バッド・ルーテナント - 山口拓朗

◆見どころは、薬に手を染めるテレンスの悪徳刑事&ジャンキーぶり。これに尽きる(70点)

 鬼才ヴェルナー・ヘルツォーク監督がニコラス・ケイジを主演に迎えて撮影した本作「バッド・ルーテナント」は、その暴力性と宗教描写で公開当時物議を醸した「バッド・ルーテナント 刑事とドラッグとキリスト」(1992年)のリメイク作品。場外では新旧作品の監督同士が互いをなじる舌戦をくり広げたそうだが、そんなきな臭さももこの作品にはお似合いか。

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すべて彼女のために - 山口拓朗

◆この映画は「無罪の立証」にほとんど関心を示さない。リザの禁固刑が確定して以降のドラマに焦点を絞ったうえで、愛する妻のために命を張る夫の“執念”に迫った作品だ(80点)

 舞台はフランスのパリ。国語教師のジュリアン(ヴァンサン・ランド)と出版社に勤める妻のリザ(ダイアン・クルーガー)は、息子と3人で仲むつまじく暮らしていた。ところが、ある日突然、リザが無実の罪で妻が逮捕されてしまった。無実を証明する策も尽きた3年後、リザには禁固20年の刑が言い渡された。人生に絶望したリザは自暴自棄に陥り……。

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台北に舞う雪 - 山口拓朗

◆“善意”頼りの物語は一見美しいが、一方ではリアリティの欠如を招きやすい(50点)

 ある日突然、声が出なくなった女性新人歌手のメイ(トン・ヤオ)は、記者会見前に姿を消し、台北郊外の菁桐(ちんとん)という町にやって来た。その町でメイは、町の人のために一所懸命働く青年モウ(チェン・ボーリン)と出会う。ふたりはお互いの身の上を話すうちに、少しずつ打ち解けていくが……。

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パレード - 山口拓朗

◆閉塞したビターな時代の膿をかき出すような鋭い刃をもった社会派作品(65点)

 映画会社に勤める健康オタクの直樹(藤原竜也)、酒好きな自称イラストレーターの未来(香里奈)、恋愛依存のフリーターの琴美(貫地谷しほり)、先輩の彼女に思いを寄せる大学生の良介(小出恵介)の4人はマンションの一室をシェアして生活していた。そこにある夜から、男娼のサトル(林遺都)までもが居着くようになる。リビングに置かれたテレビは、連日、そんな彼らが住む町で多発している女性を狙った無差別暴行事件のニュースを流していた……。

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ルドandクルシ - 山口拓朗

◆ユーモアあふれるドラマをテンポよく展開する一方で、その背景に、急速に広がる所得格差や加熱するサッカー人気など、メキシコならではのお国柄や社会状勢を盛り込んでいる(70点)

 アルフォンソ・キュアロン監督作品「天国の口、終りの楽園。」(2001年)といえば、熱気と寂寥(せきりょう)が錯綜する青春ロードムービーの傑作。本作「ルドandクルシ」は、「天国の~」で脚本を担当したカルロス・キュアロン(アルフォンソ・キュアロンの弟)が初めてメガホンを取った、喜怒哀楽を濃縮パックしたヒューマンドラマ。主演には「天国の~」のガエル・ガルシア・ベルナルとディエゴ・ルナを再び起用した。

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恋するベーカリー - 山口拓朗

◆年齢を感じさせないほど生き生きと元気な作品に仕上がった壮年ラブコメディ(65点)

 人気ベーカリーを経営するジェーン(メリル・ストリープ)は、10年前に弁護士のジェイク(アレック・ボールドウィン)と離婚。女手一つで子供3人を育て上げた。ある春、ニューヨークのホテルのバーでジェーンが飲んでいると、そこに偶然ジェイクが現れ、ふたりは久しぶりにディナーを楽しむ。酔うがままに盛り上がったふたりは、こともあろうか一緒の部屋へ……。

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サベイランス - 山口拓朗

◆一部のカルトムービー好きの高揚を誘う1本(65点)

 カルト映画の奇才デヴィッド・リンチの愛娘ジェニファー・リンチが、物議を醸し出した「ボクシング・ヘレナ」(1993年)以降14年ぶりにメガホンを取ったのが本作「サベイランス」。2008年のカンヌ国際映画祭で上映された際に、評論家のあいだで賛否両論を巻き起こしたという問題作だ。

