泣きたいときのクスリ - 福本次郎

哀しい時、切ない時、どうしようもない時、己の弱さを認めるのが嫌でつい我慢してしまう。喜怒哀楽をつい抑えてしまいがちになる日本人に、ストレートに感情を出していいんだよと声をかけるような語り口は優しさに満ちている。(40点)

 哀しい時、切ない時、どうしようもない時、涙を流したくなるほどつらいのに己の弱さを認めるのが嫌でつい我慢してしまう。電車の中で人目もはばからず号泣している男を見た周りの乗客が彼に違和感を覚える一方で、日常生活で泣けるほど心が動かされたことがないことに気づく。喜怒哀楽をつい抑えてしまいがちになる日本人に、もう少しストレートに感情を出していいんだよと声をかけるような語り口は優しさに満ちている。しかし、駅員や女子高生、ウエイトレスの演技があまりにも大げさで、映画を幼稚なものに貶めている。この作品の対象は中高生のレベルなのか、もう少ししみじみとした味わいを出さなければ大人が鑑賞するには物足りない。

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プライド - 福本次郎

成功を夢見る2人の歌手が激情をぶつけ合う。少女マンガ的なデフォルメの一方、オペラ歌唱や銀座のクラブといったディテールと絶妙に混ざり合い、美しいメロディの陰に潜む醜い部分を描きこむことで魅力を放つ世界を構築している。(70点)

プライド

© 2008プライド製作委員会

 そばにいると反発し、離れていると引かれあう。そんな2人は愛をめぐって憎しみを増幅させながらも、歌を介して才能は認め合っている。どん底から這い上がるためにプライドをかなぐり捨てた女と、育ちのよさから来るプライドゆえに後一歩を踏み出せない女。映画は成功を夢見る2人の歌手をめぐっておどろおどろしいまでの激情がぶつかり合う。それは、少女マンガ的なデフォルメの一方、オペラ歌唱や銀座のクラブといったディテールと絶妙に混ざり合い、美しいメロディの陰に潜む醜い部分を徹底的に描きこむことで独特の魅力を放つ世界を構築している。

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ヘルボーイ/ゴールデン・アーミー - 福本次郎

魔物でもエルフでも、見かけによらず心は人間と同じ。にもかかわらず理性より暴力的衝動が先に立ち、憎しみをたぎらせて敵対者を殺さずにはいられない。映画は異形の極秘捜査官の活躍を通じて、混迷する国際情勢をトレースする。(50点)

ヘルボーイ/ゴールデン・アーミー

© 2008 Universal Studios. ALL RIGHTS RESERVED.

 魔物であってもエルフであっても、見かけによらず心は人間と同じ。喜怒哀楽だけでなく、あるものは権力欲に取りつかれ、あるものは自己顕示欲が抑えきれない。もちろん愛する気持ちや義理人情も「人並み」に持っている。違うのは外見と特殊なパワーだけ。にもかかわらず理性よりも暴力的衝動が先に立ち、憎しみをたぎらせて敵対する者を殺さずにはいられない。映画は異形ゆえ隔離され超能力ゆえ警察では対処できない事件を担当する極秘捜査官の活躍を通じて、混迷する国際情勢をトレースする。

禅 ZEN - 福本次郎

心を清め無の境地にたどり着くまで思考を断ち、肉体を宇宙の一部と感じられるまで坐禅を組む。どんな苦境でも決して揺らがない主人公の清冽な生きざまは、社会不安を抱えた現代日本人に物質的な豊かさではない幸福の質を問う。(50点)

 悟りを開くためにただひたすら組む坐禅。心を清め無の境地にたどり着くまで思考を断ち、肉体を宇宙の一部と感じられるまで瞑想にふける。その先に得られるのは魂の平安。煩悩を取り除くことで世の中の出来事をあるがままに認めるようになる。戦乱相次ぐ鎌倉時代、どんな苦境においても決して揺らぐことのない主人公の清冽な生きざまは、社会不安を抱えた現代日本人に物質的な豊かさでは測れない幸福の質を問う。

ディザスター・ムービー!おバカは地球を救う - 福本次郎

映画からあふれ出るパワーはすべて悪ふざけの域を出ていない上、低級なギャグの連続には首をひねるばかりでコメディのセンスがまったくズレている。さすがIMDBの「サイテー映画100」のトップにランクされているだけのことはある。(20点)

 スーパーヒーローものからアクション、ラブストーリー、ミュージカルまで、最近のハリウッド映画のパロディだけで作品を完成させようとしているのは理解できるのだが、映画からあふれ出るパワーはすべて悪ふざけの域を出ていない。結果として笑うに笑えず、低級なギャグの連続に首をひねるばかり。出演者やスタッフが楽しんで作っている雰囲気はすごく伝わってくるが、コメディのセンスがまったくといっていいほどズレている。さすがIMDBの「サイテー映画 100」のトップにランクされているだけのことはある。

