◆孤島が舞台の謎解きミステリーの秀作。幻想的な心象風景が美しく、映像センスに鋭さがある。(70点)
1954年のアメリカ。連邦保安官のテディは、精神を患った犯罪者の収容施設があるシャッターアイランドにやってくる。鍵のかかった部屋から忽然と姿を消した女性患者を探す捜査だが、次々に不可解な謎が浮かび上がる…。
◆孤島が舞台の謎解きミステリーの秀作。幻想的な心象風景が美しく、映像センスに鋭さがある。(70点)
1954年のアメリカ。連邦保安官のテディは、精神を患った犯罪者の収容施設があるシャッターアイランドにやってくる。鍵のかかった部屋から忽然と姿を消した女性患者を探す捜査だが、次々に不可解な謎が浮かび上がる…。
◆格闘技を見せるのが主目的なので、話は徹底的に短絡的(30点)
物語はそっちのけで格闘シーンのみ気合を入れまくる内容だが、人気ゲームの映画化にはそれでちょうどいいのかもしれない。強大な力を持つテッケン財閥の支配下にある近未来のアメリカ。才能ある格闘家の風間仁は、スラム街で密輸をしながら生計を立てていた。ある晩、家が財閥のロボット警備隊に襲われ、母が殺される。復讐を誓った仁は財閥のトップ三島平八が主催する史上最大の格闘トーナメントに出場して三島の懐近くに飛び込もうとするが…。
◆無駄なセリフや説明はいっさいないのに、主人公の心の葛藤が痛いほど伝わってくる(75点)
クールなモノクロ映像に緊張感が漂う脱獄映画の傑作だ。1943年・ドイツ占領下のフランス。抵抗活動によって逮捕されたフォンテーヌ中尉は、モンリュック監獄の独房に収監される。誰もが絶望し気力を奪われる中、フォンテーヌは囚人仲間から情報を集め、わずかな道具や設備を最大限に利用して、入念に脱獄を計画していた。独軍によって死刑を宣告され、いよいよ実行を決意するが、突如彼の独房に脱走兵の少年が送られてくる。これはワナなのか? 悩むフォンテーヌだったが…。
◆多重人格という難役に挑むジョナサン・リス・マイヤーズが熱演で、人格が入れ替わる瞬間の演技は狂気を感じさせるほど(55点)
科学では解明できない超常現象を信仰と結びつける展開がいかにも欧米らしい。カーラは、解離性同一性障害疾患(多重人格)を認めていない精神分析医。ある日、多重人格と思われるデヴィッドと名乗る男性を診察すると、彼の中から別人格が現われる。この時点では疾患を認めてなかったカーラだが、デヴィッドの過去を調査するうちに、次々に別の人格が入れ替わり混乱をきたしていく。デヴィッドは実は25年前に亡くなった故人であることが判明、さらにカーラが辿り着いたのは歴史の闇に葬られたおぞましい事実だった…。
◆こちらが心配したくなるようなマヌケな仕事ぶりに、別の意味でハラハラさせられる(40点)
主要登場人物は全員男性という硬派なクライム・サスペンスだが、犯行計画そのものがナンだか間が抜けている。アーマード・トラック(装甲現金輸送車)は、どんな銃弾も寄せ付けず最新のテクノロジーを搭載した動く要塞のような車だ。そんなアーマードを使って4200万ドルの偽装強盗計画を企てるのは、現金輸送警備会社の6人の警備員たち。元軍人のマイクをリーダーとし、弟を養うための金策に窮した新人警備員タイを巻き込んだこの計画は、誰も傷つけない完璧な犯罪のはずだった。だが、あるアクシデントから計画は綻び始める…。
◆アメリカ人の手による原作・脚本のためか、日本のティーン・エイジャーの恋物語なのに、風変わりな手触りだ(50点)
日本の中の異国アメリカンスクールを舞台にしたことで新鮮な空気を漂わせる学園ラブストーリー。東京のインターナショナルスクールに通う女子高生ナオミは、階段から落ちて過去4年間の記憶を失う。退院して戻った日常には、すべてが初めての新鮮さと戸惑いが。ナオミの周りに、アメリカ人の彼氏のエース、親友のミライ、病院まで付き添ってくれたユウジの3人の男子学生が現れる。ナオミは何かと悪い噂のあるユウジに惹かれていくのだが…。
◆その嘘は大切な人を取り戻す愛の治療。老いを見つめる物語をまだ20代の監督が作ることに驚く。(70点)
一人暮らしの孤独な老人ロバートは、ある日、メアリーという美しい初老の女性と出会い恋をする。ロバートは彼女に対し、昔から知っているかのような親しみを覚え、遂にプロポーズを決意するのだが…。
◆サシャ・バロン・コーエン流の“差別への挑戦”(30点)
あきれるほど下品なのだが、ここまで徹底していると感心してしまうトンデモ映画だ。オーストリア人でゲイのファッション・レポーターのブルーノは、セレブになるためにアメリカにやってくる。まずは名前を売るために有名にならなくては! と考えたブルーノは、世界中で珍騒動を繰り広げ、有名人、一般人を問わず周囲の人々から大ヒンシュクを買いまくるが、本人はそんなことはお構いなし。彼が考えるセレブへの道を爆走する…。
