インビクタス/負けざる者たち - 小梶勝男

◆クリント・イーストウッド監督、モーガン・フリーマン主演で南アフリカ初の黒人大統領ネルソン・マンデラを描いたドラマ。イーストウッドやフリーマンのメッセージは伝わってくるが、ドラマとしての面白みには欠ける(73点)

 冒頭、マンデラ大統領(モーガン・フリーマン)がボディガードとともに朝の散歩に出る。まだ暗い中、官邸の近くを歩くが、いつ狙われるか分からない。ただならぬ緊張感が漂い、自動車の走る音が近づいてくると、それは頂点に達する。

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FISH TANK - 岡本太陽

◆18歳にして子持ちのスーパー大型新人女優が誕生した(80点)

 短編映画『WASP』で2004年アカデミー短編映画賞を受賞し、2006年の長編映画初監督作品『RED ROAD』ではカンヌ国際映画祭で審査印象を受賞した、元女優の映画監督アンドレア・アーノルドの長編映画第2作目『FISH TANK』。いわゆるワイドスクリーン型ではなく、正方形に近い枠の中に映し出されるイギリスはエセックス郡の風景の中で行きの詰まる思いをしながら踊る 15歳の主人公ミア。彼女に扮する演技経験ゼロのケイティ・ジャーヴィスが男っ気の全くない家庭に育つ思春期の少女を熱演し、その個性的で、力強く、優れた感覚を備えた体から何かとてつもなく巨大なエネルギーが溢れ出している。

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フローズン・リバー - 山口拓朗

◆母性愛と友情を内包したヒューマンドラマ(85点)

 気鋭の女性監督コートニー・ハントの初長編監督作品となる「フローズン・リバー」は、低予算のインディペンデント作品ながら、2008年のサンダンス映画祭でグランプリに輝くほか、第81回アカデミー賞(2009年)では、デビュー作にしてオリジナル脚本賞にノミネートを果たすなど、世界中で高い評価を受けた。

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おとうと - 山口拓朗

◆家族の絆が薄れつつあるこの時代に、改めて家族のあり方を見つめさせてくれる"人間讃歌"の秀作(80点)

 日本映画界を代表する巨匠、山田洋次監督が「十五才 学校IV」(2000年)以来、10年ぶりに撮影した現代劇「おとうと」は、そのキャリアにおいて常に日本の家族と、その精神性を描き続けてきた山田監督の集大成的な1本。涙あり笑いありの感動作だ。

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抱擁のかけら - 小梶勝男

◆スペインのペドロ・アルモドバル監督が「ボルベール<帰郷>」に続きペネロペ・クルスと組んだ秀作。映画を再編集することによって、人生を取り戻す男の物語(89点)

 スペインには仕事で2度行ったことがある。最初は2003年。カルモナ、セビリアなどアンダルシア地方を巡り、2度目は2004年、マドリッドとクエンカを旅した。太陽の光が違うとこうまで違って見えるのだろうか。影が余りにも濃くて、「漆黒」と呼んでいいほどの黒さなのに驚き、白はどこまでも白く、赤はどこまでも赤いという、見るもの全ての色の鮮やかさに驚いた。人々は朝から酒を飲んでいたりして余り働かず、一見、暢気で楽天主義のように見えたが、夜中まで飲み、歌い、踊る、度外れてエネルギッシュな姿には、陽気を通り越して、そうでもしなければ一日を、さらには人生を終えることが出来ないという、深い絶望も感じられた。

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霜花店 - 小梶勝男

◆R-18のレイティング、つまり成人映画にもかかわらず、韓国で累計400万人の観客を動員したという大作時代劇。男と女、そして男同士のベッドシーンの描写は相当に激しい。特に男同士の場面は、慣れていないせいか、ちょっと見ていられないほど生々しく感じられた。だが、それが単なる扇情的な見世物としてではなく、主人公たちの運命や、微妙な感情の表現になっているのが見事だった(72点)

 舞台は1350年代後半、高麗31代目の王の時代。王(チュ・ジンモ)は王妃(ソン・ジヒョ)と政略結婚したものの、女に興味がなく、幼い頃から一緒だった近衛隊長ホンニム(チョ・インソン)を寝所の相手としていた。世継ぎを必要とした王は、寵愛するホンニムに王妃を妊娠させようとする。ホンニムと王妃は王の命令で体を重ねるうち、本気で愛し合うようになり、王は激しい嫉妬を覚える。

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サベイランス - 小梶勝男

◆カルトの巨匠、デヴィッド・リンチが製作総指揮、その娘ジェニファー・リンチが「ボクシング・ヘレナ」(1993)に続いて監督したサスペンス・ミステリー。全編を漂う異様なムードはまさに父親譲りだ(81点)

 あらゆるジャンルの映画のオールタイム・ベスト10を選ぶとしたら、デヴィット・リンチの「マルホランド・ドライブ」(2001)は必ずその中に入れることになるだろう。その娘の作品として期待は大きかったが、裏切られなかったのがうれしい。デヴィッドほどではないにしても、映像に圧倒的な力があるのだ。