チェ 28歳の革命 - 福本次郎

常に弱者への思いやりを忘れない一方で、不屈の闘志と揺るがぬ信念で最前線に立つ。実話にこだわったエピソードとリアリティを追求した映像は感情が抑制されるが、革命の理想に燃えるゲバラの姿は永遠に色あせない輝きを放つ。(60点)

© 2008 Guerrilla Films,LLC?Telecinco Cinema, S. A. U. All Rights Reserved

 多くの人々の信頼を得、カリスマ的なリーダに必要なものは何なのか。常に弱者への思いやりを忘れない一方で、不屈の闘志と揺るがぬ信念で最前線に立つ。そして決して銃弾に当たらない強運。映画は、喘息の持病を持ち貧弱な装備から戦い抜き、富の再分配、圧政の打倒などの過程で、私利私欲に走らなかったからこそ現代の神話となった主人公の高潔な生き方を描く。あくまで実話にこだわったエピソードとリアリティを追求した映像は感情が抑制された苦難の道の連続であるが、革命の理想に燃える彼の姿は永遠に色あせない輝きを放つ。

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きつねと私の12ヶ月 - 福本次郎

清冽な空気が山を覆い、明るくなると共に風景が温度を持ち始める。空は高く、草木も色とりどりの表情を見せる。自然が豊かなフランスの山岳地帯、少女とキツネの四季にわたる交流を通じて、人間と野生動物のかかわり方を問う。(60点)

きつねと私の12ヶ月

© Bonne Pioche Productions-France 3 Cinema-2007

 夜明け。清冽な空気が山を覆い、徐々に明るくなると共に風景が温度を持ち始める。空はどこまでも高く、草原も木々も色とりどりの表情を見せる。そんな自然が豊かに残るフランスの山岳地帯、少女は1匹のキツネを見つける。映画は、彼らの四季にわたる交流を通じて、人と動物のかかわり方を問う。友情は許されるが、決して相手より優位に立とうとしたり束縛してはいけない。その掟を学ぶことで少女は成長していく。

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そして、私たちは愛に帰る - 福本次郎

探している人がすぐそばにいるのに、見つかったことに気付かない。ドイツからトルコ、3組の親子の運命が交錯し、死者の思いを継ぐことで新たな希望を見出していく過程を通じて、愛するものがいる人生のすばらしさを描く。(60点)

そして、私たちは愛に帰る

 探している人がすぐそばにいるのに、見つかったことに気付かない。ドイツからトルコ、バラバラだった3組の親子の運命が交錯しているのに、当事者たちは見えない壁に隔てられているよう。それでも、彼らの心の中には確かな絆が芽生え始めている。思うようにはならない厳しい生活と、突然の暴力で命を奪われた2 人の女。彼女たちの遺族が遺志を継ぐことで新たな希望を見出していく過程を通じて、愛するものがいる人生のすばらしさを描いていく。

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サーチャーズ2.0 - 福本次郎

ふと思いついたらノリで行動に移す。なんの準備もなく旅に出る2人の老人を通して、物語は俳優としてだけでなく人生でも主役になれなかった男たちの夢をかなえていく。道中交わされる会話が映画ファンのトリビア心を刺激する。(60点)

サーチャーズ2.0

© 2007 COWBOY OUTFIT, LLC PRODUCTION

 ふと思いついたら、その時のノリで行動に移してしまう。実際にはあり得ないようなシチュエーションなのに、映画ならばまかり通るのだ。なんの準備もなく旅に出る2人の老人を通して、物語は俳優としてだけでなく人生でもついに主役になることができなかった男たちの夢をかなえていく。観客は同行する娘だけ、それでも数十年前の恨みを返すという目的に彼らは意気軒昂だ。道中交わされる、映画が好きでたまらない彼らの会話が映画ファンのトリビア心を刺激する。

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ノン子36歳(家事手伝い) - 福本次郎

東京での生活に敗れ、疲れ果てたままいまだに立ち直れずにもがいている若くない女。そのきっかけを模索しているのに時間だけがダラダラと過ぎてゆく。そんな出戻りプータローの複雑な心境を坂井真紀が肩の力を力を抜いて好演。(60点)

 タレント活動をあきらめ、結婚にも失敗し、実家の家族ともうまくいかない。東京での生活に敗れ、疲れ果てたままいまだに立ち直れずにもがいている若くない女。そのきっかけを模索しているのに時間だけがダラダラと過ぎてゆく。周りからは甘ったれていると思われ、彼らの視線に耐えられずツッパった態度を取ってしまう。そんな出戻りプータローの複雑な心境を坂井真紀が肩の力を力を抜いて好演。そしてやっと巡ってきたはずの一筋の光明さえ脆くも崩れていく過程で、負けても負けても、人生はずっと続いていくことを教えてくれる。

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ティンカー・ベル - 福本次郎

華やかな仕事の陰には、下働きが欠かせないという単純な事実。もの作りの才能を与えられたヒロインが派手な仕事に憧れるあまり自分の天分を忘れる姿は、マネーゲームに走り製造業をおろそかにしてきた21世紀の米国への警鐘だ。(40点)

© Disney Enterprises, Inc. All rights reserved.

