昼間から呑む - 福本次郎

終始ヒョクチンのバツの悪さがスクリーンからにじみ出し、その場に居心地の悪そうな彼に思わず手を差し伸べたくなった。 (点数 70点)


©2008 StONEwork. All Rights Reserved.

明るいうちから酒を飲んでもロクなことはない。暇つぶしに飲み、嫌
な記憶を忘れようと飲み、感傷に浸るために飲み、勧められて断り切
れずに飲む。一方で酩酊状態のおかげで不運な出来事にあってもそれ
ほど腹も立たず、なんとなく酒のせいにすれば己を納得させられる。
主人公は結構悲惨な目に遭っているが、そのまろやかな銘酒のような
味わいを残す映像は、観客までもどこか夢見心地にさせてくれる。

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ジャッカス3D - 福本次郎

臭いや皮膚感覚を伝えられない中、視覚のみでここまで不快にさせる作品を作ったクリエーターたちには脱帽するしかない。 (点数 60点)


(C) 2010Paramount Pictures All Rights Reserved.

子供のいたずらの延長から、悪趣味の極致のような事まで嬉々として
挑む男たち。時に大ケガをしながら、一歩間違えると命に危険が及び
かねないスタントに、ただ面白い映像を撮りたいがためにトライする。
そこにあるのはあくなきチャレンジ精神とサービス精神。フツーの人
ならひらめいても絶対に実行に移さないアイデアを手間暇かけて準備
し、笑いながらも痛さに耐え、真剣に取り組む姿はある種感動的だ。
下劣も究極を目指せば立派なエンタテインメントとして成立すること
をこの映画から教えられた。

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阪急電車 - 福本次郎

どこかに観客が共感を持てるポイントをつくり、きちんとオチをつけている脚本が非常に洗練されている。(点数 70点)


(C)2011 「阪急電車」製作委員会

身近な人を気遣う、その気持ちはひと言かけてあげるだけ、話を聞い
てあげるだけ、そっと手を差し伸べてあげるだけで伝わる。物語は死
にたいほど辛くはないけれどそれぞれしこりを抱えて生きている人々
が、人と人の触れ合いに癒されていく過程を描く。上品だが驕らず、
人情豊かだが他人の領域にまでズケズケと踏み込まない、その距離感
をわきまえたバラエティに富んだキャラクターが心地よい。

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これでいいのだ!! - 福本次郎

「バカになること」に、初美自身が快感を覚え、やがてはそれを目指すようになっていく姿がほほえましい。(点数 40点)


(c)2011「これでいいのだ!!」製作委員会

子供の遊びに本気で熱中し、泥酔するまで酒を飲んで胸にしまった鬱
憤を解放する。本当のバカになる、それは恥ずかしいとか迷惑をかけ
るとかいった良識のブレーキを外し、素の自分をさらけ出すこと。赤
塚不二夫が紡ぎだすギャグとナンセンスの数々は、そんな欲望を刺激
し、バカになり切れない人々の代わりにキャラクターにバカをやらせ、
胸の奥に潜む真実を鋭くえぐりだす。

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まほろ駅前多田便利軒 - 福本次郎

実は同じトラウマを負った者同士だったふたりが、最後には離れがたい気持ちに変化していく過程が優しさに満ちていた。 (点数 50点)


(C)2011「まほろ駅前多田便利軒」製作委員会

友情を感じるほど親しくはなく、赤の他人と呼ぶには近すぎる。人生
のレールからドロップアウトはしたがまだあきらめてもいない。熱く
も深くも強くもない、ただ中学の同級生だっただけの男ふたりのユル
~い日常が心地よい。人情時々ミステリーといった原作のイメージを
踏襲しつつ、時間はゆったりと流れていく。

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戦火のナージャ - 福本次郎

勇気や行動力より幸運と諦めない意思が運命を左右する、そんな戦場の論理がリアルだった。(点数 50点)


(C) 2010, GOLDEN EAGLE.