◆可愛い動物ものでありながら、スパイ映画好きをニヤリとさせる描写がニクい(50点)
小動物のモルモットが世界を救う意外性が楽しいスパイ・アクション。億万長者セイバーは、一般家庭のあらゆる家電製品を武器に変えてしまう邪悪なミッションで世界征服を計画していた。そんなセイバーに戦いを挑むのが特殊部隊のGフォース。彼らの正体は特殊訓練を施されたモルモットとモグラという小動物だった! リーダーでクールな天才ダーウィン、武器に精通する知性派ブラスター、セクシーでカンフーの達人フアレス、そしてドジな見習いルーキーのハーレーは、最強のチームワークで戦いに挑むが、彼らの前に危機が迫る…。
◆兄弟が乗る船の下には罪悪感という海が広がっていた(65点)
ロンドン三部作の最終章は、ささやかな野心と皮肉な運命を描く人間ドラマ。ビジネス界での成功を夢見る兄イアンと、ギャンブル好きの弟テリーは、小型クルーザーを購入し、カサンドラズ・ドリーム号と名付ける。イアンは恋人相手に分不相応な見栄をはりながらも、新生活を夢見ていた。だがギャンブルで大負けしたテリーが巨額の借金を背負ってしまう。兄弟は大金持ちの伯父ハワードに助けを求めるが、彼からとんでもない“頼みごと”を持ちかけられ……。
◆大いなる自然の前で人間とはなんとちっぽけで卑小な存在なのかということも思い知らされる(70点)
大自然の脅威と極限状況下のクライマーたちの姿を描く本格的な山岳映画だ。ベルリン五輪直前の1936年。ナチス政権は国家の威信を世界に示すため前人未到のアルプスの難所アイガー北壁のドイツ人初登頂を切望する。若き登山家のトニーとアンディは一流の登山家でさえ死に追いやる北壁への挑戦を決意。2人の幼馴染であるルイーゼは、新聞社の一員として彼らを取材することになる。トニーとアンディは他国の登山家と競いながら初登頂に挑むが、落石による負傷や悪天候から、想像を絶する状況へと追い込まれていく…。
◆物語が進むにつれて、暴力描写は決して得られない家族愛への慟哭に思えてくる(70点)
傷だらけの魂からヒリヒリした叫びが伝わってくる鮮烈な内容で、韓国映画のポテンシャルの高さを感じる映画だ。借金の取り立て屋のサンフンは母と妹を死に追いやった父を激しく憎み、周囲の人間に対して粗暴な振る舞いを繰り返す男。社会の底辺で生きるサンフンは、ある日、勝気で生意気な女子高生ヨニと出会い、不器用な付き合いを始める。ヨニもまた家庭に問題を抱えて悩みながら生きていた。互いの境遇はよく知らなくても心で引かれ合う二人だったが、ヨニの弟ヨンジェとサンフンが仕事でつながってしまってから運命が変わり始める…。
◆なぜこういうことになったのかと興味をそそる導入部は上手い(45点)
長い原作の児童文学のプロローグにすぎない部分に映画1本分を使う本作、贅沢なのか無駄なのかビミョーなところだ。ごく普通の家庭で育った16歳のダレン・シャンは成績優秀で家族に愛される平凡な少年。ある日、毒蜘蛛に噛まれた親友スティーブの命を救うため、バンパイアと取引したことから、半分人間、半分バンパイアのハーフ・バンパイアになってしまう。家族の元を去り、風変わりなサーカス一座に身を寄せバンパイア修行に励むダレンだったが、バンパイア対バンパニーズという因縁の抗争に巻き込まれてしまう…。
◆人との大切なつながりはマイルには換算できない。クルーニーの演技が味わい深い秀作。(85点)
敏腕リストラ宣告人のライアンは、面倒な人間関係を避け、効率良く人生を生きてきた。年間322日も出張しマイレージを貯めることが唯一の生きがいの彼だったが、ある日、ネット世代の新人ナタリーの教育係に任命される…。
◆「8 1/2」が創作に思い悩むフェリーニ自身を自虐的に投影したアート系ムービーの最高峰なら、「NINE」はその山に登るための優れたガイドブック(75点)
超豪華キャストのミュージカルは、全盛期のイタリア映画への敬意に満ちている。1964年のイタリア。世界的な映画監督のグイドは、新作映画のクランクインを前に、深刻なスランプ状態だ。脚本が1行も書けずにパニックになり愛妻のルイザに助けを求めるが、グイドには妻以外にも沢山の愛する女性が。全てを忘れさせてくれる愛人、魅惑的な主演女優、長年の親友の衣装係、若くて美人の記者、最愛の母親に果ては初めて男として目覚めさせてくれた娼婦まで。プレッシャーの中で苦悶するグイドは、多くの女たちの幻想に溺れていく…。