シェルター - 山口拓朗

シェルター

© COPYRIGHT 2009 SHELTER DISTRIBUTION, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

◆くるくると人格を変える患者の正体に迫る展開は、観客の興味と好奇心を刺激する(55点)

 精神分析医のカーラ(ジュリアン・ムーア)は、ある日、同じく精神科医の父ハーディング(ジェフリー・デマン)に、デヴィッド(ジョナサン・リス・マイヤーズ)という青年の患者を紹介される。下半身不随のデヴィッドは礼儀正しく、カーラの質問への受け答えもしっかりしている。

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やさしい嘘と贈り物 - 山口拓朗

やさしい嘘と贈り物

© 2009 Overture Street Films, LLC

◆いくつになろうとも、人は思春期のころのようなまっさらな気持ちで恋をすることができる(70点)

 「やさしい嘘と贈り物」を見てまっさきに思い出したのはクリスマスだ。クリスマスの根源的な意味はさておき、サンタクロースがやって来るその日は、世界中が「やさしい嘘と贈り物」で満たされる。大人たちはしばしば「嘘はいけません!」と子供に説教するが、正しくは「やさしくない嘘はいけません!」であるべきなのかもしれない。 

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マイレージ、マイライフ - 山口拓朗

マイレージ、マイライフ

Copyright © 2009 DW STUDIOS L.L.C and COLD SPRING PICTURES. All Rights Reserved.

◆映画はライアンの気づきを通じて、「他人の価値」そして「人間と人間がつながる意味」について考えさせる(80点)

 ライアン・ビンガム(ジョージ・クルーニー)の仕事は、企業のリストラ対象者に解雇を告げるリストラ宣告人。アメリカ国内を飛び回り、年間322日も出張している根無し草のビジネスマンだ。あるときライアンは、自分と同じように国内を飛び回っているキャリアウーマン、アレックス(ヴェラ・ファーミガ)と出会って意気投合する。一方、仕事では、ネット上で解雇通告を行う新システム導入を提案する新人ナタリー(アナ・ケンドリック)と意見が対立し……。

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アイガー北壁 - 山口拓朗

◆史実に基づいたこの映画は、舞台となるアイガー北壁の二面性(美しさと厳しさ)をリアルに活写するほか、難攻不落の岩壁を果敢に攻める登山家のクライミングを臨場感満点に描く(65点)

 1936年、ドイツの若き登山家トニー(ベンノ・フュルマン)とアンディ(フロリアン・ルーカス)は、"殺人の壁"と呼ばれるスイスの名峰アイガーの北壁に挑むべきか否か悩んでいた。ベルリン新聞社の女性アシスタントであるルイーゼ(ヨハンナ・ヴォカレク)は、トニーとアンディの幼なじみ。アイガー北壁に挑むオーストリア登山家を取材するためにアイガーの麓にやって来ていたが、そこに登攀(とうはん)を決意したトニーとアンディがやって来て……。

 高い山がひと通り征服されたのちに、気鋭の登山家やクライマーが、より難しい山やルートに挑むようになったのは有名な話だ。ソロ(単独)や無酸素で登頂を目指したり、壁のような岩山をクライミングしたりと、あの手この手の「条件付き登山・登攀」で歴史にその名を刻もうとする者が急増した。

 1930年代当時、多くの登山家が「西部アルプスの最後の難所」と呼ばれるアイガーの北壁に熱い視線を注いでいた。天空を目指して屹立する岩壁は1800mにも及ぶ。天候が変わりやすく、落石や雪崩も多発するデンジャラスな壁だ。映画のなかでも、他国の登山家同士がアタック日(登攀開始日)をけん制しあう描写が見られるが、彼らにとって、史上初かそうでないかは雲泥の差。言うなれば、一流の登山家にとっての登山とは、金メダルしか用意されていないオリンピックのようなものなのだ。