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COACH コーチ 40歳のフィギュアスケーター - 山口拓朗

◆西田美和の演技ができていないため、作品自体が冗談のようになってしまっている(20点)

 独身の40歳、倉田美和(西田美和)は、アイスショーなどで活躍するかたわら後進の指導にもあたっているプロフィギュアスケーター。ある日、元恋人の子供をあずかったことから、人生が動き始める。彼女は20年前に一度捨てた「オリンピックに出場する!」という夢を叶えるべく、再びフィギュアスケートの競技に取り組み始めた……。

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抱擁のかけら - 山口拓朗

◆ストーリーが進むに連れてじわじわと心にしみてくる(70点)

 「ボルベール<帰郷>」(2006年)のペドロ・アルモドバル監督が、全幅の信頼を寄せるペネロペ・クルスを主演に起用(ふたりが組むのは4度目)。スペインならではの極彩色に彩られたスクリーン上で展開されるのは、愛と嫉妬と憎悪と復讐が渦巻く濃厚なドラマだ。

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フローズン・リバー - 山口拓朗

◆母性愛と友情を内包したヒューマンドラマ(85点)

 気鋭の女性監督コートニー・ハントの初長編監督作品となる「フローズン・リバー」は、低予算のインディペンデント作品ながら、2008年のサンダンス映画祭でグランプリに輝くほか、第81回アカデミー賞(2009年)では、デビュー作にしてオリジナル脚本賞にノミネートを果たすなど、世界中で高い評価を受けた。

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おとうと - 山口拓朗

◆家族の絆が薄れつつあるこの時代に、改めて家族のあり方を見つめさせてくれる"人間讃歌"の秀作(80点)

 日本映画界を代表する巨匠、山田洋次監督が「十五才 学校IV」(2000年)以来、10年ぶりに撮影した現代劇「おとうと」は、そのキャリアにおいて常に日本の家族と、その精神性を描き続けてきた山田監督の集大成的な1本。涙あり笑いありの感動作だ。

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すべては海になる - 山口拓朗

◆白黒をはっきりさせたがる大人には向かない作品(55点)

 27歳の書店員、夏樹(佐藤江梨子)は、本好きを買われ、「愛のわからないひとへ」というコーナーを任されていた。ある日、夏樹は万引きをしたはずの女性を捕まえるが、彼女のかばんからは何も出てこなかった。店長共々、女性の家に出かけて謝罪するも、女性の夫の怒りを買ってしまう。ところが翌日、女性の息子、光治(柳楽優楽)が書店にやってきた。彼は夏樹や店長に、もう謝りに来なくていいと伝えるが……。

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Dr.パルナサスの鏡 - 山口拓朗

◆何が飛び出してくるのか予測不能(60点)

 ヒース・レジャーの遺作になったことに加え、撮影途中で急逝したヒースの代りに、ジョニー・デップ、ジュード・ロウ、コリン・ファレルという3人の人気俳優が撮影に参加。誰もが予期しないところで注目を集めてしまったテリー・ギリアム監督の最新作。ヒースの急逝で万事休すかと思いきや、幸いにも「Dr.パルナサスの鏡」は、「現実世界」と「鏡の向こうの異世界」というふたつの世界をもつ物語で、ヒースが亡くなったのは「現実世界」の撮影を終えた直後だったという。

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オーシャンズ - 山口拓朗

◆これまでの海洋ドキュメンタリーとは一線を画す(75点)

 海に住む生き物たちの行動にカメラが迫ることの難しさは想像に難くないが、本作「オーシャンズ」は、生き物たちのありのままの生活ぶり、その決定的瞬間を「CGではないのか?」と勘ぐりたくなるほどのタイミングと距離でカメラに収めている。海洋生物だけでなく、その映像演出の巧さ、美しさにも注目したい1本だ。

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板尾創路の脱獄王 - 山口拓朗

◆これぞキング・オブ"トンデモ"な結末(55点)

 舞台は昭和初期。すでに2度脱獄経験のある囚人、鈴木雅之(板尾創路)が信州第二刑務所に移送されてきた。その後も彼は、独創的な手法を駆使して、次々と脱獄を成功させる。世間は彼のことを"脱獄王"と呼んだが、なぜか彼は毎回脱獄直後に、しかもきまって線路上で捕まってしまうのだ。看守長の金村(國村隼)は、そんな鈴木に興味をもつ。果たして脱獄をくり返す鈴木の本当の目的とは?

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