バカバカしさのフルスロットル(60点)
© TM & COPYRIGHT © 2009 LAKESHORE ENTERTAINMENT GROUP LLC AND LIONS GATE FILMS INC. ALL RIGHTS RESERVED.
徹底したバカっぷりが楽しいハイテンション・ムービーの続編は、もちろんジェイソン・ステイサムが続投。死んだはずの殺し屋チェリオスは、瀕死の状態で手術を受けた際に中国系マフィアに心臓を奪われる。代わりに移植されたのはバッテリー式の人工心臓。充電しないと止まってしまうため、自分に電流を流し続けるチェリオスは、心臓を取り返すことができるのか。
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心を持った人形の異色ラブ・ファンタジー。ペ・ドゥナの素晴らしさはただごとではない。(90点)
© 2009業田良家/小学館/『空気人形』製作委員会 写真/瀧本幹也
東京の下町の古いアパートで持ち主の秀雄と暮らす空気人形は、ある朝、持ってはいけない“心”を持ってしまう。秀雄が外出した後に人形は動き出し、一人で街へ。様々な境遇の人々に出会う中、純一という青年に恋をする…。
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コテコテのB級映画(35点)
© ROGUE PICTURES
ヒロインはりりしく魅力的だが、中身はコテコテのB級映画。ホラーやSF、格闘アクションにカーチェイス、はては政府の陰謀と、節操なく投げ込んだごった煮は、不思議な出汁(だし)が出ている。スコットランドで死のウィルスによる感染症が蔓延。政府はウィルスを封じ込めるためイングランドとスコットランドの間に巨大な壁を作り、中に残された人々を見捨てることでウィルスを封じ込めた。25年後、隔離された街の住人のほとんどは死滅、生き延びた者は暴力が横行する無法地帯“ホットゾーン”で暮らしている。そこに抗ウィルス剤がある可能性が見つかり、政府は女戦士エデンが率いるスペシャリスト・チームを送り込む。
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本物嗜好のアクションが際立つ(60点)
© 2008 EUROPACORP-TF1 FILMS PRODUCTION-CIBY 2000
特別な道具は使わず、自らの身体で障害物を効率的かつスピーディに乗り越える、フランス発祥のスポーツ“パルクール”。跳躍や昇降などが中心の、エクストリームスポーツだ。本作は、そのパルクールが堪能できるリアル・アクションの続編。近未来のパリの犯罪多発地区バンリュー13で警官虐殺事件が発生する。そこには地区解体を目論む政府の権力者ガスマンの策略と野望があった。かつて同地区を空爆から救った刑事のダミアンは陰謀を感じ取るが、麻薬所持の濡れ衣で投獄される。バンリュー地区に住む旧友のレイトの助けで脱獄したダミアンは、地区の外国人ギャングたちとも手を組み、事件解決とガスマンの陰謀阻止を決意する。
移民に寛容な国フランスならではの本音と建前が透けて見える物語だが、小難しい政治問題より、はみだし者の暴走刑事ダミアンとタフな前科者レイトのコンビの活躍が小気味良い。シリル・ラファエリとダヴィッド・ベルの二人のパフォーマンスは、鍛え抜かれた身体を軽やかに操って、抜群に魅力的だ。特に、ベルが演じるレイトが冒頭に見せるアクションには目を見張る。犯罪多発地区だが一応の秩序を保つその街では誰もがそれなりに充足している。そんな中、レイトは壁で隔離された生活に嫌気がさし、自由を求めるかのように、走って、跳んで、宙を舞う。屋根の上を駆け抜け、建物からダイブし、壁をよじ登るそのアクロバティックな動きに、スピーディな音楽が加われば、凡百な銃撃戦より興奮すること間違いなし。レイトの仲間たちの漫画チックな戦法や、楽観的なラストなど、物語は平凡だが、だからこそ、本作の本物嗜好のアクションが際立つのだ。見え見えのCGやワイヤー・アクションにはない迫力を楽しみたい。
移民で構成された国ゆえの苦悩が見えるかのよう(70点)
© 2008 The Weinstein Company, LLC All Rights Reserved.
9.11以降、米国の移民を描く作品には強い問題意識がある。そこには自由の国であるための不自由があり、移民で構成された国ゆえの苦悩が見えるかのようだ。LA移民局のベテラン捜査官マックスは、不法滞在の移民たちを取り締まる立場だが、彼らの境遇に同情的だった。そんな中、マックスの同僚で、イラン系アメリカ人ハミードの妹が殺され、遺品の中から偽造グリーンカードが見つかる。同僚がからむ秘密を感じたマックスは、独自に捜査を始める。
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クリストファー・ドイルの映像が魅力的(70点)
© 2008 PointBlank Films Inc. All Rights Reserved.
