同工異曲と言ってはちょっと手厳しいが、ボーンシリーズには根強いファンが居るので、そういった人のニーズに応えているように思う(点数 85点)
(C)2012 Universal Studios. All Rights Reserved.
”ボーン”の名を冠しているが、厳密にはボーンシリーズのスピンオフといえるのが、この『ボーン・レガシー』。
ボーンシリーズの信条らしいのだが、ストーリーの進行上、必要でないアクションシーンは取り入れないことである。今作でもその縛りは生きているようで、派手さがなく結構地味な演出になっている。そのトレードオフとして現実感を喪失しないスパイ映画として成立している。
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人間がほんらい持つ生きる力に気付かせてくれる、賦活のドキュメンタリー(点数 85点)
(C) son et lumiere
コルカタ。植民地時代のイギリス人に「この宇宙で最も汚いところ」と言わしめた土地。
コルカタに住む3歳の男児ビラルを中心に家族の日常を追ったドキュメンタリーだが、障がい、借金という困難を抱えつつもビラルの家族は希望を捨てない。生活苦や日常に埋没しそうになってもまた前に進もうとする家族のたくましさに心を動かされる。
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政治風刺映画として映画史に大きな足跡を残すことが出来たと思う。(点数 87点)
(C)2012 Blind Spot Pictures, 27 Film Productions, New Holland Pictures. ALL RIGHTS RESERVED.
ナチスが密かに月に逃れ基地を建設し軍備を増強して再び世界征服を目論む政治風刺コメディ。
愚かなナチスを嗤い、利己的なアメリカを嗤い、エゴを剥き出しに争う国際政治を嗤いものにしてとにかく痛快。
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誰を信じれば良いのか分からない観るものを疑心暗鬼に誘い込むストーリーテリングは見事だったと思う(点数 85点)
(C)2012 UNIVERSAL STUDIOS. All Rights Reserved.
舞台は南アフリカ、ケープタウン。
悪のカリスマである元CIA局員、トビン・フロスト(デンゼル・ワシントン)の悪の頭脳に翻弄される駆け出しのCIA工作員(ライアン・レイノルズ)。
トビン・フロストを収容していた隠れ家(Safe House)が何者かに襲撃され、内部情報をリークしている者がいるとフロストは仄めかす。
「よくやった。後はまかしておけ」という奴は裏切り者だとフロストは言う。その裏切り者は誰なのか最後で明かされるのでこの台詞にはとくに注意して観ることをお勧めする。
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ベッソン得意のエキセントリックなキャラクタは登場しないが、過去の傑作に比肩するアクションシーンは見もの。(点数 86点)
(C)2011 EUROPACORP – TF1 FILMS PRODUCTION – GRIVE PRODUCTIONS
『ニキータ』ではアンヌ・パリローが演じた暗殺者の狂気にも似た激しい感情が作品に充満し、『レオン』ではジャン・レノが演ずる殺し屋の絶対的な孤独が痛いほどまでに表現されていたが、今作ではそういった伏流する感情表現がいまいち足りなかったように思う。
だが、殺しのアイディアは作品の随所の活かされていて本作をアクション映画として観るならばじゅうぶん楽しめる。
手練れの殺し屋は針金製のハンガーでも凶器にしてしまうと聞いたことがあるが、歯ブラシを武器にして戦うのはクライマックスの戦闘シーンであってもちょっと微笑ましかった。
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井口監督が仕掛けるホラーの波状攻撃にスマイレージが挑む。(点数 75点)
(C)2012「怪談新耳袋 異形」製作委員会
4つの短編で構成されるオムニバス。
不条理な恐怖と笑いが横溢する「赤い人」は注目。恐怖の中にも笑いを少し偲ばさせるセンスが良い。
恐怖も笑いも深いところでは不条理感がつきまとうところが共通しているような気がした。
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過酷な大自然に翻弄されながらも立ち向かう人間という構図は良かったものの、自然の力が大き過ぎて人間の矮小さが目立ってしまったのが惜しい(点数 73点)
(C)2011 The Grey Film Holdings, LLC.
アニマトロにクスがうまく活きていた。狼との格闘シーンや、今まさに息絶えようとする狼の身体に俳優が触れて演技するシーンはリアリティがあり、やはりCGだけでは迫真ある演技は難しかっただろう。
極限状態の中で生きる人間の意志がこの映画のテーマのようだけれど、自殺を図った主人公のオットウェイが生きることに執着する理由をもうちょっと掘り下げて説明してくれるとかなり深いドラマになったように思う。
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アメコミのヒーロー同士の対決も観られてとても贅沢な映画といえそうだ。マーベルとしてもこれまで世に作品を送り出してきた活動のマイルストーンになるだろう。(点数 85点)
(C)2011 MVLFFLLC. TM & (C)2011 Marvel. All Rights Reserved.
