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	<title>映画批評なら映画ジャッジ！ &#187; おすすめDVDランキング2009</title>
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	<description>最新映画の批評が満載！批評家による映画批評を参考にされて、良い映画を見て頂く為のサイトです。</description>
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		<title>ハリウッド監督学入門</title>
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		<pubDate>Fri, 30 Oct 2009 11:50:09 +0000</pubDate>
		<dc:creator>映画ジャッジ</dc:creator>
				<category><![CDATA[勉強したい2009]]></category>

		<guid isPermaLink="false">http://www.cinemaonline.jp/?p=10394</guid>
		<description><![CDATA[◆メモ片手にみたい、映画業界裏話（70点） 　ハリウッドと日本の映画作りにおける違いに興味がある人にとって、『ハリウッド監督学入門』はとても楽しいドキュメンタリーとなるだろう。 　本作の監督で、ハリウッドの業界関係者たちに自らインタビューするのは『リング』（1998）などでJホラーブームを巻き起こした中田秀夫。『ザ・リング2』（2005）でハリウッドデビューをはたした彼は、米国での企画進行のあまりの遅さに「なぜ？　なぜ？　なぜ？」が頭に渦巻き、本作の製作を思い立ったという。 　そんなこともあり、このドキュメンタリーは日米映画界の違いを、3つのキーワードで浮き彫りにする。 　一つ目は中田監督の疑問の解答である「グリーンライト」。ひらたくいえば、企画にゴーサインがでることだが、そこに至るまでの複雑怪奇なシステムを、プロデューサーらのインタビューで明らかにする。 　関連書物を読み込んでいる人にすれば、それほど新味のある話ではないかもしれないが、現役のスタッフが語る姿はさすがに迫力がある。そしてこのキーワードを知るだけでも、これまでハリウッド映画に抱いていた疑問のいくつかが氷解するかもしれない。 　たとえば、私もしょっちゅう言っている「ハリウッドの娯楽大作が、最新の政治情勢に合わせたかのような内容」でタイミングよく公開される理由や、「政治や軍事のインサイダー発かと思うような先見的な内容」が含まれるように見える件についても、その理由がわかる。ひとつの企画がどれほどの長期間、業界内で寝かされているか、最終的な許可を出すのがどこの誰で、何人くらいで決めているのかについて、ぜひ注目してみて欲しい。 　残りのキーワードは「カバレッジ」と「テスト試写」。前者は、複数台のカメラ、アングルで同時に撮影し、最善のものを採用するハリウッド独自の撮影技法。コンテで厳密にスケジュールを立て、無駄なく撮るタイプだった中田監督にとっては、どうにも解せない部分だったらしい。 　これについて、『ザ・リング2』の撮影監督ガブリエル・ベリスタインは、「これこそが、賢いやり方なんだよ」と中田監督をたしなめる。賢いというより、たんなる力技じゃねーかと突っ込みたくなるところだ。ビデオ撮りなどない時代、フィルムもカメラも高価だったころは、そんなカネのかかるやり方は、ハリウッドでしかできなかっただろう。 　「テスト試写」についてはご存知の方も多かろうが、完成前にマーケティングのための試写を行い、その反応によって結末を変更したりするアレだ。客を喜ばせるためなら、パトラッシュを生き返らせる事だってやりかねない。ルーベンスもびっくりである。 　こうしたキーワードごとに、興味深い裏話がたくさん聞ける。73分間、映画業界にどっぷりつかりたい方は、きっと見て損なしの一本。 　中田監督の妙にアメリカンな風貌や、全編通してのぼやき節も、なんだか親しみがわく。納得のいかない実体験を延々と相手に話したりしているが、インタビューにいった先で愚痴をこぼしてどうすんだと、思わず笑いがこみあがる。このへんの間合いが、じつにいい味なのである。 　ハリウッドでは、たくさんの事を学んだと謙虚にかたる中田監督。その経験と溢れる才能を生かし、きっとこれからも面白い作品を作ってくれるだろう。]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p class="score-study">◆メモ片手にみたい、映画業界裏話（70点）
<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B002UI8DT0/judgepickup-22/"><img src="http://www.cinemaonline.jp/image/2009/10/study2009-hollywood.jpg" alt="勉強したい2009" class="img-left" /></a>
<p>　ハリウッドと日本の映画作りにおける違いに興味がある人にとって、『ハリウッド監督学入門』はとても楽しいドキュメンタリーとなるだろう。</p>
<span id="more-10394"></span>
<p>　本作の監督で、ハリウッドの業界関係者たちに自らインタビューするのは『リング』（1998）などでJホラーブームを巻き起こした中田秀夫。『ザ・リング2』（2005）でハリウッドデビューをはたした彼は、米国での企画進行のあまりの遅さに「なぜ？　なぜ？　なぜ？」が頭に渦巻き、本作の製作を思い立ったという。</p>
<p>　そんなこともあり、このドキュメンタリーは日米映画界の違いを、3つのキーワードで浮き彫りにする。</p>
<p>　一つ目は中田監督の疑問の解答である「グリーンライト」。ひらたくいえば、企画にゴーサインがでることだが、そこに至るまでの複雑怪奇なシステムを、プロデューサーらのインタビューで明らかにする。</p>
<p>　関連書物を読み込んでいる人にすれば、それほど新味のある話ではないかもしれないが、現役のスタッフが語る姿はさすがに迫力がある。そしてこのキーワードを知るだけでも、これまでハリウッド映画に抱いていた疑問のいくつかが氷解するかもしれない。</p>
<p>　たとえば、私もしょっちゅう言っている「ハリウッドの娯楽大作が、最新の政治情勢に合わせたかのような内容」でタイミングよく公開される理由や、「政治や軍事のインサイダー発かと思うような先見的な内容」が含まれるように見える件についても、その理由がわかる。ひとつの企画がどれほどの長期間、業界内で寝かされているか、最終的な許可を出すのがどこの誰で、何人くらいで決めているのかについて、ぜひ注目してみて欲しい。</p>
<p>　残りのキーワードは「カバレッジ」と「テスト試写」。前者は、複数台のカメラ、アングルで同時に撮影し、最善のものを採用するハリウッド独自の撮影技法。コンテで厳密にスケジュールを立て、無駄なく撮るタイプだった中田監督にとっては、どうにも解せない部分だったらしい。</p>
<p>　これについて、『ザ・リング2』の撮影監督ガブリエル・ベリスタインは、「これこそが、賢いやり方なんだよ」と中田監督をたしなめる。賢いというより、たんなる力技じゃねーかと突っ込みたくなるところだ。ビデオ撮りなどない時代、フィルムもカメラも高価だったころは、そんなカネのかかるやり方は、ハリウッドでしかできなかっただろう。</p>
<p>　「テスト試写」についてはご存知の方も多かろうが、完成前にマーケティングのための試写を行い、その反応によって結末を変更したりするアレだ。客を喜ばせるためなら、パトラッシュを生き返らせる事だってやりかねない。ルーベンスもびっくりである。</p>
<p>　こうしたキーワードごとに、興味深い裏話がたくさん聞ける。73分間、映画業界にどっぷりつかりたい方は、きっと見て損なしの一本。</p>
<p>　中田監督の妙にアメリカンな風貌や、全編通してのぼやき節も、なんだか親しみがわく。納得のいかない実体験を延々と相手に話したりしているが、インタビューにいった先で愚痴をこぼしてどうすんだと、思わず笑いがこみあがる。このへんの間合いが、じつにいい味なのである。</p>
<p>　ハリウッドでは、たくさんの事を学んだと謙虚にかたる中田監督。その経験と溢れる才能を生かし、きっとこれからも面白い作品を作ってくれるだろう。</p>]]></content:encoded>
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		<title>食の未来</title>
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		<pubDate>Fri, 30 Oct 2009 11:49:16 +0000</pubDate>
		<dc:creator>映画ジャッジ</dc:creator>
				<category><![CDATA[勉強したい2009]]></category>

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		<description><![CDATA[◆食の安全性を徹底追求したドキュメンタリー（70点） 　賞味期限や産地の偽装が一段落したと思ったら、テラ豚丼やらケンタッキーフライドゴキブリといった問題が持ち上がっている。どちらもKYなアルバイト店員の悪ふざけが、ミクシーやニコニコ動画といった巨大サイトを通じてネット上で広まったニュースだ。日本のフード業界は、もはや最上位の料亭から最底辺のファストフードまで、腐敗しきってしまったのか。 　──と思ったところで今度は、不祥事のディフェンディングチャンピオン中国から、猛毒ラーメンが売られていたとの仰天話が飛び込んできた。お湯を注いで……ではなく、食べると数分であの世行きだという。知らん顔して輸出したら、これはもう生物兵器となんら変わりない。中国産食品は、いまや大量破壊兵器の粋に達している。米国は中国をテロ支援国家指定してはどうか。 　さて、そんな今ぜひ見てほしいのがこの『食の未来』。誠実な語り口で、冷静に、かつ論理的に食の安全性の問題を解説するまじめなドキュメンタリーだ。米国では04年3月の選挙前にカリフォルニアで上映され、この地域での遺伝子組み換え作物（GMO）栽培禁止法案を通過させる力となった。情報量が多く、一部専門的な内容にも突っ込むため、字幕でなく日本語吹き替え版での上映となる。画面のみに集中して見られるのはありがたい。 　この映画は、消費者や小規模な良心的生産者の立場に立っているが、マイケルムーアのように多国籍アグリビジネス企業に対して感情的に「反対！」とは訴えない。その理由は、一言で言えばその必要がないからだ。たとえば先述の遺伝子組み換え食品については、これはもう事実を淡々と述べるだけでその不公平な本質が誰にでもわかる。 　米国政府の強大なバックアップのもと、世界中に自らの強引なビジネスを押し付けるのは他の産業でも見られるとおり。生物特許とそれに基づいた訴訟という最終兵器を手に、地球上の津々浦々まで出かけて農家を支配せんとする。その仕組みがわかりやすく解説される。 　だいたい遺伝子組み換え食品など、私たち消費者にとっては何一ついいことがない。安全か否かの議論以前に、そもそも必要性がない。むしろ、これのおかげで昔ながらの非組み換え食品に希少価値がつき、値上がりしてしまった。 　日本での国内栽培も、まもなく米国の圧力によって認可されそうな状況だが、そうなればアルゼンチンはじめ世界中で問題になっているように、先祖代々の非組み換えの田んぼや畑、あらゆる自然が汚染され、永久に元に戻すことは出来ない。 　隣の畑で栽培された日には、運が悪ければ自分の農作物をGMOで汚染された上、この映画にあるように「無許可で当社の組み換え作物を栽培した」などと大企業から言いがかりを付けられ、巨額の賠償金を払うハメになる。泣きっ面にハチとはよく言ったものだ。 　何はともあれ、いま世界の農業、食料ビジネスの最前線で何が起きているか。知っておいて損はない。私が運営委員をやった国際有機農業映画祭2007では、熟考の末これをオープニング作品としたが、観客からもおおむね好評であった。食の安全性が気になる方は、ぜひ一度ご覧いただきたい。]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p class="score-study">◆食の安全性を徹底追求したドキュメンタリー（70点）
<a href="http://syoku-no-mirai.net/"><img src="http://www.cinemaonline.jp/image/2009/10/study2009-syoku-no-mirai.jpg" alt="勉強したい2009" class="img-left" /></a>
<p>　賞味期限や産地の偽装が一段落したと思ったら、テラ豚丼やらケンタッキーフライドゴキブリといった問題が持ち上がっている。どちらもKYなアルバイト店員の悪ふざけが、ミクシーやニコニコ動画といった巨大サイトを通じてネット上で広まったニュースだ。日本のフード業界は、もはや最上位の料亭から最底辺のファストフードまで、腐敗しきってしまったのか。</p>
<span id="more-10384"></span>
<p>　──と思ったところで今度は、不祥事のディフェンディングチャンピオン中国から、猛毒ラーメンが売られていたとの仰天話が飛び込んできた。お湯を注いで……ではなく、食べると数分であの世行きだという。知らん顔して輸出したら、これはもう生物兵器となんら変わりない。中国産食品は、いまや大量破壊兵器の粋に達している。米国は中国をテロ支援国家指定してはどうか。</p>
<p>　さて、そんな今ぜひ見てほしいのがこの『食の未来』。誠実な語り口で、冷静に、かつ論理的に食の安全性の問題を解説するまじめなドキュメンタリーだ。米国では04年3月の選挙前にカリフォルニアで上映され、この地域での遺伝子組み換え作物（GMO）栽培禁止法案を通過させる力となった。情報量が多く、一部専門的な内容にも突っ込むため、字幕でなく日本語吹き替え版での上映となる。画面のみに集中して見られるのはありがたい。</p>
<p>　この映画は、消費者や小規模な良心的生産者の立場に立っているが、マイケルムーアのように多国籍アグリビジネス企業に対して感情的に「反対！」とは訴えない。その理由は、一言で言えばその必要がないからだ。たとえば先述の遺伝子組み換え食品については、これはもう事実を淡々と述べるだけでその不公平な本質が誰にでもわかる。</p>
<p>　米国政府の強大なバックアップのもと、世界中に自らの強引なビジネスを押し付けるのは他の産業でも見られるとおり。生物特許とそれに基づいた訴訟という最終兵器を手に、地球上の津々浦々まで出かけて農家を支配せんとする。その仕組みがわかりやすく解説される。</p>
<p>　だいたい遺伝子組み換え食品など、私たち消費者にとっては何一ついいことがない。安全か否かの議論以前に、そもそも必要性がない。むしろ、これのおかげで昔ながらの非組み換え食品に希少価値がつき、値上がりしてしまった。</p>
<p>　日本での国内栽培も、まもなく米国の圧力によって認可されそうな状況だが、そうなればアルゼンチンはじめ世界中で問題になっているように、先祖代々の非組み換えの田んぼや畑、あらゆる自然が汚染され、永久に元に戻すことは出来ない。</p>
<p>　隣の畑で栽培された日には、運が悪ければ自分の農作物をGMOで汚染された上、この映画にあるように「無許可で当社の組み換え作物を栽培した」などと大企業から言いがかりを付けられ、巨額の賠償金を払うハメになる。泣きっ面にハチとはよく言ったものだ。</p>
<p>　何はともあれ、いま世界の農業、食料ビジネスの最前線で何が起きているか。知っておいて損はない。私が運営委員をやった国際有機農業映画祭2007では、熟考の末これをオープニング作品としたが、観客からもおおむね好評であった。食の安全性が気になる方は、ぜひ一度ご覧いただきたい。</p>]]></content:encoded>
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		<title>受験のシンデレラ</title>
		<link>http://www.cinemaonline.jp/dvd-ranking2009/study2009/10392.html</link>
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		<pubDate>Fri, 30 Oct 2009 11:42:50 +0000</pubDate>
		<dc:creator>映画ジャッジ</dc:creator>
				<category><![CDATA[勉強したい2009]]></category>

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		<description><![CDATA[◆本格受験指南ムービー（70点） 　『受験のシンデレラ』は、異業種監督が最初に作るべき映画の見本のような作品である。 　東大合格率第一位の名門予備校のカリスマ教師・五十嵐（豊原功補）は、あるとき末期がんで余命1年半の宣告を受ける。絶望の最中、彼はコンビニで貧しそうな少女・真紀（寺島咲）と出会う。レジでの消費税計算において、真紀に数学的センスを見出した五十嵐は彼女に向かって言う。「お前は人生を変える気はないか？」 　格差社会の最底辺ともいうべき、貧しい母子家庭の高校中退の少女を、日本一のカリスマ教師は人生最後の生徒に選んだ。チャンスは一回のみ、1年半後の東大合格に向け、500円コイン一枚の授業料で、二人の無謀な挑戦が始まる。 　監督の和田秀樹といえば、言わずと知れた大学受験アドバイザー。名門灘高で落ちこぼれるも、独自の勉強法を編み出して東京大学最難関の理3（医学部）に現役合格した受験界のカリスマだ。多くの受験生が最後に使う&#34;赤本&#34;（過去問題）を、むしろ最初に開けと提唱した、合理性の塊のようなその勉強法は、30代以下の人にはよく知られているだろう。 　実はずっと映画を作りたかったと語る彼は、初監督作ながら「芸術面」を追求する（多くの映画人がハマりやすい）強烈な誘惑に屈することなく、自分のできることのみに特化した身近な娯楽作品を作った。その勇気と戦略性こそ大正解で、結果的に彼以外には（とくに専門の映画監督には）到底作れない、ユニークな&#34;本格受験指南ムービー&#34;が出来上がった。 　受験をネタにスポ根を目指したようなこの映画。さわやかな感動と興奮を与えてくれると同時に、忌々しい格差社会の下層から抜け出したい人に絶大な勇気を与えてくれるシンデレラストーリーとなっている。 　しかもその手法には具体性がある。劇中登場する参考書類は実在するもので、和田本を読んだ人ならわかる「受験のテクニック」も満載である。大学や高校を目指す若者やその親たち、あるいは資格試験を考えている人がこの映画を見たら、力強く背中を押してもらえるだろう。 　格差社会、受験、そして末期癌に対する緩和ケアという最新医療。この3つのテーマは、受験の専門家であり医師でもある和田秀樹の独壇場。そして、さすがに数々のベストセラーを出してきただけあって、自分の引き出しの中の何を見せれば観客に受けるかという点をよく理解している。こういう、空気が読める上に頭のいい人が作った映画は、例外なく面白い。 　技術面では、まだまだ荒っぽい部分が見られるが、そんなことどうでも良くなるほどに素材が良く、パワーがある。異業種監督の映画作りとは、こうでなくてはならない。 　あまりに面白くて、これを見ると和田秀樹の受験テクニック本のひとつも買いたくなる。いやはや、憎らしいほどに商売上手なことよ。]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p class="score-study">◆本格受験指南ムービー（70点）
<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B001O094AC/judgepickup-22/"><img src="http://www.cinemaonline.jp/image/2009/10/study2009-juken.jpg" alt="勉強したい2009" class="img-left" /></a>
<p>　『受験のシンデレラ』は、異業種監督が最初に作るべき映画の見本のような作品である。</p>
<span id="more-10392"></span>
<p>　東大合格率第一位の名門予備校のカリスマ教師・五十嵐（豊原功補）は、あるとき末期がんで余命1年半の宣告を受ける。絶望の最中、彼はコンビニで貧しそうな少女・真紀（寺島咲）と出会う。レジでの消費税計算において、真紀に数学的センスを見出した五十嵐は彼女に向かって言う。「お前は人生を変える気はないか？」</p>
<p>　格差社会の最底辺ともいうべき、貧しい母子家庭の高校中退の少女を、日本一のカリスマ教師は人生最後の生徒に選んだ。チャンスは一回のみ、1年半後の東大合格に向け、500円コイン一枚の授業料で、二人の無謀な挑戦が始まる。</p>
<p>　監督の和田秀樹といえば、言わずと知れた大学受験アドバイザー。名門灘高で落ちこぼれるも、独自の勉強法を編み出して東京大学最難関の理3（医学部）に現役合格した受験界のカリスマだ。多くの受験生が最後に使う&quot;赤本&quot;（過去問題）を、むしろ最初に開けと提唱した、合理性の塊のようなその勉強法は、30代以下の人にはよく知られているだろう。</p>
<p>　実はずっと映画を作りたかったと語る彼は、初監督作ながら「芸術面」を追求する（多くの映画人がハマりやすい）強烈な誘惑に屈することなく、自分のできることのみに特化した身近な娯楽作品を作った。その勇気と戦略性こそ大正解で、結果的に彼以外には（とくに専門の映画監督には）到底作れない、ユニークな&quot;本格受験指南ムービー&quot;が出来上がった。</p>
<p>　受験をネタにスポ根を目指したようなこの映画。さわやかな感動と興奮を与えてくれると同時に、忌々しい格差社会の下層から抜け出したい人に絶大な勇気を与えてくれるシンデレラストーリーとなっている。</p>
<p>　しかもその手法には具体性がある。劇中登場する参考書類は実在するもので、和田本を読んだ人ならわかる「受験のテクニック」も満載である。大学や高校を目指す若者やその親たち、あるいは資格試験を考えている人がこの映画を見たら、力強く背中を押してもらえるだろう。</p>
<p>　格差社会、受験、そして末期癌に対する緩和ケアという最新医療。この3つのテーマは、受験の専門家であり医師でもある和田秀樹の独壇場。そして、さすがに数々のベストセラーを出してきただけあって、自分の引き出しの中の何を見せれば観客に受けるかという点をよく理解している。こういう、空気が読める上に頭のいい人が作った映画は、例外なく面白い。</p>
<p>　技術面では、まだまだ荒っぽい部分が見られるが、そんなことどうでも良くなるほどに素材が良く、パワーがある。異業種監督の映画作りとは、こうでなくてはならない。</p>
<p>　あまりに面白くて、これを見ると和田秀樹の受験テクニック本のひとつも買いたくなる。いやはや、憎らしいほどに商売上手なことよ。</p>]]></content:encoded>
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		</item>
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		<title>シッコ</title>
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		<pubDate>Fri, 30 Oct 2009 11:36:06 +0000</pubDate>
		<dc:creator>映画ジャッジ</dc:creator>
				<category><![CDATA[勉強したい2009]]></category>

