ショパンの放蕩ぶりをもっと深く掘り下げれば新しいショパン像が楽しめたのだが…。 (点数 40点)
(C) 2002, A Jerzy Antczak Production, All Rights Reserved.
ハートがとろけるような甘いメロディから激情を鍵盤に叩きつける力強い旋律まで、喜怒哀楽をピアノで表現するショパン。
芸術家がパトロンなしでは生きていけなかった時代、年上の女流作家の庇護と寵愛を受けながら作曲に励んでいく。
しかし、映画は彼の音楽家としての創作の苦悩や葛藤よりも、愛人とその子供たちとの関係を通じて天才の孤独を描こうとする。
自分と音楽を愛せても他人は愛せない、その一方で他人に甘える術に長けている、名曲の陰に隠された作曲家の実像は人間的な魅力に乏しかった。
この映画の批評を読む »
あまりにも強引なこじつけは、それこそ「驚愕の結末」と呼ぶにふさわしい。(点数 40点)
偶然の出会いなのか仕組まれた必然なのか。
旅行中、美女に声をかけられた男が彼女と道行を共にする。
その先で待ち受けていたのは、高級ホテルのスイートルームと武装した物騒な男たち。
訳が分からないまま逃げまどう男は、自分がいつの間にか、ギャングが行方を捜している横領犯に仕立て上げられていたことを知る。
不運にもトラブルに巻き込まれた男、正体を隠した女、そして手紙だけで姿を見せない謎の男。
映画はミステリーにアクションを絡ませて予想もしない方向に舵を取る。
この映画の批評を読む »
コリン - 福本次郎
もはや希望はどこにもない、愛しあったぬくもりさえ今は忘却の彼方。
救いのない暗く深い諦観が胸に突き刺さる作品だった。 (点数 40点)
(C) 2008 NOWHERE FAST FILM PRODUCTIONS
薄れゆく意識と理性の中で、わずかに灯る記憶の火を手繰り寄せる。
それは誰かを確かに愛した感覚。
体に侵入したウイルスが脳に達したとき自分は人間ではなくなってしまう恐怖と闘ううち、その気持ちでさえ徐々に萎んでいく様子がリアルだ。
苦悩にのたうちまわりながらも、やがて苦悩すら感じなくなる。
この映画を見ていると、人間は思考することで人間たりえると改めて痛感する。
この映画の批評を読む »
決着をつけなければならない運命の糸に導かれた
4人の男たちの思いが、無数の銃弾とともに交錯する。(40点)
(C) Formula Entertainment All Rights Reserved.
固い友情で結ばれた男と男、愛と憎しみに翻弄される兄弟、二つの裏
切りと三つの復讐。決着をつけなければならない運命の糸に導かれた
4人の男たちの思いが、無数の銃弾とともに交錯する。流麗なカメラワ
ークが紡ぎだすスタイリッシュな映像は犯罪組織に生きる者たちの理
想を反映し、それを追う刑事の泥臭い人生と好対照をなす。だが、そ
こで描かれる物語はウエットな感情を強調し過ぎ、非常に重い。
この映画の批評を読む »
果たしてこの演出でよかったのだろうか?(40点)
「自分探しの旅」が、ザックを背負って貧乏旅行をする沢木耕太郎の『深夜特急』のイメージだといえば、若い世代に“きょとん”とされるだろうか?
