トルソ - 渡まち子

◆生身の男性にカメラが向かない分、ヒロコが大切にするトルソは繰り返し描かれるのが面白い(55点)

 対照的な姉妹の再生を描く人間ドラマは、女性心理の深くてイタいところを突いている。アパレル業界で働く30代半ばのOLヒロコは、化粧もせず携帯も持たず同僚から合コンに誘われても断り続ける地味な女性だ。彼女は、顔や手足がない男性の身体の形をした“トルソ”という人形を恋人のように大切にして暮らしている。そんな彼女のマンションに、父親が違う妹のミナが恋人の暴力と浮気に耐えかねたと言いながら、強引に転がり込んでくる。図らずも共同生活をすることになった姉妹は、やがて少しずつ変化していくのだが…。

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チョルラの詩 - 渡まち子

◆全編とても寡黙だが、静かで抒情的な演出がじんわりと染みるようで、愛する人に伝えれられない恋心の物語にフィットしている(60点)

 詩を通して結ばれる3人の男女を、リリカルに描くラブ・ストーリーだ。1987年、韓国の全羅道では、ソウル五輪に向けて高速道路の建設が急ピッチで進められていた。在日韓国人の幸久は日本で非常勤講師をしながら詩人を志していたが、祖父の葬儀のために、数年ぶりに故郷の村を訪れる。従兄で兄貴分のカンスと再会し、日本で働くよりも韓国で暮らすべきと誘われる。しばらく村に滞在することにした幸久は、カンスが想いを寄せる女性ソンエに、恋の詩を書くため、カンスに詩を教えることになるが、やがて幸久もソンエに惹かれていく…。

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東京島 - 渡まち子

東京島

© 2010「東京島」フィルムパートナーズ

◆男たちの間を渡り歩いて、まるで柳の枝のしなやかさとしぶとさで生き抜く清子というキャラクターが素晴らしい(60点)

 人間の生存本能と社会性を問う、桐野夏生の同名小説の映画化だが、ヒロイン役の木村多江が絶妙にフィットしている。夫婦二人旅の途中で嵐に遭った清子と夫は、無人島に漂着。意外なほどたくましくサバイバルする清子に対し、夫はたちまち衰弱する。その島に、16人の若いフリーターの日本人の男たち、さらに6人の中国人密航者の男たちが流れ着き、男23人に女は清子1人という奇妙な共同生活が始まった。その島は東京島と名付けられ、清子はただ1人の女性として女王のように君臨するが、次第に島のバランスが崩れていく…。

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トイレット - 渡まち子

◆不器用な3兄妹の成長と家族の絆が少ない言葉で語られる。ベタつかない家族愛が心地よい。(70点)

 プラモデルオタクの青年レイは、母の死後、やむなく実家に戻る。そこには、引きこもりの兄モーリーと生意気な妹リサ、そして死んだ母が日本から呼び寄せた “ばーちゃん”がいた。誰とも深く係わらず生きてきたレイだったが、この奇妙な共同体で暮らすうちに、次第に変化していく…。

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劇場版 怪談レストラン - 渡まち子

劇場版 怪談レストラン

© 2010 劇場版「怪談レストラン」製作委員会

◆あくまでも子供向けで、TV感覚で気軽に楽しむ作品(30点)

 松谷みよ子のロングセラー児童文学が、劇場版の映画として登場。アニメ、CG、実写の融合とのキャッチコピーだが、実態はアニメパートと実写パートにくっきりと分かれていて、この内容で“融合”とまで呼ぶのはちょっとズルい。山桜市では、死神からのメールを受信したものが連れ去られてしまう事件が頻発。自称怪奇現象専門の探偵で、中学生のハルは、行方不明になった妹のマイを探して、第一の被害者の少年・リュウの友人のカオル、カオルのクラスメートの少女ジュンと共に、不気味な廃墟の洋館、通称「怪談レストラン」に向かう…。

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パリ20区、僕たちのクラス - 渡まち子

◆アイデンティティーとは、自分の手で掴み育てて確立するしかないのだ(60点)