		<guid isPermaLink="false">http://www.cinemaonline.jp/?p=10399</guid>
		<description><![CDATA[◆今度は世の中を変えられるか？（96点） 　マイケル・ムーア監督の最新ドキュメンタリー「シッコ」は、期待を上回る物凄い映画であった。 　左翼活動家兼ドキュメンタリー作家として社会問題を追い続ける彼の今回のテーマは「アメリカの健康保険制度」。先進国の中で最悪といわれる、悪名高いかの国の制度について、まずはなぜひどいのか、実例を示すところから映画は始まる。 　成熟した国民皆保険制度の恩恵を受けている日本人としては、到底信じられないような悲劇が何例も示され、「うわさには聞いていたがここまでひどいのか……」とショックを受ける。 　しかもそうした悲劇は低所得層に多い「無保険者」に降りかかっているのではなく、「民間保険に入っていた（＝高額な掛け金を払っていた）のに、土壇場で保険会社に難癖をつけられ支払いを拒否された人」のそれである。このショッキングな序盤で観客は、問題点は「保険制度を営利企業に任せる」という、発想そのものである事を理解する。 　この先も怒涛の勢いでムーアの解説、追及が続く。彼はブッシュ落選を目的として作った前作『華氏911』の完成を大統領選に間に合わせるため、一時本作の製作を中断していたのだが、それ以前から長年追い続けてきた最重要問題はコチラというだけあり、その構成のわかりやすさ、面白さは段違い。一瞬たりとも目を離せないほどエンタテイメント性が高く、ほかでは絶対みられない彼ならではのドキュメンタリーを、十二分に堪能できる。 　ムーアが本当にうまいなと思うのは、エピソードの選び方。彼の元に集まった膨大な体験談、ネタの中から、自らの描く絵図にハマるものだけを的確に抜き出している。それが人々に与える効果を正確に予測しつつ、無駄なく編集、構成する。突撃取材の過激さばかりが目立つが、彼の本当の凄みはこの構成力、脚本にあるといっても過言ではない。 　本作でいえば、米国との対比としてフランスの制度を中心に扱うあたりが心憎い。映画の中で語られるその表向きの理由は、フランスの保険制度がWHOのランキングで一位だからとされる。 　しかし私が思うに、「ジャイアニムズの権化たるアメリカ人（とくに支配階級のWASP）も、世界で唯一フランス人にだけは潜在的なコンプレックスを持っている」という心理をこそムーアは利用している。 　そして映画のクライマックスは、911テロ救出作業時の英雄たち（有害粉塵のため障害が残ったが、政府からは見捨てられ、高額治療費の支払いにより困窮している）を連れ、キューバの米軍基地に出向く場面。ここで彼らは、無料で最新医療を受けている911の犯人たち、つまりテロリストと同じレベルの治療を受けさせてくれと頼むのだ。その後彼らは、キューバの医療制度の現場も取材する。 　この落差ある展開には唸らされる。アメリカ人の観客にすれば、内心かなわないと思っているフランス人が作り上げた優れた制度を散々見せられたあと、長年敵国であった（見下すべき社会主義の後進国のはずの）キューバにさえ、自国の制度が劣っている事を見せ付けられるのだ。彼らが受けるインパクトの大きさたるや、想像に難くない。 　このキューバでの場面は必見で、街角の薬局で起こるある出来事を見て、心動かされぬ人はいまい。映画を見て怒りと悔しさのあまり涙が出てくる体験はなかなか出来るものではない。 　そう、『シッコ』はムーアらしいユーモアにあふれているが、その背後には証言者たちの猛烈な怒りを感じられる。そこがいいのだ。笑うべきシーンでもまったく笑えず、こちらも怒りの感情ばかりがふつふつと沸いてくる。 　現政権批判一色であった『華氏911』と違い、この映画が扱っているような消費者問題は、右だの左だの思想とは無関係に見られるというのもいい。また、見ねばならない。 　『シッコ』では他国の制度の問題点はあえて取り上げていないし、ムーア作品の常で、観客の思想を自らの思うほうへ誘導しようとする演出も多々見受けられる。おそらくそうした点を批判する人も、多数出てくることだろう。 　だが、それがいったい何だというのだ。そんな事はなんのマイナスでもないし、この作品の価値を下げはしない。公的な国民皆保険制度を導入することは、米国の労働者にとって絶対に利益があることであり、反論の余地はないのだ。そしてムーアが目指すのはまさにそれで、たとえ多少の問題があろうと、まずはこういう他国並の制度を導入しようよ、という提案は全面的に支持できる。 　『シッコ』のすばらしいところは、外国の制度を（あえて無条件に）礼賛してはいても、観客に「さっさと米国を捨てて移住したい」と思わせないように作ってあるところだ。「うちの国はこんなにひどい。でも頑張ってみんなで他国のいいところは取り入れて行こうよ」という、建設的かつ前向きな主張は、ムーアに愛国心があるからなせることで、だからこそこの映画は米国民から圧倒的な支持を得たのだ。 　面白いし、泣けるし、勉強にもなる。マイケル・ムーアの最新作は、彼の最高傑作といってもいい優れたドキュメンタリーだった。医療格差を呼ぶことになるであろう混合診療解禁など、ちょっと目を離すとすぐにアメリカの後を追いたがる日本に住むものとしても、これは他人事ではない問題だ。 　唯一気になるのは、ムーア自身の怒りがあまり伝わってこなかったような気がする点。本人が儲かっていてもはや問題の当事者ではなくなってしまったからなのか、あまりに映画作りが上手くなりすぎたためなのか、いずれにせよ一抹の不安を感じさせる部分ではあった。]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p class="score-study">◆今度は世の中を変えられるか？（96点）
<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B002M7OHVM/judgepickup-22/"><img src="http://images-jp.amazon.com/images/P/B002M7OHVM.09.MZZZZZZZ.jpg" alt="勉強したい2009" class="img-left" /></a>
<p>　マイケル・ムーア監督の最新ドキュメンタリー「シッコ」は、期待を上回る物凄い映画であった。</p>
<span id="more-10399"></span>
<p>　左翼活動家兼ドキュメンタリー作家として社会問題を追い続ける彼の今回のテーマは「アメリカの健康保険制度」。先進国の中で最悪といわれる、悪名高いかの国の制度について、まずはなぜひどいのか、実例を示すところから映画は始まる。</p>
<p>　成熟した国民皆保険制度の恩恵を受けている日本人としては、到底信じられないような悲劇が何例も示され、「うわさには聞いていたがここまでひどいのか……」とショックを受ける。</p>
<p>　しかもそうした悲劇は低所得層に多い「無保険者」に降りかかっているのではなく、「民間保険に入っていた（＝高額な掛け金を払っていた）のに、土壇場で保険会社に難癖をつけられ支払いを拒否された人」のそれである。このショッキングな序盤で観客は、問題点は「保険制度を営利企業に任せる」という、発想そのものである事を理解する。</p>
<p>　この先も怒涛の勢いでムーアの解説、追及が続く。彼はブッシュ落選を目的として作った前作『華氏911』の完成を大統領選に間に合わせるため、一時本作の製作を中断していたのだが、それ以前から長年追い続けてきた最重要問題はコチラというだけあり、その構成のわかりやすさ、面白さは段違い。一瞬たりとも目を離せないほどエンタテイメント性が高く、ほかでは絶対みられない彼ならではのドキュメンタリーを、十二分に堪能できる。</p>
<p>　ムーアが本当にうまいなと思うのは、エピソードの選び方。彼の元に集まった膨大な体験談、ネタの中から、自らの描く絵図にハマるものだけを的確に抜き出している。それが人々に与える効果を正確に予測しつつ、無駄なく編集、構成する。突撃取材の過激さばかりが目立つが、彼の本当の凄みはこの構成力、脚本にあるといっても過言ではない。</p>
<p>　本作でいえば、米国との対比としてフランスの制度を中心に扱うあたりが心憎い。映画の中で語られるその表向きの理由は、フランスの保険制度がWHOのランキングで一位だからとされる。</p>
<p>　しかし私が思うに、「ジャイアニムズの権化たるアメリカ人（とくに支配階級のWASP）も、世界で唯一フランス人にだけは潜在的なコンプレックスを持っている」という心理をこそムーアは利用している。</p>
<p>　そして映画のクライマックスは、911テロ救出作業時の英雄たち（有害粉塵のため障害が残ったが、政府からは見捨てられ、高額治療費の支払いにより困窮している）を連れ、キューバの米軍基地に出向く場面。ここで彼らは、無料で最新医療を受けている911の犯人たち、つまりテロリストと同じレベルの治療を受けさせてくれと頼むのだ。その後彼らは、キューバの医療制度の現場も取材する。</p>
<p>　この落差ある展開には唸らされる。アメリカ人の観客にすれば、内心かなわないと思っているフランス人が作り上げた優れた制度を散々見せられたあと、長年敵国であった（見下すべき社会主義の後進国のはずの）キューバにさえ、自国の制度が劣っている事を見せ付けられるのだ。彼らが受けるインパクトの大きさたるや、想像に難くない。</p>
<p>　このキューバでの場面は必見で、街角の薬局で起こるある出来事を見て、心動かされぬ人はいまい。映画を見て怒りと悔しさのあまり涙が出てくる体験はなかなか出来るものではない。</p>
<p>　そう、『シッコ』はムーアらしいユーモアにあふれているが、その背後には証言者たちの猛烈な怒りを感じられる。そこがいいのだ。笑うべきシーンでもまったく笑えず、こちらも怒りの感情ばかりがふつふつと沸いてくる。</p>
<p>　現政権批判一色であった『華氏911』と違い、この映画が扱っているような消費者問題は、右だの左だの思想とは無関係に見られるというのもいい。また、見ねばならない。</p>
<p>　『シッコ』では他国の制度の問題点はあえて取り上げていないし、ムーア作品の常で、観客の思想を自らの思うほうへ誘導しようとする演出も多々見受けられる。おそらくそうした点を批判する人も、多数出てくることだろう。</p>
<p>　だが、それがいったい何だというのだ。そんな事はなんのマイナスでもないし、この作品の価値を下げはしない。公的な国民皆保険制度を導入することは、米国の労働者にとって絶対に利益があることであり、反論の余地はないのだ。そしてムーアが目指すのはまさにそれで、たとえ多少の問題があろうと、まずはこういう他国並の制度を導入しようよ、という提案は全面的に支持できる。</p>
<p>　『シッコ』のすばらしいところは、外国の制度を（あえて無条件に）礼賛してはいても、観客に「さっさと米国を捨てて移住したい」と思わせないように作ってあるところだ。「うちの国はこんなにひどい。でも頑張ってみんなで他国のいいところは取り入れて行こうよ」という、建設的かつ前向きな主張は、ムーアに愛国心があるからなせることで、だからこそこの映画は米国民から圧倒的な支持を得たのだ。</p>
<p>　面白いし、泣けるし、勉強にもなる。マイケル・ムーアの最新作は、彼の最高傑作といってもいい優れたドキュメンタリーだった。医療格差を呼ぶことになるであろう混合診療解禁など、ちょっと目を離すとすぐにアメリカの後を追いたがる日本に住むものとしても、これは他人事ではない問題だ。</p>
<p>　唯一気になるのは、ムーア自身の怒りがあまり伝わってこなかったような気がする点。本人が儲かっていてもはや問題の当事者ではなくなってしまったからなのか、あまりに映画作りが上手くなりすぎたためなのか、いずれにせよ一抹の不安を感じさせる部分ではあった。</p>]]></content:encoded>
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		<title>それでもボクはやってない</title>
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		<pubDate>Fri, 30 Oct 2009 11:35:24 +0000</pubDate>
		<dc:creator>映画ジャッジ</dc:creator>
				<category><![CDATA[勉強したい2009]]></category>

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		<description><![CDATA[◆すべての男が見るべき大傑作（98点） 　2006年の総評でもちらと触れたが、昨年私が見た数百本の映画の中で、もっとも面白かった映画がこれである。痴漢冤罪という、誰にでも実感できる切り口で日本の刑事裁判の抱える問題点を描いた社会派映画。しかしながら堅苦しさはゼロで、娯楽度満点。先が気になる度がきわめて高いストーリーと、へぇ連発のディテール。どこをとっても完璧に限りなく近い、まさしく年度を代表する傑作といえる。 　主人公のさえないフリーター（加瀬亮）は、満員電車から降りたとたん女子中学生に手首をつかまれた。駅員室に連れて行かれた彼は、覚えのない痴漢を頑強に否定。すると警察がやってきて留置され、そのまま裁判を闘うことになるのだった。 　この映画の上映時間は147分。一見長大に思えるが体感時間はその半分程度、まさに尿意を忘れる一本だ。『Shall We ダンス？』（96年、日）以来の新作となる周防正行監督は、これを作るのに2年間に及ぶ徹底取材を行ったという。ぎっしりと雑学および強い問題提起がつまった2時間半からは、その意欲と成果を十二分に感じられる。とくに、（元ねたとなった本はあるが）明確な原作ものでない映画で、ここまで細部を詳細に描いた作品は近年見たことがない。 　主人公に降りかかる災難は男なら誰にでも起こりうること。そしてその後に彼が取る幾多の行動も、誰もがそうするであろう、大いに共感できるものばかり。いくら日本の裁判に問題があるとはいえ、やってもいない事で罰を受けるわけがないと考えるのも自然だ。 　しかし、そうした一般人の考えがいかに甘いものか、映画はのっけから見事に打ち砕いてくれる。痴漢を認めた別の男が数時間で釈放され、否定した主人公は何十日も警察に締め上げ続けられる。そして、社会的に抹殺されるのは後者。面会した当番弁護士が、やってもいない罪を認めたほうが得と語るとき、主人公と観客は大きなショックを受ける。 　このように、ただ漠然と「痴漢冤罪は怖い」と考えている多くの人に対し、徹底して調べ上げたリアリティの積み上げによって、監督は強い衝撃を与え続ける。 　しかし、当初は孤立していた彼にも、やがて味方が現れる。同じ冤罪被害者とそれを支える市民団体、そして役所広司演じるベテラン弁護士。無罪を信じて戦う母親のもたいまさこらも素晴らしい演技を見せる。親友や鈴木蘭々演じる元カノも、一丸となって裁判に挑む。このあたりの盛り上がりは、内外のあらゆる裁判劇を凌駕するといっても過言ではない。 　この映画の美点は、監督の、日本の刑事裁判に対する（恐らく）激しい怒りが込められているにもかかわらず、悲壮感にとらわれず、悲観的にもなることなく、ユーモアたっぷりに描いていることだ。リベラル派の人たちは、こと体制批判となると妙に皮肉っぽくなったり、肩の力が入りすぎたりしがちであるが、この監督はそのあたりのバランス感覚に優れている。 　私は常日頃から、日本のメジャー映画業界はもっと製作本数を減らし、一本あたりのクォリティをあげるべきと言っているが、かように優れた作品をみるとその思いをより強くする。周防監督のごときセンスある才能に、十分な製作期間（取材と構想、脚本を練る期間）と予算を与えると、これほどのものが出来上がる。 　いまは、邦画バブルといわれるほど活況の日本映画界ではあるが、この好景気による貯金を食いつぶすことなく次世代につなげるために、『それでもボクはやってない』の出来の良さは大きなヒントになるはずだ。 　『それでもボクはやってない』は、超映画批評を立ち上げた当初から願ってやまなかった「こういう日本映画が見たい」という私の気持ちを、具現化してくれたような一本だ。唯一のマイナス点については、重大なネタバレにかかわるためここで書くわけにはいかないが、見終わった瞬間に多くの人が感じるのではと思う。しかし、それでもこの作品が必見であることに疑問の余地はない。]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p class="score-study">◆すべての男が見るべき大傑作（98点）
<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B000QJLROI/judgepickup-22/"><img src="http://images-jp.amazon.com/images/P/B000QJLROI.09.MZZZZZZZ.jpg" alt="勉強したい2009" class="img-left" /></a>
<p>　2006年の総評でもちらと触れたが、昨年私が見た数百本の映画の中で、もっとも面白かった映画がこれである。痴漢冤罪という、誰にでも実感できる切り口で日本の刑事裁判の抱える問題点を描いた社会派映画。しかしながら堅苦しさはゼロで、娯楽度満点。先が気になる度がきわめて高いストーリーと、へぇ連発のディテール。どこをとっても完璧に限りなく近い、まさしく年度を代表する傑作といえる。</p>
<span id="more-10398"></span>
<p>　主人公のさえないフリーター（加瀬亮）は、満員電車から降りたとたん女子中学生に手首をつかまれた。駅員室に連れて行かれた彼は、覚えのない痴漢を頑強に否定。すると警察がやってきて留置され、そのまま裁判を闘うことになるのだった。</p>
<p>　この映画の上映時間は147分。一見長大に思えるが体感時間はその半分程度、まさに尿意を忘れる一本だ。『Shall We ダンス？』（96年、日）以来の新作となる周防正行監督は、これを作るのに2年間に及ぶ徹底取材を行ったという。ぎっしりと雑学および強い問題提起がつまった2時間半からは、その意欲と成果を十二分に感じられる。とくに、（元ねたとなった本はあるが）明確な原作ものでない映画で、ここまで細部を詳細に描いた作品は近年見たことがない。</p>
<p>　主人公に降りかかる災難は男なら誰にでも起こりうること。そしてその後に彼が取る幾多の行動も、誰もがそうするであろう、大いに共感できるものばかり。いくら日本の裁判に問題があるとはいえ、やってもいない事で罰を受けるわけがないと考えるのも自然だ。</p>
<p>　しかし、そうした一般人の考えがいかに甘いものか、映画はのっけから見事に打ち砕いてくれる。痴漢を認めた別の男が数時間で釈放され、否定した主人公は何十日も警察に締め上げ続けられる。そして、社会的に抹殺されるのは後者。面会した当番弁護士が、やってもいない罪を認めたほうが得と語るとき、主人公と観客は大きなショックを受ける。</p>
<p>　このように、ただ漠然と「痴漢冤罪は怖い」と考えている多くの人に対し、徹底して調べ上げたリアリティの積み上げによって、監督は強い衝撃を与え続ける。</p>
<p>　しかし、当初は孤立していた彼にも、やがて味方が現れる。同じ冤罪被害者とそれを支える市民団体、そして役所広司演じるベテラン弁護士。無罪を信じて戦う母親のもたいまさこらも素晴らしい演技を見せる。親友や鈴木蘭々演じる元カノも、一丸となって裁判に挑む。このあたりの盛り上がりは、内外のあらゆる裁判劇を凌駕するといっても過言ではない。</p>
<p>　この映画の美点は、監督の、日本の刑事裁判に対する（恐らく）激しい怒りが込められているにもかかわらず、悲壮感にとらわれず、悲観的にもなることなく、ユーモアたっぷりに描いていることだ。リベラル派の人たちは、こと体制批判となると妙に皮肉っぽくなったり、肩の力が入りすぎたりしがちであるが、この監督はそのあたりのバランス感覚に優れている。</p>
<p>　私は常日頃から、日本のメジャー映画業界はもっと製作本数を減らし、一本あたりのクォリティをあげるべきと言っているが、かように優れた作品をみるとその思いをより強くする。周防監督のごときセンスある才能に、十分な製作期間（取材と構想、脚本を練る期間）と予算を与えると、これほどのものが出来上がる。</p>
<p>　いまは、邦画バブルといわれるほど活況の日本映画界ではあるが、この好景気による貯金を食いつぶすことなく次世代につなげるために、『それでもボクはやってない』の出来の良さは大きなヒントになるはずだ。</p>
<p>　『それでもボクはやってない』は、超映画批評を立ち上げた当初から願ってやまなかった「こういう日本映画が見たい」という私の気持ちを、具現化してくれたような一本だ。唯一のマイナス点については、重大なネタバレにかかわるためここで書くわけにはいかないが、見終わった瞬間に多くの人が感じるのではと思う。しかし、それでもこの作品が必見であることに疑問の余地はない。</p>]]></content:encoded>
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		<title>ハッピーフライト</title>
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		<pubDate>Fri, 30 Oct 2009 11:34:42 +0000</pubDate>
		<dc:creator>映画ジャッジ</dc:creator>
				<category><![CDATA[勉強したい2009]]></category>

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		<description><![CDATA[◆全日空全面協力の、かつてない飛行機映画（90点） 　『ウォーターボーイズ』（2001）、『スウィングガールズ』（2004）と続けてヒットを飛ばした矢口史靖監督は、この最新作では飛行機を飛ばすことになった。取材の過程でマニア級の飛行機好きになった監督としては、前二作とは趣の相当異なる、そして邦画には珍しい「一般ウケするオタク映画」を作り上げた。 　ここで本来あらすじを紹介するのだが、この映画の場合は必要ない。『ハッピーフライト』は群像劇の形を取っているが、ストーリーを楽しみにいく作品ではない。一機の旅客機が飛び立つまでに、いったい空港や管制塔の裏側では何がおきているのか。どんな人がどんな仕事をしているか多岐にわたって追いかけるという、その一点に注力した作品なのだ。 　つまりこの映画は、飛行機マニアで有名な宮?駿も真っ青なディテールの積み重ね&#34;のみ&#34;で、映画を作ってしまったという、とてつもない挑戦・意欲作といってよい。そしてその面白さは、そんじょそこらの飛行機パニック映画が束になってもかなわない。 　たとえば滑走路では、爆音に消されぬよう通信用のマイクに骨伝導のものが使われている。あるいは鳥と航空機が激突するのを避けるため、散弾銃を持った職員が近辺をパトロールしている。整備士は工具箱に鍵をかけている。 　こうしたトリビアが、それこそ山のように映画に登場する。パイロットや客室乗務員はもとより管制官、機内掃除のおじさん、そして強烈なクレーム客まで、かつてないほど「ひこうじょうのひとびと」の様子を克明に記録したドラマ映画といってよい。 　しかもそれらはあくまでさりげなく登場する。自慢げに「こんなにリサーチしましたよ?」と出てくれば鼻にもつくが、この監督はそんなミスは犯さない。説明はほとんどなく、しかし観客に伝わるよう、絶妙の演出力で処理されている。 　たとえばパイロットの一人が酸素マスクをつけるシーンがある。このマスクが何で、何のために出てきたのか映画では一切解説されない。だがそれは、確実に観客に伝わる。それはなぜかと言うと、その少し前に機長らが弁当を食べるコミカルな場面があるからだ。 　この二つは対になったシークエンスで、この順で配置されることで、初めて意味を持つ演出となっている。 　後者のマスクの場面では、余計な解説を入れたらストーリーをつなぐ旋律が確実に途切れ、サスペンスとしての面白さが損なわれる。だから無説明にするほかないが、矢口監督はその役割を弁当の場面に担わせている。小さいことのように思えるが、こうした丁寧な脚本を書き、演出できる人がいったいどれだけいるだろう。 　この監督のセンスのよさは、田畑智子演じるグランドホステスの物語にもよく現れている。この作品の登場人物はみな魅力的なので見ていて飽きないが、彼女のエピソードのラストのさわやかさは、映画全体の満足度を大いに上げたといってよい。説明過多な演出がいかに映画をつまらなくするか、この監督はしっかりと心得ている。 　メカや「おしごと」部分のリアリティおよび徹底したリサーチ結果に比べると、俳優たちが担う「人間のリアリティ」はやや追いついていない印象を受ける。もっとも、そこをこだわるには相当な期間と費用がかかり、日本映画では難しいものがあろう。 　よって、それぞれの役者の個人技に頼る形になっている。そのためそれぞれのキャラクターが放つムードにはムラがあるものの、いい意味でメリハリとなった印象だ。時任三郎や寺島しのぶは、プロらしい凛々しさを感じさせるし、田畑智子や平岩紙のコミカルな雰囲気もいいアクセント。座頭市から一変、綾瀬はるかの天然ぶりもかわいらしい。 『ハッピーフライト』のような力作が増えてくると、日本の娯楽映画界も盛り上がる。お手軽娯楽では決してない、信念を持った本気のリサーチと、それを安定した演出力であえて軽い味付けに仕上げる優れた監督。 　先日、JAL全面協力のトホホなバスケ映画があったが、これをみるとこれからはANAに乗るかという気にもなる。これほどの傑作が出来上がり、現役旅客機を撮影のため15日間も提供した社長さんも大喜びであろう。 　『ハッピーフライト』は本当にすごい映画だ。邦画に常にがっかりさせられる人が見たら、この凄さがきっとわかるだろう。]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p class="score-study">◆全日空全面協力の、かつてない飛行機映画（90点）
<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B001TIKGDS/judgepickup-22/"><img src="http://images-jp.amazon.com/images/P/B001TIKGDS.09.MZZZZZZZ.jpg" alt="勉強したい2009" class="img-left" /></a>
<p>　『ウォーターボーイズ』（2001）、『スウィングガールズ』（2004）と続けてヒットを飛ばした矢口史靖監督は、この最新作では飛行機を飛ばすことになった。取材の過程でマニア級の飛行機好きになった監督としては、前二作とは趣の相当異なる、そして邦画には珍しい「一般ウケするオタク映画」を作り上げた。</p>
<span id="more-10397"></span>
<p>　ここで本来あらすじを紹介するのだが、この映画の場合は必要ない。『ハッピーフライト』は群像劇の形を取っているが、ストーリーを楽しみにいく作品ではない。一機の旅客機が飛び立つまでに、いったい空港や管制塔の裏側では何がおきているのか。どんな人がどんな仕事をしているか多岐にわたって追いかけるという、その一点に注力した作品なのだ。</p>
<p>　つまりこの映画は、飛行機マニアで有名な宮?駿も真っ青なディテールの積み重ね&quot;のみ&quot;で、映画を作ってしまったという、とてつもない挑戦・意欲作といってよい。そしてその面白さは、そんじょそこらの飛行機パニック映画が束になってもかなわない。</p>
<p>　たとえば滑走路では、爆音に消されぬよう通信用のマイクに骨伝導のものが使われている。あるいは鳥と航空機が激突するのを避けるため、散弾銃を持った職員が近辺をパトロールしている。整備士は工具箱に鍵をかけている。</p>
<p>　こうしたトリビアが、それこそ山のように映画に登場する。パイロットや客室乗務員はもとより管制官、機内掃除のおじさん、そして強烈なクレーム客まで、かつてないほど「ひこうじょうのひとびと」の様子を克明に記録したドラマ映画といってよい。</p>
<p>　しかもそれらはあくまでさりげなく登場する。自慢げに「こんなにリサーチしましたよ?」と出てくれば鼻にもつくが、この監督はそんなミスは犯さない。説明はほとんどなく、しかし観客に伝わるよう、絶妙の演出力で処理されている。</p>
<p>　たとえばパイロットの一人が酸素マスクをつけるシーンがある。このマスクが何で、何のために出てきたのか映画では一切解説されない。だがそれは、確実に観客に伝わる。それはなぜかと言うと、その少し前に機長らが弁当を食べるコミカルな場面があるからだ。</p>
<p>　この二つは対になったシークエンスで、この順で配置されることで、初めて意味を持つ演出となっている。</p>
<p>　後者のマスクの場面では、余計な解説を入れたらストーリーをつなぐ旋律が確実に途切れ、サスペンスとしての面白さが損なわれる。だから無説明にするほかないが、矢口監督はその役割を弁当の場面に担わせている。小さいことのように思えるが、こうした丁寧な脚本を書き、演出できる人がいったいどれだけいるだろう。</p>
<p>　この監督のセンスのよさは、田畑智子演じるグランドホステスの物語にもよく現れている。この作品の登場人物はみな魅力的なので見ていて飽きないが、彼女のエピソードのラストのさわやかさは、映画全体の満足度を大いに上げたといってよい。説明過多な演出がいかに映画をつまらなくするか、この監督はしっかりと心得ている。</p>
<p>　メカや「おしごと」部分のリアリティおよび徹底したリサーチ結果に比べると、俳優たちが担う「人間のリアリティ」はやや追いついていない印象を受ける。もっとも、そこをこだわるには相当な期間と費用がかかり、日本映画では難しいものがあろう。</p>
<p>　よって、それぞれの役者の個人技に頼る形になっている。そのためそれぞれのキャラクターが放つムードにはムラがあるものの、いい意味でメリハリとなった印象だ。時任三郎や寺島しのぶは、プロらしい凛々しさを感じさせるし、田畑智子や平岩紙のコミカルな雰囲気もいいアクセント。座頭市から一変、綾瀬はるかの天然ぶりもかわいらしい。</p>
<p>『ハッピーフライト』のような力作が増えてくると、日本の娯楽映画界も盛り上がる。お手軽娯楽では決してない、信念を持った本気のリサーチと、それを安定した演出力であえて軽い味付けに仕上げる優れた監督。</p>
<p>　先日、JAL全面協力のトホホなバスケ映画があったが、これをみるとこれからはANAに乗るかという気にもなる。これほどの傑作が出来上がり、現役旅客機を撮影のため15日間も提供した社長さんも大喜びであろう。</p>
<p>　『ハッピーフライト』は本当にすごい映画だ。邦画に常にがっかりさせられる人が見たら、この凄さがきっとわかるだろう。</p>]]></content:encoded>
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		<title>ファーストフード・ネイション</title>
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		<pubDate>Fri, 30 Oct 2009 11:34:30 +0000</pubDate>
		<dc:creator>映画ジャッジ</dc:creator>
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		<description><![CDATA[◆ダイエットに最適な映画（80点） 　ハンバーガーやフライドポテトが大好きなお子さん、もしくはメタボ気味の旦那様をもつ奥さんは、迷わずこの映画に連れて行くとよい。これを見終わってもまだ食べたいというならば、それはもはや病気だ。 　大手バーガーチェーンのある幹部は、パテから大腸菌が検出された件で、自社の食肉加工工場に調査にやってきた。愛想よく案内された工場の様子からは、雑菌が混入する余地はあまりないように思える。だが、周辺で聞き込みを続けるうち、その恐るべき実態が明らかになってくる。 　脚本も書いているエリック・シュローサーの原作『ファストフードが世界を食いつくす』はとんでもない本で、私はかつてこれを読んだせいで大手バーガーショップでの食事に、かなりの抵抗を感じるようになってしまった。 　ノンフィクションであるその内容を、象徴的な劇映画として作ったのが本作。企業名を名指ししている原作と違い、あくまで架空の企業となっているが、にわかには信じがたい実態が赤裸々に描かれている。 　たとえば、不法移民を奴隷のように使う食肉工場。一家でやってきた移民らは、若い奥さんが工場長に体を売って、仕事を得ることも日常茶飯事。しかもその仕事は、驚くほど薄給で危険なものだ。男たちはミンチ機械に腕をもっていかれる危険と常に隣り合わせで、女たちは悪臭漂う生肉の解体作業に黙々と従事する。ここにいるのは、世界最大の外食産業たるファストフード業界の中でも、間違いなく最底辺に位置する人々だ。 　そこからかなり上に登ったところに、店舗のアルバイト店員がいる。さらに雲の上に、本社の幹部社員らがいる。この労働ピラミッドの各階層間は完全に断絶され、もはや同じ会社で仕事をするものとは思えぬ様相を呈している。 　この映画が突きつける現実のひとつがこれ。労働者がさらに下の労働者を食い物にし、互いに対立する構図。自由競争の美名のもとに作り上げられた、現代の奴隷制度である。持たざる者同士の連帯が今ほど必要な時代はないのに、それがうまくいかないのは、この巧妙なシステムがいかに効果的かを物語っている。 　次に、もうひとつのテーマである「食の安全性」だが、こちらは少々焦点が定まらぬ。これに関してファストフードが抱える問題点とは、大量生産と安価な提供を可能にするために、どうしてもそれを犠牲にせざるを得ないというものだ。 　だがこれを見ると、ファストフードというより、肉食それじたいが嫌になってくる。それはそれで一つの考え方だが、この映画のテーマとは微妙にずれている。 　映画の最後、普段都市部で暮らす観客は、食に対する価値観が揺らぐであろう驚愕映像を目にすることになる。だが私はこのシーンをみて、これは10代のための教育教材にすべきだとさえ思った。安い食品、安い外食を求めることがどういう結果を招くのか。そろそろ私たちは気づかねばならない。安さを追求する&#34;消費者の正義&#34;は、こと食べ物に関してはまったく当てはまらないという事を、若い人にはぜひ知ってほしい。 　最後に、撮影に協力した食肉工場の方の勇気を称えて、本記事を終えたい。『ファーストフード・ネイション』は、いま、絶対に見るべき映画のひとつである。]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p class="score-study">◆ダイエットに最適な映画（80点）
<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B001B4LQIE/judgepickup-22/"><img src="http://images-jp.amazon.com/images/P/B001B4LQIE.09.MZZZZZZZ.jpg" alt="勉強したい2009" class="img-left" /></a>
<p>　ハンバーガーやフライドポテトが大好きなお子さん、もしくはメタボ気味の旦那様をもつ奥さんは、迷わずこの映画に連れて行くとよい。これを見終わってもまだ食べたいというならば、それはもはや病気だ。</p>
<span id="more-10395"></span>
<p>　大手バーガーチェーンのある幹部は、パテから大腸菌が検出された件で、自社の食肉加工工場に調査にやってきた。愛想よく案内された工場の様子からは、雑菌が混入する余地はあまりないように思える。だが、周辺で聞き込みを続けるうち、その恐るべき実態が明らかになってくる。</p>
<p>　脚本も書いているエリック・シュローサーの原作『ファストフードが世界を食いつくす』はとんでもない本で、私はかつてこれを読んだせいで大手バーガーショップでの食事に、かなりの抵抗を感じるようになってしまった。</p>
<p>　ノンフィクションであるその内容を、象徴的な劇映画として作ったのが本作。企業名を名指ししている原作と違い、あくまで架空の企業となっているが、にわかには信じがたい実態が赤裸々に描かれている。</p>
<p>　たとえば、不法移民を奴隷のように使う食肉工場。一家でやってきた移民らは、若い奥さんが工場長に体を売って、仕事を得ることも日常茶飯事。しかもその仕事は、驚くほど薄給で危険なものだ。男たちはミンチ機械に腕をもっていかれる危険と常に隣り合わせで、女たちは悪臭漂う生肉の解体作業に黙々と従事する。ここにいるのは、世界最大の外食産業たるファストフード業界の中でも、間違いなく最底辺に位置する人々だ。</p>
<p>　そこからかなり上に登ったところに、店舗のアルバイト店員がいる。さらに雲の上に、本社の幹部社員らがいる。この労働ピラミッドの各階層間は完全に断絶され、もはや同じ会社で仕事をするものとは思えぬ様相を呈している。</p>
<p>　この映画が突きつける現実のひとつがこれ。労働者がさらに下の労働者を食い物にし、互いに対立する構図。自由競争の美名のもとに作り上げられた、現代の奴隷制度である。持たざる者同士の連帯が今ほど必要な時代はないのに、それがうまくいかないのは、この巧妙なシステムがいかに効果的かを物語っている。</p>
<p>　次に、もうひとつのテーマである「食の安全性」だが、こちらは少々焦点が定まらぬ。これに関してファストフードが抱える問題点とは、大量生産と安価な提供を可能にするために、どうしてもそれを犠牲にせざるを得ないというものだ。</p>
<p>　だがこれを見ると、ファストフードというより、肉食それじたいが嫌になってくる。それはそれで一つの考え方だが、この映画のテーマとは微妙にずれている。</p>
<p>　映画の最後、普段都市部で暮らす観客は、食に対する価値観が揺らぐであろう驚愕映像を目にすることになる。だが私はこのシーンをみて、これは10代のための教育教材にすべきだとさえ思った。安い食品、安い外食を求めることがどういう結果を招くのか。そろそろ私たちは気づかねばならない。安さを追求する&quot;消費者の正義&quot;は、こと食べ物に関してはまったく当てはまらないという事を、若い人にはぜひ知ってほしい。</p>
<p>　最後に、撮影に協力した食肉工場の方の勇気を称えて、本記事を終えたい。『ファーストフード・ネイション』は、いま、絶対に見るべき映画のひとつである。</p>]]></content:encoded>
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		<title>ブラッド・ダイヤモンド</title>
		<link>http://www.cinemaonline.jp/dvd-ranking2009/study2009/10393.html</link>
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		<pubDate>Fri, 30 Oct 2009 11:33:29 +0000</pubDate>
		<dc:creator>映画ジャッジ</dc:creator>
				<category><![CDATA[勉強したい2009]]></category>

