◆“ラブコメの女王”の異名を取るキャメロンの名前に釣られて劇場に足を運んだ人のなかには、あまりに予想外の結末に席から立てなくなる人もいるかも(65点)
舞台は1976年のヴァージニア州郊外。高校教師のノーマ(キャメロン・ディアス)とNASAに勤める宇宙飛行士志望のアーサー(ジェームズ・マースデン)夫妻は、ひとり息子と3人で仲良く暮らしていた。ある朝、自宅前に身に覚えのないボタン装置が置いてあった。
◆“ラブコメの女王”の異名を取るキャメロンの名前に釣られて劇場に足を運んだ人のなかには、あまりに予想外の結末に席から立てなくなる人もいるかも(65点)
舞台は1976年のヴァージニア州郊外。高校教師のノーマ(キャメロン・ディアス)とNASAに勤める宇宙飛行士志望のアーサー(ジェームズ・マースデン)夫妻は、ひとり息子と3人で仲良く暮らしていた。ある朝、自宅前に身に覚えのないボタン装置が置いてあった。
◆演出にキレがある訳でもなく、ドラマ展開も冗長気味。汁系のユーモアに至っては完全にマニア好みだ。しかし同時に、息づかいと生命力が感じられる作品でもある(70点)
弱冠26歳の映画監督、石井裕也。「ぴあフィルムフェスティバル」のコンペティション第29回PFFで「剥き出しニッポン」がグランプリを受賞、アジアでは「第1回エドワード・ヤン記念 アジア新人監督大賞」を受賞するなど、国内外で高い評価を得ている注目の才能だ。
◆デジタルとアナログを巧みに使い分けた狼男のビジュアルは、いかにも着ぐるみ気分なB級路線とは一線を画し、狼男の野獣としての異様さを生々しく描き出す(70点)
1891年、ロンドン郊外の農村に建つタルボット城に、舞台俳優のローレンス(ベニチオ・デル・トロ)は帰ってきた。兄ベンの婚約者グエン(エミリー・ブラント)から、兄が行方不明になったとの連絡を受けたのだ。結局、兄は無惨に切り刻まれた死体となって発見された。ある満月の夜、ローレンスも野獣に襲われて重傷を負う。その日以来、ローレンスは満月の夜になると体が異状をきたす身となった。ローレンスは献身的なグエンに惹かれていく一方で、以前から確執のあった父ジョン(アンソニー・ホプキンス)の不可解な行動に疑念を抱きはじめる……。
◆目新しさはないが、ひとりの少女の喜びと痛みを描いたオーセンティックな青春映画としてオススメ(75点)
「ハイ・フィデリティ」(2000年)や「アバウト・ア・ボーイ」(2002年)の原作者ニック・ホーンビィが、英国の辛口ジャーナリスト、リン・バーバーのとある回想録を脚色。監督に女流のロネ・シェルフィグ、主演に若手女優キャリー・マリガンを起用した本作「17歳の肖像」は、街並からファッションまで、1960年代の空気感をたっぷりと漂わせたイギリスを舞台に、大人の世界へと足を踏み入れる17歳目前の少女の成長と挫折を描いた秀作。キャリー・マリガンは、メリル・ストリープらオスカー候補者を抑えて、英国アカデミー賞の主演女優賞に輝いている。
◆“狂気”という名の鼓動が聞こえてくる傑作だ(85点)
「ホテル・ルワンダ」(2004年)然り、「ツォツィ」(2005年)然りだが、貧困や紛争、暴力といったアフリカのリアルな社会問題に迫った映画には、しばしば打ちのめされる。それは、アジアの片隅で、貧困や紛争とは無縁の生活を送る私たちにとって、アフリカで起きている厳しい現実がまるで絵空事のように見えてしまう、その無自覚さに対する衝撃を含んでもいるのかもしれない。いずれにせよ、これほど強いインパクトをもつ作品が、全国の5つの劇場でしか見られないというのは、なんとも哀しいことである(現時点ではシアターN渋谷のみ)。
