◆イビツな形をした人間たちがくり広げる群像劇(70点)
演劇集団キャラメルボックスが08年に上演した舞台作品をデジタル映像化。生の舞台を改めて映画という形態で発信することについては、批判的な意見もあるかもしれないが、多くのクリエーターがクロスオーバーによって新たな価値をもつ作品を生み出しているこの時代において、本作のような試みが行われたのは自然の流れだろう。
◆イビツな形をした人間たちがくり広げる群像劇(70点)
演劇集団キャラメルボックスが08年に上演した舞台作品をデジタル映像化。生の舞台を改めて映画という形態で発信することについては、批判的な意見もあるかもしれないが、多くのクリエーターがクロスオーバーによって新たな価値をもつ作品を生み出しているこの時代において、本作のような試みが行われたのは自然の流れだろう。
◆アンジェリーナ・ジョリーの熱演が光る(80点)
ある日、シングルマザーであるクリスティンの息子ウォルターが突然姿を消した。5カ月後、警察からウォルターを発見したとの一報を受けたクリスティンは、すぐにウォルターを引き取りに行く。ところが、少年はまったくの別人だった。クリスティンは人違いだと訴えるが……。
◆ユダヤ人の悲劇を描いた戦争映画とは一線を画す作品(70点)
第二次世界大戦下。ナチスの迫害は東ヨーロッパにおよんでいた。両親を殺されたユダヤ人のトゥヴィア(ダニエル・クレイグ)とその兄弟は、ベラルーシの森へ逃げ込む。はじめは数人だったが、迫害から逃れてきたユダヤ人が次々と集まり、いつしかひとつの共同体が生まれようとしていた……。
◆英雄を描くに際して、三国志の舞台を拝借した作品(60点)
魏・呉・蜀の三国に分断されていた戦乱期の中国。平民の家に生まれた趙雲(アンディ・ラウ)は、祖国統一の夢を叶えるべく同郷の平安(サモ・ハン)と共に蜀の君主・劉備(ユエ・ホア)に仕えていた。あるとき、劉備の妻と子どもが魏軍に連れ去られると、趙雲はたったひとりで敵陣へ乗り込み……。
◆オペラに少しでも興味のある方にとっては、一見ならぬ一聴の価値がある(70点)
舞台は19世紀半ばのパリ。ボヘミアン詩人のロドルフォ(ローランド・ビリャソン)とお針子のミミ(アンナ・ネトレプコ)は、クリスマスイブの夜に恋に落ちる。ふたりは芸術家仲間に囲まれながら、貧しくも希望に満ちた暮らしを送るが、ミミは不治の病を患っており……。
◆素直なベンジャミンの人間性に、多くの観客は共感を寄せるだろう(90点)
老人として生を受け、年月の経過とともに若返っていく。そんな摩訶不思議な運命のもとに生まれたベンジャミン・バトン(ブラッド・ピット)。彼は老人施設で育てられたのちに家を出て、さまざまな人々と出会いながら人生経験を積む。顔中にあったシワがなくなったころ、ようやく愛する幼なじみのデイジー(ケイト・ブランシェット)と一緒になるが……。
◆作家色を全面に打ち出したアクの強い作品(60点)
深夜、印章彫刻師のジン(オダギリ ジョー)は別れた彼女をクルマで追いかけている途中に、衝突事故を起こす。そのままクルマを走らせると、次は道路に人が飛び出してきて……ハッとした瞬間に目が覚める。夢だった。しかし、胸騒ぎを抑えられず、夢で事故を起こした現場に行ってみると、そこでは実際に事故が起きていた。警察に拘束されたのは、夢遊病患者のラン(イ・ナヨン)という女性だった……。
◆制作者が伝えようとするメッセージに迷いがない(75点)
入場者数の低迷により、廃園に追い込まれかけていた北海道の旭山動物園。状況を打開すべく滝沢園長(西田敏行)と飼育係たちは、動物本来の(野生に近い)生き生きとした姿をお客に見せる"行動展示"を発案。滝沢園長はここ一番でリーダーシップを発揮するが……。
◆ABBAの音楽だけが生命線のミュージカル映画(55点)
舞台はギリシャの小島。リゾートホテルを経営するドナ(メリル・ストリープ)の一人娘ソフィ(アマンダ・セイフライド)は、結婚式を翌日に控えていた。そんななか、ドナのかつての恋人3人が島にやって来た。父親不在で育ったソフィが、<パパと一緒にバージンロードを歩きたい!>と、自分の父親の可能性がある3人に結婚式の招待状を送っていたのだ。20年ぶりに現れた元カレたちを前に、ドナはパニックに陥り……。
◆ドキュメンタリーとしてのインパクトに欠ける(40点)
フランスの国営の騎手・厩務員養成寄宿学校「ル・ムーラン・ナ・ヴォン」の門をくぐった14歳の子供たち。そのなかのうち、ジョッキー志望の少年3人に密着したドキュメンタリーだ。親元を離れ、厳しい訓練を受けながら、彼らがどんな成長を遂げるのか、カメラは追う……。
◆官能シーンを含め、ふたりの演技が圧倒的な光彩を放っている(75点)
弁護士事務所での秘書経験を経て大学に通うコンスエラ(ペネロペ・クルス)は、カリスマ的な大学教授デヴィッド(ベン・キングズレー)と出会い、お互いに惹かれ合う。デヴィッドは、コンスエラの美しさに熱を上げるが、一方で、彼女との未来に不安を覚える。ある日、コンスエラの卒業パーティに誘われたデヴィッドだったが、迷った末にコンスエラに電話を入れ……。
◆確信犯的なニオイがぷんぷんする作品(60点)
ビストレロ(ラリー・ビショップ)が率いるバイカー・チーム"ヴィクターズ"は、敵対するチーム"シックス・シックス・シックス"に仲間を殺される。ピストレロは、仲間のジェント(マイケル・マドセン)、コマンチ(エリック・バルフォー)らと復讐を決意。敵のアジトに乗り込み、さらに、敵のリーダーを追って旅に出る……。
◆悔しさと悲しみをにじませる後半の演技が圧巻(85点)
舞台は1948年の中国。人民解放軍と国民党軍の内戦は熾烈を極めていた。最前線にいた人民解放軍の第9連隊は、連隊長グー・ズーティ(チャン・ハンユー)を除く兵士47人が全員戦死。グーは、仲間を死なせたのは、自分が撤退命令の合図であるラッパを聞き逃したせいだと、自責の念にかられていた……。
◆"マンガ的"という言葉がここまで似合う作品も少ないだろう(50点)
亡き人気オペラ歌手の娘で、裕福な家で育った史緒(ステファニー)と、酒浸りの母親と貧しい暮らしをする萌(満島ひかり)。オペラ歌手を目指すふたりは、イタリア留学をかけ、神野(及川光博)のレコード会社が主催するコンクールに出場する。史緒が優勢かと思われたが、決勝前に、萌は史緒の動揺を誘う作戦に出る……。
◆怒り、悩み、葛藤するボビーの姿が、スクリーンに重厚感を与える(75点)
舞台は1988年のニューヨーク。警視監である父バート(ロバート・デュバル)と、父の後継としてエリート街道を進む警察官の兄ジョセフ(マーク・ウォールバーグ)。一方、弟のボビー(ホアキン・フェニックス)は、父や兄に背を向けるように、ロシアン・マフィアが経営するクラブのマネージャーとして働いていた。ある日、兄のジョセフは、弟のボビーに、マフィアを裏切って潜入捜査に協力するよう説得するが……。