		<guid isPermaLink="false">http://www.cinemaonline.jp/?p=10393</guid>
		<description><![CDATA[◆世界史最上級のタブーに切り込んだ勇気ある一本（85点） 　ダイヤモンドという宝石は希少で高価かつ透明に輝くピュアなイメージで、世界中の女性の憧れとされてきた。しかしその一方、採掘現場では奴隷同然の過酷な労働がまかり通っていたり、一部はテロリストたちの資金源でもあるという闇の部分も厳然と存在する。ダイヤモンドの原産地のほとんどで内戦など武力紛争が起きているのは、もちろん偶然ではない。 　成功と美の象徴であると同時に、死と紛争の象徴でもあるこの宝石について、その闇の部分に鋭く切り込んだのがこの『ブラッド・ダイヤモンド』。しかし、マスコミやエンタテイメント業界にとって巨大なスポンサーである宝石業界を敵に回すことは最上級のタブー。はたしてどこまで迫れるか。 　クリントン大統領のスキャンダルが明らかになった90年代、アフリカのシエラレオネ。貧しい猟師ソロモン（ジャイモン・フンスー）の村は反政府過激派のRUF＝統一革命戦線に襲われる。家族散り散りとなり、ソロモンは捕らえられ、奴隷としてダイヤモンド採掘場に送られる。なんとしても家族の元へ戻りたい彼は、そこで偶然見つけたおよそ200カラット（おそらく時価数億円）のピンクダイヤの原石を、監視の目を盗んで懐に入れる。 　ひょんなことからこのダイヤの存在を知った密輸商人のアーチャー（レオナルド・ディカプリオ）は、ダイヤと交換に彼の家族を探し出すと申し出る。彼の頭には、そろそろこの世界から足を洗いたいという気持ちがあったのだ。アーチャーは、有能な女ジャーナリスト（ジェニファー・コネリー）にダイヤ密輸のノウハウという特ダネを渡す事と引き換えに、正規の報道パスの力で二人を紛争地から脱出させるよう頼む。 　『ブラッドダイヤモンド』は、ノーテンキに見る娯楽大作とするには少々解説が要る。まず、舞台がなぜシエラレオネかという点だが、これはこの地域が高品質なダイヤ産地であると同時に、漂砂鉱床で採掘が容易という点があげられる。 　つまり、川をザルですくえばたまーにダイヤが引っかかるわけで、だからこそ大規模な施設を持たない（持てない）ゲリラ組織の資金源として狙われるわけだ。よって、冒頭ソロモンが採掘現場へさらわれるシーンにはリアリティがある。と同時に、ここでゲリラたちが他の捕虜に対して行う残虐な行為の数々も、実際にRUFが行った蛮行として有名なものばかりだから、注目してほしい。 　現実にもこの国はアフリカ最大の密輸国となっており、ダイヤを狙う紛争が絶えない。また、世界でもっとも平均寿命の短い国としても知られている。すべては密接につながっている。 　紛争ダイヤはある方法で正規の流通ルートにのり、私たち先進国の消費者の手にわたるわけだが、そうしたショッキングな現実についても映画はきっちりと説明する。世界トップクラスのダイヤ消費国である日本人としては、決して他人事ではない。 　ただし私が一番期待した肝心の部分、すべての利権の背後には先進国の大企業等がいるのだという点については、微妙にぼかして明言を避けている。ただし、わかる人にはわかる形で痛烈に皮肉った部分もある。それは、主人公のレオ様が自分の出身地をローデシアだと語る場面。ローデシアとは今のザンビアとジンバブエのあたりの事だが、なぜ彼はジンバブエといわずにローデシアというのか。そこがポイントだ。 　ローデシアとは、白人たちがローズという男性の名からとって名づけた国名なのだが、このローズとはいったい誰なのかというと、全世界のダイヤモンドの流通を独占するD社（映画の中では仮名が用いられる）の創始者セシル・ローズに他ならない。 　表向きはどうあれ、ブラッドダイヤモンドで一番儲けてるのは誰なのかを、この映画はここでさりげなく匂わせている。ユダヤ系の会社ワーナーブラザーズによる娯楽大作が、ここまでタブーに切り込んだ事には正直びっくり仰天であった。なんといってもD社にせよイスラエルの研磨産業（これも市場独占に近い）にせよ、ダイヤモンド業界はユダヤ最大の牙城なのだから。 　こうした点を念頭に置いて見れば、3人の脱出大冒険を楽しみながらまたひとつ、違った世界が見えてくるかもしれない。たぶん、この映画を見終わってもまだノーテンキにダイヤがほしい?なんておねだりするオンナノコは相当少数派だ。よって、現在銀座のお姉ちゃん等に同様の要求を受けて弱っている男性諸氏は、緊急避難的に本作の上映劇場に連れ込むことをアドバイスしておく。]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p class="score-study">◆世界史最上級のタブーに切り込んだ勇気ある一本（85点）
<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B002BS023Y/judgepickup-22/"><img src="http://images-jp.amazon.com/images/P/B002BS023Y.09.MZZZZZZZ.jpg" alt="勉強したい2009" class="img-left" /></a>
<p>　ダイヤモンドという宝石は希少で高価かつ透明に輝くピュアなイメージで、世界中の女性の憧れとされてきた。しかしその一方、採掘現場では奴隷同然の過酷な労働がまかり通っていたり、一部はテロリストたちの資金源でもあるという闇の部分も厳然と存在する。ダイヤモンドの原産地のほとんどで内戦など武力紛争が起きているのは、もちろん偶然ではない。</p>
<span id="more-10393"></span>
<p>　成功と美の象徴であると同時に、死と紛争の象徴でもあるこの宝石について、その闇の部分に鋭く切り込んだのがこの『ブラッド・ダイヤモンド』。しかし、マスコミやエンタテイメント業界にとって巨大なスポンサーである宝石業界を敵に回すことは最上級のタブー。はたしてどこまで迫れるか。</p>
<p>　クリントン大統領のスキャンダルが明らかになった90年代、アフリカのシエラレオネ。貧しい猟師ソロモン（ジャイモン・フンスー）の村は反政府過激派のRUF＝統一革命戦線に襲われる。家族散り散りとなり、ソロモンは捕らえられ、奴隷としてダイヤモンド採掘場に送られる。なんとしても家族の元へ戻りたい彼は、そこで偶然見つけたおよそ200カラット（おそらく時価数億円）のピンクダイヤの原石を、監視の目を盗んで懐に入れる。</p>
<p>　ひょんなことからこのダイヤの存在を知った密輸商人のアーチャー（レオナルド・ディカプリオ）は、ダイヤと交換に彼の家族を探し出すと申し出る。彼の頭には、そろそろこの世界から足を洗いたいという気持ちがあったのだ。アーチャーは、有能な女ジャーナリスト（ジェニファー・コネリー）にダイヤ密輸のノウハウという特ダネを渡す事と引き換えに、正規の報道パスの力で二人を紛争地から脱出させるよう頼む。</p>
<p>　『ブラッドダイヤモンド』は、ノーテンキに見る娯楽大作とするには少々解説が要る。まず、舞台がなぜシエラレオネかという点だが、これはこの地域が高品質なダイヤ産地であると同時に、漂砂鉱床で採掘が容易という点があげられる。</p>
<p>　つまり、川をザルですくえばたまーにダイヤが引っかかるわけで、だからこそ大規模な施設を持たない（持てない）ゲリラ組織の資金源として狙われるわけだ。よって、冒頭ソロモンが採掘現場へさらわれるシーンにはリアリティがある。と同時に、ここでゲリラたちが他の捕虜に対して行う残虐な行為の数々も、実際にRUFが行った蛮行として有名なものばかりだから、注目してほしい。</p>
<p>　現実にもこの国はアフリカ最大の密輸国となっており、ダイヤを狙う紛争が絶えない。また、世界でもっとも平均寿命の短い国としても知られている。すべては密接につながっている。</p>
<p>　紛争ダイヤはある方法で正規の流通ルートにのり、私たち先進国の消費者の手にわたるわけだが、そうしたショッキングな現実についても映画はきっちりと説明する。世界トップクラスのダイヤ消費国である日本人としては、決して他人事ではない。</p>
<p>　ただし私が一番期待した肝心の部分、すべての利権の背後には先進国の大企業等がいるのだという点については、微妙にぼかして明言を避けている。ただし、わかる人にはわかる形で痛烈に皮肉った部分もある。それは、主人公のレオ様が自分の出身地をローデシアだと語る場面。ローデシアとは今のザンビアとジンバブエのあたりの事だが、なぜ彼はジンバブエといわずにローデシアというのか。そこがポイントだ。</p>
<p>　ローデシアとは、白人たちがローズという男性の名からとって名づけた国名なのだが、このローズとはいったい誰なのかというと、全世界のダイヤモンドの流通を独占するD社（映画の中では仮名が用いられる）の創始者セシル・ローズに他ならない。</p>
<p>　表向きはどうあれ、ブラッドダイヤモンドで一番儲けてるのは誰なのかを、この映画はここでさりげなく匂わせている。ユダヤ系の会社ワーナーブラザーズによる娯楽大作が、ここまでタブーに切り込んだ事には正直びっくり仰天であった。なんといってもD社にせよイスラエルの研磨産業（これも市場独占に近い）にせよ、ダイヤモンド業界はユダヤ最大の牙城なのだから。</p>
<p>　こうした点を念頭に置いて見れば、3人の脱出大冒険を楽しみながらまたひとつ、違った世界が見えてくるかもしれない。たぶん、この映画を見終わってもまだノーテンキにダイヤがほしい?なんておねだりするオンナノコは相当少数派だ。よって、現在銀座のお姉ちゃん等に同様の要求を受けて弱っている男性諸氏は、緊急避難的に本作の上映劇場に連れ込むことをアドバイスしておく。</p>]]></content:encoded>
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		<title>パラダイス・ナウ</title>
		<link>http://www.cinemaonline.jp/dvd-ranking2009/study2009/10391.html</link>
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		<pubDate>Fri, 30 Oct 2009 11:32:53 +0000</pubDate>
		<dc:creator>映画ジャッジ</dc:creator>
				<category><![CDATA[勉強したい2009]]></category>

		<guid isPermaLink="false">http://www.cinemaonline.jp/?p=10391</guid>
		<description><![CDATA[◆テロリスト最後の一日（70点） 　『パラダイス・ナウ』は、私たちがいわゆるテロリストと呼んでいる存在、とくに自爆テロを行う人間が、最後の一日をどう過ごすかを詳細に描いた異色のドラマだ。 　テロは問答無用の悪だと考える人々にとって、人間としての彼らの行動原理を理解しようという試みはすべて受け入れられないものと見え、この映画に対しても激しい反対の署名運動が繰り広げられた。それが影響したのかその年（2005年）のアカデミー外国語映画賞は逃したものの、本作が優れた映画作品であることに違いはない。 　主人公の若者二人は長年の親友同士。彼らはパレスチナのイスラエル占領地ナブルスで自動車修理の仕事をしている。ロードプロックとフェンスに囲まれた不自由な町の中、閉塞感と貧しさは彼らの未来に大きな影を落としていた。ある日二人は、所属する抵抗組織が行う報復爆破作戦の実行者へと抜擢される。作戦は48時間後。二人は最後の日々をあわただしくすごし、やがてそのときを迎えるが……。 　すんなり作戦が終わるわけもなく、二転三転する展開が待っているが、それは映画館でのお楽しみ。 　さて、この映画ではパレスチナの占領地の現実が、これまでにないほど正確に、ていねいに、そして誠実に描かれている。ハニ・アブ・アサド監督はパレスチナ系の人物ながら、映画で政治的な主張を行うタイプではないようで、あくまで本作を「主張ではなく説明」と解説している。じっさい、感情的な部分は無く、よくぞここまで突き放して冷静な視点を保ったものだと感心する。 　しかしこの映画、色気がまったく無いわけじゃない。それどころか主人公のパレスチナ人が仲間に用意される最後のご馳走の場面は、ダヴィンチの『最後の晩餐』と構図が同じで、もしこれが監督の意図したものだとしたら強烈なパンチ、皮肉（あの絵の主人公は、ユダヤ人によって処刑されたイエス・キリストなのだから）である。 　その他面白い場面としては、やはりテロリストデビュー（と同時に人生最後の一日）のディテール部分。思ったより小柄でフツーの人だった&#34;伝説のリーダー&#34;との面会場面、爆弾を体に巻くテープの品質が悪かった件について語る場面、犯行声明ビデオの撮影時に周りの連中が立ち食いして緊張感をぶち壊しにしているシーンなど。いずれにおいてもそこはかとなく気まずさ、滑稽さが漂っている。監督は、聖戦の現実とはこんなものさ、と自嘲気味に描いてみせる。 　見ていてどうにも薄ら寒くなるのは、爆弾しょってイスラエル側に突入する二人がイカレタ狂信者でも何でもなく、現状に不満を持つただのやぶれかぶれな若者のごとく見える部分。どこの国の少年たちにもある、若さゆえの破壊衝動がそこには垣間見え共感すると同時に、その共感の相手が恐ろしいテロリストなんだと気づき慄然とする。そういう怖さが『パラダイス･ナウ』にはある。 　パレスチナの監督がイスラエル人プロデューサーの協力を得て現地でロケし、途中でドイツ人スタッフらがその一帯の治安の悪さに恐れをなして逃げ出しながらも、なんとか完成させた渾身の一本。 　題名の意味するところは一番最後のショットで判明する。中東の混迷についていろいろと考えさせられる、大変いい映画であった。]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p class="score-study">◆テロリスト最後の一日（70点）
<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B000WCEMLE/judgepickup-22/"><img src="http://images-jp.amazon.com/images/P/B000WCEMLE.09.MZZZZZZZ.jpg" alt="勉強したい2009" class="img-left" /></a>
<p>　『パラダイス・ナウ』は、私たちがいわゆるテロリストと呼んでいる存在、とくに自爆テロを行う人間が、最後の一日をどう過ごすかを詳細に描いた異色のドラマだ。</p>
<span id="more-10391"></span>
<p>　テロは問答無用の悪だと考える人々にとって、人間としての彼らの行動原理を理解しようという試みはすべて受け入れられないものと見え、この映画に対しても激しい反対の署名運動が繰り広げられた。それが影響したのかその年（2005年）のアカデミー外国語映画賞は逃したものの、本作が優れた映画作品であることに違いはない。</p>
<p>　主人公の若者二人は長年の親友同士。彼らはパレスチナのイスラエル占領地ナブルスで自動車修理の仕事をしている。ロードプロックとフェンスに囲まれた不自由な町の中、閉塞感と貧しさは彼らの未来に大きな影を落としていた。ある日二人は、所属する抵抗組織が行う報復爆破作戦の実行者へと抜擢される。作戦は48時間後。二人は最後の日々をあわただしくすごし、やがてそのときを迎えるが……。</p>
<p>　すんなり作戦が終わるわけもなく、二転三転する展開が待っているが、それは映画館でのお楽しみ。</p>
<p>　さて、この映画ではパレスチナの占領地の現実が、これまでにないほど正確に、ていねいに、そして誠実に描かれている。ハニ・アブ・アサド監督はパレスチナ系の人物ながら、映画で政治的な主張を行うタイプではないようで、あくまで本作を「主張ではなく説明」と解説している。じっさい、感情的な部分は無く、よくぞここまで突き放して冷静な視点を保ったものだと感心する。</p>
<p>　しかしこの映画、色気がまったく無いわけじゃない。それどころか主人公のパレスチナ人が仲間に用意される最後のご馳走の場面は、ダヴィンチの『最後の晩餐』と構図が同じで、もしこれが監督の意図したものだとしたら強烈なパンチ、皮肉（あの絵の主人公は、ユダヤ人によって処刑されたイエス・キリストなのだから）である。</p>
<p>　その他面白い場面としては、やはりテロリストデビュー（と同時に人生最後の一日）のディテール部分。思ったより小柄でフツーの人だった&quot;伝説のリーダー&quot;との面会場面、爆弾を体に巻くテープの品質が悪かった件について語る場面、犯行声明ビデオの撮影時に周りの連中が立ち食いして緊張感をぶち壊しにしているシーンなど。いずれにおいてもそこはかとなく気まずさ、滑稽さが漂っている。監督は、聖戦の現実とはこんなものさ、と自嘲気味に描いてみせる。</p>
<p>　見ていてどうにも薄ら寒くなるのは、爆弾しょってイスラエル側に突入する二人がイカレタ狂信者でも何でもなく、現状に不満を持つただのやぶれかぶれな若者のごとく見える部分。どこの国の少年たちにもある、若さゆえの破壊衝動がそこには垣間見え共感すると同時に、その共感の相手が恐ろしいテロリストなんだと気づき慄然とする。そういう怖さが『パラダイス･ナウ』にはある。</p>
<p>　パレスチナの監督がイスラエル人プロデューサーの協力を得て現地でロケし、途中でドイツ人スタッフらがその一帯の治安の悪さに恐れをなして逃げ出しながらも、なんとか完成させた渾身の一本。</p>
<p>　題名の意味するところは一番最後のショットで判明する。中東の混迷についていろいろと考えさせられる、大変いい映画であった。</p>]]></content:encoded>
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		</item>
		<item>
		<title>チャーリー・ウィルソンズ・ウォー</title>
		<link>http://www.cinemaonline.jp/dvd-ranking2009/study2009/10390.html</link>
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		<pubDate>Fri, 30 Oct 2009 11:31:57 +0000</pubDate>
		<dc:creator>映画ジャッジ</dc:creator>
				<category><![CDATA[勉強したい2009]]></category>

		<guid isPermaLink="false">http://www.cinemaonline.jp/?p=10390</guid>
		<description><![CDATA[◆トム・ハンクスの新作は、世界を変えたエロ代議士のお話（70点） 　&#34;事実は小説より奇なり&#34;というが、こと政治テーマにおいてはその&#34;小説より奇なる事実&#34;さえ、疑ってかかる必要がある。 　ときは80年代の冷戦時代。テキサス州選出の民主党下院議員チャーリー・ウィルソン（トム・ハンクス）は、女と麻薬に目がない不良代議士。ただ、テキサス男らしいおおらかな性格で、どこか憎めない男だった。ある日彼は、巨乳ギャル二人を含む4P状態のジャグジーで、ソ連が侵攻したアフガニスタンの悲惨な現状を知る。 　さて、そのニュースで何かに目覚めたチャーリーは、セフレでパトロンの大富豪夫人（おまけに反共闘士の）ジョアン・ヘリング（ジュリア・ロバーツ）のツテによりパキスタン大統領に謁見。アフガンの戦士たち（＝ムジャーヒディーン）がソ連の重武装ヘリに対抗できる強力な武器を必要としていることを知る。幸い国防委員会の重職に就いていたチャーリーは、強引に予算をぶんどり、やり手のCIA局員（フィリップ・シーモア・ホフマン）の力を借りつつ信じられない方法で武器弾薬を調達し始める。 　その具体的な手腕はぜひみてビックリしてほしいところ。いい忘れたがチャーリー・ウィルソンは実在の人物で、（一応）実話という事になっている。とはいえ、国防丸秘に関わる事項を多数含むので、もとより裏は取りきれない話。「衝撃の事実」の信憑性は見る人任せ、といったところだ。 　個人的には、イラン・コントラ事件（同時代のレーガン政権による国際武器売買スキャンダル）を元にどこかの小説家が考えたような話だと感じたが、さらに突飛な展開だけに何ともいえない。 　なお大事な点として、当時の国際情勢をよく知らぬ人には、この映画の「いったいどこが凄い話なのか」さっぱりわからないであろうと伝えておきたい。 　パキスタン、エジプト、イスラエル、アフガニスタン、そしてもちろん米ソ両大国。これらの国々の関係、宗教による対立について知っておく事は、本作を堪能するための最低条件となる。どことどこが味方で、どことどこが仲が悪いのか。それが基礎知識としてない場合、チャーリー・ウィルソンのやったことが、いかにとんでもない事か理解できない。 　それ自体がブラックジョークというほかない状況のためか、作風も穏やかなコメディ調となっている。内容のわりには、ヘビーな政治映画という雰囲気はない。トム・ハンクス作品らしい人間ドラマとしても、なんとか楽しめなくはない。 　ここ最近の米国政治映画といえば、当然自己反省型の範疇から外れないという鉄則が発動中だが、本作が興味深いのは戦い自体は否定せず、そのやり方がまずかったんだよね、と語るところ。 　知ってのとおり、チャーリー・ウィルソンが支援した当時のムジャーヒディーンには若きオサマ・ビンラディンが参加していたといわれ、その後成長？した彼らは9.11テロ事件を起こした（とされる）。映画の中でCIAらが供与した世界最高性能の米国製携行型地対空ミサイル、スティンガーを彼らがぶっ放すシーンはこの上ない皮肉である。 　これについてこの映画は、「中途半端なトコでやめたからいけない。最後までコミットしないとだめだ」と主張する。これは、失敗したと言われるイラク戦争の戦後処理についてのほのめかしなのか。あるいは先日原油のドル決済を完全停止して、アメリカのアキレス腱をチクチク刺激し続けるイランとの次なる戦いについてなのか。 　いずれにせよ民主党支持で知られるトム・ハンクス（製作も兼ねる）とジュリア・ロバーツの主演映画でこういう主張が見られたのは面白い部分であった。]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p class="score-study">◆トム・ハンクスの新作は、世界を変えたエロ代議士のお話（70点）
<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00130HI7E/judgepickup-22/"><img src="http://images-jp.amazon.com/images/P/B00130HI7E.09.MZZZZZZZ.jpg" alt="勉強したい2009" class="img-left" /></a>
<p>　&quot;事実は小説より奇なり&quot;というが、こと政治テーマにおいてはその&quot;小説より奇なる事実&quot;さえ、疑ってかかる必要がある。</p>
<span id="more-10390"></span>
<p>　ときは80年代の冷戦時代。テキサス州選出の民主党下院議員チャーリー・ウィルソン（トム・ハンクス）は、女と麻薬に目がない不良代議士。ただ、テキサス男らしいおおらかな性格で、どこか憎めない男だった。ある日彼は、巨乳ギャル二人を含む4P状態のジャグジーで、ソ連が侵攻したアフガニスタンの悲惨な現状を知る。</p>
<p>　さて、そのニュースで何かに目覚めたチャーリーは、セフレでパトロンの大富豪夫人（おまけに反共闘士の）ジョアン・ヘリング（ジュリア・ロバーツ）のツテによりパキスタン大統領に謁見。アフガンの戦士たち（＝ムジャーヒディーン）がソ連の重武装ヘリに対抗できる強力な武器を必要としていることを知る。幸い国防委員会の重職に就いていたチャーリーは、強引に予算をぶんどり、やり手のCIA局員（フィリップ・シーモア・ホフマン）の力を借りつつ信じられない方法で武器弾薬を調達し始める。</p>
<p>　その具体的な手腕はぜひみてビックリしてほしいところ。いい忘れたがチャーリー・ウィルソンは実在の人物で、（一応）実話という事になっている。とはいえ、国防丸秘に関わる事項を多数含むので、もとより裏は取りきれない話。「衝撃の事実」の信憑性は見る人任せ、といったところだ。</p>
<p>　個人的には、イラン・コントラ事件（同時代のレーガン政権による国際武器売買スキャンダル）を元にどこかの小説家が考えたような話だと感じたが、さらに突飛な展開だけに何ともいえない。</p>
<p>　なお大事な点として、当時の国際情勢をよく知らぬ人には、この映画の「いったいどこが凄い話なのか」さっぱりわからないであろうと伝えておきたい。</p>
<p>　パキスタン、エジプト、イスラエル、アフガニスタン、そしてもちろん米ソ両大国。これらの国々の関係、宗教による対立について知っておく事は、本作を堪能するための最低条件となる。どことどこが味方で、どことどこが仲が悪いのか。それが基礎知識としてない場合、チャーリー・ウィルソンのやったことが、いかにとんでもない事か理解できない。</p>
<p>　それ自体がブラックジョークというほかない状況のためか、作風も穏やかなコメディ調となっている。内容のわりには、ヘビーな政治映画という雰囲気はない。トム・ハンクス作品らしい人間ドラマとしても、なんとか楽しめなくはない。</p>
<p>　ここ最近の米国政治映画といえば、当然自己反省型の範疇から外れないという鉄則が発動中だが、本作が興味深いのは戦い自体は否定せず、そのやり方がまずかったんだよね、と語るところ。</p>
<p>　知ってのとおり、チャーリー・ウィルソンが支援した当時のムジャーヒディーンには若きオサマ・ビンラディンが参加していたといわれ、その後成長？した彼らは9.11テロ事件を起こした（とされる）。映画の中でCIAらが供与した世界最高性能の米国製携行型地対空ミサイル、スティンガーを彼らがぶっ放すシーンはこの上ない皮肉である。</p>
<p>　これについてこの映画は、「中途半端なトコでやめたからいけない。最後までコミットしないとだめだ」と主張する。これは、失敗したと言われるイラク戦争の戦後処理についてのほのめかしなのか。あるいは先日原油のドル決済を完全停止して、アメリカのアキレス腱をチクチク刺激し続けるイランとの次なる戦いについてなのか。</p>
<p>　いずれにせよ民主党支持で知られるトム・ハンクス（製作も兼ねる）とジュリア・ロバーツの主演映画でこういう主張が見られたのは面白い部分であった。</p>]]></content:encoded>
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		<title>スター・トレック</title>
		<link>http://www.cinemaonline.jp/dvd-ranking2009/refreshed2009/10386.html</link>
		<comments>http://www.cinemaonline.jp/dvd-ranking2009/refreshed2009/10386.html#comments</comments>
		<pubDate>Fri, 30 Oct 2009 10:33:15 +0000</pubDate>
		<dc:creator>映画ジャッジ</dc:creator>
				<category><![CDATA[スカッとしたい2009]]></category>

