© 2010「アウトレイジ」製作委員会
◆裏切りと駆け引き、ハッタリとだまし合い、銃弾と血がシュールなアートのように飛び交い、男たちの凄惨なバイオレンスがスクリーンを覆う。カネと権力というストレートな欲望をむき出しにしたヤクザの行動様式は潔さすら覚える。(60点)
子分から親分、その上の大親分まですべてが腹に一物をもつ。油断しているとハメられ、弱点を見せると付け入られる。あらゆる権謀術数が渦巻く中、任侠や男気といった義理人情は微塵もない。誰が悪党で、誰が本当の悪党で、誰が一番の悪党か。裏切りと駆け引き、ハッタリとだまし合い、銃弾と血がシュールなアートのように飛び交い、男たちの凄惨なバイオレンスがスクリーンを覆う。カネと権力をひとり占めにしたいというストレートな欲望をむき出しにしたヤクザの行動様式はある種の潔さすら覚える。
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Iron Man 2, the Movie: © 2010 MVL Film Finance LLC. Iron Man, the Character: TM & © 2010 Marvel Entertainment, LLC & subs. All Rights Reserved.
◆電気鞭をしならせてレースカーをぶった斬るミッキー・ロークと、しなやかな身のこなしで屈強な男たちをぶちのめすスカーレット・ヨハンソン。魅力的な敵役と謎の美女という新たな登場人物を得て、主人公は追い詰められていく。(60点)
半裸の上半身にエネルギー発生装置を身につけた上に高圧電流が流れる鞭をしならせて、復讐を誓った男を演じるミッキー・ロークがいかにもロシアの荒くれ者の雰囲気を醸し出す。一方、黒いボディスーツに身を包み、打撃から関節技まで蛇のようなしなやかな身のこなしで屈強な男たちをぶちのめしていくスカーレット・ヨハンソンは、さながら高度に洗練された戦闘マシン。数多のスーパーヒーローものの続編の定石通り、魅力的な悪役と謎の美女という新たなキャラクターを得て、主人公は追い詰められていく。
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© 2010「孤高のメス」製作委員会
◆医学に対する真摯な使命感に支えられた主人公はまさに絵にかいたようなヒーローだ。彼の、患者の命を救うためには法を犯すことも厭わずあくまで自分の信念を曲げない誠実無私な生き方は、カッコよすぎて非の打ちどころがない。(70点)
抜群の腕前と知見を持つのに人当たりは柔らかい。難しい手術に率先して挑むのに功名心とは無縁。ただ、医学に対する真摯な使命感に支えられた主人公は、女だけでなく男も惚れる、まさに絵にかいたようなヒーローだ。さらに看護師・助手などの尊敬を一身に集めても絶対に謙虚な態度を崩さない一方で、患者の命を救うためには法を犯すことも厭わず、あくまで自分の信念を曲げない過程はカッコよすぎて非の打ちどころがない。映画は1人の看護婦の目を通して、医師の本分を貫き通した男の誠実無私な生き方に迫る。
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© 2009 Brothers Production, LLC. All Rights Reserved.
◆懊悩が深く静かに確実に胸の奥に巣食っていく姿を、トビー・マグワイヤは、大きく見開いた目で演じる。その上で頬がこけ指輪が回るくらいやつれた肉体をさらすという外見的な変化を見せ、言葉にできない苦悩を饒舌に表現する。(60点)
戦場での過酷な経験が帰還兵の精神を蝕んでいく。生きて妻子のもとに帰れた喜びよりも、自らの手を血で染めた記憶が重く彼の心にのしかかる。“国に命を捧げた英雄”が決して言えない秘密を抱え、懊悩が深く静かにかつ確実に胸の奥に巣食っていく姿を、トビー・マグワイヤは、大きく見開いた目で演じる。その上で主人公のトラウマを、げっそりと頬がこけ指輪が回るくらいまでやつれた肉体をさらすという実際に身を削った外見的な変化で見せ、言葉にできない苦悩を饒舌に表現する。
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告白 - 福本次郎
© 映画「告白」フィルムパートナーズ
◆あらゆる表現術を駆使して心理的リアリティを追求した映像は衝撃に満ち、一瞬の気の緩みを許さない緊張感を孕む。その強烈な磁力は、すでに原作を読んで物語を知っているものでさえスクリーンにくぎ付けにするほど圧倒的だ。(80点)
ブルーを基調にした無機質なトーンは人間の心の闇を象徴し、「罪を憎んで人を憎まず」の建前を徹底的に否定する。少年法によって罪に問われない年齢の少年であっても確実に邪悪の芽を成長させ、ちっぽけな自己顕示欲を満足させるという歪んだ理由で確信犯で他人を殺そうとする。様々な角度から撮影された短いカットを積み重ね、強調と省略、アップを遠景など、あらゆる表現術を駆使して心理的リアリティを追求した映像は衝撃に満ち、一瞬も気の緩みを許さない緊張感を孕む。その強烈な磁力は、すでに原作を読んで物語を知っているものでさえスクリーンにくぎ付けにするほど圧倒的だ。
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© 2010 New Line Productions, Inc. and Home Box Office, Inc.