肖像をかたどったケーキに顔を押し付け窒息死させたい。スターリン
の時代のソ連人ならば誰もが一度は夢に見たビジョンなのだろう。い
つ政治犯にでっち上げられるかわからない恐怖におびえながら暮らし、
収容所では重労働が待っている。確かにドイツから祖国を守った指導
者ではあるが、それは自国民の安全など顧みない焦土戦と冬将軍で勝
ちを拾ったもの。映画は、第二次大戦の東部戦線を生き抜いたソ連人
父娘の視線で再現する。そこに描かれているのは独ソ戦の悲惨な現実
というより、あまりにもくだらない原因で人が死んでいく滑稽さ。そ
の根底にあるのは圧政の上に帝国を築いた独裁者への憎しみだ。

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四つのいのち - 福本次郎

新鮮な驚きと強烈なインパクトに瞬きするのを忘れてしまった。(点数 70点)


(C) Vivo film,Essential Filmproduktion,Invisibile Film,ventura film.

きとし生けるものはすべて死ぬ。だが死は終わりではなく、命のリ
レーという形で次の時代に受け継がれていく。それは食べたり生殖し
たりするだけでなく、日々の暮らしの中で家畜を育て、消費し、再利
用することでもある。中世のたたずまいを残す小さな村を舞台に、人
と動物と植物、あらゆる生き物には必ず存在意義があると説く。一切
の説明やセリフ、音楽を排し長まわしを多用したドキュメンタリーの
ような手法は、時に退屈を覚えるほど変化に乏しい。しかし、映像と
自然の音のみで表現しようとする試みはイマジネーションを刺激する。

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ザ・ホークス - 福本次郎

恐ろしさ以上に“権力”の狡猾さを感じさせる作品だった。 (点数 50点)


(C) 2006 Hoax Distribution LLC All Rights Reserved.

人を騙すなら、壮大で意表を突くディテール豊かなホラを吹くべし。
そして事実を巧みにちりばめて相手が望むストーリーに仕立て上げる。
そんな「これぞ小説の醍醐味」のような設定を、ノンフィクションと
して発表しようとしたライターが辿る綱渡りの日々を、映画はシニカ
ルに描く。功名心に駆られるあまりに主人公がついた小さな嘘が、骨
格を得て血肉を成すまでの過程で、己の妄想にがんじがらめにされて
いく心理的圧迫感がリアルに再現されていた。リチャード・ギアとアル
フレッド・モリーナの若づくりが奇妙な違和感を醸し出し、この怪し
げな物語にハッタリを効かせている。

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八日目の蝉 - 福本次郎

徐々に希和子と過ごした日々が色彩を帯びてくる。その優しさに満ちた風景が胸にしみる。(点数 70点)


(C) 2011「八日目の蝉」製作委員会

海沿いの小さな公園で芝生に寝転がってくすぐり合う母と幼い娘の映
像は、まるでこの世にふたりだけしか存在しないかのごとき完結した
世界。慈愛に満ち溢れているのにどこか寂しさを漂わせ、この幸せが
うたかたであることを予兆させる美しくも切ないシーンだ。映画は生
後すぐに誘拐された女の子と犯人の女が4年間を暮らすうちに、親子同
然の絆を築いていく過程を追う。実の両親の元に戻った後は心を開か
なくなった娘の、人間関係に臆病になっている姿が痛々しい。

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キッズ・オールライト - 福本次郎

自由に生きてきた親の世代と、親の自由の代償を払わされてる娘と息子の葛藤を通じ、家族であることの難しさを掘り下げる。(点数 70点)


(C) 2010 TKA Alright, LLC All Rights Reserved.

物心ついたころから世間から好奇の目で見られ不愉快な思いをしてき
た。レズカップルの家庭に生まれた子供たちの少し屈折した気持ちが
繊細に再現される。躾が厳しく口うるさいママと開放的なもうひとり
のママ。一見平和に見える家族なのに各々の胸に複雑な感情を抱えて
いる。そしてそのバランスは子供たちの遺伝上の父の登場で崩れてし
まう。映画は自由に生きてきた親の世代と、親の自由の代償を払わさ
れてる娘と息子の葛藤を通じ、家族であることの難しさを掘り下げる。

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生き残るための3つの取引 - 福本次郎

陰謀、汚職、脅迫、恫喝、そして裏切り。司法組織に巣食う暗部をこれでもかと描き込む力技は、息もつかせないテンポで見る者を圧倒する。(点数 60点)