 史実に基づいたこの映画は、舞台となるアイガー北壁の二面性(美しさと厳しさ)をリアルに活写するほか、難攻不落の岩壁を果敢に攻める登山家のクライミングを臨場感満点に描く。もっとも、中盤以降は、ほとんどスペースのない岩場でのビバーク(露営)、思わぬ落石事故、ザイルを命綱代りにしての救助劇、凍傷で黒ずんで行く皮膚、限界まで消耗する体力……等々、修羅場シーンが量産され、観客はただただ神経をすり減らされることになるのだが。

 初登攀を目指す主人公らを興味半分で見守るマスコミや、彼らの無事を祈る幼なじみの視点を設けることで、骨太な山岳ドラマにエンターテインメント性を注入している点も本作「アイガー北壁」の大きな特徴だ。麓の高級ホテルに宿泊するのんきなマスコミや優雅な観光客らの様子をしばしば挟むことで、悪天候下でクライミングする主人公たちの過酷な状況を際立たせる演出は、ちょっぴりズルイほどだ。

 唯一苦言を呈したいのが、トニーとアンディのライバルであるオーストリアの登山家ペアを悪者に仕立て上げている点だ。彼らの登山家にあるまじき姿勢や行動は、「史実に基づいたドラマ」というリアリティをスポイルすると同時に、モデルとなった実在の人物に対する冒涜でもある。娯楽性を高めるのは構わないが、作り手は、脚色の許される範囲と許されない範囲、この境目だけは自覚しておくべきだろう。

時をかける少女 - 山口拓朗

◆ただいま青春謳歌中の人たちから、遠い昔に青春時代をすごした人たちまで、幅広い世代にオススメしたい(75点)

 筒井康隆原作の「時をかける少女」といえば、1983年に大林宣彦監督が映画化、2006年に細田守監督が長編アニメ化するなど、時代を超えて愛され続けている作品。谷口正晃監督の劇場用長編初作品となる本作「時をかける少女」は、そんな人気作品の2010年版。脚本、演出、演技の三拍子をそろえた良質のエンターテインメントだ。

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フィリップ、きみを愛してる! - 山口拓朗

◆この映画はスティーヴンの何を描きたかったのか、テーマの焦点が散漫(35点)

 スティーヴン・ラッセル(ジム・キャリー)は、妻や子供に囲まれて幸せな生活を送る警察官。そんな彼にある日転機が訪れた。大きな交通事故に巻き込まれて死の淵をさまよったのだ。ラッセルは自分に正直な人生を歩もうと、妻にゲイであることをカミングアウトした。

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ハート・ロッカー - 山口拓朗

◆手持ちカメラによるリアルでダイナミズムあふれる映像表現と、兵士の心情を掘り下げた繊細な人間ドラマの両面から高い満足感を与えてくれる(85点)

 女性監督キャスリン・ビグローが、ジャーナリスト兼脚本家のマーク・ボールの取材をもとに製作した「ハート・ロッカー」。ご存じの通り、第82回アカデミー賞の作品賞や監督賞など6冠に輝いた話題作だ。

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バッド・ルーテナント - 山口拓朗

◆見どころは、薬に手を染めるテレンスの悪徳刑事&ジャンキーぶり。これに尽きる(70点)

 鬼才ヴェルナー・ヘルツォーク監督がニコラス・ケイジを主演に迎えて撮影した本作「バッド・ルーテナント」は、その暴力性と宗教描写で公開当時物議を醸した「バッド・ルーテナント 刑事とドラッグとキリスト」(1992年)のリメイク作品。場外では新旧作品の監督同士が互いをなじる舌戦をくり広げたそうだが、そんなきな臭さももこの作品にはお似合いか。

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すべて彼女のために - 山口拓朗

◆この映画は「無罪の立証」にほとんど関心を示さない。リザの禁固刑が確定して以降のドラマに焦点を絞ったうえで、愛する妻のために命を張る夫の“執念”に迫った作品だ(80点)