◆華やかな消費を送ることが生きている証のようなヒロインが、欲望のおもむくままに暴走し、アブダビにまで飛んで傍若無人の限りを尽くす。人生を貪欲に迷いなく楽しもうとする突き抜けた哲学はもはや見事としか言いようがない。(40点)
どれほど景気が後退しようとも摩天楼の輝きはまったく色あせず、世界の中心としての魅力を放ち続けるニューヨーク。そこで、高級車に乗りコンドミニアムに住み華やかな消費を送ることが生きている証のヒロインが、欲望のおもむくままに暴走する。あまりにもバブリーなゲイカップルの結婚式に始まり、家事をまったくせずファッション誌のグラビアのような暮らし、さらに今回は中東・アブダビにまで飛んで傍若無人の限りを尽くす。わがままし放題なのに周りはひれ伏す、そんな彼女を見て同性の観客は日ごろのうっぷんを晴らし、溜飲を下げているのだろうか。
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© 2008 Big House / Vantage Holdings. All Rights Reserved.
◆平和な家族が運命に翻弄される過程で、北朝鮮の食糧難をリアルに再現。働けない者は見捨てられ、体制に不満を持つ者には収容所が待っている。その先にあるのは絶望と死、それでも生き延びようとする人間の強さには敬服する。(80点)
ロクに食べずに炭坑で働いているのに、成長期の子供の食事に事欠き病気の妻に薬も買ってやれない。決死の思いで国境を越えても公安の目に脅えて暮らす日々。いつか家に帰ろうという希望だけが男を支えている。しかし、彼の知らぬ間に息子は想像以上に過酷な環境で重労働を強制されている。映画は、平和な家族が運命に翻弄される過程で、国民を満足に食べさせられない北朝鮮の生活をリアルにあぶりだす。働けない者は見捨てられ、体制に不満を持つ者には収容所が待っている。その先にあるのは絶望と死、それでもなんとか生き延びようとする人間の強さには敬服する。
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殺人犯 - 福本次郎
© 2009 UNIVERSAL STUDIOS & HERO FOCUS GROUP LIMITED & SIL-METROPOLE ORGANIZATION LTD. ALL RIGHTS RESERVED.
◆主人公の不安定な精神を延々と再現するという、あまりに手垢のついた表現にウンザリしているときに突然投げ出される衝撃の真実。どんでん返しとはまさにこの展開、禁じ手スレスレのまったく予想外のオチに思わず膝を打った。(50点)
「もしかして」という疑念と「そんなはずはない」と否定する声が胸の奥で共鳴する。同僚が悲惨な目にあった現場で気を失っていた刑事が、捜査を続けるうちに犯人は自分ではないかという疑いを持ち始める。記憶喪失、妄想、悪夢…、謎が新たな謎を呼ぶ迷宮の中で立ち往生し、途方に暮れる彼の心理状態は壊れそうなほどデリケートに過剰反応していく。映画は、そんな主人公の不安定な精神を延々と再現し、今はやりのサイコホラーの様相を呈していく。そのあまりに手垢のついた表現にウンザリしているときに突然投げ出される衝撃の真実。どんでん返しとはまさにこの展開、禁じ手スレスレのまったく予想外のオチに思わず膝を打った。
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© 2010「ヒーローショー」製作委員会
◆お笑い芸人を目指していたのに、周囲に流される主人公が殺人事件に巻き込まれる中で、少しだけ成長していく過程がもどかしくも共感を呼ぶ。真剣に生きるというのは、みっともなくても汗を流して働く態度であることを学んでいく。(50点)
何をやっても中途半端な青年が、命の危険にさらされたときに初めて決然とする。それは人生と真摯に対峙すること。お笑い芸人を目指していたはずなのに、周囲に流されてしまい、その一方で新しい道に進むのは不安で仕方がない。そんな主人公が殺人事件に巻き込まれる中で、少しだけ成長していく過程がもどかしくも共感を呼ぶ。一種のストックホルム症候群の中で、彼は真剣に生きるのはみっともなくても汗を流して働き、愛する者のために闘うことをいとわない態度であると学んでいく。
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© BOX製作プロジェクト2010
◆日々、執行官の足音に脅えながら拘置所で朝を迎える死刑囚のみならず、判決を下した裁判官の人生も狂わせていく死刑制度。心理的に追い詰められた状況で自白を強要されていく恐ろしさが、生理的なリアルさをもって描かれる。(60点)
警察の思い込み捜査、刑事による拷問のような取り調べ、さらに検事による高圧的な尋問。公権力の前では一個人はこれほどまでに無力で、魂ですら打ち砕かれていくものなのか。映画は、袴田事件は冤罪・捏造という仮説にたち、人を裁き人の命を奪う判決を出すことがいかに葛藤をともなうものであるかを物語る。日々、執行官の足音に脅えながら拘置所で朝を迎える死刑囚のみならず、判決を下した裁判官の人生も狂わせていく死刑制度。心理的に追い詰められた状況で自白を強要されていく恐ろしさが、生理的なリアルさをもって描かれる。
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© Disney Enterprises, Inc. and Jerry Bruckheimer, Inc. All rights reserved.
