◆実在のホームレス音楽家と彼を追うコラムニストの感動の物語(70点)
2007年に『ミリキタニの猫』というドキュメンタリー映画が公開された。これはニューヨークに住むジミー・ミリキタニという80を超える日系アメリカ人のホームレス画家を追うドキュメンタリー映画だ。『プライドと偏見』『つぐない』のジョー・ライト監督最新作『路上のソリスト(原題:THE SOLOIST)』も同じく実在するストリートで生活するアーティストを扱った作品で、本作ではチェロ奏者が登場する。そしてその音楽家と出会うある新聞記者の目を通して本作は描かれる。
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◆ウルヴァリンことローガンの失われた過去が遂に明かされる!(55点)
アクションやって歌って踊って、時々ナレーションやってと忙しく活動しているオーストラリア出身のスター、ヒュー・ジャックマン。そして彼を一躍銀幕の人気者へと押しやったのはやはり髭面でどこか孤独な雰囲気を持つ『Xメン』の主要キャラクター、ウルヴァリンだろう。2009年5月アメリカ映画界はサマーシーズンの幕が開けた。そこでサマームービーの第一弾作品として公開されるのがジャックマンが再び演じるウルヴァリンを主人公とした『ウルヴァリン:X- MEN ZERO(原題:X-MEN ORIGINS: WOLVERINE)』だ。
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◆ジャームッシュがC・ドイルと組んだ不思議な映画(50点)
ある訳ありの1人の男がスペインへ旅立つ。彼の目的は一体何なのか? わたしたちにはそれは分からない。ニューヨークを代表する映画監督ジム・ジャームッシュの最新作『リミッツ・オブ・コントロール』は謎に包まれた不思議な映画。観るものの想像力にストーリーを委ねており、その想像力だけでどこまでも物語が広がってしまいそうな大きな可能性を秘めた作品である。ただそれゆえにどうでも良くも思えてしまう作品とも言える。
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◆命懸けで真実を伝える新聞記者達の姿を描く社会派ドラマ(65点)
『キングダム/見えざる敵』のマシュー・マイケル・カーナハン、『ボーン』シリーズのトニー・ギルロイ、『アメリカを売った男』のビリー・レイの3人が手を組んだ。彼らが脚本を手掛ける『消されたヘッドライン(原題:STATE OF PLAY)』(『QUEEN/クィーン』のピーター・モーガンが書き直し)は現代を舞台にした社会はドラマ。見慣れた雰囲気の映画ではあるが、命懸けで真実を伝える新聞記者達の姿を実にリアルに描き、メディアの果たすべき義務とは何かを問いかける。
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◆死んだはずのあの男が帰って来た!超過激エンターテイメント!(75点)
『アドレナリン』の主人公シェヴ・チェリオスはヘリコプターから落下した後、ロサンゼルスの街のど真ん中を走る車に激突し、地面に叩き付けられた。チェリオスの生死は謎のまま終わった前作から3年、チェリオスは生きていた!(もちろん!)というところから続編『アドレナリン:ハイ・ボルテージ(原題:CRANK: HIGH VOLTAGE)』は始まる。直ぐさま黒いトラックで中国系ギャングが現れ、瀕死のチェリオスを車の中へ放り込み連れ去る。前作では中国産の毒を体に注入され凄まじい物語が展開しただけにそれを連想させる様なオープニングだ。
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◆今の知識を持ったままあの日に帰れたら…。ザック・エフロン主演最新作(50点)
日本でも今年公開された『ハイスクールミュージカル/ザ・ムービー』に主演しているザック・エフロン。アメリカでは2006年のディズニー・チャンネルのテレビ映画『ハイスクールミュージカル』でティーンエイジャーを魅了し、翌年には大ヒット映画『ヘアスプレー』でカリスマダンサーのリンクを演じ世界中で彼の人気に火が付いた。その茶色のしなやかな髪、キラキラ光るつぶらな青い目、丁度良く筋肉の付いた引き締まった体が完璧なアイドルを形成している。その彼の待望の主演映画『セブンティーン・アゲイン(原題:17 AGAIN)』はファンにはため息もののザック・エフロンでお腹いっぱいになる映画である。
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◆これはコメディ版『タクシードライバー』だ!(75点)
『無ケーカクの命中男/ノックトアップ』や『スモーキング・ハイ』等ヒットコメディに主演しているカナダ出身の俳優セス・ローゲン。とにかく出演する作品当たりまくっている彼の新しい主演作は『THE FOOT FIST WAY』のジョディ・ヒルが監督・脚本を務める『OBSERVE AND REPORT』。タイトルが指す「観察し報告する」立場に置かれた警備員の葛藤を描くダークなコメディだ。
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◆1970年代後期、ライム病感染の恐怖の中で徐々に崩壊していく家庭と少年の心(60点)
