湾岸ミッドナイト THE MOVIE - 福本次郎

深夜の首都高速湾岸線、時速180キロを超す世界でドライバーが体感するものは究極の陶酔と死と隣り合わせのスリル。そんな魔力に憑りつかれた高校生が、伝説のスポーツカーを手に入れて走らせ、生きることの真実に迫っていく。(50点)

湾岸ミッドナイト THE MOVIE

© 楠みちはる/講談社・「湾岸ミッドナイト THE MOVIE」製作委員会

 深夜の首都高速湾岸線、一直線に伸びる3車線の道路は走り屋たちの天国。そこにはスピードに魅入られ、競走相手をぶっちぎることでしか自分の存在意義を見いだせない人間が夜な夜な集まってくる。ポルシェ、フェアレディZ、フェラーリ、スカイラインGTR…。時速180キロを超す世界で彼らが体感するものは究極の陶酔。死と隣り合わせのスリル、そして周囲の羨望と驚きの視線を浴びる快感が麻薬のように病みつきになる。そんな魔力に憑りつかれた高校生が、伝説のスポーツカーを手に入れて走らせ、生きることの真実に迫っていく。

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TAJOMARU - 福本次郎

友情が欲望に蝕まれ、信頼が憎しみの虜になり、愛が苦悩に姿を変える過程で、権力と財産を前に陰謀と裏切りが複雑に交叉する。緑深い幽玄の森の奥で繰り広げられる男女の会話が、深層心理をのぞき見るような緊迫感を醸し出す。(50点)

TAJOMARU

© 2009「TAJOMARU」製作委員会

 友情が欲望に蝕まれ、信頼が憎しみの虜になり、愛が苦悩に姿を変える。権力と財産を前に、陰謀と裏切りが複雑に交叉し、まっすぐに進もうとする者の思いは踏みにじられる。映画は高貴な家系に生まれた若者がたどる波乱万丈の人生を背景に、自由に生きるのは己の信念を貫き通すということであると訴える。緑深い幽玄の森の奥で繰り広げられる男女の会話が、深層心理をのぞき見るような緊迫感を醸し出し、先の読めない展開は乱世の人々の暮らしを象徴しているようだ。

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プール - 福本次郎

そのプールの水は清潔で底まで透き通っているが、周りに集う人々は決して飛び込もうとはせず、浅い部分に足をつけるだけ。それは、心を閉ざしているわけではないのに、他者との関係に深入りしようとはしないヒロインの象徴だ。(50点)

プール

© プール商会

 そのプールの水は清潔で底まで透き通っている。しかし、周りに集う人々は決して飛び込もうとはせず、浅い部分に足をつけるだけ。それは、別に心を閉ざしているわけではないのに、誰もが他者との関係に深入りしようとはしないこの作品の登場人物を象徴している。せっかく日本からはるばるタイまで母に会いに来たのに距離を縮められない娘、娘の気持ちを知りながらもなお自分の生き方を変えない母。実の親子といえども所詮は他人、理解し合えないとわかっているからこそ傷つくのを恐れて相手に深く踏み込まないのだ。

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BALLAD 名もなき恋のうた - 福本次郎

◆人間の営みを見守ってきた大きなクヌギの木。世の中は変わっても、人の思いを静かに受け止め後世に語り継いでゆく。映画は戦国時代の武将と姫の恋を通じて、勇ましく死ぬより、信義を守りつつ生き抜くことの大切さを訴える。(50点)

 四百数十年の間、人間の営みを見守ってきた大きなクヌギの木。世の中は変わり、文明は進歩しても、人の思いを静かに受け止め後世に語り継いでゆく。映画は戦国時代の武将と小大名の姫の恋を通じて、勇ましく死ぬより、信義を守りつつ生き抜くことの大切さを訴える。戦に明け暮れた若者たちに現代の視点から焦点を当てて細かい矛盾を帳消しにし、むしろ少年とその両親が過去にタイムスリップするなどという安っぽい設定が、心のままに生きられなかった当時の人々の心情を浮き彫りにする。