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		<description><![CDATA[◆数ある映画版の中でも屈指の傑作（85点） 　オバマ大統領の登場を機に、ハリウッド映画はネクラからネアカへと変化している。米国民のニーズがそうなっている、あるいは業界がそうした流行を作ろうとしているため、明るい企画が通りやすくなっているわけだが、中でも『スター・トレック』最新作はその典型例というべきエンタテイメント作品だ。 　英雄的な艦長を父に持つ若者カーク（クリス・パイン）は、進むべき道が決まらぬまま、無軌道な青春時代を送っていた。だが、新型艦USSエンタープライズのキャプテン直々の誘いにより、父と同じ惑星連邦艦隊に志願。熱い性格のカークとは正反対に冷静沈着なスポック（ザカリー・クイント）と反発しあいながらも、メキメキ頭角を現していく。 　66年に始まった初代シリーズ『宇宙大作戦』からおなじみのメンバーの、若き日々を描くSF青春ドラマ。その出会いから、いかにして堅い絆で結ばれていくかをテンポよく追いかける。冒頭に書いたとおり、グダグダと悩む姿ではなく、若者らしくストレートに突っ走る前向きな雰囲気が特長だ。 　冒頭は、カークの父親率いるUSSケルヴィン（エンタープライズ号より旧型なので、より軍艦ぽいデザインになっている）の壮絶な艦隊戦闘。この場面の「熱さ」といったらない。CG効果の優秀さを見せるのではなく、見ている側が「燃える」シークエンスの組み立て。 　スタートレックのような大宇宙を舞台にしたSFに、男たちが求めてやまない要素（しかし最近はとんと見られなくなった）がここにある。ぜひ、ご自身の目と耳で味わっていただきたい。 　登場人物が議論しながら作戦を遂行するシリーズの魅力もバッチリ。初心者でも混乱しない程度にSF的専門用語が飛び交う様子は、とても小気味よい。演じる若い役者たちの演技力も上々、大いに「キャラクターの魅力」を味わえる。また、だからこそ彼らが命がけで戦うアクションが「熱い」ものになっている。 　ストーリーは、Ｊ・Ｊ・エイブラムス監督自ら「パラレルワールドだよ」と語るとおり、過去作品の束縛を受けぬよう、巧妙に紡がれている。ようは「これからはこの設定で、ボクチンのすき放題に新生スタートレックシリーズを作らせていただきます。どうぞ、続編にもご家族総出でお越しください」ということだ。 　さすがは『クローバーフィールド／HAKAISHA』を大ヒットさせた監督。映画作りもうまけりゃ商売もうまい。ただ、今回の傑作ぶりを見るに、その構想の実現は待ち遠しい限り。 　本作の成功は、監督自身がそれほど熱心なファンでない代わりに、脚本チームに俗に言うトレッキー（熱烈なマニア）を採用し、徹底的に過去のシリーズをリサーチさせた点にあろう。そうしたやり方で、設定に致命的なミスが生じないよう気をつけた上で、あまりマニアックにしすぎぬよう、この「ビギニングストーリー」を組み立てた。 　結果的には、ファンを納得させられるクォリティを保ったまま、監督のバランス感覚により「初心者でも楽しめる」作品になった。 　『スター・トレック』は、シリーズファンのみならず、宇宙を舞台にした娯楽映画を見たい人すべてにすすめられる。圧倒的な迫力の戦闘シーンに熱い男の友情ドラマ。ほかの国じゃ絶対に作れない、堂々たる横綱相撲というべき一本である。]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p class="score-refreshed">◆数ある映画版の中でも屈指の傑作（85点）
<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B001P3PP0G/judgepickup-22/"><img src="http://images-jp.amazon.com/images/P/B001P3PP0G.09.MZZZZZZZ.jpg" alt="スカッとしたい2009" class="img-left" /></a>
<p>　オバマ大統領の登場を機に、ハリウッド映画はネクラからネアカへと変化している。米国民のニーズがそうなっている、あるいは業界がそうした流行を作ろうとしているため、明るい企画が通りやすくなっているわけだが、中でも『スター・トレック』最新作はその典型例というべきエンタテイメント作品だ。</p>
<span id="more-10386"></span>
<p>　英雄的な艦長を父に持つ若者カーク（クリス・パイン）は、進むべき道が決まらぬまま、無軌道な青春時代を送っていた。だが、新型艦USSエンタープライズのキャプテン直々の誘いにより、父と同じ惑星連邦艦隊に志願。熱い性格のカークとは正反対に冷静沈着なスポック（ザカリー・クイント）と反発しあいながらも、メキメキ頭角を現していく。</p>
<p>　66年に始まった初代シリーズ『宇宙大作戦』からおなじみのメンバーの、若き日々を描くSF青春ドラマ。その出会いから、いかにして堅い絆で結ばれていくかをテンポよく追いかける。冒頭に書いたとおり、グダグダと悩む姿ではなく、若者らしくストレートに突っ走る前向きな雰囲気が特長だ。</p>
<p>　冒頭は、カークの父親率いるUSSケルヴィン（エンタープライズ号より旧型なので、より軍艦ぽいデザインになっている）の壮絶な艦隊戦闘。この場面の「熱さ」といったらない。CG効果の優秀さを見せるのではなく、見ている側が「燃える」シークエンスの組み立て。</p>
<p>　スタートレックのような大宇宙を舞台にしたSFに、男たちが求めてやまない要素（しかし最近はとんと見られなくなった）がここにある。ぜひ、ご自身の目と耳で味わっていただきたい。</p>
<p>　登場人物が議論しながら作戦を遂行するシリーズの魅力もバッチリ。初心者でも混乱しない程度にSF的専門用語が飛び交う様子は、とても小気味よい。演じる若い役者たちの演技力も上々、大いに「キャラクターの魅力」を味わえる。また、だからこそ彼らが命がけで戦うアクションが「熱い」ものになっている。</p>
<p>　ストーリーは、Ｊ・Ｊ・エイブラムス監督自ら「パラレルワールドだよ」と語るとおり、過去作品の束縛を受けぬよう、巧妙に紡がれている。ようは「これからはこの設定で、ボクチンのすき放題に新生スタートレックシリーズを作らせていただきます。どうぞ、続編にもご家族総出でお越しください」ということだ。</p>
<p>　さすがは『クローバーフィールド／HAKAISHA』を大ヒットさせた監督。映画作りもうまけりゃ商売もうまい。ただ、今回の傑作ぶりを見るに、その構想の実現は待ち遠しい限り。</p>
<p>　本作の成功は、監督自身がそれほど熱心なファンでない代わりに、脚本チームに俗に言うトレッキー（熱烈なマニア）を採用し、徹底的に過去のシリーズをリサーチさせた点にあろう。そうしたやり方で、設定に致命的なミスが生じないよう気をつけた上で、あまりマニアックにしすぎぬよう、この「ビギニングストーリー」を組み立てた。</p>
<p>　結果的には、ファンを納得させられるクォリティを保ったまま、監督のバランス感覚により「初心者でも楽しめる」作品になった。</p>
<p>　『スター・トレック』は、シリーズファンのみならず、宇宙を舞台にした娯楽映画を見たい人すべてにすすめられる。圧倒的な迫力の戦闘シーンに熱い男の友情ドラマ。ほかの国じゃ絶対に作れない、堂々たる横綱相撲というべき一本である。</p>]]></content:encoded>
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		</item>
		<item>
		<title>ゲット スマート</title>
		<link>http://www.cinemaonline.jp/dvd-ranking2009/refreshed2009/10385.html</link>
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		<pubDate>Fri, 30 Oct 2009 10:31:25 +0000</pubDate>
		<dc:creator>映画ジャッジ</dc:creator>
				<category><![CDATA[スカッとしたい2009]]></category>

		<guid isPermaLink="false">http://www.cinemaonline.jp/?p=10385</guid>
		<description><![CDATA[◆80億円以上の予算をかけたコメディ（95点） 　アメリカではコメディジャンルが人気があると、ここでは何度も書いている。人気があるということは、そのぶん金をかけられるということ。だからあの国では、『ゲット スマート』のようなお笑い映画一本に、なんと80億円以上もつぎ込むという無茶な現象がよく見受けられる。 　極秘諜報機関&#34;コントロール&#34;の情報分析官マックス（スティーヴ・カレル）は、優れた分析能力があだとなり、長年の夢である現場の諜報員になれずにいた。ところが本部が犯罪組織&#34;カオス&#34;に襲撃され、全諜報員の顔と名がバレてしまう。そこで身元を知られていないマックスが急遽昇格となり、偶然整形手術直後だったベテラン女エージェント99（アン・ハサウェイ）と組み、カオスに対峙することになった。 　大人気だった『007』のパロディとして60年代に作られたテレビシリーズ『それ行けスマート』の映画化。私もオリジナルは見たことがないが、ベテラン評論家のセンセイによると、当時の小ネタがちりばめられ、大変面白かったということだ。キャストはもちろん一新されたが、当時を知る年代の人も、懐かしい思いを味わえるのではないだろうか。 　もっとも監督のピーター・シーガルも40代で、おそらく本放送を見た世代ではないと思うが、その分、40歳の童貞男ことスティーヴ・カレルの個性を生かした、現代的なセンスあふれるコメディに仕上げてある。 　米国では最近、行き過ぎたおバカコメディは流行らないので、本作もドラマ部分、キャラクター、そしてアクションについては、おふざけ控えめのリアリズム志向となっている。 　この&#34;普通の映画&#34;としてのベースがあるおかげで、英語を解さぬ日本人が見ても十二分に楽しめる。そんなわけで私は最近の米国コメディを、これまで敬遠してきた日本人にも積極的にオススメしている。 　ドタバタコントのごとき笑いに、政治を軽くからかうジョーク系も織り交ぜる。なんといっても予算80億円。下ネタひとつにしても、きっと何度も徹夜の会議を繰り返し、練りに練られた選りすぐりなのだ。面白くないわけがないではないか。これぞまさに、ギャグのロールスロイスというほかない。 　もちろんその合間には、スパイ映画らしく（やはり80億円にモノをいわせた）超絶スペクタクルが挟み込まれ、退屈する暇なし。その迫力ときたら、本職のアクション映画も顔負け。ザ・ロック改めドウェイン・ジョンソン（『スコーピオン・キング』（2002））が脇役にまわる豪華な布陣で、贅沢な見せ場がいくつも見られる。 　アメリカは、ことこの手の映画に関しては、他国の追随を許さない完成度を見せ付けてくれる。洋画の興行が不振というが、これほど凄い作品をすいてる映画館で見られるとは、なんと幸せなことよ。 　もし今、私が誰かにデート用の映画を問われたら、真っ先にこれを挙げる。思い切り笑って、二人の距離を縮めてくれるに違いない傑作である。]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p class="score-refreshed">◆80億円以上の予算をかけたコメディ（95点）
<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B002BS034C/judgepickup-22/"><img src="http://images-jp.amazon.com/images/P/B002BS034C.09.MZZZZZZZ.jpg" alt="スカッとしたい2009" class="img-left" /></a>
<p>　アメリカではコメディジャンルが人気があると、ここでは何度も書いている。人気があるということは、そのぶん金をかけられるということ。だからあの国では、『ゲット スマート』のようなお笑い映画一本に、なんと80億円以上もつぎ込むという無茶な現象がよく見受けられる。</p>
<span id="more-10385"></span>
<p>　極秘諜報機関&quot;コントロール&quot;の情報分析官マックス（スティーヴ・カレル）は、優れた分析能力があだとなり、長年の夢である現場の諜報員になれずにいた。ところが本部が犯罪組織&quot;カオス&quot;に襲撃され、全諜報員の顔と名がバレてしまう。そこで身元を知られていないマックスが急遽昇格となり、偶然整形手術直後だったベテラン女エージェント99（アン・ハサウェイ）と組み、カオスに対峙することになった。</p>
<p>　大人気だった『007』のパロディとして60年代に作られたテレビシリーズ『それ行けスマート』の映画化。私もオリジナルは見たことがないが、ベテラン評論家のセンセイによると、当時の小ネタがちりばめられ、大変面白かったということだ。キャストはもちろん一新されたが、当時を知る年代の人も、懐かしい思いを味わえるのではないだろうか。</p>
<p>　もっとも監督のピーター・シーガルも40代で、おそらく本放送を見た世代ではないと思うが、その分、40歳の童貞男ことスティーヴ・カレルの個性を生かした、現代的なセンスあふれるコメディに仕上げてある。</p>
<p>　米国では最近、行き過ぎたおバカコメディは流行らないので、本作もドラマ部分、キャラクター、そしてアクションについては、おふざけ控えめのリアリズム志向となっている。</p>
<p>　この&quot;普通の映画&quot;としてのベースがあるおかげで、英語を解さぬ日本人が見ても十二分に楽しめる。そんなわけで私は最近の米国コメディを、これまで敬遠してきた日本人にも積極的にオススメしている。</p>
<p>　ドタバタコントのごとき笑いに、政治を軽くからかうジョーク系も織り交ぜる。なんといっても予算80億円。下ネタひとつにしても、きっと何度も徹夜の会議を繰り返し、練りに練られた選りすぐりなのだ。面白くないわけがないではないか。これぞまさに、ギャグのロールスロイスというほかない。</p>
<p>　もちろんその合間には、スパイ映画らしく（やはり80億円にモノをいわせた）超絶スペクタクルが挟み込まれ、退屈する暇なし。その迫力ときたら、本職のアクション映画も顔負け。ザ・ロック改めドウェイン・ジョンソン（『スコーピオン・キング』（2002））が脇役にまわる豪華な布陣で、贅沢な見せ場がいくつも見られる。</p>
<p>　アメリカは、ことこの手の映画に関しては、他国の追随を許さない完成度を見せ付けてくれる。洋画の興行が不振というが、これほど凄い作品をすいてる映画館で見られるとは、なんと幸せなことよ。</p>
<p>　もし今、私が誰かにデート用の映画を問われたら、真っ先にこれを挙げる。思い切り笑って、二人の距離を縮めてくれるに違いない傑作である。</p>]]></content:encoded>
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		<title>ダイ・ハード4.0</title>
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		<pubDate>Fri, 30 Oct 2009 10:27:46 +0000</pubDate>
		<dc:creator>映画ジャッジ</dc:creator>
				<category><![CDATA[スカッとしたい2009]]></category>

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		<description><![CDATA[◆CGの進化によるアクションシーンの迫力の違いが歴然（90点） 　30代くらいの人に聞くと、ダイハード第一作目こそアクション映画の最高傑作と推す人が多い。ブルース・ウィリスの出世作となったあの88年の傑作には、確かに文句の付け所がない。今見たら私も100点を献上するだろう。 　だが、この4作目も相当なものだ。コンセプトが違うので単純に比較はできないが、期待すべき点を誤らなければこれだけ面白い映画はそうない。 　久々に会う愛娘ルーシー（メアリー・エリザベス・ウィンステッド）に冷たくあしらわれたジョン・マクレーン刑事（ブルース・ウィリス）は、本部から近所に住む若いハッカーのマット（ジャスティン・ロング）を連行せよとの指令を受ける。つまらぬ任務に乗り気ゼロで向かったマクレーンだったが、マットの部屋に入ったとたん何者かによる激しい銃撃を受ける。 　このコンピューターオタクの若者と、ローテクオヤジのマクレーンによるバディムービー。どえらいアクションでハラハラさせたあとには、二人の世代＆趣味のギャップによる会話で軽妙に笑わせて観客に一息つかせ、次のアクションに備えてもらうという展開。この繰り返しとなる。 　体感的には、8割くらいがアクションシーンじゃないかというような映画。たとえばパート1は、アクションそのものよりも、「ビル内で孤軍奮闘する刑事」という、設定が生み出すサスペンスにくわえ、外部から無線の声だけで支援する黒人刑事と主人公の友情など、男の観客を熱くさせる要素が魅力であった。 　しかし、このパート4に私たちが期待すべきは、ただただアクション、それひとつだ。前作から12年を経た最新作として、その間の映画界最大の進歩であるCGをふんだんに盛り込んだこのコンセプトは、絶対的に正しい。2作目と3作目が凡作に終わり「このキャラクターで1作目以上の脚本は生まれ得ぬのだ」とファンらが思い知ったあとだけに、むしろ素直に楽しめるという面もある。 　どの見せ場も現代のアメリカ映画として最上級の出来栄えだが、とくにトンネル内で車が宙に舞いまくるクラッシュシーンなどは、大画面でみたら背筋が凍る大迫力。ハリウッドの超大作を普段あまり見ない人がもしこれを見たら、仰天して椅子から転げ落ちることになろう。 　おそらく映画初となる最新鋭戦闘機F-35があっと驚くような形で登場するスケールの大きさも楽しい。しかも、そうした豪華な場面を決して引っ張らず、「もうちょっと見たいよ」というあたりで次に移っていくさじ加減も完璧。お金の無い人には、決してこういうことはできない。 　しかも、そのハイテンポで上映時間が129分間もあるのだから、いかに大量にスペクタクルを詰め込んであるかが想像できよう。 　こんな物凄い映画を作れるのはこの地球上でハリウッド以外に無いし、ハリウッドにもほとんどいまい。脚本だとかはもう、どうでもよくなるくらいに凄い。 　その脚本だが、テンポ最重視の割り切りぶりがなんとも笑える。たとえば主人公が「どこそこ州へ移動しよう」というと、即座にヘリの離陸ショットが写り、その次のカットではもう目的地についている。その間わずか3秒、ほとんど笑いを誘っているとしか思えない。 　全米のあらゆる機能を停止させ大パニックを起こす悪役のリーダーに、たいした個性がないというのもいかにも現代の映画らしくていい。いまどきの犯罪映画で、葉巻を吹かす顔が影になったカリスマ的な悪役が出てきたら、マンガになってしまう。アルカイダのようなテロリストだって、まるで草の根市民運動のように、各自ゆるやかな連帯で戦う時代なのだから。 　その代わり、驚異的な身体能力でマクレーンを翻弄するシリル・ラファエリ（「アルティメット」）や、セクシーな格闘家のマギー・Ｑ（「Ｍ：ｉ：ＩＩＩ」）といった、個性的な中ボスたちが派手に動き回って楽しませてくれる。 　主演のブルース・ウィリスも相変わらず渋い。コンピューターだのハイテクなんぞ屁とも思わず、ただただ持ち前のしぶとさだけで犯人グループに食いついていく。人間、とにかくしぶとくねばってさえいれば何とかなる。個人的にも大いに賛同したい主張である。 　『ダイ・ハード4.0』は、年に1本あるかないかのお祭り的な超大作。しかも、実際の街を舞台にしたリアルな現代劇の中で、とんでもない大アクションを見せてくれる。最近少ないこの手の映画に飢えていた人にとっては、たまらない一本となるだろう。]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p class="score-refreshed">◆CGの進化によるアクションシーンの迫力の違いが歴然（90点）
<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B001EI5LVK/judgepickup-22/"><img src="http://images-jp.amazon.com/images/P/B001EI5LVK.09.MZZZZZZZ.jpg" alt="スカッとしたい2009" class="img-left" /></a>
<p>　30代くらいの人に聞くと、ダイハード第一作目こそアクション映画の最高傑作と推す人が多い。ブルース・ウィリスの出世作となったあの88年の傑作には、確かに文句の付け所がない。今見たら私も100点を献上するだろう。</p>
<span id="more-10387"></span>
<p>　だが、この4作目も相当なものだ。コンセプトが違うので単純に比較はできないが、期待すべき点を誤らなければこれだけ面白い映画はそうない。</p>
<p>　久々に会う愛娘ルーシー（メアリー・エリザベス・ウィンステッド）に冷たくあしらわれたジョン・マクレーン刑事（ブルース・ウィリス）は、本部から近所に住む若いハッカーのマット（ジャスティン・ロング）を連行せよとの指令を受ける。つまらぬ任務に乗り気ゼロで向かったマクレーンだったが、マットの部屋に入ったとたん何者かによる激しい銃撃を受ける。</p>
<p>　このコンピューターオタクの若者と、ローテクオヤジのマクレーンによるバディムービー。どえらいアクションでハラハラさせたあとには、二人の世代＆趣味のギャップによる会話で軽妙に笑わせて観客に一息つかせ、次のアクションに備えてもらうという展開。この繰り返しとなる。</p>
<p>　体感的には、8割くらいがアクションシーンじゃないかというような映画。たとえばパート1は、アクションそのものよりも、「ビル内で孤軍奮闘する刑事」という、設定が生み出すサスペンスにくわえ、外部から無線の声だけで支援する黒人刑事と主人公の友情など、男の観客を熱くさせる要素が魅力であった。</p>
<p>　しかし、このパート4に私たちが期待すべきは、ただただアクション、それひとつだ。前作から12年を経た最新作として、その間の映画界最大の進歩であるCGをふんだんに盛り込んだこのコンセプトは、絶対的に正しい。2作目と3作目が凡作に終わり「このキャラクターで1作目以上の脚本は生まれ得ぬのだ」とファンらが思い知ったあとだけに、むしろ素直に楽しめるという面もある。</p>
<p>　どの見せ場も現代のアメリカ映画として最上級の出来栄えだが、とくにトンネル内で車が宙に舞いまくるクラッシュシーンなどは、大画面でみたら背筋が凍る大迫力。ハリウッドの超大作を普段あまり見ない人がもしこれを見たら、仰天して椅子から転げ落ちることになろう。</p>
<p>　おそらく映画初となる最新鋭戦闘機F-35があっと驚くような形で登場するスケールの大きさも楽しい。しかも、そうした豪華な場面を決して引っ張らず、「もうちょっと見たいよ」というあたりで次に移っていくさじ加減も完璧。お金の無い人には、決してこういうことはできない。</p>
<p>　しかも、そのハイテンポで上映時間が129分間もあるのだから、いかに大量にスペクタクルを詰め込んであるかが想像できよう。</p>
<p>　こんな物凄い映画を作れるのはこの地球上でハリウッド以外に無いし、ハリウッドにもほとんどいまい。脚本だとかはもう、どうでもよくなるくらいに凄い。</p>
<p>　その脚本だが、テンポ最重視の割り切りぶりがなんとも笑える。たとえば主人公が「どこそこ州へ移動しよう」というと、即座にヘリの離陸ショットが写り、その次のカットではもう目的地についている。その間わずか3秒、ほとんど笑いを誘っているとしか思えない。</p>
<p>　全米のあらゆる機能を停止させ大パニックを起こす悪役のリーダーに、たいした個性がないというのもいかにも現代の映画らしくていい。いまどきの犯罪映画で、葉巻を吹かす顔が影になったカリスマ的な悪役が出てきたら、マンガになってしまう。アルカイダのようなテロリストだって、まるで草の根市民運動のように、各自ゆるやかな連帯で戦う時代なのだから。</p>
<p>　その代わり、驚異的な身体能力でマクレーンを翻弄するシリル・ラファエリ（「アルティメット」）や、セクシーな格闘家のマギー・Ｑ（「Ｍ：ｉ：ＩＩＩ」）といった、個性的な中ボスたちが派手に動き回って楽しませてくれる。</p>
<p>　主演のブルース・ウィリスも相変わらず渋い。コンピューターだのハイテクなんぞ屁とも思わず、ただただ持ち前のしぶとさだけで犯人グループに食いついていく。人間、とにかくしぶとくねばってさえいれば何とかなる。個人的にも大いに賛同したい主張である。</p>
<p>　『ダイ・ハード4.0』は、年に1本あるかないかのお祭り的な超大作。しかも、実際の街を舞台にしたリアルな現代劇の中で、とんでもない大アクションを見せてくれる。最近少ないこの手の映画に飢えていた人にとっては、たまらない一本となるだろう。</p>]]></content:encoded>
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		<title>バンテージ・ポイント</title>
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		<pubDate>Fri, 30 Oct 2009 10:27:35 +0000</pubDate>
		<dc:creator>映画ジャッジ</dc:creator>
				<category><![CDATA[スカッとしたい2009]]></category>

