“泣き一揆”首謀者の息子・村井との確執と和解のエピソードが映画を感情的に盛り上げる。(点数 40点)
(C)2011「TAKAMINE」製作委員会
医者の子に生まれ、才を認められて海外留学した明治のエリート。夢
を追い続け、他人の夢に力を貸し、日本を近代国家の仲間入りさせる
ことに捧げた男の生涯は、まるで中学生対象の偉人伝のようなサクセ
スに満ちている。もともとティーンエイジャーに向けて作られた映画
なのか、主人公が結果を出すまでの苦難や葛藤よりも、いかに彼がブ
レない心を持って生きたかが語られる。過剰に説明的なセリフも、普
段コミックやアニメでしか物語に触れない年齢層への配慮なのだ。
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「初期のカラー映画の色彩の感覚を再現」しているらしいが、暗過ぎて見づらいようでは本末転倒ではないか。。。(点数 40点)
(C)2009Rai Cinema-Offside-Celluloid Dreamas
彼の気高い理想と行動力に魅せられた。運命の人だと信じてすべてを
捧げた。だが、彼は指導者になった途端、彼女との過去を封印した。
後に独裁者となる男を誰よりも愛し、誰よりも憎んだ女は、当局によ
ってあらゆる記録を消され、最愛の息子とも隔離されてしまう。映画
は、社会主義の隆盛から第一次世界大戦、独裁政治、教会との和解、
そして破滅へと向かうイタリアの歴史を背景に、悲劇のヒロインの人
生を通じて人間性が抑圧されていく過程を描く。
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で曲がったことが大嫌いだが、楽天的でいつも前向きな少年を吉井一肇が大熱演。(点数 40点)
(C) 2011 『エクレール・お菓子放浪記』製作委員会
甘く切ないメロディに乗せて、澄み切ったボーイソプラノで朗誦する
「お菓子と娘」。食糧が不足していた戦中戦後の動乱期、主人公の少
年は砂糖をたっぷり使ったお菓子を夢にみて、歌声に希望を託す。そ
の思いは、好きになった年上の女への恋心とシンクロし、少年を真っ
直ぐに歩ませる。映画は、感化院に収容された少年が美しい先生との
出会いを経て苦難の時代を生き抜く決意を固め、どんな苦労にも耐え
抜く姿を描く。真面目で曲がったことが大嫌いだが、楽天的でいつも
前向きな少年を吉井一肇が大熱演。
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マーラーの作品は愛してもマーラー本人は愛せなかったアルマの複雑な気持ちを描くなどの工夫がほしかった。 (点数 40点)
(C) 2010, Pelemele Film, Cult Film, ARD, BR, ORF, Bioskop Film GmbH
世紀末の面影を色濃く保ち、落日の帝国の首都としてかつての繁栄の
残滓に寄り添うかのような20世紀初頭のウィーン。妻の不貞に心を痛
め、創作に行き詰まり、強迫観念に取りつかれたあげく精神科医のコ
ンサルティングを受ける作曲家の苦悩は、近代から現代への大変換に
取り残されそうになっていることに遠因があるのか。貴族趣味の象徴
であるサロンが最期の輝きを見せた時期、アーティストはいかに生き
るべきか、映画は主人公と妻の感情に密着する。
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「バカになること」に、初美自身が快感を覚え、やがてはそれを目指すようになっていく姿がほほえましい。(点数 40点)
(c)2011「これでいいのだ!!」製作委員会
子供の遊びに本気で熱中し、泥酔するまで酒を飲んで胸にしまった鬱
憤を解放する。本当のバカになる、それは恥ずかしいとか迷惑をかけ
るとかいった良識のブレーキを外し、素の自分をさらけ出すこと。赤
塚不二夫が紡ぎだすギャグとナンセンスの数々は、そんな欲望を刺激
し、バカになり切れない人々の代わりにキャラクターにバカをやらせ、
胸の奥に潜む真実を鋭くえぐりだす。
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もっと中国人にしか成し得ない斬新なアクションシーンを演じてほしかった。(点数 40点)
(C)2009 Cinema Popular Ltd. All Rights Reserved.
革命の理想に身を投じ、国の未来のために命を捧げる。大切なモノを
守ろうと自らを犠牲にする戦士たちの力尽きてゆく姿が美しい。自分
や家族のためではない、高邁な大義に殉じた満足感と、きっと生き残
った仲間は己の名を胸に刻んでいてくれている安心感が、彼らの死を
誇り高きものに昇華しているのだ。映画は時代の転換期を迎えた20世
紀初頭の香港、指導者の身辺を警護しその安全を確保した人々を通じ
て夢を追い求めて闘うことの素晴らしさを描く。
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従順さこそが女の道と定義されていた時代、“自由”の概念さえ持ち得なかった当時の女たちの姿に、現代に生きる幸福と幸運を感じずにはいられない。(点数 40点)
(C) copyright 2010 Les Films Alyne
音楽に囲まれた環境で育ち、優れた技量にも恵まれ、自らも作曲の道
を志すヒロイン。しかしその夢は“女だから”という理由で簡単に奪
われてしまう。物語は、神童と呼ばれる弟を持ったゆえに生涯日蔭に
甘んじた姉の、抑圧された青春を描く。従順さこそが女の道と定義さ
れていた時代、“自由”の概念さえ持ち得なかった当時の女たちの姿
に、現代に生きる幸福と幸運を感じずにはいられない。
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もっと人物像を深く掘り下げるとか、アッと驚くアイデアがひとつくらいは欲しかった。(点数 30点)
(C)「ガクドリ」製作委員会
寝てもドリフト覚めてもドリフト、そんな若者が学生たちのドリフト
No1を競う大会を目指して切磋琢磨する。まったくの素人だった主人公
がさまざまな出会いの後に未熟でジコチューな性格を変えていく過程
で、同じ目標を持つ部員と友情を交わし信頼を得て恋をするという成
長の物語に、一匹狼の男やケバいギャルを絡めるのだが、いかんせん
脚本の骨格があまりにも脆弱。もっと人物像を深く掘り下げるとか、
アッと驚くアイデアがひとつくらいは欲しかった。
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もう少し表現方法を工夫しないと、せっかくの「学問としてのエクソシズム」という切り口が生かされてこないではないか……。(点数 40点)
(C) 2010 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.
