対立しつつもお互いを必要とする人間関係に一筋縄ではいかない人生の難しさを感じる(点数 75点)
(C)MMXII by Western Film Company LLC.
無駄な性描写が多くてげんなりする。
そういうシーンを用いることが人間を描いていると監督が考えているのなら、やはり底が浅いと言わざるを得ない。
ファンサービスくらいだと好意的に受け取ったほうがよいのか。
ただ、放蕩を重ねる主人公が結婚を約束した女だけは清い関係を守るのだけれど、その対比としての奔放な女性関係を描いているのであればそれは演出として首肯できる。
この映画の批評を読む »
! (点数 100点)
(C) Universal Pictures
『レ・ミゼラブル』の”Misery”とは当時の貧困の厳しさに起因するみじめさだ。
現代社会は完全ではないが徐々に貧困を世界から追放しようとしている。
だからこそ、往時の社会情勢に関心を持って今の時代について考える良い機会になると思う。
ただ生きることに懸命だった時代に社会的使命を見いだし果敢に生きた男の生きざまは生きる目標を見失いがちの現代人には人生の羅針盤となるだろう。
この映画の批評を読む »
奇妙な人間関係に目がいきそうだが、ストーリーはオーソックスで良い意味で安定したクライムムービー(点数 83点)
(C)Universal Pictures
恋人を共有する男の奇妙な友情と、その2人の男を恋人にする女の奔放な恋愛関係が起こす野蛮な事件。
『ナチュラル・ボーン・キラーズ』もそうだったが、バイオレンスを加味したクライムサスペンスとなるとこの監督は俄然腕が冴えてくるように思われる。
対照的な2人の男が敵対組織に拉致された共通の恋人を救い出すために否応もなく暴力の応酬に引きずり込まれていく過程が非常に生々しい。
とくに麻薬の売買で巨利を得ようとも基本は平和主義者であるベン(アーロン・テイラー・ジョンソン)が恋人を救うためとはいえ、敵対組織の幹部を罠にはめていく様子は見ているだけでも背筋が凍る思いだ。
この映画は勧善懲悪の分かりやすいストーリーではなく、おのれの主義を通すためには自らも汚れ役を買ってでなくてはならないという厳しい現実も描かれている。
この映画の批評を読む »
ビン・ラディン殺害までに背後で暗躍する諜報活動のタフな世界をくまなく描く(点数 83点)
Jonathan Olley (C)2012 CTMG. All rights reserved
ステルスヘリに乗ってアジトを強襲するシールズを”カナリヤ”と呼んでいるが、カナリヤは酸素の薄い場所では生きられないので、すぐに死ぬことから、昔、鉱山の採掘作業等で空間に空気があるのかを確認するために最初にカナリヤを送り込んだことに由来するらしい。
カナリヤとは先遣部隊くらいのニュアンスだろうか。
この映画の批評を読む »
テッド - 青森 学
オヤジくさいテディベアだが、ぎりぎりのところで嫌みならないくらいの絶妙なさじ加減のキャラがgood(点数 83点)
(C)2012 Universal Studios. ALL RIGHTS RESERVED.
悪友がクマのぬいぐるみというだけで、友情と恋のどちらを取るのかという普遍的なストーリーは変わらない。
シェイクスピアの作品では家名と引き換えに、または復讐のために、その恋が神の供物として捧げられる。
この作品もまたクマのぬいぐるみと手が切れない男が恋人に愛想を尽かされるという物語は前述した普遍的な物語を現代風にアレンジメントしたものだ。
この映画の批評を読む »
涙と笑いは紙一重。この人生もきっとそう。(点数 80点)
(C)2012 SLPTWC Films, LLC. All Rights Reserved.
最愛のパートナーを喪った男女が、苦しみを乗り越えて人生を取り戻すストーリー。
物語の冒頭で主人公が精神病院を退院するシーンで始まるのだが、この男は躁鬱病なのだ。
主人公が鬱になっているシーンは作品中には無かったようだが、躁状態のシーンが結構リアル。不眠の状態で夜通し本を読み続け、夜中に両親を叩き起こして思いつくままに感想をしゃべり続けるシーンはやはりリサーチしてシナリオを作っているように思う。結構リアリティがあった。
この映画の批評を読む »
過去の人間が未来の自分を殺さなければならないという設定の面白さが、良くも悪くもこの作品全体の評価を決めている。(点数 78点)
Copyright 2011, Looper, LLC
近未来。タイムトラベルが可能になった世界ではその影響力の強さから公権力がタイムトラベ ルを禁止したためアンダーグラウンド化し、タイムトラベルは犯罪組織のみ利用するようになったというのが物語の背景。
この映画の批評を読む »
親子の絆の体裁を取りつつ、人の絆の強さを描く傑作(点数 89点)
(C)2011 PCF STARBUCK LE FILM INC.
