◆CCDカメラによるサブ視点が取り入れられたことによって演出面がパワーアップ(75点)
スペイン製パニック・ホラー『REC/レック』(07)は世界各国でヒットし、アメリカでは『REC:レック/ザ・クアランティン』(08、日本未公開)としてリメイクされた。そして、待望の第二弾が作られた。監督は、前作同様にジャウマ・バラゲロとパコ・プラサとの共同。
◆CCDカメラによるサブ視点が取り入れられたことによって演出面がパワーアップ(75点)
スペイン製パニック・ホラー『REC/レック』(07)は世界各国でヒットし、アメリカでは『REC:レック/ザ・クアランティン』(08、日本未公開)としてリメイクされた。そして、待望の第二弾が作られた。監督は、前作同様にジャウマ・バラゲロとパコ・プラサとの共同。
◆この映画はまるで『スパイナル・タップ』×『レスラー』だ(85点)
1984年に公開された架空バンドの全米ツアーの模様を追う映画『スパイナル・タップ』。『スタンド・バイ・ミー』で知られるロブ・ライナーが監督を務めた「ロキュメンタリー」と称すこのモキュメンタリー作品は今もなおカルト的人気を誇っている。2009年、まるで『スパイナル・タップ』を観ているかの様な感覚に陥ってしまう正真正銘のドキュメンタリー映画が全米で公開された。『アンヴィル!夢を諦めきれない男たち(原題:ANVIL! THE STORY OF ANVIL)』。そう、あのバンド、アンヴィルのドキュメンタリー映画だ。
◆実存主義者クリント・イーストウッドが到達した一つの頂点。「ダーティーハリー」と「ラスト・シューティスト」を意識しつつ、米国の正義を個人の行動によってアクロバティックに取り戻そうとした傑作(97点)
本作には二つの「懺悔」の場面がある。一つは、教会での神への懺悔だ。頑固爺さんウォルト・コワルスキー(クリント・イーストウッド)は、神など全く信じていない。神父への問いかけにはシニカルに答えて本心を明かさない。それが、最後に敵のアジトに行く前に、少年の前で本当の懺悔をする。コワルスキーと少年とを隔てる鉄の扉が、懺悔室の小窓のように見える。
◆タランティーノらしい、映画愛に満ちた映画至上主義の映画。キャラクターが魅力的で、すべての場面に緊張感がある(91点)
本作のテーマが「映画愛」であることは、誰の目にも明らかだ。映画館を舞台に「映画館作戦」が実行される。ナチスは映画をプロパガンダの武器にしようと、プレミア上映会を開催。その上映会で、ナチスへの復讐の武器となるのはフィルムなのである。最後は映画が歴史すらも変えてしまう。どこまでも映画至上主義の作品だ。
◆良作『サイドウェイ』を日本人向けにアレンジ(70点)
小品ながらもアカデミー賞、ゴールデングローブ賞など数多くの賞に輝いたハリウッド映画『サイドウェイ』(04)のリメイク版。冴えないシナリオライターの道雄(小日向文世)とお調子者の大介(生瀬勝久)が、カリフォルニアのワイナリー巡りをする中で、麻有子(鈴木京香)とミナ(菊地凛子)に出会う。大介とミナは早々にデキてしまうが、小心な道雄の方は……。
◆最初から最後まで狂った面白さがフルスロットル(75点)
ヘリコプターから落下して死んだはずの殺し屋チェリオス(ジェイソン・ステイサム)は、中国マフィアたちの手によって心臓を奪われ、代わりに機械の人工心臓を埋め込まれてしまう。チェリオスは、人工心臓のバッテリーが切れそうになると常に自身の身体を充電しながらも心臓を取り戻すべく突っ走り、敵を追い詰めて行く。
◆鮮やかな結末をもつ上質のミステリー(70点)
痛みとともに目を覚ますと、小川順(斎藤工)は急停止したエレベーター内に閉じ込められていた。非常ボタンは不通、携帯は電池切れ。小川と一緒に偶然乗り合わせていたのは、刑務所帰りの関西弁男(内野聖陽)と、人の心が読める超能力者(モト冬樹)、自殺志望者の少女(佐津川愛美)の3人。時を同じくして小川の妻が陣痛に襲われていた。小川は万が一エレベーターから出られなかったときのことを考えて、ボイスレコーダーに妻への気持ちを残すことにした……。
◆悪趣味らしさが高まったどころかB級レベルもアップしてしまった(80点)
死の運命に翻弄された挙句にショッキングな死を遂げてしまう若者たちの姿を描いた人気ホラーのシリーズ第四弾。しかも、今回は現在流行中のデジタル3Dバージョン。監督は、第二弾『デッドコースター』を手懸けたデヴィッド・R・エリスが登板。
◆重厚な人間描写から一転、ドラマチックな刑事物語へと変化する(70点)
ある日、残虐な少年犯罪により娘を失った長峰(寺尾聰)。奈落の底に突き落とされた長峰のもとに、犯人の正体を告げる匿名の密告電話が入る。犯人と思われる名前と住所を知った長峰は……。
◆「スパイダーマン」シリーズのサム・ライミのホラー・コメディー。「エクソシスト」と「キューティ・ブロンド」が共存しているような面白さ(81点)
「ラブコメ」というジャンルがあるが、ホラーにはホラー・コメディー、つまり「ホラコメ」とでも呼びたいものがある。残酷だが笑えるスプラッター映画とはちょっと違い、もう少しコメディー寄りの映画だ。本作の監督サム・ライミでいえば、「死霊のはらわた」(1983)はスプラッターだが、「XYZマーダーズ」(1985)はホラコメだろう。スプラッターは常に笑えるわけではない。もし笑えるとしたら、描写の過激さがリアリズムを突き抜けて笑いとなる。つまり、恐怖と笑いは表裏一体なのだが、ホラコメではホラー(的な要素)とコメディー(的な要素)が一体化しないまま共存している。無論、厳密な分類は不可能だし、分類しても意味はないが、大体そんな印象を持っている。
◆涙によるデトックス効果は今年No.1(80点)
11歳のアナ(アゲビイル・グレスリン)は、小児白血病を患う姉のケイト(ソフィア・ヴァジリーヴァ)のドナーとなるべく両親が遺伝子操作でもうけた子供であった。母親(キャメロン・ディアス)は、ケイトのためにアナが協力するのは当然だと思っていたが、ある日、アナが両親を相手に訴訟を起こした。「もうケイトのために手術を受けるのはイヤ」と。母はアナの行動に憤慨するが……。
◆コーエン兄弟が描く真面目に生きる男の悲劇(85点)
『ライフ・イズ・ビューティフル』というタイトルの映画があるように、何があっても人生は素晴らしい。片や、人生ってものは最悪で、悲惨な出来事の連続でしかない。コーエン兄弟(ジョエル・コーエン&イーサン・コーエン)の新作『A SERIOUS MAN』は後者を語る。これが本当のディザスタームービーと言わんばかりに、主人公の中年男に次々と災難が降り掛かるのだ。
◆サスペンスとしての面白さに注目したいホラー作品(75点)
近年、外国映画の3D作品が目立っている。そんな中、ついに日本映画もこの3D作品製作に乗り出した。日本初の3D作品、それが『戦慄迷宮3D』なのだ。監督は清水崇。