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すべて彼女のために - 町田敦夫

◆緩急の利いたフランス版『プリズン・ブレイク』(80点)

 無実の殺人容疑で逮捕された妻。裁判では濡れ衣が晴らせないと知った夫は、妻を脱獄させようと周到な計画を練り始め……。あらすじだけ書けば、人気の海外ドラマ『プリズン・ブレイク』のフランス版といった趣だが、この作品、ただの“亜流”には終わらない、見事な人間ドラマになっている。妻のリザに扮したのは『イングロリアス・バスターズ』『ナショナル・トレジャー』のダイアン・クルーガー。夫のジュリアンはフランスの名優、ヴァンサン・ランドンが演じた。

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インビクタス/負けざる者たち - 町田敦夫

◆イーストウッドが79歳にして新たな引き出しを披露(70点)

 私は元来「サッカー村」の住人で、ラグビーにそれほど詳しいわけではないのだが、それでも1995年のラグビーW杯で、開催国の南アフリカが優勝を果たしたのは衝撃だった。アパルトヘイトのために長らく国際社会からつまはじきにされていた南アは、その数年前の政策転換で、ようやく国際試合ができるようになったばかりだったからだ。切磋琢磨のないところに強化はないというのがスポーツ界の常識。それを覆してあっさり優勝してしまう南ア代表は、何という怪物的なチームなのかと思った。国内の試合だけで、いったいどうやって代表の強さを維持してきたのか、と。だが15年後の今年、『インビクタス 負けざる者たち』を観て、事実は少し違っていたらしいと知った。

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フローズン・リバー - 佐々木貴之

◆人種、移民、貧困といったアメリカ社会の影の部分を描いている(80点)

 2008年度サンダンス映画祭のグランプリをはじめ、数々の賞を受賞した実話に基づいた社会派ヒューマン・サスペンスドラマ。監督を務めたのは、本作が長編デビュー作となるコートニー・ハント。

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ゴールデンスランバー - 小梶勝男

◆首相暗殺の濡れ衣を着せられた男の逃亡劇だが、同時に青春映画でもある。ストーリーはとても面白いが、映画ならではのダイナミズムに欠けるのが惜しい(80点)

 タイトルはビートルズの同名曲で、作品のテーマにもなっている。2時間20分近い上映時間は、あっという間に過ぎた。間違いなく、面白かったのである。しかし一方で、「見応えのある映画を見た」という満足感が今ひとつ感じられなかったのは何故だろうか。

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パラノーマル・アクティビティ - 小梶勝男

◆超低予算で作られたにもかかわらず、驚異的な成功を収めた奇跡のホラー。Jホラーの方法論を上手く取り入れていて、確かに怖いが、それ以上のものはない(70点)

 イスラエル出身のオーレン・ペリという無名の新人監督が、無名の俳優を使い、自宅を舞台に撮った超低予算のホラー。制作費はWHDジャパンのJトラッシュも真っ青の15,000ドル(約135万円)。撮影期間はわずか7日間に過ぎない。しかし、インターネットや口コミでうわさが広がり、公開5週目で全米1位、翌週には全米興行収入で1億ドル(約90億円)を突破した。現在、全世界での興行収入(2010年1月)は150億円を超えているという。まさに奇跡の作品だ。

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オーシャンズ - 山口拓朗

◆これまでの海洋ドキュメンタリーとは一線を画す(75点)

 海に住む生き物たちの行動にカメラが迫ることの難しさは想像に難くないが、本作「オーシャンズ」は、生き物たちのありのままの生活ぶり、その決定的瞬間を「CGではないのか?」と勘ぐりたくなるほどのタイミングと距離でカメラに収めている。海洋生物だけでなく、その映像演出の巧さ、美しさにも注目したい1本だ。

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パーフェクト・ゲッタウェイ - 佐々木貴之

◆サスペンス・スリラーならではの薄気味悪さ(75点)

 新婚旅行でハワイにやって来たクリフ(スティーヴ・ザーン)とシドニー(ミラ・ジョヴォヴィッチ)。二人はトレッキングで美しいビーチを目指そうとする。だが、この辺でカップル殺人事件の犯人が潜んでいることを知る。その後、ニック(ティモシー・オリファント)とジーナ(キエレ・サンチェス)のカップルと出会い、一緒に行動する。クリフとシドニーはこの二人の前に出会ったケイル(クリス・ヘムズワース)とクレオ(マーリー・シェルトン)のカップルを疑い始めるが、その後はニックとジーナをも疑い始めるが……。

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オーシャンズ - 佐々木貴之

◆あくまでも海の世界の魅力にスポットを当てている(75点)

 渡り鳥の生態を記録したフランス製ネイチャー・ドキュメンタリー『WATARIDORI』のジャック・ぺラン&ジャック・クルーゾーが、50ヵ所の海とそこに息づく数々の生物を記録した。

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