悪魔の存在を信じることは、神を信じること。信仰に自信を持てない
神学生が悪魔祓いのOJTを通じ、自分の進むべき道を見つけていく。患
者の妄想なのか本物の憑依なのか、懐疑的な主人公は現場を体験して
もなお疑いの目を向ける。理性を超えた現象、しかし、対処法を学び
実践すればその謎は解けなくても事態の収拾は図れる。物語はそんな、
ローマカトリック教会から正式な職業として認められているエクソシ
ストの実態を明らかにしていく。
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多感な年頃の娘に対する父親の自覚がジョニーに心地よい温かさをもたらしていく。(点数 40点)
(C)2010 – Somewhere LLC
同じ道を何度も周回するフェラーリは、出口が見えない彼の現状を象
徴しているよう。俳優として一応の成功を収めた男は、有り余るカネ
と暇で享楽的な生活にどっぷり浸かりつつもどこか「ここは自分の居
場所ではない」と違和感を覚えている。映画は、そんな男が離れてい
た娘との触れ合いを通じて、己が本当に求めていたものは何かに気づ
いていく過程を描く。しかし、連綿たる間延びしたシーンと緊張感に
乏しい演出は、時間の流れをリアルに再現してはいるが、感情の起伏
に乏しく平板な印象は禁じえない。
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感覚は刺激しても決して感情や想像力にまで訴えてこなかった。(点数 40点)
凡庸と評されるのはクリエーターにとって屈辱以外のなにものでもな
い。だが、それを避けるためにあえて語らず解説せずただ茫洋とした
映像を投げ出すだけでは、誰も非凡とは認めないだろう。メタファー
が暗示する主人公のおかれた状況と象徴が明示する彼の心理状態は何
とか理解できるものの、恐ろしく断片的なシーンの連続はエピソード
として成立していないのだ。
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豊を中心にした構成にすれば、段野や石本といった登場人物のキャラクターも生きてきたはずだ。。。 (点数 40点)
(C) 2011田中プロダクション・少年画報社 / 「BADBOYS」製作委員会
己の拳がどれほど通用するのか試したい。そもそもケンカに明け暮れ
る悪ガキの動機は、誰が一番強いのか自分の目で見届けたいというも
のだろう。同じ思いを持つものが集まり、殴り合い、優劣をつける。
その過程で友情を築き、自己を磨き、挫折を乗り越え、度胸を据え、
男として成長していく。映画は、「思いきり暴れる」という彼らの欲
望をパワフルにとらえ、疾走感あふれる映像で若き情熱を表現する。
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屋外での移動が主だった「野望編」とは対照的に、閉鎖空間で繰り広げられる活劇は息が詰まる緊迫感に満ちている。(点数 40点)
(C)2010 「SP」 プロジェクトチーム
国会議事堂内で武器の携帯を認められているのはSPのみ。出入り業者
に対するチェックはおざなりで、書類の確認だけで簡単に爆発物も持
ち込める。セキュリティの杜撰さはそのままわが国の危機管理の甘さ
を皮肉っているかのようだ。映画は国会の警備の盲点を突いたテロリ
ストたちがごく短時間で内閣全員が出席する議会を支配下に収め、彼
らが唱える“革命”を国民に呼びかける姿を追う。屋外での移動が主
だった「野望編」とは対照的に、閉鎖空間で繰り広げられる活劇は息
が詰まる緊迫感に満ちている。
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まるで夢の中で夢を見ているごとき不思議な体験。それは「インセプション」風の挑発に満ちたものではなく、森羅万象が時間の概念を超越してたゆとう感覚だ。(点数 40点)
(C)A Kick the Machine Films
緑濃いジャングルの深淵、そこは死者と精霊が帰っていくところ。命
が尽きかけた人間は穏やかな気持ちで、人生に迷っている者は吸い寄
せられるように足を踏み入れていく。もはや現世との境界は曖昧にな
り、生老病死の四苦から解放された心が浄化されていく。ところが、
恐ろしく緩慢な話法はイマジネーションを刺激するには程遠く、理解
を越えたメタファーの数々には戸惑うばかりだ。せめて森の木々に瑞
々しい生命力が感じられるほどの深い美しさが映像にあれば印象は違
ってきたと思うのだが…。
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根性を見せるのにグランドを走るだけでなく、せめて「GIジェーン」みたいに頭を丸めて筋骨隆々の肉体を作るくらいの強固な決意を見せてほしかった。(点数 40点)
選びぬかれた最優秀の兵士が集まる韓国軍の精鋭部隊。
その“男の世界”に志願した娘は、厳しい訓練以上に、好奇心と嫉妬に苦しめられる。
女性差別を公然と口にする上官、下心を持って近づいてくる同僚、そして女だからとなめた口をきく兵卒、他の者も「お手並み拝見」と
彼女を遠巻きに見つめているだけで決して手助けはしない。
そんな男たちの中で自らの意思を貫き通すヒロインの姿が健気で愛らしい。
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