◆山場がない(35点)
ポケモンやドラえもん、ピクサー作品は言うに及ばず、こうしたフランスの作品まで映画館で楽しめるのだから、日本の子供たちの環境は恵まれている。とくに「アーサーとミニモイの不思議な国」(06年)の続編である本作は、監督のリュック・ベッソンがへそを曲げて声優をガラリと変えてしまった米国版と違い、前作どおりのキャスティングで吹き替え版を見られるという有利もある。
◆山場がない(35点)
ポケモンやドラえもん、ピクサー作品は言うに及ばず、こうしたフランスの作品まで映画館で楽しめるのだから、日本の子供たちの環境は恵まれている。とくに「アーサーとミニモイの不思議な国」(06年)の続編である本作は、監督のリュック・ベッソンがへそを曲げて声優をガラリと変えてしまった米国版と違い、前作どおりのキャスティングで吹き替え版を見られるという有利もある。
◆仲里依紗を味わいつくすギャグ映画(65点)
哀川翔主演作100本目という事で、Vシネで終わらせず公開してみたところ、そこそこ受けた前作「ゼブラーマン」。そこでこの2作目ではしっかりと予算をつけて、最初から劇場用映画として作った。結果、はるかにまともな作品となり、この2作目から見ても……というよりこれだけ見ておけば十分という出来栄えである。
◆これぞ少年が胸躍らせる冒険活劇(75点)
案外保守的なハリウッドのビジネスマンたちは、最近ギリシャ神話に目をつけ次々と映画化している。題材どころかタイトルまでほとんど同じ企画を両方通してしまい、あわてて片方を改題するなどあわてんぼうな一面をさらけだしたりもしているが、「パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々」に続く本作『タイタンの戦い』も、そんなギリシャ神話ブームに乗ったひとつだ。
◆自分を好きになれない女の子へ(60点)
『プレシャス』は、究極のいじめられっこのお話である。主人公は16歳の女の子で、プレシャスという素敵な名前を持っているが、見た目は猛烈な肥満体。アメリカといえば、世界からプロフェッショナルなデブたちが集う地上最強のデブ大国だが、彼女の場合はそこでデブデブばかにされるのだから筋金入り。日本人には到底太刀打ちできないそんなぽっちゃり少女の、悲惨な半生のドラマである。
◆1話逃さず見ていたファンならもっと評価アップだとは思うが……(20点)
人気ドラマの完結編は、映画館にて有料でご視聴いただく。広告不況であえぐテレビ局の苦境がしのばれる苦渋のビジネスモデルである。しかも『のだめカンタービレ』の場合は、その映画版が前編後編と分かれている。当然、入場料も二回徴収されることになる。ファンの懐にとっても、テレビ局と不況気分を共有できる仕組みである。
◆決して悪い作品ではないが(30点)
『アリス・イン・ワンダーランド』は、大ヒットを宿命として生まれてきた。なんといっても240億円をつぎ込んだ本年度を代表するディズニーの3D超大作。間違ってもコケるわけにはいかない。
◆感情を揺さぶる力は『火垂るの墓』より上(80点)
『クロッシング』はあまりに危険な内容および主張を含むことから、南北融和のノ・ムヒョン政権時代の韓国ではおおっぴらに製作ができなかった。そこでやむなく、監督らは内容を絶対極秘にして各国ロケを行い、なんとか完成にこぎつけた。そして政権交代した今、ようやく日の目を見たという執念の一本である。
◆技巧はあれど、成功するとは限らず(55点)
「アリス・イン・ワンダーランド」でティム・バートン監督とジョニー・デップが7度目のタッグを組んだように、映画界にはうまの合うコンビというものがある。本人同士の相性だったり、興行面での有利であったりと理由はさまざまだが、『シャッター アイランド』が4回目の顔合わせとなるレオナルド・ディカプリオ&マーティン・スコセッシ監督も、そうした相思相愛カップルのひとつだろう。
◆無法地帯、南アにエイリアンがやってきた(65点)
CS局での番組収録の合間、世界を駆け巡る女性ジャーナリスト(独身)に私は次のような質問をしてみた。「ここだけは行くのを躊躇するヤバい国ってどこ?」
◆SFの体裁を借りて労働問題を描く(70点)
同週公開『第9地区』が社会派SFアクションなら、『月に囚われた男』はそれ以上に社会風刺の効いたSFドラマだ。こうした優れたSFが、同じ週に二本も見られると言うのはうれしい限り。私としても、ぜひ両方見てほしいと思う。
◆面白い素材を生かすことができず(40点)
『ダーリンは外国人』はコメディ、とくにラブコメ作りの肝を分析せずに作ったこのジャンルの映画がいかにひどい代物になるかがよくわかる、すぐれたサンプルである。
◆今の日本市場にこの映画がウケる余地があるかに注目(35点)
『誰かが私にキスをした』は、日本の映画業界人なら誰もがこりゃ無理筋だろうと即却下しかねないリスキーな企画である。なぜこんな、始まる前からコケる事間違いなしの危険な映画が作られてしまったのか、その理由については後で述べる。
◆ゴージャスなはずなのに、印象には残らず(30点)
イタリア映画界の巨匠フェデリコ・フェリーニの代表作『8 1/2(はっかにぶんのいち)』(63年、伊)をリアルタイムで見たものは、皆そのめくるめく映像美に圧倒されたと口をそろえる。
◆ライト感覚の古風な犯罪ドラマだが、決して古臭くはない(70点)
毎週同じ場所でジャズを演奏し、毎年ほとんど同じフォーマットで映画を作る。そんな神経症的な映画監督ウディ・アレンの新作は、監督本人が「悲劇」と呼ぶ犯罪ドラマ。
◆失業者ガンバレのメッセージを素直に受け取れないのはなぜか(70点)
どんな国でも多かれ少なかれ、映画業界というのはプロパガンダの役割を担いがちだ。とりわけアメリカはその傾向が強く、私はハリウッドをアメリカ5番目の軍隊(沿岸警備隊を入れるなら6番目?)と呼んでいる。むろん、そこで働く人たちにそんな自覚はないだろうが、そのように利用されているという意味での話だ。そして、そう称されるだけの価値がある業界ということでもある。実際は日本のように、内外どちらに対してもそんな影響力などない国がほとんどなのだから。