 花が咲き乱れ笑い声が耐えないおとぎ話の国は、まるでディズニーランドの「イッツ・ア・スモール・ワールド」のような世界。だが、妖精たちが住むその谷の環境は、もちろん魔法だけではなく地道な肉体労働によって支えられている。光や春を運ぶといった華やかな仕事の陰には、道具作りやメンテナンスが欠かせないという単純な事実。もの作りの才能を持つヒロインが派手な仕事に憧れるあまり自分の天分を忘れる姿は、マネーゲームという虚業に走り製造業を疎かにしてきた21世紀の米国への警鐘だ。

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その男ヴァン・ダム - 福本次郎

カネもなく、家族にも見捨てられ、仕事にも恵まれず、それでもプライドだけは高い、かつて一世を風靡したジャン=クロード・ヴァン・ダムの現状を描く。そこでは現実と虚構が交錯し、奇妙な緊張感とシニカルな笑いが入り交じる。(70点)

© 2008 GAUMONT-SAMSA FILM

 救出した人質の手を引きながら、銃弾をかわし爆発に乗じて逃げ道を探す男。武装したテロリストを徒手空拳で蹴散らし活路を見出そうとする。しかし、明らかにヒーローの動きにはキレがなく、激しいアクションの連続に息が上がっている。演じているのはジャン・クロード・ヴァン・ダム、寄る歳波には勝てず、長回しのシーンは無理と監督に愚痴っている。映画は彼の落ちぶれた姿にカメラを向け、カネもなく、家族にも見捨てられ、仕事にも恵まれず、それでもプライドだけは高い、かつて一世を風靡した俳優の現状を描く。そこでは現実と虚構が交錯し、奇妙な緊張感とシニカルな笑いが入り交じる。

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ミラーズ - 福本次郎

あらゆるものを左右逆に映す鏡はパラレルワールドへの入り口。普段は閉じられた扉が邪悪な意思によって開かれたとき、現実世界が歪められていく。鏡像が実像と違う動きをするなど非常に不気味で鏡の持つ魔力がよく描かれている。(40点)

© 2008 TWENTIETH CENTURY FOX

 あらゆるものを左右逆に映す鏡はパラレルワールドへの入り口なのか。普段は閉じられた扉が邪悪な意思によって開かれたとき、現実世界が歪められていく。炎に焼かれた犠牲者の無念が鮮明な記憶となって鏡に残されている廃墟となった火事現場で、主人公の感覚が鏡の中の異界からコントロールされていくさまは人間の心のもろさを象徴しているよう。ただ、鏡像が実像と違う動きをするなど非常に不気味で鏡の持つ魔力がよく描かれているだけに、B級ホラーの定番のような思わせぶりな演出が過剰でおどろおどろしい効果音も耳障りだ。

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永遠のこどもたち - 福本次郎

死病のせいで霊感を得た子供とその母親の葛藤を通じて、死者の世界をのぞき見ようとする。そこには死んだ者の後悔と生きている者が死者にしてやれなかったことの後悔が入り交じる。それは愛しているという気持ちを伝えることだ。(60点)

 この世に未練を残した霊はたくさんいるのに、それに気づく者はほとんどいない。届けたい思いがあるのに言葉にできず、ただ気配で知らせるだけ。先入観のない幼い息子は彼らを自然に受け入れることができるが、信じない母親にとっては恐怖でしかない。映画は死病のせいで霊感を得た子供とその母親の葛藤を通じて、死者の世界をのぞき見ようとする。そこには、死んだ者が生きているうちにできなかったことに対する後悔と、生きている者が死者にしてやれなかったことの後悔が入り交じる。それは恨みや怒りなどではなく、愛しているという気持ちを伝えることなのだ。

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K-20(TWENTY) 怪人二十面相・伝 - 福本次郎

全身黒装束に仮面、マントを翻して狙ったお宝を盗み出す。近過去の日本、身分が固定された社会で二十面相は何をなそうとしていたのか。現代格差社会への批判であることは明白だが、窃盗や破壊行為に走るのはどうしたことだろう。(30点)

© 2008「K-20」製作委員会

 全身黒装束に仮面、マントを翻して狙ったお宝を盗み出す。一方で変装の名人として他人になりきることも得意。近過去の日本、身分が固定された社会で二十面相は盗みを通じて何をなそうとしていたのか。そのあたりの物語の作りこみが不十分で、CGに頼ったレトロ風の街並みばかりが印象に残る。現代日本の格差社会への強烈な批判であることは明白なのだが、窃盗や破壊行為に走るしか能がないのはどうしたことだろう。結局、日本は戦争で負けるしか社会を根本的に変えることができないということなのか。

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