◆放たれた矢を足場にして城壁を這いあがった青年が、砦の中ではロープを使って空間を立体的に使ったアクションを見せる。短いカットを積み重ね、破壊と混乱の中で剣を振り回して敵をなぎ倒す主人公のスピード感に圧倒される。(50点)
ほこりの舞うスラム街で少年が軒に登り屋根の上を走るかと思えば、血気にはやる青年が石弓から放たれた矢を足場にして城壁を這いあがる。さらに砦の中ではロープを使って空間を立体的に使ったアクションを見せる。短いカットを積み重ね、破壊と混乱の中で剣を振り回して敵をなぎ倒す主人公のスピード感に圧倒される。後半にはフックのついた鞭、手裏剣、毒蛇まで駆使する暗殺団が登場、彼らとの死闘は変化と意外性に富み、映像の疾走感は最後まで衰えない。
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© 2010「座頭市 THE LAST」製作委員会
◆ただ歩いているだけなのに他のキャラクターが卑小に思えてしまう仲代達矢の圧倒的な存在感は、この映画の主人公がいったい誰なのかを忘れさせてしまうほど。しかし、平板な描き方のエピソードの連続には退屈を禁じえなかった。(40点)
宴の準備で大勢の使用人が忙しく立ち働く屋敷の空気が、親分の登場で一瞬にして凍りつく。歩いているだけなのにスクリーンに映る他のキャラクターが卑小に思えてしまう仲代達矢の圧倒的な存在感は、この映画の主人公がいったい誰なのかを忘れさせてしまう。さらに、敵対する組織の親分を前にした魚の刺身についての口上は、大見得を切るように恐ろしく芝居がかっていて、壮大な物語が待ち受けているような期待を抱かせる。しかし、残念ながら仲代に対抗しうるほど印象に残った出演者は民間医に扮した原田芳雄のみで、平板な描き方のエピソードの連続には退屈を禁じえなかった。
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© 2010「RAILWAYS」製作委員会
◆エリート人生に倦んだ男が子供のころの夢を追う姿は、「人はどう生きるべきか」という指針を示す。映画は新しいことを始めるのに年齢を問題にするのは言い訳に過ぎず、やる気があれば大抵の目標は叶うことを教えてくれる。(50点)
電車が動き出すと、前方の窓から順番に1枚ずつ灯りがともるように車内に日光が差し込むシーンが、幻想的な美しさをともなって見る者を物語にいざなう。エリート人生に倦んだ男が子供のころに憧れた夢を追うために会社を辞めチャレンジする姿は、「人はどう生きるべきか」という指針を示し、新しいことを始めるのに年齢を問題にするのは言い訳に過ぎず、やる気があれば大抵の目標は叶えられるとこの映画は教えてくれる。住宅地から海岸沿い、そしてのどかな田園風景に敷かれた単線レールの上を走るクラシカルな電車が、郷愁と共に古いモノを大切にする気持ちを呼び起こす。
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© あの夏の子供たち
◆大げさな演技で苦悩を表現するわけでもなく、センチメンタルな音楽で感情を押し付けるわけでもない。経営者で家長である主人公の日常と死、そして残された妻子や同僚を淡々とスケッチし、人物の心理を想像させる余白を残す。(60点)
ひっきりなしに鳴るケータイに応える男がパリの雑踏を颯爽とかき分ける姿が多忙ぶりを象徴し、娘たちをかわいがり妻のご機嫌をとる週末は深い愛を示す。ビジネスマンとしての一面と父親としての顔、どちらもエネルギッシュで魅力的な男は、経営者であり家長であるがゆえに胸中をだれにも打ち明けられない。映画は大げさな演技で苦悩を表現するわけでもなく、センチメンタルな音楽で感情を押し付けるわけでもない。主人公の日常と死、そして残された妻子や同僚を淡々とスケッチし、登場人物の心理を想像させる余白を残す。
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© 2010 BOX! Production Committee
◆試合の2分間をワンカットで撮影する離れ業を見せ、演じている俳優たちもリアリティを出すために過酷なトレーニングを積んできたことを証明する。物語の虚構の中でも、彼らが流した汗と息遣い、パンチは本物の迫力があった。(60点)
2人のボクサーが休む間もなく拳を交わす。両者とも一歩も引かず、顔面からボディとスタミナの続く限りパンチを繰り出す。カメラはその激闘の一部始終を、赤コーナーの上からニュートラルコーナーに移動し、さらにボクサーたちに迫るかと思えば引くという、前後左右上下へと流麗な動きでとらえる。李闘士男監督は、主人公とライバルの試合の第2ラウンドの2分間をワンカットで撮影する離れ業を見せ、俳優もまたリアリティを出すために積んできた過酷なトレーニングを実演する。物語の虚構の中でも、彼らが流した汗と息遣い、そして渾身の力を込めたパンチは本物に近い迫力があった。
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