雷神ソーとロキの関係が今作の鍵なので『マイティ・ソー』だけでも予備知識として観ておいたほうが良さそう。
アイアンマンであるトニー・スターク(ロバート・ダウニー Jr.)とハルクに変身する科学者のブルース・バナー(マーク・ラファロ)の専門的な会話にはついていけなかった。
科学知識を披瀝するような会話は無駄。
マーベルの作品にはこのようなシーンが多く登場する。おそらくきちんとした科学考証を下地にしていると思うが、映画を観る人の多くは子供だったり、そんなハイレベルな知識を披露されても理解出来る人は少ないだろう。
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フランスから届いた一篇の映画が「介護」の現実を見せつつ、幸福のありようについても浮き彫りにしていく(点数 83点)
(c) 2011 SPLENDIDO / GAUMONT / TF1 FILMS PRODUCTION / TEN FILMS / CHAOCORP
富豪でありながらも、首から下が麻痺した障がいを持つフィリップ(フランソワ・クリュゼ)と貧困層出身で介護の仕事にありついたドリス(オマール・シー)との友情を描いた映画なのだが、泣けるという触れ込みで観たけれど、別に泣けなかった。泣けない代わりに9割がたの笑いと最後の残りは一陣の風が抜けるような余韻で終わるので、鑑賞後は清々しい気分になった。
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無論、命を救うことは尊いことだが、それだけの理由では動かない現実を多面的に見せているところがまた安易な動物愛護精神に傾いていないので見応えがある。(点数 77点)
(C)2012 UNIVERSAL STUDIOS.All Rights Reserved.
この物語は1988年にアラスカで実際に起きた氷に閉ざされた海からクジラを救出した事件を基にしている。
この映画を観ていると、クジラを救うことで自分も恩恵を受けようと功利的に協力する人たちをシニカルに眺める視点があることに気付く。
穿った見方をすれば、この映画は功利主義への揶揄を含んだ政治的な作品なのだ。
それはこの事件から20数年が過ぎた現在でも国家を支配して放さない市場原理主義への懐疑にも繋がっている。イヌイットの少年が防寒用のダンボールを観光客に法外な値段で売りつけるシーンがあるがその最たるものだ。
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優しさに溢れていても心に確固とした芯を持つ主人公は、現代のニーズにマッチした白雪姫像と謂えるだろう。(点数 78点)
剣を手にして戦うスノーホワイトは過去の因習を断ち切って新しい未来を切り拓く。
要所要所でグリム童話のエピソードを浚いながらストーリーは少女から戦う女への変化へとダイナミックに、そして現代的にアレンジされている。
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ガッツがその自慢の長剣を振りかざし敵をなぎ倒しながら前に進む姿はまさに血路を開くと形容しても差し支えないだろう。(点数 75点)
(C)三浦建太郎(スタジオ我画)・白泉社/BERSERK FILM PARTNERS
今作のキーを強いて挙げるならば「夢」。
グリフィスもガッツも己の夢に殉じようとしている。だが、夥しく流れる血と飛散する脳漿の代償として与えられる「夢」がグリフィスは一国の主人になることであっても、その犠牲は仲間の死であったり自分が受ける傷であったりと対価は大きい。
それぞれが夢を掴むために足掻きその代償として伴う多くの痛みはその夢があまりにも大きく、まさに血肉と引き換えにしなければ得られないものであることを痛感させられる。
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本物の兵器を使用したガンアクションと戦闘シーンに目を奪われるものの、シールズの掲げる正義について考えてみるのも良いだろう。(点数 77点)
(C)2012 IATM, LLC
最初に断っておくが、この映画は1990年に公開されたチャーリー・シーン主演の
『ネイビーシールズ』とは全く違う作品 だ。リメイクではない。別物の映画
だ。90年の『ネイビーシールズ』は役者が演じて映画的な映画だったが、今作
は本物の隊員を起用して フィクションの垣根を越えてよりリアルな戦争アク
ションに仕上がっている。
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今作ではストーリーの基軸にタイムスリップを導入して、さらに大きくなったスケール感に圧倒される。(点数 88点)
Photo by WILSON WEBB -(C)2011 Columbia Pictures Industries, Inc. All rights reserved.
1作、2作の面白さが全くパワーダウンすることなく3作目に引き継がれている。
後半ではJ(ウィル・スミス)の生い立ちやK(トミー・リー・ジョーンズ)が何故寡黙なのかの原因が明かされていて、エピソードとしては1作、2作とも独立しているが、3作目までの文脈は連続している。なので、1作目から観直しておくと本作をより一層愉しめるだろう。
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無実の罪を着せられた男の鮮やかな逆転劇がじつに爽快な1時間42分。(点数 80点)
(C)2011 Summit Entertainment, LLC. All Rights Reserved.
ニューヨーク市にある老舗のホテルで、壁に張り付いた縁から今にも飛び降りようとしている男がいる。男の名はニック(サム・ワーシントン)。数日前、刑務所を脱走したばかりの受刑者だ。無実を訴えるニックは今まさに飛び降りんとばかりに野次馬を煽るが群衆の期待とはよそに彼にはある計画があった。
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