(C) 2010 CJ Entertainment Inc. All Rights Reserved

陰謀、汚職、脅迫、恫喝、そして裏切り。司法組織に巣食う暗部をこ
れでもかと描き込む力技は、息もつかせないテンポで見る者を圧倒す
る。官僚組織の歪んだプライドと、警察と検察の近親憎悪ともいうべ
き確執が事態をより複雑にし、入り乱れた人間関係は混迷をきわめる。
映画は、昇進を餌に容疑者捏造を命じられた敏腕刑事が自ら掘った落
とし穴に足を取られ、抜け出そうともがくうちに更なる陥穽に落ちて
いく過程をパワフルに描く。脇役たちの大げさな演技と押しつけがま
しい音楽が、主人公の苦悩と煩悶の火に油を注ぐ。

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GANTZ PERFECT ANSWER - 福本次郎

玄野が秘めた思いを打ち明けるシーンは、確かにこれだけは信じることができる「PERFECT ANSWER」だった。 (点数 50点)


(C) 奥浩哉 / 集英社 (C) 2011「GANTZ」FILM PARTNERS

何のために戦うのか、誰のために戦うのか。理由もわからずガンツの
世界に放り込まれた主人公と彼の仲間は、命じられるままに「星人」
たちを倒していくうちに、その答えを見つけだそうとする。最初は自
分が生き返るのが目的だったのが、やがて友人を生き返らせるのがゴ
ールに変化する。ところが前編から予想される展開を見事に裏切り、
この続編はさらに混迷の度合いを深めていく。

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メアリー&マックス - 福本次郎

喜怒哀楽が柔らかなタッチのクレイアニメで感性豊かに再現されていた。(点数 50点)


(C) 2008 Screen Australia, SBS, Melodrama Pictures Pty Limited, and Film Victoria

心待ちしていた手紙が配達されていないかと毎日ポストをのぞく。日
が浅いうちは期待に胸を膨らませているが、音信不通が続くと不安が
募り、それでも音沙汰がないと無視されたと怒りに変わる。手紙で知
己を得、身の上を打ち明けたたった一人の友達からの、いつ来るかわ
からない返事を待つ少女の心情がリアルだ。物語は文通で友情を築い
た豪州の少女と米国の中年男の交流を通じ、“思いを綴る”行為によ
って我が身を見つめ直し、魂が触れ、衝突し、許し、やがて深く理解
し合うまでを描く。

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イヴ・サンローラン - 福本次郎

服飾デザインをアートととらえ、デザイナーの社会的地位が非常に高い、これこそがパリが世界の流行の震源地であり続けるパワーの源なのだ。(点数 50点)

“アーティストは時代に沿いながら変革をもたらす”。その言葉通り
に、常に世間の一歩先を行きモードを引っ張ったきた男は、若くして
大成功を収めた後、孤独と周囲の期待というプレッシャーに押しつぶ
され、酒とドラッグにおぼれていく。映画は彼の公私にわたるパート
ナーのインタビューと膨大な写真・映像から再構成される。服飾デザ
インをアートととらえ、デザイナーの社会的地位が非常に高い、これ
こそがパリが世界の流行の震源地であり続けるパワーの源なのだ。

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抱きたいカンケイ - 福本次郎

エマの、最先端を走っているようで満たされない生き方しかできない不器用さが、いかにも21世紀的な時代の空気を反映し
ていた。(点数 50点)


(C) 2011 DW Studios L.L.C. All Rights Reserved.

頭がよすぎる女は、恋愛ですら理屈で割り切ろうとする。なかなか本
気になれる相手とめぐり合えない男は女性不信になっているけれど、
セックスを楽しめるパートナーは欲しい。利害が一致したふたりはセ
ックスに限った付き合いに同意する。彼女には恋の駆け引きなど一切
無用、男は性欲を満たすための道具でしかないドライな割り切りと、
それを受け入れてくれるイケメンの彼は、忙しく働く現代女性のある
種の理想なのだろう。映画はセックスから愛が生まれるかというテー
マとともに、繊細で不可解な女心の核心に迫る。

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