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		<description><![CDATA[◆凝った構成と完璧な脚本の政治サスペンス（95点） 　冒頭、いきなりアメリカ大統領がスペインの大群衆の前で狙撃される。ほぼ同時に大爆発も起こり、集まった人々はパニックに。全力ダッシュで始まり、ペースを落とすことなくそのまま90分間駆け抜ける、大興奮サスペンスアクションの登場だ。 　テロ撲滅の国際サミットのため訪れたスペインのサラマンカの広場で、米大統領が何者かに狙撃される。大混乱の中、ベテランシークレットサービス（デニス・クエイド）は居合わせた観光客（フォレスト・ウィッテカー）のビデオカメラやテレビ局の中継車をチェック、そこに驚愕の真実が写っていることに気づき、追跡を開始する。 　これぞまさに映画、凝りに凝った構成だ。 　大統領暗殺にいたるまでのシークエンスは、捜査官や観光客、犯人など8人の視点で8回繰りかえされる。そのつど時間は巻き戻され、少しずつ新たな事実が明らかにされ、観客は真相に近づいていく。 　それぞれのパートはかならずクリフハンガー（先が気になる、一番いいところで終わってしまう形）で区切られる。そのため、観客はあたかもクライマックスが連続しているような感覚に陥る。 　ひとつの事柄が、見る角度により別のものに見えてくる。ある事実を知った後には、同じ出来事がより大きな意味を持っていたことに気づく。まったく無関係と思われる登場人物たちは、そのじつそれぞれが確固たる存在理由を持って配置されており、すべてが明らかになる最後の瞬間には、大きな感動と満足感が訪れる形になっている。 　まさに神の采配、よくできた脚本だ。私は終わった後、思い出せる限りの細部を検証したが、憎らしいほど整合性が取れており、アラを見つけることはできなかった。 　また、政治映画として特筆すべきは、現在アメリカが遂行中の対テロ戦争の正体が、&#34;基軸通貨としてのドル防衛戦争&#34;であることを何気なく伝えている点（デモ群集のプラカードに注目）。同時にアメリカの大統領についても、決して最高権力者ではなく、ある種の傀儡であると、当の大統領の口を借りて名言している。 　かつてのタブーが、この手の娯楽サスペンスでここまで普通に語られるということは、アメリカの国民の間にそうした常識、共通認識が生まれつつあるということで、とても興味深い。 　こうなると、今年中にもアメリカが起こすと噂される対イラン戦争は、これまでのような明白な茶番劇にはなるまい。さすがのお気楽アメリカ人も、もう簡単には騙されないだろうから、より複雑なシナリオが構想されているはずだ。米軍自ら手を下すという形も、今後は取らないかもしれない。 　話は戻って『バンテージ・ポイント』だが、&#34;ひとつの物事を多視点で繰り返すサスペンス&#34;というのは、黒澤明監督の『羅生門』（50年、日）にヒントを得ている。最近、日本ではクロサワ映画のリメイクが話題になっているが、本来古典とはこのような形で蘇らせてこそ、ではないだろうか。リメイクばかりで進歩がないといわれる現在のアメリカ映画界でさえ、こうした形でちゃんと過去の文化遺産を発展させた凄い作品を出してくる。大いに見習うべきではないか。]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p class="score-refreshed">◆凝った構成と完璧な脚本の政治サスペンス（95点）
<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B002PJ5QR6/judgepickup-22/"><img src="http://images-jp.amazon.com/images/P/B002PJ5QR6.09.MZZZZZZZ.jpg" alt="スカッとしたい2009" class="img-left" /></a>
<p>　冒頭、いきなりアメリカ大統領がスペインの大群衆の前で狙撃される。ほぼ同時に大爆発も起こり、集まった人々はパニックに。全力ダッシュで始まり、ペースを落とすことなくそのまま90分間駆け抜ける、大興奮サスペンスアクションの登場だ。</p>
<span id="more-10383"></span>
<p>　テロ撲滅の国際サミットのため訪れたスペインのサラマンカの広場で、米大統領が何者かに狙撃される。大混乱の中、ベテランシークレットサービス（デニス・クエイド）は居合わせた観光客（フォレスト・ウィッテカー）のビデオカメラやテレビ局の中継車をチェック、そこに驚愕の真実が写っていることに気づき、追跡を開始する。</p>
<p>　これぞまさに映画、凝りに凝った構成だ。</p>
<p>　大統領暗殺にいたるまでのシークエンスは、捜査官や観光客、犯人など8人の視点で8回繰りかえされる。そのつど時間は巻き戻され、少しずつ新たな事実が明らかにされ、観客は真相に近づいていく。</p>
<p>　それぞれのパートはかならずクリフハンガー（先が気になる、一番いいところで終わってしまう形）で区切られる。そのため、観客はあたかもクライマックスが連続しているような感覚に陥る。</p>
<p>　ひとつの事柄が、見る角度により別のものに見えてくる。ある事実を知った後には、同じ出来事がより大きな意味を持っていたことに気づく。まったく無関係と思われる登場人物たちは、そのじつそれぞれが確固たる存在理由を持って配置されており、すべてが明らかになる最後の瞬間には、大きな感動と満足感が訪れる形になっている。</p>
<p>　まさに神の采配、よくできた脚本だ。私は終わった後、思い出せる限りの細部を検証したが、憎らしいほど整合性が取れており、アラを見つけることはできなかった。</p>
<p>　また、政治映画として特筆すべきは、現在アメリカが遂行中の対テロ戦争の正体が、&quot;基軸通貨としてのドル防衛戦争&quot;であることを何気なく伝えている点（デモ群集のプラカードに注目）。同時にアメリカの大統領についても、決して最高権力者ではなく、ある種の傀儡であると、当の大統領の口を借りて名言している。</p>
<p>　かつてのタブーが、この手の娯楽サスペンスでここまで普通に語られるということは、アメリカの国民の間にそうした常識、共通認識が生まれつつあるということで、とても興味深い。</p>
<p>　こうなると、今年中にもアメリカが起こすと噂される対イラン戦争は、これまでのような明白な茶番劇にはなるまい。さすがのお気楽アメリカ人も、もう簡単には騙されないだろうから、より複雑なシナリオが構想されているはずだ。米軍自ら手を下すという形も、今後は取らないかもしれない。</p>
<p>　話は戻って『バンテージ・ポイント』だが、&quot;ひとつの物事を多視点で繰り返すサスペンス&quot;というのは、黒澤明監督の『羅生門』（50年、日）にヒントを得ている。最近、日本ではクロサワ映画のリメイクが話題になっているが、本来古典とはこのような形で蘇らせてこそ、ではないだろうか。リメイクばかりで進歩がないといわれる現在のアメリカ映画界でさえ、こうした形でちゃんと過去の文化遺産を発展させた凄い作品を出してくる。大いに見習うべきではないか。</p>]]></content:encoded>
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		</item>
		<item>
		<title>トゥモロー・ワールド</title>
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		<pubDate>Fri, 30 Oct 2009 10:26:55 +0000</pubDate>
		<dc:creator>映画ジャッジ</dc:creator>
				<category><![CDATA[スカッとしたい2009]]></category>

		<guid isPermaLink="false">http://www.cinemaonline.jp/?p=10382</guid>
		<description><![CDATA[◆8分間ワンカット、映画史に残る衝撃の映像体験（90点） 　環境ホルモンや電磁波の影響と思われる若い男性の精子の減少、女性の社会進出による晩婚化、そして格差社会による低所得者層の増加に伴い、少子化が叫ばれて久しい。しかしながらこの『トゥモロー・ワールド』の世界は、少子化を飛び越えて&#34;無子化&#34;になってしまった近未来だ。 　舞台となるのは西暦2027年。この時代の人類最年少はなんと18歳。つまり18年間、新生児は誕生していない。原因は不明で、希望を失った世界には内戦やテロが頻発し、国家はことごとく壊滅状態に。ほぼ唯一、強力な軍隊で国境を守る英国だけが、ぎりぎりの秩序を保っている状況だ。 　さて、主人公の官僚（クライヴ・オーウェン）は、かつて共に学生運動を戦った元妻（ジュリアン・ムーア）率いる反政府組織に拉致される。聞くと、彼女らが保護する移民集団のひとり、ある黒人女性が妊娠しているという。 　組織はこの母子を、ヒューマン・プロジェクトなる組織に引き渡すべく、政府の通行証を持つ彼に協力を求めたのだ。彼らにとって周りすべてが敵である今、最後の希望はその、存在自体もあやふやな人権団体しかなかった。主人公は果たして、人類最後の子供を守りきることができるのか。 　この作品は、ストーリー自体に面白みはないものの、映像技術に関しては最高峰といって良い、いや、「わが目を疑う」と言いたくなるほどの体験を与えてくれる一本だ。 　『ハリーポッターとアズカバンの囚人』で、ハーマイオニーのゴージャスアイドル映画を作り上げたアルフォンソ・キュアロン監督の新作というと、なんだ子供向けなSF映画かと思ってしまうかも知れないが、まったくそんなことはない。むしろこの『トゥモロー・ワールド』は、完全に大人専用の、すこぶる完成度の高い映像作品だ。 　最大の見所としては、なんと言ってもクライマックスに用意された戦闘シーンがあげられる。なんと8分間、一回もカットせず、戦場を逃げ回る主人公を手持ちカメラで追いつづけるこの恐るべき演出は、今後あらゆる映画の戦争シーンについて、『トゥモロー・ワールド前、トゥモロー・ワールド後』と分けられてしまうのではと思うほどに凄まじい。 　CGで様々な事ができる現代とはいえ、この8分間には、いったいどうやって撮影したんだろうと心から驚かされる。この8分間を見るだけでも、1800円の入場料金は安すぎる。私はこの場面を作り上げたスタッフとキャストに敬意を表し、この点数を差し上げたい。 　この場面の直後には、そこまで一切のカタルシス、希望を排除されていた灰色の世界が、初めて揺らぐ強烈な感動が待っている。小さい子供がいる方や、出産経験のある女性が見たら、より大きな感動を得られるに違いない。 　原作は、イギリスの有名な女流ミステリ作家のP・D・ジェイムズ『人類の子供たち』。私はこの作家（あるいは担当翻訳者の少々くどい日本語文章？）がどうも苦手で、この原作も読んではいないが、本作ばかりは映画というジャンルの持つパワーの凄さを、原作マニアも味わえるのではないだろうか。 　今週は色々と忙しく、更新が大幅に遅れてしまったが、その間私がずっとこのサイトの読者に伝えたかったのはほかでもない、この映画についてだ。大きな劇場でやっている、公開直後の早いうちに、私はもう一度本作を&#34;体験&#34;したいと強く思っている。]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p class="score-refreshed">◆8分間ワンカット、映画史に残る衝撃の映像体験（90点）
<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B000KIX9BO/judgepickup-22/"><img src="http://images-jp.amazon.com/images/P/B000KIX9BO.09.MZZZZZZZ.jpg" alt="スカッとしたい2009" class="img-left" /></a>
<p>　環境ホルモンや電磁波の影響と思われる若い男性の精子の減少、女性の社会進出による晩婚化、そして格差社会による低所得者層の増加に伴い、少子化が叫ばれて久しい。しかしながらこの『トゥモロー・ワールド』の世界は、少子化を飛び越えて&quot;無子化&quot;になってしまった近未来だ。</p>
<span id="more-10382"></span>
<p>　舞台となるのは西暦2027年。この時代の人類最年少はなんと18歳。つまり18年間、新生児は誕生していない。原因は不明で、希望を失った世界には内戦やテロが頻発し、国家はことごとく壊滅状態に。ほぼ唯一、強力な軍隊で国境を守る英国だけが、ぎりぎりの秩序を保っている状況だ。</p>
<p>　さて、主人公の官僚（クライヴ・オーウェン）は、かつて共に学生運動を戦った元妻（ジュリアン・ムーア）率いる反政府組織に拉致される。聞くと、彼女らが保護する移民集団のひとり、ある黒人女性が妊娠しているという。</p>
<p>　組織はこの母子を、ヒューマン・プロジェクトなる組織に引き渡すべく、政府の通行証を持つ彼に協力を求めたのだ。彼らにとって周りすべてが敵である今、最後の希望はその、存在自体もあやふやな人権団体しかなかった。主人公は果たして、人類最後の子供を守りきることができるのか。</p>
<p>　この作品は、ストーリー自体に面白みはないものの、映像技術に関しては最高峰といって良い、いや、「わが目を疑う」と言いたくなるほどの体験を与えてくれる一本だ。</p>
<p>　『ハリーポッターとアズカバンの囚人』で、ハーマイオニーのゴージャスアイドル映画を作り上げたアルフォンソ・キュアロン監督の新作というと、なんだ子供向けなSF映画かと思ってしまうかも知れないが、まったくそんなことはない。むしろこの『トゥモロー・ワールド』は、完全に大人専用の、すこぶる完成度の高い映像作品だ。</p>
<p>　最大の見所としては、なんと言ってもクライマックスに用意された戦闘シーンがあげられる。なんと8分間、一回もカットせず、戦場を逃げ回る主人公を手持ちカメラで追いつづけるこの恐るべき演出は、今後あらゆる映画の戦争シーンについて、『トゥモロー・ワールド前、トゥモロー・ワールド後』と分けられてしまうのではと思うほどに凄まじい。</p>
<p>　CGで様々な事ができる現代とはいえ、この8分間には、いったいどうやって撮影したんだろうと心から驚かされる。この8分間を見るだけでも、1800円の入場料金は安すぎる。私はこの場面を作り上げたスタッフとキャストに敬意を表し、この点数を差し上げたい。</p>
<p>　この場面の直後には、そこまで一切のカタルシス、希望を排除されていた灰色の世界が、初めて揺らぐ強烈な感動が待っている。小さい子供がいる方や、出産経験のある女性が見たら、より大きな感動を得られるに違いない。</p>
<p>　原作は、イギリスの有名な女流ミステリ作家のP・D・ジェイムズ『人類の子供たち』。私はこの作家（あるいは担当翻訳者の少々くどい日本語文章？）がどうも苦手で、この原作も読んではいないが、本作ばかりは映画というジャンルの持つパワーの凄さを、原作マニアも味わえるのではないだろうか。</p>
<p>　今週は色々と忙しく、更新が大幅に遅れてしまったが、その間私がずっとこのサイトの読者に伝えたかったのはほかでもない、この映画についてだ。大きな劇場でやっている、公開直後の早いうちに、私はもう一度本作を&quot;体験&quot;したいと強く思っている。</p>]]></content:encoded>
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		<title>ハンコック</title>
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		<pubDate>Fri, 30 Oct 2009 10:25:39 +0000</pubDate>
		<dc:creator>映画ジャッジ</dc:creator>
				<category><![CDATA[スカッとしたい2009]]></category>

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		<description><![CDATA[◆ウィル・スミスが嫌われ者ヒーローを演じるトンデモ作（85点） 　ウィル・スミスは暑い男だ。暑いというのは、彼が圧倒的に夏に強いという意味で、その出演作は7月初旬の独立記念日シーズン（米国でもっとも映画興行が盛り上がる季節）の歴代ベストテンに4本も入っている。そのひとつとなったこの『ハンコック』は、彼の主演作としては8本連続初登場1位という華々しい記録も奪取した。 　まさにハリウッドのイチロー。いまアメリカでもっとも打率が高く、映画業界から絶対の信頼を置かれているのは間違いなくこのウィル・スミスといえる。 　弾丸を跳ね返す体で空を自由に飛びまわり、車を簡単に投げ飛ばす怪力を持つハンコック（ウィル・スミス）。だが、チンケな悪党ひとり捕まえるのに町中破壊するその釣り合いの取れぬ行動に、市民やマスコミの人気は最低。現れると子供にまで中指をおっ立てられ、帰れ帰れとブーイングされる始末。すっかりひねくれてしまったハンコックは酒におぼれ、酩酊してさらに町を破壊する悪循環。そんな彼があるとき救助したのは、広告代理店のPRマン（ジェイソン・ベイトマン）。彼は命を救われたお礼に、ハンコックを人々から好かれるヒーローにしてやると、そのイメージチェンジを手伝うことに。 　ハンコックはよくあるアメコミ映画ではなく、映画専用の脚本によるオリジナルストーリーだ。そこが最大のポイントで、この作品は相当色濃く現代の世相を表している。 　ハンコックは地球唯一のスーパーパワーを持ちながら、いまや世界随一の嫌われ者となったアメリカ合衆国そのもの。それがある者（ヒーローではない一般市民）の助けを受け、世界中から好かれる真のヒーローに生まれ変わる。その過程で何がおき、ハンコックはどんな行動をとるのか。これがなんとも思わせぶりで、大いにうならされた。 　この一見能天気な、中身うすっぺらなヒーローアクションに、なぜかハリウッド映画として最大級の巨額予算が投じられ、全世界に輸出される。地球のあちこちであらゆる宗教を信じる若者がこれを見て、その思想に大小様々な影響を与えられる事を想像してみてほしい。 　この映画の後半の展開（ここはネタバレ厳禁）について、多くの批評家が非難している。当然だ。どう考えてもとってつけたような急変だし、決して作品を面白くしているとは思えない。なんだこれ？　と、明らかに違和感が残る形になっている。 　……が、この作品が今後の世界情勢を投影したものだと大胆に仮定するならば、これはきわめて重大な問題提起だ。私も当初この部分だけがよくわからなかったのだが、8月8日に北京五輪を嘲笑するように始まったグルジアとロシアの戦争を見て、ようやく謎が解けた。 　この紛争を簡単に説明すると、ようはコーカサスの番長ロシアによる「西側諸国への警告」。ロシア向けを除く主要な（西側向け）石油パイプラインが真っ先に破壊されたことでわかるとおり、自分を仲間はずれにして石油を動かすなんて許しませんよというわけだ。かつてアフガニスタンで起こったことが、いまグルジアで起こっている。グルジアは、第二次東西冷戦の最前線になった。 　もっとも米国にとってこの&#34;警告&#34;は、いまや国内で唯一残った優良輸出産業である軍事産業にとって、長期にわたる好景気が保障されることになり大変好ましい。内需がガタガタとなった現在、外需によって経済を立て直すのは米国政府にとって急務。仲良し米露があえて離れて活動するというのは、互いの利益に沿っている。そんな今後の国際情勢のプロパガンダだとするなら、「ハンコック」の後半部分の奇妙な展開は空恐ろしくなるほどだ。 　とまあ、お気楽ハリウッドエンタテイメントから色々妄想するのも、ひとつのやり方としてここに提案したい。もっとも冒頭の高速道路アクションなどは、どえらい迫力だから、単なるノーテンキ映画としてもイケる。毒のあるコメディとしても最高だ。 　何も考えず見ても面白いし、余計なことを考えながら見ても楽しい。「ハンコック」は必見の大作として、今週のオススメとしたい。]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p class="score-refreshed">◆ウィル・スミスが嫌われ者ヒーローを演じるトンデモ作（85点）
<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B002EBW7Z4/judgepickup-22/"><img src="http://images-jp.amazon.com/images/P/B002EBW7Z4.09.MZZZZZZZ.jpg" alt="スカッとしたい2009" class="img-left" /></a>
<p>　ウィル・スミスは暑い男だ。暑いというのは、彼が圧倒的に夏に強いという意味で、その出演作は7月初旬の独立記念日シーズン（米国でもっとも映画興行が盛り上がる季節）の歴代ベストテンに4本も入っている。そのひとつとなったこの『ハンコック』は、彼の主演作としては8本連続初登場1位という華々しい記録も奪取した。</p>
<span id="more-10381"></span>
<p>　まさにハリウッドのイチロー。いまアメリカでもっとも打率が高く、映画業界から絶対の信頼を置かれているのは間違いなくこのウィル・スミスといえる。</p>
<p>　弾丸を跳ね返す体で空を自由に飛びまわり、車を簡単に投げ飛ばす怪力を持つハンコック（ウィル・スミス）。だが、チンケな悪党ひとり捕まえるのに町中破壊するその釣り合いの取れぬ行動に、市民やマスコミの人気は最低。現れると子供にまで中指をおっ立てられ、帰れ帰れとブーイングされる始末。すっかりひねくれてしまったハンコックは酒におぼれ、酩酊してさらに町を破壊する悪循環。そんな彼があるとき救助したのは、広告代理店のPRマン（ジェイソン・ベイトマン）。彼は命を救われたお礼に、ハンコックを人々から好かれるヒーローにしてやると、そのイメージチェンジを手伝うことに。</p>
<p>　ハンコックはよくあるアメコミ映画ではなく、映画専用の脚本によるオリジナルストーリーだ。そこが最大のポイントで、この作品は相当色濃く現代の世相を表している。</p>
<p>　ハンコックは地球唯一のスーパーパワーを持ちながら、いまや世界随一の嫌われ者となったアメリカ合衆国そのもの。それがある者（ヒーローではない一般市民）の助けを受け、世界中から好かれる真のヒーローに生まれ変わる。その過程で何がおき、ハンコックはどんな行動をとるのか。これがなんとも思わせぶりで、大いにうならされた。</p>
<p>　この一見能天気な、中身うすっぺらなヒーローアクションに、なぜかハリウッド映画として最大級の巨額予算が投じられ、全世界に輸出される。地球のあちこちであらゆる宗教を信じる若者がこれを見て、その思想に大小様々な影響を与えられる事を想像してみてほしい。</p>
<p>　この映画の後半の展開（ここはネタバレ厳禁）について、多くの批評家が非難している。当然だ。どう考えてもとってつけたような急変だし、決して作品を面白くしているとは思えない。なんだこれ？　と、明らかに違和感が残る形になっている。</p>
<p>　……が、この作品が今後の世界情勢を投影したものだと大胆に仮定するならば、これはきわめて重大な問題提起だ。私も当初この部分だけがよくわからなかったのだが、8月8日に北京五輪を嘲笑するように始まったグルジアとロシアの戦争を見て、ようやく謎が解けた。</p>
<p>　この紛争を簡単に説明すると、ようはコーカサスの番長ロシアによる「西側諸国への警告」。ロシア向けを除く主要な（西側向け）石油パイプラインが真っ先に破壊されたことでわかるとおり、自分を仲間はずれにして石油を動かすなんて許しませんよというわけだ。かつてアフガニスタンで起こったことが、いまグルジアで起こっている。グルジアは、第二次東西冷戦の最前線になった。</p>
<p>　もっとも米国にとってこの&quot;警告&quot;は、いまや国内で唯一残った優良輸出産業である軍事産業にとって、長期にわたる好景気が保障されることになり大変好ましい。内需がガタガタとなった現在、外需によって経済を立て直すのは米国政府にとって急務。仲良し米露があえて離れて活動するというのは、互いの利益に沿っている。そんな今後の国際情勢のプロパガンダだとするなら、「ハンコック」の後半部分の奇妙な展開は空恐ろしくなるほどだ。</p>
<p>　とまあ、お気楽ハリウッドエンタテイメントから色々妄想するのも、ひとつのやり方としてここに提案したい。もっとも冒頭の高速道路アクションなどは、どえらい迫力だから、単なるノーテンキ映画としてもイケる。毒のあるコメディとしても最高だ。</p>
<p>　何も考えず見ても面白いし、余計なことを考えながら見ても楽しい。「ハンコック」は必見の大作として、今週のオススメとしたい。</p>]]></content:encoded>
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		<title>300＜スリーハンドレッド＞</title>
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		<pubDate>Fri, 30 Oct 2009 10:24:26 +0000</pubDate>
		<dc:creator>映画ジャッジ</dc:creator>
				<category><![CDATA[スカッとしたい2009]]></category>