日本ではあまり聞く事はないが、米国やヨーロッパではよく知られている全身性疾患のライム病。これはマダニに刺される事によって感染する細菌感染症で、アメリカ旅行向けの日本の旅行本等にはしばしば、「道を歩く際には、草木にはなるべく触れない様に注意しましょう」等、ライム病予防を促す注意書きを見る事がある。映画『LYMELIFE』はそんなライム病が流行し始めた1970年代ニューヨークを舞台にバートレット家とブラグ家の家族の崩壊を通し、バートレット家の純粋な次男スコットの成長を描く。この映画は出演者でもあるアレック・ボールドウィンが製作、マーティン・スコセッシが製作総指揮を務め、昨年のトロント映画祭でプレミア上映された時には批評家連盟賞を受賞している。
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◆ニューモデル、オリジナルパーツ!第1作目からのキャラクターが再び登場(40点)
B級ぽさが魅力の映画『ワイルド・スピード』。日本車をフィーチャーしたこのカーレース・アクション映画は世界で大ヒットし、『ワイルドスピードX2』『ワイルドスピードX3 TOKYO DRIFT』と続編も作られた。そのシリーズが第一作目からのお馴染みの登場人物達に焦点を当て再びスクリーンに帰って来たのが『ワイルド・スピード MAX(原題:FAST & FURIOUS)』だ。
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◆名作『ハーフ・ネルソン』監督最新作、野球を通して繊細で感動的な物語を描く。(85点)
ペドロ・マルティネス、サミー・ソーサ、マニー・ラミレス等、挙げれば切りがないドミニカ共和国出身の野球選手達。一流の選手を輩出するその国は現在メジャーリーグにとって欠かす事の出来ない国となっている。それゆえ、アメリカ野球界はダイヤモンドの原石を見つけるために、その国で選手育成を行っている(実は日本も)。映画『SUGAR』は野球でアメリカンドリームを夢見るドミニカ共和国に住むある若者がアメリカという地で自分の人生と向き合い成長していく物語だ。
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◆夢が始まったばかりの男と人生をやめようとしている男の友情の物語(75点)
タクシードライバーは毎日実に多くの人に出会う。ドライバーと乗客にとって彼らが共有する時間は人生のほんの一瞬にしか過ぎないが、それもまた一期一会。ラミン・バーラニの映画監督第3作目『グッバイ・ソロ』では、あるタクシードライバーが、1人の年老いた男性の乗客に出会うのだが、この出会いが彼ら人生を永久に変えてしまう。シンプルに綴られるミステリアスな物語がわたしたちに感動をもたらす作品だ。
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◆66日間の抵抗の末27歳で餓死したボビー・サンズの姿を描く問題作(90点)
スティーヴ・マックイーンと聞くと『大脱走』等の名俳優を思い浮かべるだろう。それはさておき、イギリス・アイルランド映画『ハンガー』の監督の名もスティーヴ・マックイーン。彼は1969年イギリス生まれの新進気鋭の黒人ビジュアル・アーティストで、本作が彼の映画監督デビュー作となる。1981年のアイルランドの悪名高きメイズ刑務所が舞台の『ハンガー』はマックイーン氏の監督処女作でありながらも、カンヌ映画祭のカメラドール(監督新人賞)、ターナー賞受賞をはじめ、世界各国で高い評価を得ている。
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◆今度は80年代が舞台、あの最強童貞喪失映画の監督待望の新作!(55点)
映画監督グレッグ・モットーラ。彼は『THE DAYTRIPPERS』で長編映画デビューを果たしたが、その後映画制作を離れ主にテレビの脚本家として経験を積んだ。そして11年後の2007年夏に童貞喪失映画『スーパーバッド 童貞ウォーズ』が全米で1億ドルを超える大ヒットとなり、一躍時の人となった。次回作が期待される中公開されるのが『ADVENTURELAND』という映画だ。前作では現代を舞台にした大爆笑コメディだったが、本作は80年代が舞台の甘酸っぱいラブコメディとなっている。
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◆実際あった出来事を基にしたホラー映画(40点)
条件も良く、手頃な価格の掘り出し物の家には必ず何かある。1980年代にスネデカー一家がコネチカット州で体験した実話を基にしたホラー映画『エクトプラズム 怨霊の棲む家』で、問題を抱えたある家族が新しく引越して来た新居で怒れる邪悪な存在に苦悩する。
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◆賢く、そして不気味なSF映画好き熱狂のニコラス・ケイジ主演最新作。(75点)
この映画は予想外だった。SF映画『ノウイング(原題:KNOWING)』はニコラス・ケイジを主演に迎え地球存続の危機を描く。何故予想外なのかというと、近年のニコラス・ケイジ主演映画は正直どれもイマイチ。わたしは彼の出演作品に期待すら抱かなくなっていたのだが、本作は違った。『ダークシティ』『アイ、ロボット』のアレックス・プロイヤスが監督を務めるこの物語は始めから最後まで観客を引き込む演出がなされ、賢くそして怖い、特にSF映画好きを興奮させる映画となっているのだ。
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