遭い、瀕死の状態に。血みどろの銃撃戦に決着がつこうしたそのとき、血肉を求める大量のゾンビが襲撃してくる。警官とギャングたちはビルから脱出するために、やむを得ず手を組むことになるが…。

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ちょんまげぷりん - 渡まち子

◆生活の描写にご都合主義のところはあるが、子育てと仕事の両立に奮闘するひろ子の生き方と、安兵衛が江戸から現代にやってくる不思議の理由が絶妙に重なる構成は上手い(60点)

 江戸から現代にやってきたお侍がお菓子作りに目覚めるというハートフル・コメディーには、現代人が忘れがちな“1本通った筋”がある。シングルマザーのひろ子は、息子の友也と二人暮し。ある日、侍姿でうずくまる木島安兵衛という男に出会う。安兵衛は江戸時代から現代の東京にやってきた侍だというのだ。驚き怪しみながらも、なりゆきで彼を居候させることになり、安兵衛はお礼として家事いっさいを引き受けることに。友也に対して叱るべきところは叱り、礼儀を教え、病気になれば必死に看病する安兵衛。3人は不思議な絆で結ばれていく。ある時、友也のためにプリンを作ったことから安兵衛はお菓子作りに目覚め、人気パティシエになって外で働くようになるが、3人のバランスが崩れ始める…。

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フェアウェル さらば、哀しみのスパイ - 渡まち子

◆ごく普通の人間がいつのまにか国家を揺るがす機密にかかわっていく過程がリアル(65点)

 20世紀最大級のスパイ事件の一つ“フェアウェル事件”をベースにしたサスペンス・ドラマは、祖国のためを思うからこそ国を裏切る、究極の自己犠牲だったとするスタンスが興味深い。1980年代初頭、KGBの幹部であるグリゴリエフ大佐は、技師ピエールを通して西側・フランスの国家保安局にソ連が入手した極秘情報を流す。それは世界のパワー・バランスを崩してしまうほどの破壊力を持つトップ・シークレットだった…。

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昆虫物語 みつばちハッチ~勇気のメロディ~ - 渡まち子

◆みつばちがいなくなる事態は一大事だが、人間の一方的な善意や過剰なエコロジーの風潮への、やんわりとした批判に感じた(55点)

 70年代に大人気だったTVアニメ「昆虫物語みなしごハッチ」の初の劇場版。生き別れた母親を探すみつばちを主人公に、勇気と希望というメッセージを分かりやすく描いている。スズメバチの襲来で連れ去られた母親を探すため、ひとりで旅を続けるみつばちの子ハッチ。森でさまざまな虫たちに出会うが、旅の途中で、人間が住む町・セピアタウンに迷いこんでしまう。そこでハッチは、なぜか虫と会話ができる少女・アミィと出会い、心を通わせるが…。

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ソルト - 渡まち子

ソルト

◆アンジーの七変化が楽しめるスパイ・アクション。リアリティーはないがタフなヒロインの活躍は嬉しい。(55点)

 CIAの敏腕分析官イヴリン・ソルトは、何者かの企てによってロシアの二重スパイの嫌疑をかけられる。自分の無実をはらすため逃亡を図り、CIAの追跡をかわしながら陰謀の真相を探ろうとするが…。

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