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		<description><![CDATA[◆特攻隊の真髄を完璧に表現（90点） 　石原都知事の『俺は、君のためにこそ死ににいく』に加え、日系アメリカ人監督リサ・モリモトの『TOKKO-特攻-』など、最近は特攻隊をテーマにした映画の製作が相次いでいる。だが皮肉なことに、カミカゼ特攻隊とはまったく無関係の『300＜スリーハンドレッド＞』ほど、その歴史的意義を表現した映画はない。 　紀元前480年、覇権国家ペルシア帝国はギリシャのいち都市国家スパルタを服従させるべく、使いを出した。しかし、スパルタのレオニダス王（ジェラルド・バトラー）はこれを拒否。迫りくるペルシアの大軍勢100万を、手勢わずか300で迎え撃つ覚悟を決める。 　「シン・シティ」のフランク・ミラーによる劇画が原作というだけあり、一般的な歴史ものとはまったく異なる。徹底したエンタテイメント志向の作品で、歴史考証はあくまで二の次三の次。面白さのために躊躇なく史実のほうを変えている。 　だが、中途半端に近い過去じゃないから（なにせ2500年も前だ）、こうした大胆なアレンジも意外にすんなり受け入れられる。なによりこの映画、映像も役者もこの上なく美しい。たとえば剣と槍と弓矢による戦闘シーンなど、首は飛ぶわ血は出るわの残酷スプラッターそのものだが、意外にも気持ち悪さは感じない。ほとんど全場面に加えられたエフェクトと、優れたデザインによる美術のおかげか、まるで一流の絵画を見ているようだ。 　ザック・スナイダー監督はなかなかセンスがいいようで、大軍勢同士の戦いを描く際にやりがちな間違いを上手に避けている。 　たとえば、大軍同士の激突を一画面に入れこむ構図に頼っていない（人の目が同時に認識できる数はそれほど多くないので、こうした場面はスクリーンで見るとただゴチャゴチャしているようにしか見えず、意外に迫力を感じない）。 　そしてもうひとつは、常に被写体から適度な距離を保っているということだ（動いている被写体に寄ってさらにカメラを動かしてしまうと、スピード感は出るが何をしているかがわからない）。 　その代わり彼がやったのは、（100万vs.300 を描くのではなく）1vs.1×300 という演出であった。あくまで一人対一人の戦いを、適度な距離を持って写すことで、役者の表情をはっきりと捉える。さらにスローモーションを多用することで、一瞬の立会いにどんな高度な技が繰り出されているのかを観客にしっかりと見せた。 　これにより、観客はスパルタの英雄一人一人の顔をしっかりと認識することが出来、同時に深い感情移入を行うことが出来る。360度を常に意識させるカメラワークにより、まるで自分が300人の仲間と共に戦っている疑似体験をさせてくれるというわけだ。 　外国映画は登場人物の名前も顔も覚えないうちに終わってしまう、という人も少なくないだろうが、『300』に関しては、その心配は無用だ。 　こうした戦闘シークエンスは、まるでバレエダンサーによる舞踏のごとき人体の美を感じさせる。スパルタ兵は本当は史実では重装歩兵なのだが、あえて上半身裸の軽装にデザインしたアイデアも、私は全面的に支持したい。 　明らかに勝ち目のない戦いになぜスパルタの男たちは出て行くのか。その理由も説得力を持って描いてある。ラストシーンでそれはわかるようになっている。この300人の決死隊の意思は、まさに旧日本軍の特攻隊そのものだ。 　「自由のために悪を蹴散らす」とか、そういうアメリカ人好みの単純な味付けの方ははっきり言ってどうでもいい。私は「死を前提にした（一見理不尽な）作戦の論理性」をきっちり描いた点をこそ高く評価する。 　とはいえ、このスパルタ兵たちの強さといったらない。まるで座頭市が300人いるような圧倒的な強さで、しかも全員が完璧な隊列と連携によるチームワークで戦う。士気も練度もすこぶる高く、圧倒的な大軍を前にしてまったくひるまず、真正面から蹴散らしていく。見ていてとにかく熱くなれる。 　これに対し完全な悪役であるペルシア軍は、身長数メートルはあろうかというドーピング人間や不死身の忍者軍団など、ほとんどファンタジーのような奇手、新兵器を繰り出して対抗する。 　私はこのすこぶる面白い歴史アクションを、若い男性におすすめしたい。男たるもの、どんな逆境であっても肉体ひとつで道を切り開かねばならない。そんな情熱にあふれた、とにかく熱い一本だ。なお、お連れあいには、腹筋フェチの女性などが最適である。]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p class="score-refreshed">◆特攻隊の真髄を完璧に表現（90点）
<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B002BS025W/judgepickup-22/"><img src="http://images-jp.amazon.com/images/P/B002BS025W.09.MZZZZZZZ.jpg" alt="スカッとしたい2009" class="img-left" /></a>
<p>　石原都知事の『俺は、君のためにこそ死ににいく』に加え、日系アメリカ人監督リサ・モリモトの『TOKKO-特攻-』など、最近は特攻隊をテーマにした映画の製作が相次いでいる。だが皮肉なことに、カミカゼ特攻隊とはまったく無関係の『300＜スリーハンドレッド＞』ほど、その歴史的意義を表現した映画はない。</p>
<span id="more-10380"></span>
<p>　紀元前480年、覇権国家ペルシア帝国はギリシャのいち都市国家スパルタを服従させるべく、使いを出した。しかし、スパルタのレオニダス王（ジェラルド・バトラー）はこれを拒否。迫りくるペルシアの大軍勢100万を、手勢わずか300で迎え撃つ覚悟を決める。</p>
<p>　「シン・シティ」のフランク・ミラーによる劇画が原作というだけあり、一般的な歴史ものとはまったく異なる。徹底したエンタテイメント志向の作品で、歴史考証はあくまで二の次三の次。面白さのために躊躇なく史実のほうを変えている。</p>
<p>　だが、中途半端に近い過去じゃないから（なにせ2500年も前だ）、こうした大胆なアレンジも意外にすんなり受け入れられる。なによりこの映画、映像も役者もこの上なく美しい。たとえば剣と槍と弓矢による戦闘シーンなど、首は飛ぶわ血は出るわの残酷スプラッターそのものだが、意外にも気持ち悪さは感じない。ほとんど全場面に加えられたエフェクトと、優れたデザインによる美術のおかげか、まるで一流の絵画を見ているようだ。</p>
<p>　ザック・スナイダー監督はなかなかセンスがいいようで、大軍勢同士の戦いを描く際にやりがちな間違いを上手に避けている。</p>
<p>　たとえば、大軍同士の激突を一画面に入れこむ構図に頼っていない（人の目が同時に認識できる数はそれほど多くないので、こうした場面はスクリーンで見るとただゴチャゴチャしているようにしか見えず、意外に迫力を感じない）。</p>
<p>　そしてもうひとつは、常に被写体から適度な距離を保っているということだ（動いている被写体に寄ってさらにカメラを動かしてしまうと、スピード感は出るが何をしているかがわからない）。</p>
<p>　その代わり彼がやったのは、（100万vs.300 を描くのではなく）1vs.1×300 という演出であった。あくまで一人対一人の戦いを、適度な距離を持って写すことで、役者の表情をはっきりと捉える。さらにスローモーションを多用することで、一瞬の立会いにどんな高度な技が繰り出されているのかを観客にしっかりと見せた。</p>
<p>　これにより、観客はスパルタの英雄一人一人の顔をしっかりと認識することが出来、同時に深い感情移入を行うことが出来る。360度を常に意識させるカメラワークにより、まるで自分が300人の仲間と共に戦っている疑似体験をさせてくれるというわけだ。</p>
<p>　外国映画は登場人物の名前も顔も覚えないうちに終わってしまう、という人も少なくないだろうが、『300』に関しては、その心配は無用だ。</p>
<p>　こうした戦闘シークエンスは、まるでバレエダンサーによる舞踏のごとき人体の美を感じさせる。スパルタ兵は本当は史実では重装歩兵なのだが、あえて上半身裸の軽装にデザインしたアイデアも、私は全面的に支持したい。</p>
<p>　明らかに勝ち目のない戦いになぜスパルタの男たちは出て行くのか。その理由も説得力を持って描いてある。ラストシーンでそれはわかるようになっている。この300人の決死隊の意思は、まさに旧日本軍の特攻隊そのものだ。</p>
<p>　「自由のために悪を蹴散らす」とか、そういうアメリカ人好みの単純な味付けの方ははっきり言ってどうでもいい。私は「死を前提にした（一見理不尽な）作戦の論理性」をきっちり描いた点をこそ高く評価する。</p>
<p>　とはいえ、このスパルタ兵たちの強さといったらない。まるで座頭市が300人いるような圧倒的な強さで、しかも全員が完璧な隊列と連携によるチームワークで戦う。士気も練度もすこぶる高く、圧倒的な大軍を前にしてまったくひるまず、真正面から蹴散らしていく。見ていてとにかく熱くなれる。</p>
<p>　これに対し完全な悪役であるペルシア軍は、身長数メートルはあろうかというドーピング人間や不死身の忍者軍団など、ほとんどファンタジーのような奇手、新兵器を繰り出して対抗する。</p>
<p>　私はこのすこぶる面白い歴史アクションを、若い男性におすすめしたい。男たるもの、どんな逆境であっても肉体ひとつで道を切り開かねばならない。そんな情熱にあふれた、とにかく熱い一本だ。なお、お連れあいには、腹筋フェチの女性などが最適である。</p>]]></content:encoded>
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		<title>ボーン・アルティメイタム</title>
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		<pubDate>Fri, 30 Oct 2009 10:23:23 +0000</pubDate>
		<dc:creator>映画ジャッジ</dc:creator>
				<category><![CDATA[スカッとしたい2009]]></category>

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		<description><![CDATA[◆このスパイ、速すぎ＆強すぎ（85点） 　『ボーン・アイデンティティー』（2002）『ボーン・スプレマシー』（2004）に続く三部作の完結編。ものわすれの激しい超人スパイが活躍する、ロバート・ラドラムのベストセラーの実写化だ。 　さて、その主人公ジェイソン・ボーン（マット・デイモン）は、いよいよ失った記憶を取り戻しつつある。しかし、この職業にリクルートした理由やその前の人生について、なにより本名など肝心の部分がいまだ思い出せない。殺し屋として多くの人を殺めてしまった罪の意識にさいなまれ、恋人の命を奪われる苦しみにも耐えながら、彼は自分探しの旅の終着点へとやってくる。 　このシリーズはリアリティを感じさせる瞬殺の格闘シーンや、手近なものをなんでも武器にしてしまう主人公のもったいない精神が大きな魅力。この三作目ものっけからノンストップでスペクタクルの雨あられ。しかもその出来たるや、傑作だった1作目、2作目に勝るとも劣らない。三部作通してこれだけのハイテンションを維持したシリーズはあまりない。 　短いカットを畳み掛けるようにつないでいく、ポール・グリーングラス監督の演出も冴え渡る。現代の映画では最高レベルのスピード感あふれる格闘場面は、何気なくコマ落としのようにつないでいるように見えて、しかし細かい工夫がなされている。 　たとえば狭いバスルームで殺し屋とボーンが戦う場面。殺し屋がカミソリを拾い、それを見てボーンが防御のためタオルを取るといった、その一連の動きはあまりに早すぎてまったく見ることが出来ない。いつの間にか二人の手にそれがあるといった感じである。 　続けて、これまたまったく&#34;見えない&#34;爆速の攻防戦が繰り広げられるのだが、途中でチリーンと殺し屋がカミソリを取り落とす音を、監督はわざと目立つように入れることで、私たち観客に戦いの経過を&#34;見せて&#34;しまう。 　この音ひとつのおかげで、あたかもボーンの超人的なスピードに我々もついていっているような気になり、大いに快感を得られる。こうした工夫は随所にみられ、この作品がいかに高度な計算に基づいた優秀なエンタテイメントかがよくわかる。 　エシェロンを駆使する当局から逃亡するという大筋がありながら、各々の見せ場を「逃げるボーン」一色にしないあたりもそうだ。あるときは王道の逃亡劇、あるときは味方記者を敵から逃がすため、携帯電話で離れた場所から指示を与える。そしてときには女を助けるため、彼女を追跡する殺し屋を追う側にまわるのだ。 　しかもその一つ一つは複合的な要素で構成され（たとえば殺し屋を追うボーンを、さらに地元の警察が追っているという二重構造）、さらに中途で二つの要素を合体させたりなど、単調な部分は一秒もない。アクションシーンのバックにはモロッコなどロケ地の美しい風景が広がっており、目の保養にもなる。 　私最大のおすすめは終盤のカーチェイス。何が凄いかって、これを見ていると「ああ、いよいよボーンの物語も終わるのだ。奴はもう後のことなど考えておらず、ここで決めるつもりだ」という、主人公の悲壮感のようなものがバシバシ伝わってくるのだ。文字通り満身創痍、ズタボロになりながら、それでも彼は前に進む。ここまで&#34;物語と感情&#34;を感じさせるカーチェイスを、私は近年見たことがない。 　ほかにも言いたいことはあるが、何はともあれこれは絶対映画館で見てもらわないといけない。人気シリーズの最後として、これ以上ないほどよく出来たフィナーレを飾ってくれた。]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p class="score-refreshed">◆このスパイ、速すぎ＆強すぎ（85点）
<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B0011XVU8G/judgepickup-22/"><img src="http://images-jp.amazon.com/images/P/B0011XVU8G.09.MZZZZZZZ.jpg" alt="スカッとしたい2009" class="img-left" /></a>
<p>　『ボーン・アイデンティティー』（2002）『ボーン・スプレマシー』（2004）に続く三部作の完結編。ものわすれの激しい超人スパイが活躍する、ロバート・ラドラムのベストセラーの実写化だ。</p>
<span id="more-10379"></span>
<p>　さて、その主人公ジェイソン・ボーン（マット・デイモン）は、いよいよ失った記憶を取り戻しつつある。しかし、この職業にリクルートした理由やその前の人生について、なにより本名など肝心の部分がいまだ思い出せない。殺し屋として多くの人を殺めてしまった罪の意識にさいなまれ、恋人の命を奪われる苦しみにも耐えながら、彼は自分探しの旅の終着点へとやってくる。</p>
<p>　このシリーズはリアリティを感じさせる瞬殺の格闘シーンや、手近なものをなんでも武器にしてしまう主人公のもったいない精神が大きな魅力。この三作目ものっけからノンストップでスペクタクルの雨あられ。しかもその出来たるや、傑作だった1作目、2作目に勝るとも劣らない。三部作通してこれだけのハイテンションを維持したシリーズはあまりない。</p>
<p>　短いカットを畳み掛けるようにつないでいく、ポール・グリーングラス監督の演出も冴え渡る。現代の映画では最高レベルのスピード感あふれる格闘場面は、何気なくコマ落としのようにつないでいるように見えて、しかし細かい工夫がなされている。</p>
<p>　たとえば狭いバスルームで殺し屋とボーンが戦う場面。殺し屋がカミソリを拾い、それを見てボーンが防御のためタオルを取るといった、その一連の動きはあまりに早すぎてまったく見ることが出来ない。いつの間にか二人の手にそれがあるといった感じである。</p>
<p>　続けて、これまたまったく&quot;見えない&quot;爆速の攻防戦が繰り広げられるのだが、途中でチリーンと殺し屋がカミソリを取り落とす音を、監督はわざと目立つように入れることで、私たち観客に戦いの経過を&quot;見せて&quot;しまう。</p>
<p>　この音ひとつのおかげで、あたかもボーンの超人的なスピードに我々もついていっているような気になり、大いに快感を得られる。こうした工夫は随所にみられ、この作品がいかに高度な計算に基づいた優秀なエンタテイメントかがよくわかる。</p>
<p>　エシェロンを駆使する当局から逃亡するという大筋がありながら、各々の見せ場を「逃げるボーン」一色にしないあたりもそうだ。あるときは王道の逃亡劇、あるときは味方記者を敵から逃がすため、携帯電話で離れた場所から指示を与える。そしてときには女を助けるため、彼女を追跡する殺し屋を追う側にまわるのだ。</p>
<p>　しかもその一つ一つは複合的な要素で構成され（たとえば殺し屋を追うボーンを、さらに地元の警察が追っているという二重構造）、さらに中途で二つの要素を合体させたりなど、単調な部分は一秒もない。アクションシーンのバックにはモロッコなどロケ地の美しい風景が広がっており、目の保養にもなる。</p>
<p>　私最大のおすすめは終盤のカーチェイス。何が凄いかって、これを見ていると「ああ、いよいよボーンの物語も終わるのだ。奴はもう後のことなど考えておらず、ここで決めるつもりだ」という、主人公の悲壮感のようなものがバシバシ伝わってくるのだ。文字通り満身創痍、ズタボロになりながら、それでも彼は前に進む。ここまで&quot;物語と感情&quot;を感じさせるカーチェイスを、私は近年見たことがない。</p>
<p>　ほかにも言いたいことはあるが、何はともあれこれは絶対映画館で見てもらわないといけない。人気シリーズの最後として、これ以上ないほどよく出来たフィナーレを飾ってくれた。</p>]]></content:encoded>
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		<title>ディスタービア</title>
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		<pubDate>Fri, 30 Oct 2009 10:22:46 +0000</pubDate>
		<dc:creator>映画ジャッジ</dc:creator>
				<category><![CDATA[スカッとしたい2009]]></category>

		<guid isPermaLink="false">http://www.cinemaonline.jp/?p=10378</guid>
		<description><![CDATA[◆隣の女の子の着替えを覗いていたら、とんでもないモノが見えてしまった（80点） 　隣の家に毎日ビキニで泳ぐ美少女が住んでいる。手元には双眼鏡もビデオカメラもある。家族は夜まで帰ってこない。さて、残された10代の少年は何をするでしょうか？　そんな興味深い設定の『ディスタービア』は、徹底して若者向けに作られたスリラーで、その明快なコンセプトが全米で大いに受けた。確かにこれ、サイコーに面白い。 　教師を殴って3ヶ月の自宅謹慎をくらった主人公ケール（シャイア・ラブーフ）は、自室から30メートル離れると自動的に通報、即警察がやってくる監視システムを足首につけられる。オンラインゲームの契約も母親に切られ、することもなくなった彼は、近所の人々を覗き始める。そしてケールはある晩、裏の家で血まみれのゴミ袋を引きずる男を見つけてしまう。 　最初はビキニギャルの同級生ばかり見ていた主人公少年が、やがて殺人事件と思しき何かを見つけてしまう好奇心そそられまくりの展開。やがて悪友と例のビキニギャル（サラ・ローマー）も仲間に引き入れ、iPODやビデオカメラ、パソコン、携帯電話などいまどきの若者らしいアイテムを駆使して事件の解明に挑戦する。 　部屋から出られない主人公に代わって、親友や女の子が果敢に尾行や侵入を試みたり、唯一の家族である母親（キャリー＝アン・モス）が犯人？に狙われたりと、とにかく息つく暇もない怒涛のサスペンス。足首の電子的足かせや（こんなモン、本当にあるのかね）、年齢的な未熟さによる捜査の限界など、絶妙な制限がスリルを生み出す。 　とはいえこの作品のすばらしい所は、深く論理性を追求していないという点。グダグダそんなもんにこだわるより、スピード感の方が大事だろ？　という割りきりが潔い。むしろ観客が突っ込めるよう、あえてご都合主義要素を多数残しているきらいさえある。デートムービーとは、鑑賞後にカップルがいかに盛り上がるかが大事なのだから、これは大正解。 　見終わった後「でもあんなのありえないよね?」「そうだよ、だいたい犯人の家、どんだけ増築してんだよ」などと、若い観客たちが細かいアラをバカにしあって楽しむ事すら計算しているこのサービス精神たるや、特筆に価する。これぞ、プロのエンターテナーの仕事である。 　そもそも、インドア派の電脳オタク少年に着替えや水着姿を毎日覗かれているのを知って、それでも「アナタって魅力的」などと言ってる学園ナンバーワン美人がどこにいるというのだ。この映画で一番の変態は、間違いなくこのヒロインであろう。 　かように笑える要素が多く、ドキドキ感の高さも最高レベル。あとはテンポの良さと多少のお色気。それだけを求めて劇場に行けば、これほど満足を得られる映画はない。デートのお供に最適といえるだろう。]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p class="score-refreshed">◆隣の女の子の着替えを覗いていたら、とんでもないモノが見えてしまった（80点）
<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B001G9EBK4/judgepickup-22/"><img src="http://images-jp.amazon.com/images/P/B001G9EBK4.09.MZZZZZZZ.jpg" alt="スカッとしたい2009" class="img-left" /></a>
<p>　隣の家に毎日ビキニで泳ぐ美少女が住んでいる。手元には双眼鏡もビデオカメラもある。家族は夜まで帰ってこない。さて、残された10代の少年は何をするでしょうか？　そんな興味深い設定の『ディスタービア』は、徹底して若者向けに作られたスリラーで、その明快なコンセプトが全米で大いに受けた。確かにこれ、サイコーに面白い。</p>
<span id="more-10378"></span>
<p>　教師を殴って3ヶ月の自宅謹慎をくらった主人公ケール（シャイア・ラブーフ）は、自室から30メートル離れると自動的に通報、即警察がやってくる監視システムを足首につけられる。オンラインゲームの契約も母親に切られ、することもなくなった彼は、近所の人々を覗き始める。そしてケールはある晩、裏の家で血まみれのゴミ袋を引きずる男を見つけてしまう。</p>
<p>　最初はビキニギャルの同級生ばかり見ていた主人公少年が、やがて殺人事件と思しき何かを見つけてしまう好奇心そそられまくりの展開。やがて悪友と例のビキニギャル（サラ・ローマー）も仲間に引き入れ、iPODやビデオカメラ、パソコン、携帯電話などいまどきの若者らしいアイテムを駆使して事件の解明に挑戦する。</p>
<p>　部屋から出られない主人公に代わって、親友や女の子が果敢に尾行や侵入を試みたり、唯一の家族である母親（キャリー＝アン・モス）が犯人？に狙われたりと、とにかく息つく暇もない怒涛のサスペンス。足首の電子的足かせや（こんなモン、本当にあるのかね）、年齢的な未熟さによる捜査の限界など、絶妙な制限がスリルを生み出す。</p>
<p>　とはいえこの作品のすばらしい所は、深く論理性を追求していないという点。グダグダそんなもんにこだわるより、スピード感の方が大事だろ？　という割りきりが潔い。むしろ観客が突っ込めるよう、あえてご都合主義要素を多数残しているきらいさえある。デートムービーとは、鑑賞後にカップルがいかに盛り上がるかが大事なのだから、これは大正解。</p>
<p>　見終わった後「でもあんなのありえないよね?」「そうだよ、だいたい犯人の家、どんだけ増築してんだよ」などと、若い観客たちが細かいアラをバカにしあって楽しむ事すら計算しているこのサービス精神たるや、特筆に価する。これぞ、プロのエンターテナーの仕事である。</p>
<p>　そもそも、インドア派の電脳オタク少年に着替えや水着姿を毎日覗かれているのを知って、それでも「アナタって魅力的」などと言ってる学園ナンバーワン美人がどこにいるというのだ。この映画で一番の変態は、間違いなくこのヒロインであろう。</p>
<p>　かように笑える要素が多く、ドキドキ感の高さも最高レベル。あとはテンポの良さと多少のお色気。それだけを求めて劇場に行けば、これほど満足を得られる映画はない。デートのお供に最適といえるだろう。</p>]]></content:encoded>
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		<title>デジャヴ</title>
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		<pubDate>Fri, 30 Oct 2009 10:22:09 +0000</pubDate>
		<dc:creator>映画ジャッジ</dc:creator>
				<category><![CDATA[スカッとしたい2009]]></category>

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		<description><![CDATA[◆ハイテク衛星システムの運用にローテクが必要という面白さ（85点） 　デジャヴとは、「一度も経験したことのないことが、いつかどこかですでに経験したことであるかのように感じられること」（三省堂・大辞林）という意味だが、実際のところ本作の内容とそれはほとんど関係がない。 　ではどんな映画かというと、一歩間違うと重大なネタバレにかかわるのでなかなか説明が難しい。間違っても言ってはいけない&#34;ある一言&#34;が、感想を投稿するサイトなどではフツーに書かれてしまっており思わず目を覆いたくなるが、一応マスコミ関係者には「ここから先のストーリーは絶対書かないでね」と通達が出ている。私も確かにそれは必要だと思う、そんな映画である。 　海軍関係者とその家族を乗せたフェリーが何者かに爆破された。事態を重く見た当局は、地元のベテラン捜査官（デンゼル・ワシントン）に対し、極秘裏に開発した衛星地上監視システムへのアクセスを許可する。 　このシステムは、各種センサーと偵察衛星からの情報により、エリア内であれば地上地下問わず、どの角度からでも自由自在に地上の映像を鮮明に映し出すというもの。好きな場所（家の中でも！）を、まるでハリウッド映画のように、空撮からクローズアップまで滑らかに撮影することができる。これなら好きなあの子の着替えシーンだってバッチリ。GoogleMAPの10000倍くらい優れた機能を持つものだ。 　ところがこれはまだ試作品で、こうした事件捜査に使うためにはいくつかの問題点がある。それは、膨大な情報処理に100時間もかかるため、約4日前の映像しか見られないということ。そして、一度に見られるのは1箇所だけで、巻き戻しもできないということだ。 　そのため、4日前のどこを監視すれば事件解決のヒントが得られるか、その判断をしてもらうため現場に土地勘がある主人公が特別に呼ばれたのだ。一見万能なシステムに思えるが、要するに好きなあの子が4日前のどこで着替えをしていたかがわからなければ、覗くこともできないというわけだ。 　最新最強の武器を駆使するためには、昔ながらの「捜査員の勘」に頼らねばならない。なかなかうまい設定である。 　こうしたSFの場合、こうした「制限事項」の存在は重要だ。たとえばウルトラマンは3分間限定という制限があるからこそ、その戦いに緊張感が生まれ、話が盛り上がる。デスノートの夜神月だって、顔と名前を知らなきゃ殺せないから、毎回ヒーヒーいいながら苦労するわけだ。 　『デジャヴ』の脚本家はどうやらそのあたりを完璧に理解している模様だ。ハイテク近未来技術そのものをウリにするのではなく、それにより生まれた「ルール」をストーリーに生かしている。これなら大人の鑑賞にも耐える。 　『デジャヴ』を見ていると、最初から微妙な違和感を感じるように作られているが、それもすべて計算のうちで、途中に大きなどんでん返しが用意され、そこでスッキリするようになっている。 　そして、この映画が本当に面白くなってくるのはそこから。スピード感あるストーリーと画面作りによって、片時も目が離せない楽しさを味あわせてくれる。100億円以上も金をかけているので、カーチェイス（新鮮なある仕掛けがなされている）もすごい迫力だ。やはりハリウッド娯楽映画とはこうでなくてはなるまい。物語上には、よく見ると小さなほころびもあるのだが、それを目立たせないだけのパワーがある。 　役者の中では、ヒロインを演じる新人のポーラ・パットンと悪役のジム・カヴィーゼル（「パッション」でイエスキリストを演じた役者だ）がいい。演技派のデンゼル・ワシントンが上手いのは当然だが、二人ともそれにひけをとらぬ魅力があり、全体としてバランスよくまとまった。 　この映画のプロデューサーであるジェリー・ブラッカイマーは、ディズニーと組むと「パールハーバー」のような迷作を生み出す危険性を持っているが、今回はその派手志向がいい方向に転がった。SFジャンルにアレルギーがない人が見れば、大いに楽しめるに違いない。]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p class="score-refreshed">◆ハイテク衛星システムの運用にローテクが必要という面白さ（85点）
<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B000PTYQZ6/judgepickup-22/"><img src="http://images-jp.amazon.com/images/P/B000PTYQZ6.09.MZZZZZZZ.jpg" alt="スカッとしたい2009" class="img-left" /></a>
<p>　デジャヴとは、「一度も経験したことのないことが、いつかどこかですでに経験したことであるかのように感じられること」（三省堂・大辞林）という意味だが、実際のところ本作の内容とそれはほとんど関係がない。</p>
<span id="more-10377"></span>
<p>　ではどんな映画かというと、一歩間違うと重大なネタバレにかかわるのでなかなか説明が難しい。間違っても言ってはいけない&quot;ある一言&quot;が、感想を投稿するサイトなどではフツーに書かれてしまっており思わず目を覆いたくなるが、一応マスコミ関係者には「ここから先のストーリーは絶対書かないでね」と通達が出ている。私も確かにそれは必要だと思う、そんな映画である。</p>
<p>　海軍関係者とその家族を乗せたフェリーが何者かに爆破された。事態を重く見た当局は、地元のベテラン捜査官（デンゼル・ワシントン）に対し、極秘裏に開発した衛星地上監視システムへのアクセスを許可する。</p>
<p>　このシステムは、各種センサーと偵察衛星からの情報により、エリア内であれば地上地下問わず、どの角度からでも自由自在に地上の映像を鮮明に映し出すというもの。好きな場所（家の中でも！）を、まるでハリウッド映画のように、空撮からクローズアップまで滑らかに撮影することができる。これなら好きなあの子の着替えシーンだってバッチリ。GoogleMAPの10000倍くらい優れた機能を持つものだ。</p>
<p>　ところがこれはまだ試作品で、こうした事件捜査に使うためにはいくつかの問題点がある。それは、膨大な情報処理に100時間もかかるため、約4日前の映像しか見られないということ。そして、一度に見られるのは1箇所だけで、巻き戻しもできないということだ。</p>
<p>　そのため、4日前のどこを監視すれば事件解決のヒントが得られるか、その判断をしてもらうため現場に土地勘がある主人公が特別に呼ばれたのだ。一見万能なシステムに思えるが、要するに好きなあの子が4日前のどこで着替えをしていたかがわからなければ、覗くこともできないというわけだ。</p>
<p>　最新最強の武器を駆使するためには、昔ながらの「捜査員の勘」に頼らねばならない。なかなかうまい設定である。</p>
<p>　こうしたSFの場合、こうした「制限事項」の存在は重要だ。たとえばウルトラマンは3分間限定という制限があるからこそ、その戦いに緊張感が生まれ、話が盛り上がる。デスノートの夜神月だって、顔と名前を知らなきゃ殺せないから、毎回ヒーヒーいいながら苦労するわけだ。</p>
<p>　『デジャヴ』の脚本家はどうやらそのあたりを完璧に理解している模様だ。ハイテク近未来技術そのものをウリにするのではなく、それにより生まれた「ルール」をストーリーに生かしている。これなら大人の鑑賞にも耐える。</p>
<p>　『デジャヴ』を見ていると、最初から微妙な違和感を感じるように作られているが、それもすべて計算のうちで、途中に大きなどんでん返しが用意され、そこでスッキリするようになっている。</p>
<p>　そして、この映画が本当に面白くなってくるのはそこから。スピード感あるストーリーと画面作りによって、片時も目が離せない楽しさを味あわせてくれる。100億円以上も金をかけているので、カーチェイス（新鮮なある仕掛けがなされている）もすごい迫力だ。やはりハリウッド娯楽映画とはこうでなくてはなるまい。物語上には、よく見ると小さなほころびもあるのだが、それを目立たせないだけのパワーがある。</p>
<p>　役者の中では、ヒロインを演じる新人のポーラ・パットンと悪役のジム・カヴィーゼル（「パッション」でイエスキリストを演じた役者だ）がいい。演技派のデンゼル・ワシントンが上手いのは当然だが、二人ともそれにひけをとらぬ魅力があり、全体としてバランスよくまとまった。</p>
<p>　この映画のプロデューサーであるジェリー・ブラッカイマーは、ディズニーと組むと「パールハーバー」のような迷作を生み出す危険性を持っているが、今回はその派手志向がいい方向に転がった。SFジャンルにアレルギーがない人が見れば、大いに楽しめるに違いない。</p>]]></content:encoded>
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		<title>セブンティーン・アゲイン</title>
		<link>http://www.cinemaonline.jp/dvd-ranking2009/palpitatio2009/10373.html</link>
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		<pubDate>Fri, 30 Oct 2009 09:55:36 +0000</pubDate>
		<dc:creator>映画ジャッジ</dc:creator>
				<category><![CDATA[トキメキたい2009]]></category>

