ツレがうつになりまして。 - 福本次郎

ツレを通じて晴子もまた成長していく姿がいとおしくなるほどの温かさに包まれた作品だ。(点数 50点)


(C)2011「ツレがうつになりまして。」製作委員会

痛かったり辛かったりといった肉体的な苦しさではなく、頭に霞がか
かって思考力が衰え何をするにも体がだるい。映画は、そんな夫と暮
らす妻の視線で、うつ病患者との距離の取り方を手探りで模索する。
薬で気分がよくなる日もあるが、些細な言動で落ち込むときもある。
不眠が続くと思えばひたすら眠ったりする。ただそっと見守るしかな
い、それでも夫婦ずっと一緒いられるささやかな喜びがそこには満ち
ている。

【ネタバレ注意】

この映画の批評を読む »

夜明けの街で - 福本次郎

もっと今の時代を感じさせてくれる新しさを見せてほしかった。(点数 40点)


(C)2011「夜明けの街で」製作委員会

恋のときめき、秘密を共有する愉しさ、ばれたらどうしようというス
リル。一方で、嘘をつき通さねばならない後ろめたさ。誰も傷つけな
いようにうまく立ち回っているつもりでも、結局はどこかで破たんし
てしまう危うさが端正なカメラワークで掬い取られる。映画はそんな
“不倫”の甘い地獄に堕ちた男の心の変化を軸に、一線を踏み越えて
しまった男と女の繊細な心情を描く。

【ネタバレ注意】

この映画の批評を読む »

レア・エクスポーツ - 福本次郎

真面目なシーンなのにおかしくてコミカルなはずがスベる、どこか笑いの的を絞らせない変化球に幻惑されている気分にさせてくれる。(点数 60点)


(C)CINET POMOR FILM LOVE STREAMS AGNES B. PRODUCTIONS DAVAJ FILM 2010

羊のような大きく曲がった角を持つ怪物が悪い子供の尻を叩く。本来
の姿が完全に忘れられ、今ではすっかりクリスマスにプレゼントを配
るおじさんのアイコンが定着したサンタクロース。映画は、サンタの
故郷・氷に閉ざされたフィンランドの奥地に残るサンタ伝説に、ホラ
ーと冒険の要素を加える。その奇想は独特のユーモアを交えながら、
真面目なシーンなのにおかしくてコミカルなはずがスベる、どこか笑
いの的を絞らせない変化球に幻惑されている気分にさせてくれる。

【ネタバレ注意】

この映画の批評を読む »

ラスト・エクソシズム - 福本次郎

次に何が飛び出すかわからない意外性と迫真のリアリティに背筋が凍るよう。(点数 50点)


(C) 2010 STUDIOCANAL & STRIKE ENTERTAINMENT

悪魔などいないとカメラの前で断言するエクソシスト。悪魔払いを必
要としている人のために実在するフリをするが、実際は巧妙に仕掛け
られた効果音や十字架から出る煙など、すべてがトリックであると種
を明かす。映画はエクソシズムの安易な流行に危惧を覚える聖職者が、
インチキのからくりを自ら暴露し、その過程を記録するカメラマンを
従えて悪魔払いを行ううちに、衝撃の真実に出会うまでを追う。

【ネタバレ注意】

この映画の批評を読む »

アクシデント - 福本次郎

もはや自身の判断にも自信が持てなくなっている様子がリアルだ。(点数 50点)


(C)2009 Media Asia Films(BVI)Ltd.All Rights Reserved.

偶然なのか必然なのか、一度芽生えた疑念は男の心を切り苛み、仲間
への信頼を蝕んでいく。真実は探せば探すほど遠ざかり、暗雲は制御
できないほどに大きくなっていく。事故に見せかけた謀殺を生業とす
る“仕事人”たちが、ある一言がきっかけで自滅していく様子が、ジ
リジリと炙られるような不快感を伴って描かれる。裏切り者が誰かは
わからず、信じられるのは己だけ。いや、もはや自身の判断にも自信
が持てなくなっている様子がリアルだ。

【ネタバレ注意】

この映画の批評を読む »