 舞台はフランスのパリ。国語教師のジュリアン(ヴァンサン・ランド)と出版社に勤める妻のリザ(ダイアン・クルーガー)は、息子と3人で仲むつまじく暮らしていた。ところが、ある日突然、リザが無実の罪で妻が逮捕されてしまった。無実を証明する策も尽きた3年後、リザには禁固20年の刑が言い渡された。人生に絶望したリザは自暴自棄に陥り……。

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台北に舞う雪 - 山口拓朗

◆“善意”頼りの物語は一見美しいが、一方ではリアリティの欠如を招きやすい(50点)

 ある日突然、声が出なくなった女性新人歌手のメイ(トン・ヤオ)は、記者会見前に姿を消し、台北郊外の菁桐(ちんとん)という町にやって来た。その町でメイは、町の人のために一所懸命働く青年モウ(チェン・ボーリン)と出会う。ふたりはお互いの身の上を話すうちに、少しずつ打ち解けていくが……。

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パレード - 山口拓朗

◆閉塞したビターな時代の膿をかき出すような鋭い刃をもった社会派作品(65点)

 映画会社に勤める健康オタクの直樹(藤原竜也)、酒好きな自称イラストレーターの未来(香里奈)、恋愛依存のフリーターの琴美(貫地谷しほり)、先輩の彼女に思いを寄せる大学生の良介(小出恵介)の4人はマンションの一室をシェアして生活していた。そこにある夜から、男娼のサトル(林遺都)までもが居着くようになる。リビングに置かれたテレビは、連日、そんな彼らが住む町で多発している女性を狙った無差別暴行事件のニュースを流していた……。

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ルドandクルシ - 山口拓朗

◆ユーモアあふれるドラマをテンポよく展開する一方で、その背景に、急速に広がる所得格差や加熱するサッカー人気など、メキシコならではのお国柄や社会状勢を盛り込んでいる(70点)

 アルフォンソ・キュアロン監督作品「天国の口、終りの楽園。」(2001年)といえば、熱気と寂寥(せきりょう)が錯綜する青春ロードムービーの傑作。本作「ルドandクルシ」は、「天国の~」で脚本を担当したカルロス・キュアロン(アルフォンソ・キュアロンの弟)が初めてメガホンを取った、喜怒哀楽を濃縮パックしたヒューマンドラマ。主演には「天国の~」のガエル・ガルシア・ベルナルとディエゴ・ルナを再び起用した。

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恋するベーカリー - 山口拓朗

◆年齢を感じさせないほど生き生きと元気な作品に仕上がった壮年ラブコメディ(65点)

 人気ベーカリーを経営するジェーン(メリル・ストリープ)は、10年前に弁護士のジェイク(アレック・ボールドウィン)と離婚。女手一つで子供3人を育て上げた。ある春、ニューヨークのホテルのバーでジェーンが飲んでいると、そこに偶然ジェイクが現れ、ふたりは久しぶりにディナーを楽しむ。酔うがままに盛り上がったふたりは、こともあろうか一緒の部屋へ……。

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サベイランス - 山口拓朗

◆一部のカルトムービー好きの高揚を誘う1本(65点)

 カルト映画の奇才デヴィッド・リンチの愛娘ジェニファー・リンチが、物議を醸し出した「ボクシング・ヘレナ」(1993年)以降14年ぶりにメガホンを取ったのが本作「サベイランス」。2008年のカンヌ国際映画祭で上映された際に、評論家のあいだで賛否両論を巻き起こしたという問題作だ。

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COACH コーチ 40歳のフィギュアスケーター - 山口拓朗

◆西田美和の演技ができていないため、作品自体が冗談のようになってしまっている(20点)

 独身の40歳、倉田美和(西田美和)は、アイスショーなどで活躍するかたわら後進の指導にもあたっているプロフィギュアスケーター。ある日、元恋人の子供をあずかったことから、人生が動き始める。彼女は20年前に一度捨てた「オリンピックに出場する!」という夢を叶えるべく、再びフィギュアスケートの競技に取り組み始めた……。

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