映画は論文ではないのですべてを説明する必要はない。語られない部分に対して想像力を刺激してくれれば、その作品は十分に魅力がある。ジャームッシュのこの新作はまさにそんな1本だ。“孤独な男”というコードネームの殺し屋が、ある任務を遂行するためにスペイン中をさまよう。その任務とは「自分こそ偉大だと思う男を葬れ」というもの。そんな彼の前にさまざまな仲間たちが現れては消えてゆくが、彼らは一様に謎めいた言葉を残していく。
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CGやワイヤーアクションに迫力と工夫が足りない(55点)
© 2009「カムイ外伝」製作委員会
監督が崔洋一、脚本が宮藤官九郎と聞いて大いに期待したのだが、蓋を開けてみれば彼らのカラーはあまり感じられず、消化不良のアクションだけが目につく時代劇となった。強靭な意志と優れた剣術、独自の忍術を身に付けたカムイは、掟に縛られた忍びの世界を捨てて“抜忍”となる。偶然知り合った漁師の半兵衛のもとで暮らし始めるが、そこにはカムイと同じ抜忍の女忍者スガルが身を潜めていた。やがてサメ退治を生業とする“渡り衆”らと知り合ったカムイは、ひと時の安らぎの日々を過ごすが、陰謀と殺戮が目の前に迫っていた。
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CGで再現された恐竜のリアルさはハンパではない(50点)
© 2009 Universal Studios. ALL RIGHTS RESERVED.
ギャグセンスの違いか、言葉の壁か。アメリカでは人気だが日本ではさっぱり不人気のコメディ俳優ウィル・フェレル。ビミョーな立ち位置の彼が主演の本作は、恐竜という“登場人物”のおかげでアトラクション的な楽しさが満載だ。タイムワープの研究が専門で学会の笑い者のマーシャル博士は、彼を信じる女性ホリーや土産物屋のウィルと共に、完成した装置を使って時空間の歪みを通過、異次元世界に迷い込む。そこは、恐竜や類人猿が生息し、あらゆる時代の残骸が混在する摩訶不思議な世界だった。
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ただの恋愛映画にしか見えず、何とも物足りない(50点)
© Haut et Court – Cine@ – Warnerbros. Ent. France et France 2 Cinema
何本か作られているココ・シャネルを描く作品の1本だが、本作はオーソドックスというより平凡で、パンチ不足の伝記映画になった。孤児院で育った少女時代から、お針子になり、将校の愛人に。やがて運命の恋人ボーイ・カペルと激しい恋に落ち、彼の理解と援助でデザイナーとして頭角を現すが、彼女の生涯唯一の恋には悲しい結末が待っていた。
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美男美女による過激な恋愛バトル。よくあるロマコメだが大人向けにチェンジアップして笑わせる。(65点)
TVプロデューサーのアビーは美人で仕事もできるが理想主義が災いして恋人ができない。そんな彼女は視聴率アップのため、下世話な恋愛相談がウリの名物パーソナリティのマイクとコンビを組むことに。水と油の二人だったが…。
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ナンセンス・コメディ(20点)
© 2009 「キラー・ヴァージンロード」製作委員会
俳優の岸谷五朗の初監督作だが、ドタバタがスベッてしまい痛々しい作品になった。どうしても“結婚したいオンナ”沼尻ひろ子は、結婚式の前日に誤って大家さんを殺害してしまう。せめて式まで死体を隠そうと、富士の樹海に向かう途中で“何度自殺しても失敗するオンナ”小林福子と出会い、なりゆきで一緒に逃避行を続けることになる。
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“悪魔のZ”と呼ばれる特別な車の並はずれた魔力があまり伝わってこない(30点)
© 楠みちはる/講談社・「湾岸ミッドナイト THE MOVIE」製作委員会
ストリート・レースを題材にした人気コミックの実写映画化だが、ハリウッド製のド迫力のカー・アクションを見なれた目には何とも貧相に映る。物語は “悪魔のZ”と恐れられるいわくつきの車をめぐる、男たちの熱いバトルを描くものだ。一目でそのZに魅せられた高校生のアキオと対決するのは、ポルシェ 911 ターボを操る外科医の達也だ。だが、達也の恋人で、かつて悪魔のZの事故で兄を失ったエリコは複雑な思いで彼らをみつめていた。
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妙に説得力があるのは、脱税で逮捕され実刑を受けたスナイプスだからか(55点)
© 2008 OPERATION EAGLE PRODUCTIONS INC. ALL RIGHTS RESERVED.
2000年のヒット作「アート・オブ・ウォー」の続編にあたるのが本作。ウェズリー・スナイプスが得意のアクションを披露するクライム・サスペンスだ。かつて国連の特殊諜報員だったニール・ショーの元に恩師の訃報が届く。彼の娘と名乗る女性と共に疑惑の死の真相を探るうちに、ショーは、武器密売、政治家暗殺計画、FBIまでもがからむ陰謀へと巻き込まれていく。
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戦国版プロジェクトX(60点)
© 2009「火天の城」製作委員会
地味な時代劇だが見応えがあるのは、合戦ではなく仕事への情熱を描いているから。この作品は、いわば戦国版プロジェクトXだ。織田信長から城郭要塞・安土城の建立を命じられた、知られざる名工・岡部又右衛門が、職人の意地と誇りをかけて巨大な城作りに挑んでいく。
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プール - 渡まち子
リアリティ以前に生きている実感がない(30点)
© プール商会
気持ちはいいが中身がない。それって映画としてどうなのか?! と問いかけたくなる作品だ。大学生のさよは、タイの古都チェンマイのゲストハウスで働く母の京子を訪ねる。自分や家族を置いてタイに渡った母は、ゲストハウスのオーナーやタイ人の少年、ハウスを手伝う青年らと楽しそうに暮らしている。そんな母の姿を複雑な思いでみつめるさよ。物語は、それぞれに事情を抱えた5人の男女の6日間を、さらりとした空気の中で描いていく。
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