クイック!! - 福本次郎

危険を顧みないスタントとCGの完璧な融合は見事なエンタテインメントに昇華されていた。(点数 50点)


(C)2011 CJ E&M CORPORATION, ALL RIGHTS RESERVED

自動車やトラックの間を縫うように超速で激走し、ビルの屋上から屋
上を飛び移るバイク。そのめくるめくスピード感と浮遊感をリアルに
再現するカメラワークについ引き込まれてしまう。一方でトンネルの
壁を伝い、橋の上から電車に飛び移るなど曲芸走行まで披露する。犯
罪に巻き込まれた不運を嘆く主人公、バイクと爆弾、さらに列車とい
ったハリウッド映画のアイデアを借りながらも、素材を煮詰め危険を
顧みないスタントとCGの完璧な融合は見事なエンタテインメントに昇
華されていた。

【ネタバレ注意】

この映画の批評を読む »

DOG×POLICE - 福本次郎

警備犬訓練所という、ほとんどスポットが当たらない警察組織が新鮮だ。(点数 40点)


(C)2011「DOG×POLICE」FILM PARTNERS

わずかな火薬のにおいをかぎ分け、怪しい人物には容赦なく飛びかか
る。いまやテロリスト対策に欠かせない存在となった警備犬。映画は、
正義感ゆえについ暴走する若き警官と劣性遺伝で体力の劣る警備犬の
関係を通じ、本当の仲間とは、信頼とは何かを問うていく。一方で人
間と犬、規格に馴染まない者同士が固い絆で結ばれる中で強力な化学
反応を起こしていく姿が楽しめる。警備犬訓練所という、ほとんどス
ポットが当たらない警察組織が新鮮だ。

【ネタバレ注意】

この映画の批評を読む »

ファイナル・デッドブリッジ - 福本次郎

ホラーの定石を実践する見事な演出だった。(点数 60点)


(C)2011 NEW LINE PRODUCTIONS, INC.

ガラス片、蛍光灯、ヤカン・・・・・小道具が客席に飛び出してくる
オープニングは、この作品で扱う素材が3Dという表現法と抜群の親和
性を持つことを饒舌に物語る。それは銃弾や矢といった非日常の武器
ではなく、身辺にあるありふれたものが突然凶器となって襲いかかっ
てくる恐怖。今回もスリル満載のアイデアに最後まで息の詰まる思い
だった。

【ネタバレ注意】

この映画の批評を読む »

リミットレス - 福本次郎

脳の働きを100%活性化させる魔法のクスリを服用した男が経験する成功と没落、愛と苦悩を通じて浅はかな人間の欲望を描く。(点数 50点)


(C)2011 RELATIVITY MEDIA.

感覚が研ぎ澄まされ、あらゆる刺激に対して敏感になり、目や耳から
入る過剰な光と音が蓄積され高速で処理される。過去の経験を細部ま
で思い出し、今起きている事象から未来を正確に予測する。かつて体
験のない全能感に浸る主人公の主観映像は、異次元を疾走しているよ
うなスピードと色彩。それはまさに、「見るトリップ」、脳内の情報
伝達が加速する様子がスタイリッシュにビジュアル化されている。映
画は、脳の働きを100%活性化させる魔法のクスリを服用した男が経験
する成功と没落、愛と苦悩を通じて浅はかな人間の欲望を描く。

【ネタバレ注意】

この映画の批評を読む »

エンディングノート - 福本次郎

死ぬ間際でさえ己の感情よりも迷惑をかけないように心掛けるのは周囲の人々を愛していた証拠。(点数 80点)

人物に焦点を当てたドキュメンタリーは、作り手がどれだけ対象に踏
み込めるかが命。その点、実の娘が父の最期を看取るこの作品は圧倒
的なアドバンテージを持っている。ところがディレクターはそこに胡
坐をかかず父親の人生に深く切り込み、巧みな編集で涙と笑いを兼ね
備えた見事なエンタテインメントに昇華させている。撮られる側の父
も、娘に対する小恥ずかしさと、レンズを介するからこそさらす顔の
両面を見せ、少し意識した表情の中、自分がどう映るかを気にする様
子が微笑ましい。