国が異なるからか、時代が異なるからか、はたまた性別のせいかなのか。ハリウッドの大物女優ジュリア・ロバーツを起用して描かれる「自分探しの旅」は、平穏な結婚生活を送り、お金も十分にあるキャリアウーマンが主人公。家族や仕事を投げ出して旅に出る主人公のメンタリティは、なんとも理解に苦しむ。ハタチ前後の小娘でもなかろうに。とはいえ、物質的にも環境的にも満たされている彼女が、説明のつかない「虚しさ」に襲われる心理は、意外に少なくない「満たされない症候群」を病む女性にはピンとくるかもしれない。
この映画の批評を読む »
◆ストーリーがあまりにも説得力に欠ける(25点)
映画はさながら世界一周の旅のようで開放感に溢れているが、ストーリーがあまりにも説得力に欠ける。NYでジャーナリストとして活躍するリズは、 30代半ばになって自分の人生が、望んでいるものではないことに気付く。夫との離婚、若い恋人との別れを経て、自らを探す旅に出ることを決意。イタリア、インド、インドネシアへと向かう。美食と瞑想を堪能した後、最後に訪れたバリ島で彼女の人生を大きく変える男性と出会うことになる…。
この映画の批評を読む »
◆男はイラっとくる映画(30点)
もしあなたが女性で、とても温厚な彼氏がいて、その不機嫌な顔を見たことがないとする。そして何らかの理由で、その彼氏をイラつかせたい場合は、迷わず『食べて、祈って、恋をして』と一緒に見るとよい。終わった後、ヒロインの行動をほめちぎり、共感したことを表明すれば、なおのこと効果は高い。むろん、そんなデートに何の意義があるのかは不明である。
この映画の批評を読む »
© 2010 劇場版「怪談レストラン」製作委員会
◆あくまでも子供向けで、TV感覚で気軽に楽しむ作品(30点)
松谷みよ子のロングセラー児童文学が、劇場版の映画として登場。アニメ、CG、実写の融合とのキャッチコピーだが、実態はアニメパートと実写パートにくっきりと分かれていて、この内容で“融合”とまで呼ぶのはちょっとズルい。山桜市では、死神からのメールを受信したものが連れ去られてしまう事件が頻発。自称怪奇現象専門の探偵で、中学生のハルは、行方不明になった妹のマイを探して、第一の被害者の少年・リュウの友人のカオル、カオルのクラスメートの少女ジュンと共に、不気味な廃墟の洋館、通称「怪談レストラン」に向かう…。
この映画の批評を読む »
◆京極夏彦作品の異色は、いまどきアニメの"フツー"(10点)
京極夏彦といえば、百鬼夜行(京極堂)シリーズに代表される、オカルト風味を取り入れた分厚い推理小説で知られる。
この映画の批評を読む »
◆江川監督らしさを押し出し、もっと過激なゲームを(10点)
中世のヨーロッパが起源だそうだが、合コンの風物詩こと王様ゲームはどこか日本人にぴったりな余興である。
この映画の批評を読む »
◆ホラー映画なのに怖くない。青春映画なのに楽しくない。エロくもなければグロくもない(30点)
才人ディアブロ・コディの脚本と聞いて大いに期待したが、蓋を開けてみればトホホの出来ばえで、脱力した。とある田舎町に住む、学園一の美女ジェニファーと内気で地味なニーディは幼馴染。正反対の2人はなぜか親友だが、ニーディはジェニファーに振り回されてばかりだ。ある日、2人でライブに出かけるが、そこで火事が勃発。その騒動の最中にバンドのメンバーに連れ去られたジェニファーが戻ってきて以来、街では凄惨な殺人事件が続発する…。
この映画の批評を読む »
◆ディアブロ・コディ脚本にキレがない(30点)
アメリカという国は個人主義なので個性を尊重、人と違った事をやっていても認める気風があり、だから日本のような陰惨ないじめなどはあまりない。
この映画の批評を読む »
◆芸能人の戯れ(20点)
芸能人のように人前に出る仕事をしていると、おのずと自我は肥大し、ときにはおかしな行動をとる人が現れる。空気の読めない主張をしてブログが炎上したり、高慢キャラで映画批評サイトを作ってみたり、刺青に彩られた菊の門をご開陳したりと、その行動内容は多岐に渡る。
この映画の批評を読む »
◆せめて彼の音楽性を少しでも伝える内容であれば(5点)
マイケル・ジャクソンの命日にあたる6月25日に公開されたドキュメンタリー映画だが、これほどヒドい作品は久しぶりに見た気がする。MJのプライベートフィルムという触れ込みだが、とても映画とは呼べず、素人がユーチューブにアップした画像のレベルにすぎない。内容は、2009年に急逝し、キング・オブ・ポップと呼ばれるMJの素顔に迫るというもの。生前、彼の身近にいた元マネージャーによって撮影されたフィルムには、故郷を訪れ大歓迎を受ける様子や、ネバーランドでの様子、親しい人だけに囲まれたバースデー・パーティなど、素顔のMJの様子が記録されている。
この映画の批評を読む »
◆欧州を感動させた映画ではあるが……(15点)
くせもの揃いのカンヌ国際映画祭。そこで2008年の最高賞(パルムドール)をとったとなれば、映画好きならば誰だって興味がわく。しかも審査委員長の映画監督ショーン・ペンは満場一致と絶賛するし、考えてみれば純粋なるフランス映画がパルムドールをとるのは久しぶりな気もする。これは見逃せないと試写に出向いたが、これが残念な肩透かしであった。
この映画の批評を読む »