◆意外性のあるミステリーのタネ明かしに加え、人類の未来に警鐘を鳴らしたストーリーテリングは、大胆な舞台設定の後押しもあって、ひねりの利いた作品を好む映画ファンを満足させるだろう(80点)
各地のインディペンデント映画祭で高い評価を受けた本作「月に囚われた男」は、かのロックスター、デヴィッド・ボーイの息子、ダンカン・ジョーンズが撮影した初長編監督作品。月で独りで暮らす男を主人公にしたサスペンスフルなSFミステリーだ。
◆謎解きのプロットや結末に新味はないものの、「トラウマ」という人間心理を利用したミステリアスなストーリー展開と、スコセッシらしい力強い演出力が功を奏し、作品自体は手堅くまとまっている(75点)
「ギャング・オブ・ニューヨーク」(2002年)「アビエイター」(2004年)「ディパーテッド」(2006年)で3度コンビを組んだマーティン・スコセッシ監督×レオナルド・ディカプリオが、4度目のコンビ作品「シャッター アイランド」を完成させた。ふたりが挑んだのは「精神障害×犯罪者×孤島」をキーワードにしたサスペンス&ミステリー。「ミスティック・リバー」原作者デニス・ルヘインのミステリー小説を映画化したものだ。
◆映画が語るのは、夢と現実の板挟みにあいながら、悩み、傷つき、振り子のように心を揺らす若者たちの「命」そのもの(75点)
スタジオ練習を欠かさないバンドマンにしてフリーターの種田(高良健吾)。会社になじめずに入社2年目で辞表を提出した芽衣子(宮崎あおい)。ふたりは将来に不安を感じながらも、寄り添うように同棲している。あるとき、芽衣子に背中を押してもらうカタチで、種田は新曲「ソラニン」を創作。デモ音源をレコード会社に送るが、会社側の反応は厳しかった。追い打ちをかけるように種田の身に不幸がふりかかり……。
◆くるくると人格を変える患者の正体に迫る展開は、観客の興味と好奇心を刺激する(55点)
精神分析医のカーラ(ジュリアン・ムーア)は、ある日、同じく精神科医の父ハーディング(ジェフリー・デマン)に、デヴィッド(ジョナサン・リス・マイヤーズ)という青年の患者を紹介される。下半身不随のデヴィッドは礼儀正しく、カーラの質問への受け答えもしっかりしている。
◆いくつになろうとも、人は思春期のころのようなまっさらな気持ちで恋をすることができる(70点)
「やさしい嘘と贈り物」を見てまっさきに思い出したのはクリスマスだ。クリスマスの根源的な意味はさておき、サンタクロースがやって来るその日は、世界中が「やさしい嘘と贈り物」で満たされる。大人たちはしばしば「嘘はいけません!」と子供に説教するが、正しくは「やさしくない嘘はいけません!」であるべきなのかもしれない。
◆映画はライアンの気づきを通じて、「他人の価値」そして「人間と人間がつながる意味」について考えさせる(80点)
ライアン・ビンガム(ジョージ・クルーニー)の仕事は、企業のリストラ対象者に解雇を告げるリストラ宣告人。アメリカ国内を飛び回り、年間322日も出張している根無し草のビジネスマンだ。あるときライアンは、自分と同じように国内を飛び回っているキャリアウーマン、アレックス(ヴェラ・ファーミガ)と出会って意気投合する。一方、仕事では、ネット上で解雇通告を行う新システム導入を提案する新人ナタリー(アナ・ケンドリック)と意見が対立し……。
◆史実に基づいたこの映画は、舞台となるアイガー北壁の二面性(美しさと厳しさ)をリアルに活写するほか、難攻不落の岩壁を果敢に攻める登山家のクライミングを臨場感満点に描く(65点)
1936年、ドイツの若き登山家トニー(ベンノ・フュルマン)とアンディ(フロリアン・ルーカス)は、"殺人の壁"と呼ばれるスイスの名峰アイガーの北壁に挑むべきか否か悩んでいた。ベルリン新聞社の女性アシスタントであるルイーゼ(ヨハンナ・ヴォカレク)は、トニーとアンディの幼なじみ。アイガー北壁に挑むオーストリア登山家を取材するためにアイガーの麓にやって来ていたが、そこに登攀(とうはん)を決意したトニーとアンディがやって来て……。