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サブウェイ123 激突 - 福本次郎

短いカットとアップを多用し、常にカメラの位置を移動させるクールな映像は、人質救出までのタイムリミットともにをスピード感を盛り上げる。犯人と地下鉄職員の駆け引きがさらなる緊張感を際立たせ、映画は最後まで疾走する。(50点)

サブウェイ123 激突

 短いカットをつなげ、アップを多用し、常にカメラの位置を移動させるクールでスタイリッシュな映像は、人質救出までのタイムリミットとともにをスピード感を盛り上げる。地下鉄ハイジャック犯と地下鉄司令部職員の無線によるチキンゲームのような駆け引きがさらなる緊張感を際立たせ、映画は青信号のレールの上を暴走する車両のような疾走感とともに最後まで突っ走る。善人の皮をかぶった偽善者である主人公が、それを無理やりはがされたときに見せる苦悩と、罪を認めることで吹っ切れ、贖罪の戦いに身を投じる姿が物語に奥行きを持たせる。

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幸せはシャンソニア劇場から - 福本次郎

◆雪化粧をほどこした石畳、背景にエッフェル塔を従えたメトロの駅、狭い階段と肩を寄せ合うように立つアパルトメント。名もなき下町で寝起きし、そこで働く人々の、人生そのものが凝縮されたようなパリの香りが強烈に漂ってくる。(70点)

 うっすらと雪化粧をほどこした石畳、背景にエッフェル塔を従えたメトロの駅、狭い階段と肩を寄せ合うように立つアパルトメント。名もなき下町、そこで寝起きしそこで働く人々の、人生そのものが凝縮されたようなパリの体温が強烈に伝わってくる。それはお高くとまった香水の匂いではなく、庶民の労働が発する体臭ような泥臭さ。映画は夢と友情、恋と家族といった人情味あふれる人間模様を描きつつ、戦争とファシズムの影におびえるパリジャンたちの姿を活写する。彼らが演じる大衆芸能は文化の香りすら漂わせ、どんなに貧しくても心の余裕を失わないフランス人の誇り高さを感じさせる。

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パティ・スミス:ドリーム・オブ・ライフ - 福本次郎

「人生とは、人が自分で作り上げる冒険」。破壊と創造を繰り返し、常に斬新さを求め続けてきたヒロイン。時代の変革し、刺激を吸収し、作品として昇華する。自らのスタイルを貫き通した女性ロックシンガーの生きざまを再現する。(40点)

 「人生とは、人が自分で作り上げる冒険」。その言葉通り、破壊と創造を繰り返し、常に斬新さを求め続けてきたヒロイン。時代の変革を象徴するような人物に近付き、刺激を吸収し、作品として昇華する。決して衆愚におもねることなく自らのスタイルを貫き通してきた女性ロックシンガーの生きざまを、膨大な映像と写真で再現する。しかし、カラーとモノクロが交互につなぎあわされたフィルムは全く前後の脈絡がなく、詩的な言葉で語られる禅問答のような独白が、彼女を常人の理解が及ばない異人種のような趣にする。

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九月に降る風 - 福本次郎

クラスも学年も違う7人の少年たちは共通の目的に向かって力を合わせているのではなく、無為に過ごす時間を仲間と共有しているだけだ。友情にひびが入り、決定的な決裂ののちそれぞれが自らの道を選んでいく過程での成長を描く。(50点)

九月に降る風

© 2008 Mei Ah Entertainment Group

 クラスも学年も違う7人の少年たち。学校でも放課後でもいつもつるんでいる。しかし、彼らは共通の目的に向かって力を合わせているのではなく、ただ無為に過ごす時間を仲間と共有しているだけだ。特に主人公となる少年は青春のきらめきや恋の苦悩も控えめで、むしろストイックなまでに内向的。その一方で些細なことで傷つき壊れる関係は、若さゆえのエネルギーの爆発というより、微妙なこじれを根に持つという非常にウエットな感情。7人の友情にひびが入り、決定的な決裂ののちそれぞれが自らの道を選んでいく過程で少年たちの成長を描く。