		<guid isPermaLink="false">http://www.cinemaonline.jp/?p=10373</guid>
		<description><![CDATA[◆じつは最高のファミリー向けムービー（85点） 　「若いころに戻ってやりなおしたい」とは、12歳から90歳まで、それこそオールエイジの共感を得られるテーマである。たとえ相手が小学生だって、「過去に戻れるなら、いつに戻ってみたい？」と聞けば、大いに盛り上がることは間違いない。それが人間というものだ。 　さえない中年マイク（マシュー・ペリー）は、自社製品であるED治療薬のプロジェクト会議で、またもろくでもない目にあい、落ち込んでいた。女子高生の娘（ミシェル・トラクテンバーグ）にはバカにされ、息子の尊敬も得られない。何より大恋愛の末結ばれた妻（レスリー・マン）との関係が、破綻寸前に陥っていた。そんなある日、母校を訪れたマイクは怪しげな用務員の力により、17歳当時の姿（ザック・エフロン）へと変身してしまう。 　この話の面白いところは、映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のように実際に&#34;過去に戻る&#34;のではなく、主人公の&#34;外見だけが17歳になる&#34;という設定。 　すなわち、大人のマイクは行方不明扱いとなり、代わりに超イケメンのスポーツマン17歳が登場する。身元保証や転入手続きは、映画的説得力のある設定で軽くクリアし、「娘や息子のいる高校に、17歳当時の肉体を持つ父親がやってくる」ワンアイデアに観客を集中させる。 　さて、その若き父親はそこで何をするのか。彼が後悔し続けている高校時代のある選択について、どうやりなおしていくのか。離婚協議中の妻（30代後半）と若い姿で再会したとき、彼はそこに何を見つけ、どう応対するのか。 　ありとあらゆる「私だったらこうする、こうしたい！」が次々登場し、ザック・エフロン演じる主人公が実行していく。気になる周囲の反応、それから主人公の行く末は予想通りだったり意外だったり、まったく飽きさせない。すべてがキレ良く、明るい笑いで演出され、とにかく楽しくて仕方がない。 　父親たる主人公が実際に学校内に入ることで、これまで知らなかった娘や息子たちの本音、苦悩を知るくだりもいい。笑いの中にいくつもの涙が練りこまれ、総合的満足度も二乗三乗と増えてゆく。クライマックスのバスケットボールの試合周辺の流れは、まさにハリウッドムービーの王道ともいうべき感動的な演出で飾られる。 　昨年から今年にかけて、あきらかに潮流が変わったアメリカ映画界を象徴する、幸せいっぱいの作品。ウジウジ君が悩み続ける話より、こういう洋画を見たかったんだ！　という人は数多いはずだ。そうした声にこたえるネアカな作品は、これから間違いなく増えてくる。個人的にも大きな期待を抱いている。 　主人公役ザック・エフロンは、日本じゃまだ海外ドラマ＆映画ファン限定の人気だが、米国では国民的といってもよい若手トップスター。自信は人の魅力をアップさせる法則どおり、一寸の迷いもないその佇まいからは、王者の風格さえ漂う。これを見た女性の9割くらいは完全に魅了され、翌日から熱心な追っかけになることだろう。 　そもそも、話の設定に隙がない。この話を彼がやれば、そりゃ完璧だわと言いたくなる。 　たとえばまず、若きイケメンが熟女にアタックする展開は、世の奥様にはたまらない理想郷。 　次に、ザック・エフロンファンの若い娘っ子たちにとっては、彼出ずっぱりの本作の良さは言うに及ばず。 　一方、オジサンたちが見ても、「女子高生に今の知恵をもったままアタックできる」状況のシミュレーションは、この上ない魅力だろう。これがもし「主人公が過去に戻る」話だったら、「若き日の妻に再会する」という、あまり嬉しくないストーリーになるだけであり、魅力半減だ。 　つまり、この一種ひねった設定のおかげで、「一家3人がそろってニコニコ楽しめる」という、商売上も完璧な布陣になったのである。私としても、いま、父母娘の3人で見る映画は、これしかないと太鼓判を押す。 　あるいは、マンネリ期を迎えた夫婦で見るにもいいかもしれない。映画があまりに良くできているがため、素晴らしいラストシーンのノリを維持することができれば「オレも今夜は古女房をかまってやるか」との気分になれること間違いない。 　それは、この世の安定のためには、まことに好ましい状況である。]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p class="score-palpitatio">◆じつは最高のファミリー向けムービー（85点）
<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B002AQTCWO/judgepickup-22/"><img src="http://images-jp.amazon.com/images/P/B002AQTCWO.09.MZZZZZZZ.jpg" alt="トキメキたい2009" class="img-left" /></a>
<p>　「若いころに戻ってやりなおしたい」とは、12歳から90歳まで、それこそオールエイジの共感を得られるテーマである。たとえ相手が小学生だって、「過去に戻れるなら、いつに戻ってみたい？」と聞けば、大いに盛り上がることは間違いない。それが人間というものだ。</p>
<span id="more-10373"></span>
<p>　さえない中年マイク（マシュー・ペリー）は、自社製品であるED治療薬のプロジェクト会議で、またもろくでもない目にあい、落ち込んでいた。女子高生の娘（ミシェル・トラクテンバーグ）にはバカにされ、息子の尊敬も得られない。何より大恋愛の末結ばれた妻（レスリー・マン）との関係が、破綻寸前に陥っていた。そんなある日、母校を訪れたマイクは怪しげな用務員の力により、17歳当時の姿（ザック・エフロン）へと変身してしまう。</p>
<p>　この話の面白いところは、映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のように実際に&quot;過去に戻る&quot;のではなく、主人公の&quot;外見だけが17歳になる&quot;という設定。</p>
<p>　すなわち、大人のマイクは行方不明扱いとなり、代わりに超イケメンのスポーツマン17歳が登場する。身元保証や転入手続きは、映画的説得力のある設定で軽くクリアし、「娘や息子のいる高校に、17歳当時の肉体を持つ父親がやってくる」ワンアイデアに観客を集中させる。</p>
<p>　さて、その若き父親はそこで何をするのか。彼が後悔し続けている高校時代のある選択について、どうやりなおしていくのか。離婚協議中の妻（30代後半）と若い姿で再会したとき、彼はそこに何を見つけ、どう応対するのか。</p>
<p>　ありとあらゆる「私だったらこうする、こうしたい！」が次々登場し、ザック・エフロン演じる主人公が実行していく。気になる周囲の反応、それから主人公の行く末は予想通りだったり意外だったり、まったく飽きさせない。すべてがキレ良く、明るい笑いで演出され、とにかく楽しくて仕方がない。</p>
<p>　父親たる主人公が実際に学校内に入ることで、これまで知らなかった娘や息子たちの本音、苦悩を知るくだりもいい。笑いの中にいくつもの涙が練りこまれ、総合的満足度も二乗三乗と増えてゆく。クライマックスのバスケットボールの試合周辺の流れは、まさにハリウッドムービーの王道ともいうべき感動的な演出で飾られる。</p>
<p>　昨年から今年にかけて、あきらかに潮流が変わったアメリカ映画界を象徴する、幸せいっぱいの作品。ウジウジ君が悩み続ける話より、こういう洋画を見たかったんだ！　という人は数多いはずだ。そうした声にこたえるネアカな作品は、これから間違いなく増えてくる。個人的にも大きな期待を抱いている。</p>
<p>　主人公役ザック・エフロンは、日本じゃまだ海外ドラマ＆映画ファン限定の人気だが、米国では国民的といってもよい若手トップスター。自信は人の魅力をアップさせる法則どおり、一寸の迷いもないその佇まいからは、王者の風格さえ漂う。これを見た女性の9割くらいは完全に魅了され、翌日から熱心な追っかけになることだろう。</p>
<p>　そもそも、話の設定に隙がない。この話を彼がやれば、そりゃ完璧だわと言いたくなる。</p>
<p>　たとえばまず、若きイケメンが熟女にアタックする展開は、世の奥様にはたまらない理想郷。</p>
<p>　次に、ザック・エフロンファンの若い娘っ子たちにとっては、彼出ずっぱりの本作の良さは言うに及ばず。</p>
<p>　一方、オジサンたちが見ても、「女子高生に今の知恵をもったままアタックできる」状況のシミュレーションは、この上ない魅力だろう。これがもし「主人公が過去に戻る」話だったら、「若き日の妻に再会する」という、あまり嬉しくないストーリーになるだけであり、魅力半減だ。</p>
<p>　つまり、この一種ひねった設定のおかげで、「一家3人がそろってニコニコ楽しめる」という、商売上も完璧な布陣になったのである。私としても、いま、父母娘の3人で見る映画は、これしかないと太鼓判を押す。</p>
<p>　あるいは、マンネリ期を迎えた夫婦で見るにもいいかもしれない。映画があまりに良くできているがため、素晴らしいラストシーンのノリを維持することができれば「オレも今夜は古女房をかまってやるか」との気分になれること間違いない。</p>
<p>　それは、この世の安定のためには、まことに好ましい状況である。</p>]]></content:encoded>
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		<title>トワイライト?初恋?</title>
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		<pubDate>Fri, 30 Oct 2009 09:53:55 +0000</pubDate>
		<dc:creator>映画ジャッジ</dc:creator>
				<category><![CDATA[トキメキたい2009]]></category>

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		<description><![CDATA[◆ティーン向け恋愛映画がこれほどの高品質とは（75点） 　米大手ワーナーブラザーズは、翌夏強化のため08年冬公開予定だった『ハリー・ポッターと謎のプリンス』を温存、金庫の奥深くにしまいこんだ。 　その代わりに前倒しで公開されたのが、同じ英国のベストセラー小説『トワイライト』の映画化である本作。原作同様、10代の女の子の胸をときめかせるイケメン揃いの実写化だが、これが予想を上回る特大ヒット。捨て試合で思わぬ勝利を得たWBC2次ラウンド日韓戦の日本チームのような、旨みある興行となった。 　アリゾナから越してきたベラ・スワン（クリステン・スチュワート）は、転校先の高校になじめずにいた。そんな彼女の気を引いたのが、地元クラスメートさえ近寄りがたい様子の寡黙な美少年エドワード・カレン（ロバート・パティンソン）。そしてある日、事故に巻き込まれたベラは、エドワードに人間離れしたパワーで救けられる。 　徹頭徹尾女の子向けの、ファンタジック・ラブストーリー。若い女の子というものは、障害ある恋に燃える生き物であるが、この場合は男子の正体が人外の化け物という設定がそれにあたる。 　だが、捨て身で命を救われ、誠実に家族を紹介され、ベラちゃんはあっさり恋に落ちる。ここから得られる教訓としては、イケメンなら化け物でもモテる、ということだ。 　考えてみれば、森を飛び回るほど強靭な肉体、美しい顔、おまけに長生き（不老不死）。自制心が強く、安易に女の子に手を出すこともない。性欲に負けて狼になる人間の若者より、こっちのほうがずっといい。というか、読者の女の子にしてみれば、これぞ理想の彼氏像そのものだ。 　だが、そもそもエドワード君の種族は、人間を食って生きるモンスターだ。もっとも、その種族の中にもいくつかあり、エドワードくんが属するカレン家の場合は人間界で生きるため、さっさとベジタリアン化した温厚な一派。そのおかげで、本来は食料であるベラちゃんとラブラブにもなれた。 　われわれ人間であれば、いくらベジタリアンでも、牛肉に恋することはないが、なにしろベラちゃんはエドワード君に負けないほどの超美少女。要はここでも件の教訓が生きている、ということか。]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p class="score-palpitatio">◆ティーン向け恋愛映画がこれほどの高品質とは（75点）
<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B002CV0CT4/judgepickup-22/"><img src="http://images-jp.amazon.com/images/P/B002CV0CT4.09.MZZZZZZZ.jpg" alt="トキメキたい2009" class="img-left" /></a>
<p>　米大手ワーナーブラザーズは、翌夏強化のため08年冬公開予定だった『ハリー・ポッターと謎のプリンス』を温存、金庫の奥深くにしまいこんだ。</p>
<span id="more-10372"></span>
<p>　その代わりに前倒しで公開されたのが、同じ英国のベストセラー小説『トワイライト』の映画化である本作。原作同様、10代の女の子の胸をときめかせるイケメン揃いの実写化だが、これが予想を上回る特大ヒット。捨て試合で思わぬ勝利を得たWBC2次ラウンド日韓戦の日本チームのような、旨みある興行となった。</p>
<p>　アリゾナから越してきたベラ・スワン（クリステン・スチュワート）は、転校先の高校になじめずにいた。そんな彼女の気を引いたのが、地元クラスメートさえ近寄りがたい様子の寡黙な美少年エドワード・カレン（ロバート・パティンソン）。そしてある日、事故に巻き込まれたベラは、エドワードに人間離れしたパワーで救けられる。</p>
<p>　徹頭徹尾女の子向けの、ファンタジック・ラブストーリー。若い女の子というものは、障害ある恋に燃える生き物であるが、この場合は男子の正体が人外の化け物という設定がそれにあたる。</p>
<p>　だが、捨て身で命を救われ、誠実に家族を紹介され、ベラちゃんはあっさり恋に落ちる。ここから得られる教訓としては、イケメンなら化け物でもモテる、ということだ。</p>
<p>　考えてみれば、森を飛び回るほど強靭な肉体、美しい顔、おまけに長生き（不老不死）。自制心が強く、安易に女の子に手を出すこともない。性欲に負けて狼になる人間の若者より、こっちのほうがずっといい。というか、読者の女の子にしてみれば、これぞ理想の彼氏像そのものだ。</p>
<p>　だが、そもそもエドワード君の種族は、人間を食って生きるモンスターだ。もっとも、その種族の中にもいくつかあり、エドワードくんが属するカレン家の場合は人間界で生きるため、さっさとベジタリアン化した温厚な一派。そのおかげで、本来は食料であるベラちゃんとラブラブにもなれた。</p>
<p>　われわれ人間であれば、いくらベジタリアンでも、牛肉に恋することはないが、なにしろベラちゃんはエドワード君に負けないほどの超美少女。要はここでも件の教訓が生きている、ということか。</p>]]></content:encoded>
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		<title>秒速5センチメートル</title>
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		<pubDate>Fri, 30 Oct 2009 09:52:15 +0000</pubDate>
		<dc:creator>映画ジャッジ</dc:creator>
				<category><![CDATA[トキメキたい2009]]></category>

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		<description><![CDATA[◆山崎まさよしの主題歌の歌詞を笑えない人に（85点） 　『秒速5センチメートル』は、一言で言うとアニメ版『時をかける少女』を気に入った人なら、まず間違いなく満足するであろう映画だ。 　内容は、一人の少女を思い続けた男の十数年間を三話構成で綴った連作短編もので、上映時間は60分間。第一話は主人公の貴樹（声：水橋研二）と明里（声：近藤好美）の小学生時代から始まる。 　舞台は東京の小学校。転校を繰り返してきた二人は、互いの境遇の類似からやがて特別な思いを寄せ合うようになる。明里が栃木の中学校に入ってからも仲良しのまま文通を続けていたが、1学期の終わりに貴樹の鹿児島への転校が決まる。貴樹は最後に明里に会うため、栃木県の小山の先まで向かうが、彼の乗るJR宇都宮線は記録的な豪雪に見舞われる。 　待ち合わせ時刻がせまり、ひたすら焦りと無力感ばかりがつのる主人公の心境をうまく表したストーリーだ。95％くらいの確率で女性との待ち合わせ時刻に遅れる私ではあるが、そのくせ遅れそうになるとやたらと罪悪感にとらわれる気持ちなど、よく理解できる。中学一年生にとって、一見近い東京-小山間がどれほど高い壁か。二人の距離感と重ねたその設定も絶妙だ。 　光や背景のディテールにこだわりぬいて、ていねいに描きこまれたアニメーションは、主人公の少年の心の動きをしっかりと伝えてくる。ただ、あまりにカット割りが細かすぎて、ちょいと焦りすぎの印象も受ける。せっかくの素敵な絵が、少しも堪能する間もなく次々と消えて行ってしまうのはあまりにもったいない。この監督にはもっと長い上映時間で、ゆったりとした間を持たせた作品づくりが似合うと思う。 　モノローグが多く説明過多な部分も見受けられるが、そうした青臭さもまたひとつの味か。ただし、初恋の相手を愛し続ける純粋な男の気持ちを描いているように見せながら、そのじつそれが強烈な自己愛にすぎぬ事をそれとなく示唆した部分もあり、なかなか一筋縄ではいかない奥深さも感じさせる。いずれにせよ、アニメーションによる人間ドラマとしては、屈指の完成度といえるだろう。 　その新海誠監督は、監督から声優、脚本すべて担当したデビュー作『ほしのこえ』（2002、日）のクォリティの高さでアニメファンを驚かせた逸材で、「後発監督として絵の丁寧さで勝負する」と語るとおり、とんでもなく美しい映像を作り上げる人。 　この『秒速5センチメートル』も、メインスタッフと1年半自分の家にこもって作るという、ずいぶんと職人的なやりかたで作り上げたものだが、まさに人の手による、心のこもった丁寧なアニメーションを1秒1秒堪能できる佳作といえる。短編とはいえこの60分間は、凡百のアニメ作品の何本分にも匹敵するほどの価値があろう。とくに、第三話タイトルバックからの数分間は、ゾクゾクするほどの感動を得ることができる。 　『秒速5センチメートル』は、かつて愛した女性をいまでも忘れられないすべての男性にオススメする、日本アニメの傑作。男は女よりずっとロマンチストであり、センチメンタルなもの。仲良しの女の子へ久々にメールしたらあて先不明で戻ってきたとき、そんなことを考える私のような人は、本作を見てそのせつなさにぜひ涙してほしい。]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p class="score-palpitatio">◆山崎まさよしの主題歌の歌詞を笑えない人に（85点）
<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B000QXD9S6/judgepickup-22/"><img src="http://images-jp.amazon.com/images/P/B000QXD9S6.09.MZZZZZZZ.jpg" alt="トキメキたい2009" class="img-left" /></a>
<p>　『秒速5センチメートル』は、一言で言うとアニメ版『時をかける少女』を気に入った人なら、まず間違いなく満足するであろう映画だ。</p>
<span id="more-10374"></span>
<p>　内容は、一人の少女を思い続けた男の十数年間を三話構成で綴った連作短編もので、上映時間は60分間。第一話は主人公の貴樹（声：水橋研二）と明里（声：近藤好美）の小学生時代から始まる。</p>
<p>　舞台は東京の小学校。転校を繰り返してきた二人は、互いの境遇の類似からやがて特別な思いを寄せ合うようになる。明里が栃木の中学校に入ってからも仲良しのまま文通を続けていたが、1学期の終わりに貴樹の鹿児島への転校が決まる。貴樹は最後に明里に会うため、栃木県の小山の先まで向かうが、彼の乗るJR宇都宮線は記録的な豪雪に見舞われる。</p>
<p>　待ち合わせ時刻がせまり、ひたすら焦りと無力感ばかりがつのる主人公の心境をうまく表したストーリーだ。95％くらいの確率で女性との待ち合わせ時刻に遅れる私ではあるが、そのくせ遅れそうになるとやたらと罪悪感にとらわれる気持ちなど、よく理解できる。中学一年生にとって、一見近い東京-小山間がどれほど高い壁か。二人の距離感と重ねたその設定も絶妙だ。</p>
<p>　光や背景のディテールにこだわりぬいて、ていねいに描きこまれたアニメーションは、主人公の少年の心の動きをしっかりと伝えてくる。ただ、あまりにカット割りが細かすぎて、ちょいと焦りすぎの印象も受ける。せっかくの素敵な絵が、少しも堪能する間もなく次々と消えて行ってしまうのはあまりにもったいない。この監督にはもっと長い上映時間で、ゆったりとした間を持たせた作品づくりが似合うと思う。</p>
<p>　モノローグが多く説明過多な部分も見受けられるが、そうした青臭さもまたひとつの味か。ただし、初恋の相手を愛し続ける純粋な男の気持ちを描いているように見せながら、そのじつそれが強烈な自己愛にすぎぬ事をそれとなく示唆した部分もあり、なかなか一筋縄ではいかない奥深さも感じさせる。いずれにせよ、アニメーションによる人間ドラマとしては、屈指の完成度といえるだろう。</p>
<p>　その新海誠監督は、監督から声優、脚本すべて担当したデビュー作『ほしのこえ』（2002、日）のクォリティの高さでアニメファンを驚かせた逸材で、「後発監督として絵の丁寧さで勝負する」と語るとおり、とんでもなく美しい映像を作り上げる人。</p>
<p>　この『秒速5センチメートル』も、メインスタッフと1年半自分の家にこもって作るという、ずいぶんと職人的なやりかたで作り上げたものだが、まさに人の手による、心のこもった丁寧なアニメーションを1秒1秒堪能できる佳作といえる。短編とはいえこの60分間は、凡百のアニメ作品の何本分にも匹敵するほどの価値があろう。とくに、第三話タイトルバックからの数分間は、ゾクゾクするほどの感動を得ることができる。</p>
<p>　『秒速5センチメートル』は、かつて愛した女性をいまでも忘れられないすべての男性にオススメする、日本アニメの傑作。男は女よりずっとロマンチストであり、センチメンタルなもの。仲良しの女の子へ久々にメールしたらあて先不明で戻ってきたとき、そんなことを考える私のような人は、本作を見てそのせつなさにぜひ涙してほしい。</p>]]></content:encoded>
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		<title>魔法にかけられて</title>
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		<pubDate>Fri, 30 Oct 2009 09:51:03 +0000</pubDate>
		<dc:creator>映画ジャッジ</dc:creator>
				<category><![CDATA[トキメキたい2009]]></category>