今では中年となった主人公のダヴィッドが若かりし頃に、病院に提供した精子によって結果的に500人を超える子供たちの父親になっていたことが後の民事訴訟で明らかになるユーモアたっぷりのカナディアンコメディ。『素晴らしき哉、人生!』、『クリスマスキャロル』のように、主人公がもうひとつの“if”の世界を見つめながら父親としての自覚を持つに至るまでの過程がユーモラスで過去の名作に比肩するだけの風格を保持している。
浅い絆を象徴する遺伝子を提供するだけの親子関係なのに、最も深い絆を描く監督の手腕は見事だ。
この映画の批評を読む »
超能力信仰を描くことでアメリカ文化の病巣を斬っているバックストーリーにも注目(点数 75点)
(C)2011 VERSUS PRODUCCIONES CINEMATOGRAFICAS S.L. (NOSTROMO PICTURES) / VS ENTERTAINMENT LLC
オチはなんとなく分かったものの、伏線が不可解。
私程度の理解力では監督の仕掛けるトリックに太刀打ち出来なかった。
超能力者とそのトリックを暴こうとする科学者との対決をスリリングに描くが伏線が意味深長で、さらに言えば理解出来ないのが惜しい。ただ、オチはそれとなく判るように描かれているので、まったくのお手上げにはならないのが救いだった。
この映画の批評を読む »
イラン映画が世界的に評価が高いのもこういう映画があるからこそと納得させられる一品(点数 86点)
(C)kanoon
説明がましい台詞が無く、映像で彼らの心情を表現する技術は秀逸で、詩的な趣きさえある。映画の後半で燃え盛る天然ガスの炎を背景に主人公の少年が氷塊を掲げるシーンは幻想的で、短いカットから多くの意味を含んでいるのはさながら一編の詩のようでもある。
この作品では少年たちが疾走するシーンが多く用いられているのだが、生きることの喜びや苦悩を身体で表現しているように思う。走るシーンに人生の意味が凝縮されているのではないのだろうか。
この映画の批評を読む »
白黒の映画にバートン監督の色褪せない想い出が詰まっている。(点数 88点)
(C)2012 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.
愛するものに永遠に生きて欲しいと願うのはだれにでもあることだと思う。
鉄腕アトムはこのフランケンシュタインのストーリーと共通するテーマがある。天馬博士は息子の飛雄を交通事故で失い、その代わりとしてアトムを造った。
ピグマリオンも彫像に恋をして哀れに思ったアフロディーテがその像に魂を吹き込んだのだという。
この映画の批評を読む »
金塊を強奪するという前時代的なクライムサスペンスだが、だからこそ描ける濃密な人間ドラマがあるのかもしれない。(点数 75点)
(C)2012「黄金を抱いて翔べ」製作委員会
高村薫氏の小説は『マークスの山』しか読んだことが無いが、緻密な文体は分かるのだけれど、その硬質な文章と、群雄割拠する主要なキャラクタたちの活躍に目が追われるうちに内容を把握するのに疲れてしまい、いまいち私には馴染むことが出来なかった。
だが映画は錯綜したストーリーを上手く纏めた印象がする。その代わりとして相当想像力を働かせないと登場人物の背景が見えてこない。とくに幸田と彼の父との邂逅は偶然過ぎて言葉を喪う程だ。でも、たしかにいちいち登場人物のバックグラウンドを説明していたら尺が2時間そこそこでは収ら無い。だから人によってはちゃんと編集していると評価するのではないだろうか。
この映画の批評を読む »
冴えない人生を送る人間が大きな夢にぶつかって信じる心を取り戻す“希望”についてのものがたり。(点数 88点)
(C)2011 Yemen Distributions Ltd., BBC and The British Film Institute. All Rights Reserved.
荒唐無稽な夢ほど人を惹きつける。
主人公である水産学者のジョーンズ博士(ユアン・マクレガー)はイエメンで鮭を釣ることをよく「人類が火星へ行くことくらいの可能性」と喩えるのだが、迂回した言い方になるけれど、荒唐無稽な夢であっても、それこそが人間をまた前に進ませる原動力になっているのだと思う。
人間は希望を持たされなければ前へ進もうとしない生物だ。否、全ての動物にその原理は当て嵌まるといえるだろう。
この映画の批評を読む »
エドガー・アラン・ポーの死の謎に大胆な解釈を盛り込んだ意欲作。だが、作家への愛が強過ぎて観る者にそれなりの知識を要請する映画といえそう。(点数 75点)
(C)2011 Incentive Film Productions, LLC. All rights reserved.
Everything you can imagine is real.(あなたが想像することは全て現実になる)
ピカソはそう言い残したのだそうだ。ポーの書いた猟奇小説が模倣犯の手によって現実化していくくだりは何もポーひとりの責任だとは言い切れない。人間は想像することを止められない動物だ。物理学者はアインシュタインの仮説から原爆を建造した。
この映画の中に登場するポーの小説を実現化する殺人鬼はそんな科学者の宿業の双生児なのである。
この映画の批評を読む »
サッカーを通してより人間性の豊かな人材を育成していく。教育改革者の視線はいつも遠い未来を見据えている。(点数 83点)
(C)2011 DEUTSCHFILM/CUCKOO CLOCK ENTERTAINMENT/SENATOR FILM PRODUKTION.
英語教師のコンラート・コッホが母校に招かれ教鞭をとるうちにサッカーを通して自立した人間を育成すること目指していく。
コッホはドイツサッカー界のパイオニアと呼ばれている。
この映画の批評を読む »