【ネタバレ注意】

この映画の批評を読む »

幸せパズル - 福本次郎

甘酸っぱい余韻を残す。(点数 60点)

愛されてはいるが尊敬はされていない。感謝はされているが理解はさ
れていない。夫と2人の息子の世話に明け暮れそれなりに充実した人生
を送っていたヒロインが、ふとした瞬間に自分の存在意義を問い始め
る。物語は幸福な隷属に甘んじている専業主婦が味わう束の間の自由
と、その変化に対応しきれない男たちの戸惑いを描く。ヒロインの繊
細な胸の内をマリア・オネットがミニマルな感情表現で演じ、甘酸っ
ぱい余韻を残す。

【ネタバレ注意】

この映画の批評を読む »

さすらいの女神たち - 福本次郎

ひねくれた思考回路が彼のキャラを際立たせていた。(点数 40点)


(C)Les Films du Poisson – Neue Mediopolis Filmproduktion – ARTE France Cinema – WDR/ARTE – Le Pacte – Film(s)

垂れ気味の巨大な乳房とでっぷりと脂肪がついた腰回り、およそダン
サーのイメージとは程遠い踊り子が贅肉を波打たせながらステージで
体をくねらせる。セクシーとは対極にある彼女のパフォーマンスは、
むしろ“怖いもの見たさ”に近い物珍しさで興味をそそる。それは鍛
え上げた肉体では表現できない人間の“ナマの姿”、食欲に忠実で自
然に年を取った中年女の現実が垣間見える。映画はフランス各地を巡
業して回る米国のバーレスクダンサーと彼女たちのマネージャーの日
常を切り取り、生きるために必要な心のゆとりを見つけ出していく。

【ネタバレ注意】

この映画の批評を読む »

セカンドバージン - 福本次郎

恋に悩むるいの表情は美しい。(点数 40点)


(C)2011 映画「セカンドバージン」製作委員会

すべてを失って人生のどん底に突き落とされた男を励まそうとする女。
その、元気づけようとする態度が明るいほど、男のプライドは傷つき
重荷になっていく。そんな、家庭を持てず仕事一筋に生きてきたヒロ
インには人の痛みに鈍感で、それが17歳も年下の恋人には耐えられな
い。映画は年齢の離れたカップルのすれ違いを通じて、世代的な価値
観が異なる者同士が愛し合うことの難しさを描く。会社では有能でも
男女の機微には疎い中年女の一途な愛が痛々しい。

【ネタバレ注意】

この映画の批評を読む »

スリーデイズ - 福本次郎

些細なミスも命取りになる緊迫感がスクリーンからあふれ出す。(点数 50点)


(C)2010 Lions Gate Films Inc. All Rights Reserved.

愛する妻は絶対に無実、その思いだけが男を支え、狂気にも似た信念
が彼を暴力にまみれた世界にいざなっていく。それは彼にとっての正
義。法と権力の前では無力でも、アイデアと実行力、情報とカネ、そ
して引き返さない覚悟を決めて自分の土俵に持ち込めば国家を相手に
しても恐れる必要はない。映画は、身に覚えのない罪で濡れ衣を着せ
られた妻を救いだそうとする主人公の執念を描く。

【ネタバレ注意】

この映画の批評を読む »

僕たちは世界を変えることができない - 福本次郎

純粋な若者の思いを応援したくなる作品だった。 (点数 50点)


(C) 2011「僕たち」フィルムパートナーズ

満ち足りているけれど何かが足りない。不満はないが期待していた学
生生活とは違う。そんな、人生に違和感を覚えている若者が確かな手
ごたえを求めて疾走する姿は好感が持てる。世界を変えようなどと思
い上るのではなく、ほんのわずかでもいいから足跡を残したいという
身の丈に合った願望。それでも、一度決めた以上は最後まであきらめ
ずにゴールを目指す姿勢が素晴らしい。資金集めの困難の中で、己を
信じ仲間と助け合う大切さをこの映画は教えてくれる。

【ネタバレ注意】

この映画の批評を読む »

【おすすめサイト】