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ゴー・ファースト 潜入捜査官 - 福本次郎

狂気にも似た激情を秘めた男が潜入捜査官として麻薬組織に入り込む。主人公を演じるロシュディ・ゼムの獲物を狙う野犬のような顔が強烈。危険に身をさらすことにしか生きる実感を見いだせない男の性が悲しみを伴って描かれる。(60点)

 一つ間違えば暴走しかねない短気と、惨殺された親友の復讐に燃える執念。狂気にも似た激情を秘めた男が潜入捜査官となって麻薬密売組織に入り込む。主人公を演じるロシュディ・ゼムの獲物を狙う野犬のようなクセのある険しい顔が強烈。拳銃の解体と組み立てに始まり、射撃、水泳、車の運転などの技術研鑚を積んだ挙句、真夜中にたたき起こされて手錠をはめられたまま川に放り込まれるなど、非常にハードな訓練に耐えるシーンが印象的だ。犯罪者と戦う使命感以上に、危険に身をさらすことにしか生きる実感を見いだせない男の性が深い悲しみを伴って描かれる。

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20世紀少年<最終章>ぼくらの旗 - 福本次郎

「ともだち」とはいったい誰なのか。マスクを脱ぐ途中、少年時代の彼がお面を外そうとする瞬間、カメラのアングルは変わり、素顔は終盤まで明かされない。それらのシーンは思わせぶりに何度も繰り返され、そのしつこさにはうんざり。(40点)

20世紀少年<最終章>ぼくらの旗

© )1999,2006 浦沢直樹 スタジオナッツ/小学館 © 2009 映画「20世紀少年」製作委員会

 「ともだち」とはいったい誰なのか。眼の中に人差し指を立てた手を図案化したマスクを脱ぐ途中、少年時代の彼がお面を外そうとする瞬間、カメラのアングルは変わり、素顔は終盤まで明かされない。それらのシーンは思わせぶりに何度も繰り返されるが、そのしつこさにはうんざり。「世界大統領」として君臨する「ともだち」の暴走を止めようとするレジスタンスグループの活躍を描くのかと思いきや、映画は「ともだち」の正体予想に終始する。未来の東京を鳥瞰する CGや細密に再現された60年代の町並みだけが見どころで、そこにはアクションの興奮や謎解きの楽しみはない。さらに無駄に長い上映時間が退屈という苦痛を強いる。

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グッド・バッド・ウィアード - 福本次郎

強盗と殺し屋、そして彼らを追う賞金稼ぎが一直線に走る列車を狙う。さらに馬賊や日本軍まで加わり壮絶な銃撃戦が繰り広げられる。砂埃を上げながら疾走し銃弾を撃ちまくる映像は圧倒的なパワーにあふれ、最後まであきさせない。(60点)

グッド・バッド・ウィアード

© 2008 CJ ENTERTAINMENT INC. & BARUNSON CO., LTD. ALL RIGHTS RESERVED

 拳銃をやたらぶっ放す強盗と凄腕の殺し屋、そして彼らを追う賞金稼ぎが、地平線の果てまで引かれたレールの上を一直線に走る列車を狙う。さらに跳梁跋扈する馬賊に日本軍まで加わり、壮絶な銃撃戦が繰り広げられる。「続・夕日のガンマン」を下敷きに、馬とオートバイ・車両が入り乱れ、混沌の中で男たちが命がけのゲームを演じる様は、タランティーノやルーカス、スピルバーグのテイストまで踏襲する。荒涼とした大地、盗賊や一攫千金を目指す流れ者、怪しげな闇市に息づく香具師、荒くれ者が支配する日本影響下の満州はマカロニウエスタンの無法地帯そのもの。砂埃を上げながら疾走し銃弾を撃ちまくる映像は圧倒的なパワーにあふれ、最後まであきさせない。