高い山がひと通り征服されたのちに、気鋭の登山家やクライマーが、より難しい山やルートに挑むようになったのは有名な話だ。ソロ(単独)や無酸素で登頂を目指したり、壁のような岩山をクライミングしたりと、あの手この手の「条件付き登山・登攀」で歴史にその名を刻もうとする者が急増した。
1930年代当時、多くの登山家が「西部アルプスの最後の難所」と呼ばれるアイガーの北壁に熱い視線を注いでいた。天空を目指して屹立する岩壁は1800mにも及ぶ。天候が変わりやすく、落石や雪崩も多発するデンジャラスな壁だ。映画のなかでも、他国の登山家同士がアタック日(登攀開始日)をけん制しあう描写が見られるが、彼らにとって、史上初かそうでないかは雲泥の差。言うなれば、一流の登山家にとっての登山とは、金メダルしか用意されていないオリンピックのようなものなのだ。
史実に基づいたこの映画は、舞台となるアイガー北壁の二面性(美しさと厳しさ)をリアルに活写するほか、難攻不落の岩壁を果敢に攻める登山家のクライミングを臨場感満点に描く。もっとも、中盤以降は、ほとんどスペースのない岩場でのビバーク(露営)、思わぬ落石事故、ザイルを命綱代りにしての救助劇、凍傷で黒ずんで行く皮膚、限界まで消耗する体力……等々、修羅場シーンが量産され、観客はただただ神経をすり減らされることになるのだが。
初登攀を目指す主人公らを興味半分で見守るマスコミや、彼らの無事を祈る幼なじみの視点を設けることで、骨太な山岳ドラマにエンターテインメント性を注入している点も本作「アイガー北壁」の大きな特徴だ。麓の高級ホテルに宿泊するのんきなマスコミや優雅な観光客らの様子をしばしば挟むことで、悪天候下でクライミングする主人公たちの過酷な状況を際立たせる演出は、ちょっぴりズルイほどだ。
唯一苦言を呈したいのが、トニーとアンディのライバルであるオーストリアの登山家ペアを悪者に仕立て上げている点だ。彼らの登山家にあるまじき姿勢や行動は、「史実に基づいたドラマ」というリアリティをスポイルすると同時に、モデルとなった実在の人物に対する冒涜でもある。娯楽性を高めるのは構わないが、作り手は、脚色の許される範囲と許されない範囲、この境目だけは自覚しておくべきだろう。
◆ただいま青春謳歌中の人たちから、遠い昔に青春時代をすごした人たちまで、幅広い世代にオススメしたい(75点)
筒井康隆原作の「時をかける少女」といえば、1983年に大林宣彦監督が映画化、2006年に細田守監督が長編アニメ化するなど、時代を超えて愛され続けている作品。谷口正晃監督の劇場用長編初作品となる本作「時をかける少女」は、そんな人気作品の2010年版。脚本、演出、演技の三拍子をそろえた良質のエンターテインメントだ。
◆この映画はスティーヴンの何を描きたかったのか、テーマの焦点が散漫(35点)
スティーヴン・ラッセル(ジム・キャリー)は、妻や子供に囲まれて幸せな生活を送る警察官。そんな彼にある日転機が訪れた。大きな交通事故に巻き込まれて死の淵をさまよったのだ。ラッセルは自分に正直な人生を歩もうと、妻にゲイであることをカミングアウトした。
◆手持ちカメラによるリアルでダイナミズムあふれる映像表現と、兵士の心情を掘り下げた繊細な人間ドラマの両面から高い満足感を与えてくれる(85点)
女性監督キャスリン・ビグローが、ジャーナリスト兼脚本家のマーク・ボールの取材をもとに製作した「ハート・ロッカー」。ご存じの通り、第82回アカデミー賞の作品賞や監督賞など6冠に輝いた話題作だ。