 まるでドキュメンタリーのような作品だがれっきとした劇映画で、フランスの“今”を切り取った作品といえる。国語教師のフランソワは、24人の中学生たちに手をやく毎日だ。スラングばかり使う、反抗的な態度をとる、出身国が違うためにケンカが絶えないなど、問題はさまざまだ。そんな中、自己紹介文を書かせる課題が、生徒たちの間で大きな波紋を巻き起こすことに。さらに問題児スレイマンがささいなことから授業中にキレてしまい大問題になる…。

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ハロウィンII - 渡まち子

◆あまりの流血シーンの連打に、見ていてぐったりと疲れる(45点)

 ヘヴィ・ロック・ミュージシャンが本業のロブ・ゾンビがスプラッタ映画「ハロウィン」をリメークして思いがけず好評だったが、本作はその続編で、主人公の殺人鬼マイケル・マイヤーズの妹ローリーが中心の物語だ。どこか幻想的なタッチで、時折ミュージック・ビデオのようにも見える。ハロウィンが近くなり、不気味な夢を見るようになったローリー。彼女はマイヤーズ家で唯一の生き残りだったが、そうとは知らずにストロード家に引き取られ幸せな生活を送っていた。そんな時、売名行為に走るルーミス医師の本が発売され、自分が殺人鬼マイケル・マイヤーズの妹だと知ってショックを受ける。思わず家を飛び出したローリーだったが、時を同じくして精神病院から脱走したマイケルが再び殺戮行為を繰りひろげていた…。

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キャッツ&ドッグス 地球最大の肉球大戦争 - 渡まち子

◆007をはるかにしのぐ秘密兵器の数々、ネコ界のハンニバル・レクターの登場以外にも、映画のファンならばワクワクするようなパロディが満載だ(50点)

大ヒットした動物映画の続編の本作は、共通の敵に対してライバル同士の犬と猫が手を組む展開が笑いを誘う。猫のスパイ組織の元エージェント、キティ・ガロアが、犬や猫、人間までも自らの支配下に置くという恐ろしい策略を企てていた。かつてない危機にさられたネコたちは、ずっと敵対してきた犬スパイ組織とも手を組むことを決心する。ネコ界からは名実ともトップ・エージェントのキャサリン、イヌ界からはすぐに暴走するが潜在能力を秘めた元警察犬のディッグス、なぜかハトのシーマスも加わって、打倒キティ・ガロアのチームを組むことに。果たして彼らはガロアの陰謀から自分たちと人間、引いては地球を守れるのか?!

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ハナミズキ - 渡まち子

ハナミズキ

© 2010 映画「ハナミズキ」製作委員会

◆ストーリーそのものは、出会ってはすれ違うという古臭いもので、終盤には偶然を多用する展開になり、目新しさは何もない(40点)

 10年の歳月の中、すれ違い続ける恋人たちの物語だが、あまりに展開が早いせいか、あっさりと薄味の恋愛映画になっている。北海道に住む紗枝は、東京の大学を目指して受験勉強中。ある時、水産高校に通う康平と偶然出会い、恋に落ちる。やがて東京と北海道の遠距離恋愛が始まった。海外での仕事を目標に、都会生活でどんどん美しくなる紗枝と、たとえ苦労があっても漁師として頑張りたい康平は、互いを思いながらも次第にすれ違いはじめる…。

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NECK ネック - 渡まち子

◆文壇の中でも激しく評価が分かれる異色作家・舞城王太郎の原案だけに、後半は若者ウケしそうなハチャメチャな物語が炸裂し、正直、ストーリーがよくわからなくなる(40点)

 人気覆面作家・舞城王太郎原案の本作は、さまざまなジャンルがごちゃ混ぜになった、名付けて胸キュン・ホラー・青春ムービー。美人だが、変わり者の理科系大学院生の杉奈は、お化けを作る研究に没頭中。そんな杉奈に一目惚れしたフツーの大学生・首藤は勇気を振り絞って告白、彼女から深夜の研究室に呼び出される。デートかと期待したのに、大きな木箱“ネックマシーン”に入れられて、実験台にされるハメに。その後、ホラー作家やその編集者が入り乱れて、お化けを作リ出す“ネック(首)プロジェクト”が始動する…。