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南の島のフリムン - 福本次郎

オチが読めるベタなボケだけでなく、意外なオチの新鮮なネタまで惜しげもなく詰め込まれたサービス精神と、沖縄人独特のおおらかな感性をデフォルメした上に、彼らの神秘的な底力まで見せようとするパワーは最後まで衰えない。(70点)

南の島のフリムン

© 2009 吉本興業株式会社

 絶妙のボケに思わずツッコミを入れてしまい、スクリーンと相対してゴリをはじめとするひと癖もふた癖もある強烈な個性の登場人物と漫才をしているような楽しい気分にさせてくれる。オチが読めるベタなボケだけでなく、意外なオチの新鮮なネタまで惜しげもなく詰め込まれたサービス精神はまさに芸人魂。沖縄人独特の物事や時間に対するおおらかな感性をデフォルメした上に、沖縄の持つ神秘的な底力まで見せようとするゴリのパワーは最後まで衰えず、一時も画面から目が離せない。

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女の子ものがたり - 福本次郎

友達だからこそ大切にし、友達だからこそ嫉妬し、友達だからこそ夢を託す。まっすぐな思いと捩れた感情を繊細に使い分け、小学校から大人になるまでの時間を共にした3人の女の子の人生と友情をしみじみとしたトーンで描き出す。(70点)

女の子ものがたり

© 2009西原理恵子・小学館/「女の子ものがたり」製作委員会

 しょぼい田舎街を出られずにしょぼい生活を送る人々。男たちは身勝手で、女たちは男に振り回される。そこから抜け出す方策も度胸もなく、ただなんとなく日々が過ぎていく。そんな大人たちの間で育ったヒロインが、同じような環境の友人と過ごすうちに唯一の希望となって故郷を後にする。友達だからこそ大切にし、友達だからこそ嫉妬し、友達だからこそ夢を託す。まっすぐな思いと捩れた感情を繊細に使い分け、小学校から大人になるまでの時間を共にした3人の女の子の人生と友情をしみじみとしたトーンで描き出す。

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30デイズ・ナイト - 福本次郎

釣り上った目に肉食獣の尖った歯と猛禽の鉤爪を持ち夜空に向かって咆哮する姿は、従来のヴァンパイアのイメージを一新させる。そこにはノーブルな面影も知的なふるまいも一切なく、渇望を癒すために人間の血をすするだけだ。(50点)

30デイズ・ナイト

© 2007 Columbia Pictures Industries, Inc. All Rights Reserved

 釣り上った目に肉食獣の尖った歯と猛禽の鉤爪を持ち夜空に向かって咆哮する姿は、従来のヴァンパイアのイメージを一新させる。そこにはノーブルな面影も知的なふるまいも一切なく、渇望を癒すために人間を襲撃し血をすするだけ。ニンニクや十字架といった古典的な弱点はすでになく、倒すには首を切り落とすか肉体を完全につぶすか、紫外線を当てるしか方法はない。冬季は太陽が昇らない極北の小さな街を舞台に繰り広げられるヴァンパイアの謝肉祭、絶望的な状況で生き残った人間は知恵と勇気で彼らに立ち向かう。

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僕らはあの空の下で - 福本次郎

美少年、文科系、湿度の高い友情、夢とあきらめ。卒業を目前にした高校生たちの繊細な心の動きをしっとりとした映像にスケッチする。見詰め合う瞳、抑えきれない気持ちと嫉妬など、ここで描かれるのはソフトなボーイズラブだ。(50点)

僕らはあの空の下で

© 2009 「僕らはあの空の下で」Partners

 美少年、文科系、湿度の高い友情、夢とあきらめ。卒業を目前にした高校生たちの繊細な心の動きをしっとりとした映像にスケッチする。女子は1人も出てこない、そんな環境の下で男子生徒同士は恋愛にも似た感情の高まりをみせる。共に同じ目標を目指していたきらめきの日々は過ぎ、いつしか訪れる別れ。好きなのに離れ離れになる運命の2人の切ない胸中がリアルに再現される。見詰め合う瞳、抑えきれない気持ちと嫉妬など、ここで描かれるのはソフトなボーイズラブだ。

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