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カラフル - 渡まち子

カラフル

© 2010 森絵都/「カラフル」製作委員会

◆もう一度世界を見つめ直した少年の心の旅。ファンタジーとリアルが絶妙にブレンドされている。(70点)

 罪を犯して輪廻できない魂の“ぼく”に天使らしき存在のプラプラが話しかけた。「抽選に当たりました!」。自分が何の罪を犯したかを思い出せば、もう一度現世に戻ることができるという。自殺した14歳の少年“小林真(こばやしまこと)”の身体にホームステイした“ぼく”だったが…。

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特攻野郎Aチーム THE MOVIE - 渡まち子

特攻野郎Aチーム THE MOVIE

© 2010 TWENTIETH CENTURY FOX

◆ウジウジ悩まず、コ難しい社会性とも無縁の個性派4人が大暴れする様はアリエナイ爽快さ(60点)

 単純にスカッとしたいならこの映画で決まり! と言わんばかりの、正義のヒーローが悪党をやっつけるシンプルなアクション娯楽作だ。スミス大佐、通称ハンニバルが率いる元特殊部隊員で編成されるAチームは、数々の任務をこなしてきた4人の精鋭たち。イラクでのドル紙幣原版強奪事件を解決すべく現地で任務につくが、罠にハメられ無実の罪で投獄される。半年後、別々の刑務所から脱獄した4人は再集結し、身の潔白を証明するために立ち上がる。だが、そこには彼らが予想もしない人物の関与とさらなる陰謀が隠されていた…。

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ザ・コーヴ - 渡まち子

◆主張の偏りはまだしも、事実の曲解はいかがなものか(40点)

 ときどき、映画好きを沈黙させ、映画にはさして関心はないが社会問題に過剰に反応する人々の声をはりあげさせる作品にお目にかかるが、本作はまさにそれである。喧々諤々とした7月3日の日本初公開から1ヶ月余りが過ぎたが、騒がしかったのは最初だけで、その後はあっさりと夏休み大作映画の嵐に吹き飛ばされてしまった格好だ。日本の食文化に一方的に噛み付く内容に、観客の頭には「おおきなお世話だ」との思いがよぎったに違いない。

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きな子 ~見習い警察犬の物語~ - 渡まち子

◆落ちこぼれペアの奮闘は、思わず応援せずにはいられない(50点)

 思いがけずコンビを組んだ一人と一匹が困難を乗り越えて絆を結ぶ姿は、まるでバディ・ムービーのよう。失敗を相手のせいにせず、互いを補うことこそがパートナーと呼べる証だ。18歳の杏子は警察犬訓練士を目指して入所した訓練所で、ラブラドール・リトリーバーの子犬に出会う。身体が弱く警察犬にはなれないと言われたその子犬を、毛色から“きな子”と命名し、周囲の反対を押し切って「自分がきな子を警察犬にします!」と宣言する。その日から1人と一匹の奮闘の日々が始まった。だが、警察犬試験に何度も失敗するきな子と、きな子を訓練できない自分に失望し、杏子はとうとう訓練所を離れる決心をする…。

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ヤギと男と男と壁と - 渡まち子

◆れっきとした実話がベースなのだが、いったいどこまでが本気…、いや、本当なのかと首をかしげたくなる(60点)

 マジですか?! 思わず確認したくなるのは、米軍に実在したという超能力部隊のお話。米ソにはスーパーナチュラルな力を軍事力として利用するため、研究を重ねてきた歴史があることは知られているが、こんなにも根が明るくノホホンとされては、戦争そのものがバカバカしくみえてくる。2003年、地方紙の記者であるボブは、離婚の痛手から立ち直るべく、スクープを求めてイラク戦争の取材に赴く。偶然クウェートで知り合ったリンという男が、以前取材した、米軍の超能力特殊部隊“新地球軍”所属の軍人と知り、イラクに行くというリンに同行することに。道中、リンは、80年代に設立された超能力部隊の驚くべき歴史を語り始める…。

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