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		<description><![CDATA[◆本家ディズニーがセルフパロディ（85点） 　『魔法にかけられて』は、ディズニー映画やTDR大好きなアナタがみたら、ショックで椅子から転げ落ちるか、腹を抱えて大笑いするかのどちらかという大問題作だ。 　魔法の国&#34;アンダレーシア&#34;の森で暮らすジゼル（声：エイミー・アダムス）。やがて夢に見た王子（声：ジェームズ・マースデン）と出会い、結婚を目前にした彼女は、魔女（声：スーザン・サランドン）にだまされおそろしい国へと続く穴の中へ突き落とされてしまう。 　伝統回帰の手描きフルアニメーションはさすが天下のディズニー、うっとりするような美しさ。だが、かわいらしいお姫様が魔女に追いやられた「永遠の愛など存在しない国」は……なんと現代のニューヨークであった。 　そこから突然実写になるという、とんでもない展開。 　顔にシミひとつない美少女だったアニメのお姫様は、三十路過ぎの肌ガサガサな（それでも一応）女の子に。真っ白なドレスは歩くたびに薄汚れ、得意の歌をはじめれば周りから変質者扱い。 　ディズニーが長年かけて作り上げた&#34;御伽噺のお約束&#34;が、ここでは一切通じない。そんな自虐的ギャグの数々には、ここまでやるのかと驚かされる。 　これにはメリーポピンズも白雪姫も真っ青。とくにジゼルが美しい声で歌い、動物たちと一緒に部屋を掃除する場面は必見。必死にこらえていた私だが、結局笑いをとめる事ができなかった。これはあまりにもひどい（褒めている）。 　本家が、こんなに徹底したセルフパロディをやったら、これまで彼らをパロっていた人々は面目形無しだ。とくに、アンチディズニーの意をこめ『シュレック』シリーズを作っているドリームワークスのアニメ関係者などは、立つ瀬もなかろう。 　しかもこれ、まるで手抜きがない。ぱっと思いついたアイデアを、安直に映像化したものとは違う。実写VFXアクション、アドベンチャー、アニメーション、ファンタジー、そしてロマンティックコメディーと、もてる引き出しをすべて使い切った全力投球で、きわめて完成度も高い。もちろん、全米一位ももぎとった。 　なんといっても、セルフパロディでありながら、最後はきっちり社是通りの感動ロマンティックエンドにまとめあげる手腕には、脱帽である。 　ジュリー・アンドリュースほか歴代のディズニーヒロインを演じた女優たちもチラリと出演、各種アニメーション作品からの引用も多く、熱烈なファンならなおさら楽しめる。 　思いつく限りの最近のディズニーアニメ（実写映画）で、本作ほど大人にすすめたいと思ったものはない。冗談のわかるディズニーファンにとっては、絶対必見の傑作と断言する。]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p class="score-palpitatio">◆本家ディズニーがセルフパロディ（85点）
<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B002L22FTO/judgepickup-22/"><img src="http://images-jp.amazon.com/images/P/B002L22FTO.09.MZZZZZZZ.jpg" alt="トキメキたい2009" class="img-left" /></a>
<p>　『魔法にかけられて』は、ディズニー映画やTDR大好きなアナタがみたら、ショックで椅子から転げ落ちるか、腹を抱えて大笑いするかのどちらかという大問題作だ。</p>
<span id="more-10371"></span>
<p>　魔法の国&quot;アンダレーシア&quot;の森で暮らすジゼル（声：エイミー・アダムス）。やがて夢に見た王子（声：ジェームズ・マースデン）と出会い、結婚を目前にした彼女は、魔女（声：スーザン・サランドン）にだまされおそろしい国へと続く穴の中へ突き落とされてしまう。</p>
<p>　伝統回帰の手描きフルアニメーションはさすが天下のディズニー、うっとりするような美しさ。だが、かわいらしいお姫様が魔女に追いやられた「永遠の愛など存在しない国」は……なんと現代のニューヨークであった。</p>
<p>　そこから突然実写になるという、とんでもない展開。</p>
<p>　顔にシミひとつない美少女だったアニメのお姫様は、三十路過ぎの肌ガサガサな（それでも一応）女の子に。真っ白なドレスは歩くたびに薄汚れ、得意の歌をはじめれば周りから変質者扱い。</p>
<p>　ディズニーが長年かけて作り上げた&quot;御伽噺のお約束&quot;が、ここでは一切通じない。そんな自虐的ギャグの数々には、ここまでやるのかと驚かされる。</p>
<p>　これにはメリーポピンズも白雪姫も真っ青。とくにジゼルが美しい声で歌い、動物たちと一緒に部屋を掃除する場面は必見。必死にこらえていた私だが、結局笑いをとめる事ができなかった。これはあまりにもひどい（褒めている）。</p>
<p>　本家が、こんなに徹底したセルフパロディをやったら、これまで彼らをパロっていた人々は面目形無しだ。とくに、アンチディズニーの意をこめ『シュレック』シリーズを作っているドリームワークスのアニメ関係者などは、立つ瀬もなかろう。</p>
<p>　しかもこれ、まるで手抜きがない。ぱっと思いついたアイデアを、安直に映像化したものとは違う。実写VFXアクション、アドベンチャー、アニメーション、ファンタジー、そしてロマンティックコメディーと、もてる引き出しをすべて使い切った全力投球で、きわめて完成度も高い。もちろん、全米一位ももぎとった。</p>
<p>　なんといっても、セルフパロディでありながら、最後はきっちり社是通りの感動ロマンティックエンドにまとめあげる手腕には、脱帽である。</p>
<p>　ジュリー・アンドリュースほか歴代のディズニーヒロインを演じた女優たちもチラリと出演、各種アニメーション作品からの引用も多く、熱烈なファンならなおさら楽しめる。</p>
<p>　思いつく限りの最近のディズニーアニメ（実写映画）で、本作ほど大人にすすめたいと思ったものはない。冗談のわかるディズニーファンにとっては、絶対必見の傑作と断言する。</p>]]></content:encoded>
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		<title>ホリデイ</title>
		<link>http://www.cinemaonline.jp/dvd-ranking2009/palpitatio2009/10370.html</link>
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		<pubDate>Fri, 30 Oct 2009 09:50:46 +0000</pubDate>
		<dc:creator>映画ジャッジ</dc:creator>
				<category><![CDATA[トキメキたい2009]]></category>

		<guid isPermaLink="false">http://www.cinemaonline.jp/?p=10370</guid>
		<description><![CDATA[◆主演4人の誰かのファンの人に（60点） 　いまどきラブストーリーなどというものは、その骨格はどれも同じであとはどう装飾するかだけが勝負といっても過言ではない。とくにハリウッドには、この手の映画にぴったりな世界的人気のあるスターが多数いるから、あとはいかに変わった（ロマンティックな）シチュエーションを用意するかが問題となる。 　当代きっての4大人気俳優によるWカップルラブストーリー「ホリデイ」は、その題材として「ホームエクスチェンジ」を前面に持ってきた。これは、遠く離れた他人同士がインターネットを介在し、お互いの家を一定期間交換しあうという旅行形態の事だ。 　ヒロインの一人アイリス（ケイト・ウィンスレット）はロンドン郊外に住む新聞記者。便利な女扱いされながらも、いまだに元カレへの未練が捨てきれない。もう一人のヒロインアマンダ（キャメロン・ディアス）は、ビバリーヒルズ在住の会社社長。イケメン彼氏の浮気が発覚して別れたばかり。二人はネット上で知り合い、ホームエクスチェンジを行うことに。 　ここでいうホームエクスチェンジの面白いところは、車から何から丸ごと交換してしまうという点。しかも彼らの場合、互いの人間関係の一部まで引き受けることになる。そこから先は大方の予想通り二人とも新しいオトコと出会い、なにやら恋らしきものが始まる……というわけだ。 　他人には見せられぬ恥ずかしいモノ多数な私などは、セカンドハウス同士ならいざ知らず、自宅を交換するなどという発想には到底ついていけないものがあるが、欧米では50年代から連綿と続く歴史があるという。最近ではインターネットの普及で相手を見つけやすくなったという事もあるようだ。 　ためしにその手のサービスをやっている海外のウェブサイトを覗いてみると、決まってこの映画の話題で盛り上がっているあたりが笑える。それはそうだ、アイリスなどはビバリーヒルズの豪邸と高級車、さらに自分の仕事につながりそうなアマンダ人脈とやさしい彼氏（ジャック・ブラック）まで手に入れてしまうのだから。大金持ちと出会う娼婦の物語「プリティ・ウーマン」とはまた違った、妄想大爆裂なファンタジーとしてこれはたまらない。 　一方アマンダのほうも、傷心を癒すには最適な田舎の素朴な家と、普段つきあっている浮気っぽいセレブリティな男どもとは違う誠実な男性（ジュード・ロウ）と出会い、人生の転機を迎えることになり万々歳。これぞまさに、人生のトレーディングカードとでもいうべき完璧な組み合わせである。 　むろん、そんな一言では言い表せぬ紆余曲折がそこにはある。途中で出会う男二人には隠された陰の一面があり、それは30代同士の人間関係＝恋愛には不可欠な深みをもたらしている。互いの立場を受け入れ、適切な距離感を保つことの重要さをそれとなく提示しているというわけだ。「ホリデイ」はラブコメではなくもうちょいマジメな感動恋愛映画であるから、そういう「深み」というものは大事だ。 　とはいえ、各キャラクターはそれぞれの俳優をイメージして脚本が書かれたということで、まったく意外性はない。むしろキャメロンもケイトも、キャメロンとケイトにしか見えず、興ざめする一面もある。4人が騒いでいる場面など、撮影終了後の内輪な打ち上げにしか見えない。そういう意味ではこの映画、人間が描けているとは言いがたい。 　それでもこの4人のスターには強いオーラがありそれだけで魅せてくれるのだが、平凡で陳腐なセリフ、先が読めすぎなストーリー、そして長い上映時間のため徐々に退屈してくる。基本的に一本道なうえ、とってつけたようなお涙頂戴話（老脚本家のエピソードなど）も余計で、どうにも洗練されていない。こうなるとむしろ、90分の軽いロマコメにした方がよかったのでは、という気すらしてくる。 　ところどころ泣ける場面はないでもないが、そんなわけで全体的に底が浅い。それを、ハリウッド大作ならではの力技で強引に纏め上げた点はさすがであるが。この4人の中で一人でもお気に入りの役者がいれば、十分許せる程度の出来にはなっている。]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p class="score-palpitatio">◆主演4人の誰かのファンの人に（60点）
<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B0026P1KPG/judgepickup-22/"><img src="http://images-jp.amazon.com/images/P/B0026P1KPG.09.MZZZZZZZ.jpg" alt="トキメキたい2009" class="img-left" /></a>
<p>　いまどきラブストーリーなどというものは、その骨格はどれも同じであとはどう装飾するかだけが勝負といっても過言ではない。とくにハリウッドには、この手の映画にぴったりな世界的人気のあるスターが多数いるから、あとはいかに変わった（ロマンティックな）シチュエーションを用意するかが問題となる。</p>
<span id="more-10370"></span>
<p>　当代きっての4大人気俳優によるWカップルラブストーリー「ホリデイ」は、その題材として「ホームエクスチェンジ」を前面に持ってきた。これは、遠く離れた他人同士がインターネットを介在し、お互いの家を一定期間交換しあうという旅行形態の事だ。</p>
<p>　ヒロインの一人アイリス（ケイト・ウィンスレット）はロンドン郊外に住む新聞記者。便利な女扱いされながらも、いまだに元カレへの未練が捨てきれない。もう一人のヒロインアマンダ（キャメロン・ディアス）は、ビバリーヒルズ在住の会社社長。イケメン彼氏の浮気が発覚して別れたばかり。二人はネット上で知り合い、ホームエクスチェンジを行うことに。</p>
<p>　ここでいうホームエクスチェンジの面白いところは、車から何から丸ごと交換してしまうという点。しかも彼らの場合、互いの人間関係の一部まで引き受けることになる。そこから先は大方の予想通り二人とも新しいオトコと出会い、なにやら恋らしきものが始まる……というわけだ。</p>
<p>　他人には見せられぬ恥ずかしいモノ多数な私などは、セカンドハウス同士ならいざ知らず、自宅を交換するなどという発想には到底ついていけないものがあるが、欧米では50年代から連綿と続く歴史があるという。最近ではインターネットの普及で相手を見つけやすくなったという事もあるようだ。</p>
<p>　ためしにその手のサービスをやっている海外のウェブサイトを覗いてみると、決まってこの映画の話題で盛り上がっているあたりが笑える。それはそうだ、アイリスなどはビバリーヒルズの豪邸と高級車、さらに自分の仕事につながりそうなアマンダ人脈とやさしい彼氏（ジャック・ブラック）まで手に入れてしまうのだから。大金持ちと出会う娼婦の物語「プリティ・ウーマン」とはまた違った、妄想大爆裂なファンタジーとしてこれはたまらない。</p>
<p>　一方アマンダのほうも、傷心を癒すには最適な田舎の素朴な家と、普段つきあっている浮気っぽいセレブリティな男どもとは違う誠実な男性（ジュード・ロウ）と出会い、人生の転機を迎えることになり万々歳。これぞまさに、人生のトレーディングカードとでもいうべき完璧な組み合わせである。</p>
<p>　むろん、そんな一言では言い表せぬ紆余曲折がそこにはある。途中で出会う男二人には隠された陰の一面があり、それは30代同士の人間関係＝恋愛には不可欠な深みをもたらしている。互いの立場を受け入れ、適切な距離感を保つことの重要さをそれとなく提示しているというわけだ。「ホリデイ」はラブコメではなくもうちょいマジメな感動恋愛映画であるから、そういう「深み」というものは大事だ。</p>
<p>　とはいえ、各キャラクターはそれぞれの俳優をイメージして脚本が書かれたということで、まったく意外性はない。むしろキャメロンもケイトも、キャメロンとケイトにしか見えず、興ざめする一面もある。4人が騒いでいる場面など、撮影終了後の内輪な打ち上げにしか見えない。そういう意味ではこの映画、人間が描けているとは言いがたい。</p>
<p>　それでもこの4人のスターには強いオーラがありそれだけで魅せてくれるのだが、平凡で陳腐なセリフ、先が読めすぎなストーリー、そして長い上映時間のため徐々に退屈してくる。基本的に一本道なうえ、とってつけたようなお涙頂戴話（老脚本家のエピソードなど）も余計で、どうにも洗練されていない。こうなるとむしろ、90分の軽いロマコメにした方がよかったのでは、という気すらしてくる。</p>
<p>　ところどころ泣ける場面はないでもないが、そんなわけで全体的に底が浅い。それを、ハリウッド大作ならではの力技で強引に纏め上げた点はさすがであるが。この4人の中で一人でもお気に入りの役者がいれば、十分許せる程度の出来にはなっている。</p>]]></content:encoded>
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		<title>お買いもの中毒な私！</title>
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		<pubDate>Fri, 30 Oct 2009 09:48:49 +0000</pubDate>
		<dc:creator>映画ジャッジ</dc:creator>
				<category><![CDATA[トキメキたい2009]]></category>

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		<description><![CDATA[◆意外な社会派ロマコメ（85点） 　世界最強のプロデューサー、ジェリー・ブラッカイマー（「アルマゲドン」「パール・ハーバー」等々）が製作するこのロマコメは、一見スィートな女の子向けでありながら、よく見るといかにも男が作ったような骨太さを感じさせるユニークな一品となった。 　レベッカ・ブルームウッド（アイラ・フィッシャー）は、生来のお買い物好きがたたり、いまやカード破産寸前。一念発起して、憧れのファッション雑誌社の面接にチャレンジするが、得意のハッタリ全開の結果、受かったのはなんと経済専門誌。はたして彼女は、自らの正体を隠しきれるのか。 　どう考えても最も不適切な人材を採ってしまった経済誌の運命やいかに、といったところ。無責任男ならぬ無責任ギャルの口八丁に乗せられて、お堅い業界人たちが翻弄される様子が楽しい。 　カードで買いまくって後でひーひー言うなんて、なんてムカつくバカ女だ！　と思いそうなものだが、この主人公はどこか憎めない。ファーストシーンで、彼女自身が小さいころの話をするのだが、そのあたりから一気に観客の共感をかき集めてしまう。これは主演女優アイラ・フィッシャーの持つ天性の感じのよさ、およびＰ・Ｊ・ホーガン監督の手腕によるものだ。 　とくに、劇伴音楽をノンストップでつなぎ、必要に応じてボリュームをも調整していくテンポのいい編集が冴えている。パトリシア・フィールド（『SATC』シリーズや『プラダを着た悪魔』を担当した人気デザイナー）が原宿等で買い集めた、かわいい洋服の数々が、こちらをさらに楽しい気分にさせる。なんでもアイラ・フィッシャーは小柄なので、日本サイズがぴったりなんだそうだ。 　そして何より私が気に入ったのが、この映画がとてもわかりやすいアメリカ風刺になっている点。ご存知のとおり、アメリカという国は世界中から借金してものを買いまくる事で、経済をまわしている。たとえどんなに赤字になろうが、ドルが世界の決済通貨である限り、紙幣をすりまくればそれで無問題。バブルがはじけてもアメリカの借金を返すのは世界の人々（とくに日本人）、という錬金術が成り立っていた。 　それがいよいよ破綻しはじめたのが昨今の状況であり、この映画の主人公だ。そうした苦境を受け、彼女が最後にする選択は、映画的快感度の高いものであるから、ぜひ劇場でご確認を。 　笑いまくり、あとでホロリとさせ、ちょっぴり社会派な隠しテーマも内包する。女性はもちろん、男性にも自信を持ってすすめられるオススメ品だ。]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p class="score-palpitatio">◆意外な社会派ロマコメ（85点）
<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B002J931RE/judgepickup-22/"><img src="http://images-jp.amazon.com/images/P/B002J931RE.09.MZZZZZZZ.jpg" alt="トキメキたい2009" class="img-left" /></a>
<p>　世界最強のプロデューサー、ジェリー・ブラッカイマー（「アルマゲドン」「パール・ハーバー」等々）が製作するこのロマコメは、一見スィートな女の子向けでありながら、よく見るといかにも男が作ったような骨太さを感じさせるユニークな一品となった。</p>
<span id="more-10369"></span>
<p>　レベッカ・ブルームウッド（アイラ・フィッシャー）は、生来のお買い物好きがたたり、いまやカード破産寸前。一念発起して、憧れのファッション雑誌社の面接にチャレンジするが、得意のハッタリ全開の結果、受かったのはなんと経済専門誌。はたして彼女は、自らの正体を隠しきれるのか。</p>
<p>　どう考えても最も不適切な人材を採ってしまった経済誌の運命やいかに、といったところ。無責任男ならぬ無責任ギャルの口八丁に乗せられて、お堅い業界人たちが翻弄される様子が楽しい。</p>
<p>　カードで買いまくって後でひーひー言うなんて、なんてムカつくバカ女だ！　と思いそうなものだが、この主人公はどこか憎めない。ファーストシーンで、彼女自身が小さいころの話をするのだが、そのあたりから一気に観客の共感をかき集めてしまう。これは主演女優アイラ・フィッシャーの持つ天性の感じのよさ、およびＰ・Ｊ・ホーガン監督の手腕によるものだ。</p>
<p>　とくに、劇伴音楽をノンストップでつなぎ、必要に応じてボリュームをも調整していくテンポのいい編集が冴えている。パトリシア・フィールド（『SATC』シリーズや『プラダを着た悪魔』を担当した人気デザイナー）が原宿等で買い集めた、かわいい洋服の数々が、こちらをさらに楽しい気分にさせる。なんでもアイラ・フィッシャーは小柄なので、日本サイズがぴったりなんだそうだ。</p>
<p>　そして何より私が気に入ったのが、この映画がとてもわかりやすいアメリカ風刺になっている点。ご存知のとおり、アメリカという国は世界中から借金してものを買いまくる事で、経済をまわしている。たとえどんなに赤字になろうが、ドルが世界の決済通貨である限り、紙幣をすりまくればそれで無問題。バブルがはじけてもアメリカの借金を返すのは世界の人々（とくに日本人）、という錬金術が成り立っていた。</p>
<p>　それがいよいよ破綻しはじめたのが昨今の状況であり、この映画の主人公だ。そうした苦境を受け、彼女が最後にする選択は、映画的快感度の高いものであるから、ぜひ劇場でご確認を。</p>
<p>　笑いまくり、あとでホロリとさせ、ちょっぴり社会派な隠しテーマも内包する。女性はもちろん、男性にも自信を持ってすすめられるオススメ品だ。</p>]]></content:encoded>
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		<title>Gガール 破壊的な彼女</title>
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		<pubDate>Fri, 30 Oct 2009 09:47:50 +0000</pubDate>
		<dc:creator>映画ジャッジ</dc:creator>
				<category><![CDATA[トキメキたい2009]]></category>

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		<description><![CDATA[◆ユマ・サーマン36歳のアイドル映画（75点） 　この映画の魅力を知ってもらうにはどこかで予告編を見てもらうのが手っ取り早いのだろうが、残念ながら本編の面白いところをほとんど出してしまっているので、先に見るのはよしたほうがいい。予告編を事前に見るなとは矛盾もいいところだが、映画本体をより楽しむためには仕方がない。 　いまニューヨークには、あらゆる事故、事件から市民を守る謎のスーパーヒーロー、いやヒロインがいる。Gガールと呼ばれる彼女（ユマ・サーマン）は、長身にブロンドヘアをなびかせ、音速並の速さでどこかから飛んでくる。そして無敵のパワーですべてを解決してしまうのだ。そんなGガールも普段は地味なニューヨーカー。そして、そうとは知らずに近づいてきたやさしげな男性（ルーク・ウィルソン）と恋をしてしまう。 　さて、ここまでなら「スーパーマン」の男女入れ替え版といった趣だが、このあとの展開が凄い。当初はカノジョがGガールと知り大喜びしていたはずの男も、やがてその超人級の性欲と束縛欲に嫌気が差してしまうのだ。そして、やっぱり普通の女性がいいとばかりに身近な同僚といい仲になっていく。 　ところがどっこい、立場上ただでさえ相手が見つかりにくいGガール。やっとつかまえたボーイフレンドをそう簡単に手放すわけがない。かくして男は、世界でもっとも恐ろしい元カノから逃げるという、恐怖の修羅場を体験するハメになるわけだ。 　基本的にはコメディーだが、バカ映画的な笑いではない。相当風変わりなヒーローものだし、一瞬で裸になって着替えてしまうといったVFXの使い方もユニークだが、決してふざけすぎはしない。あくまで会話のやり取りで笑わせるという、コメディ映画としての背骨部分を重視してある。 　スーパーヒーローと夜空を飛びながら空中でエッチするなんていう、夢あふれる素敵な場面もあるが、全体的には思いつきや設定に頼ってウケを狙うというレベルで終わってはいない。アイデアをきちんと煮詰めてあるなと感じられる。本来この手のキワモノは、劇場未公開でビデオ発売のみという形になってもおかしくないが、結果的にそうならなかったのは、この完成度の高さが要因のひとつかと思われる。確かにこの面白さは、映画館でこそ見てほしい。 　激情型で凶暴な、ある意味魅力的なスーパーヒロインを演じるユマ・サーマンがとてもいい。怒りまくっていたのに、彼氏が謝りに来ると思わず許してしまう。そんな（単純だけど）かわいいオンナの一面を上手に出している。 　彼女のライバルとなる人間界？の女の子を演じるアンナ・ファリスもまたいい。彼女は「最終絶叫計画」から続く一連のシリーズでヒロインを演じたキュートな女優だが、Gガールとは対照的な「物分りのいい女の子」がよく似合う。ユマ・サーマンのアクの強いキャラクターに押されることもなく、堂々たる存在感を示す。 　『Gガール　破壊的な彼女』は、笑いとちょっとのお色気と、迫力たっぷりの女アクションが楽しめる（主にMっ気のある）男性向けの一本。ユマ・サーマンの魅力が大爆発、かわいい36歳のアイドル映画だ。]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p class="score-palpitatio">◆ユマ・サーマン36歳のアイドル映画（75点）
<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B001EI5M4Q/judgepickup-22/"><img src="http://images-jp.amazon.com/images/P/B001EI5M4Q.09.MZZZZZZZ.jpg" alt="トキメキたい2009" class="img-left" /></a>
<p>　この映画の魅力を知ってもらうにはどこかで予告編を見てもらうのが手っ取り早いのだろうが、残念ながら本編の面白いところをほとんど出してしまっているので、先に見るのはよしたほうがいい。予告編を事前に見るなとは矛盾もいいところだが、映画本体をより楽しむためには仕方がない。</p>
<span id="more-10368"></span>
<p>　いまニューヨークには、あらゆる事故、事件から市民を守る謎のスーパーヒーロー、いやヒロインがいる。Gガールと呼ばれる彼女（ユマ・サーマン）は、長身にブロンドヘアをなびかせ、音速並の速さでどこかから飛んでくる。そして無敵のパワーですべてを解決してしまうのだ。そんなGガールも普段は地味なニューヨーカー。そして、そうとは知らずに近づいてきたやさしげな男性（ルーク・ウィルソン）と恋をしてしまう。</p>
<p>　さて、ここまでなら「スーパーマン」の男女入れ替え版といった趣だが、このあとの展開が凄い。当初はカノジョがGガールと知り大喜びしていたはずの男も、やがてその超人級の性欲と束縛欲に嫌気が差してしまうのだ。そして、やっぱり普通の女性がいいとばかりに身近な同僚といい仲になっていく。</p>
<p>　ところがどっこい、立場上ただでさえ相手が見つかりにくいGガール。やっとつかまえたボーイフレンドをそう簡単に手放すわけがない。かくして男は、世界でもっとも恐ろしい元カノから逃げるという、恐怖の修羅場を体験するハメになるわけだ。</p>
<p>　基本的にはコメディーだが、バカ映画的な笑いではない。相当風変わりなヒーローものだし、一瞬で裸になって着替えてしまうといったVFXの使い方もユニークだが、決してふざけすぎはしない。あくまで会話のやり取りで笑わせるという、コメディ映画としての背骨部分を重視してある。</p>
<p>　スーパーヒーローと夜空を飛びながら空中でエッチするなんていう、夢あふれる素敵な場面もあるが、全体的には思いつきや設定に頼ってウケを狙うというレベルで終わってはいない。アイデアをきちんと煮詰めてあるなと感じられる。本来この手のキワモノは、劇場未公開でビデオ発売のみという形になってもおかしくないが、結果的にそうならなかったのは、この完成度の高さが要因のひとつかと思われる。確かにこの面白さは、映画館でこそ見てほしい。</p>
<p>　激情型で凶暴な、ある意味魅力的なスーパーヒロインを演じるユマ・サーマンがとてもいい。怒りまくっていたのに、彼氏が謝りに来ると思わず許してしまう。そんな（単純だけど）かわいいオンナの一面を上手に出している。</p>
<p>　彼女のライバルとなる人間界？の女の子を演じるアンナ・ファリスもまたいい。彼女は「最終絶叫計画」から続く一連のシリーズでヒロインを演じたキュートな女優だが、Gガールとは対照的な「物分りのいい女の子」がよく似合う。ユマ・サーマンのアクの強いキャラクターに押されることもなく、堂々たる存在感を示す。</p>
<p>　『Gガール　破壊的な彼女』は、笑いとちょっとのお色気と、迫力たっぷりの女アクションが楽しめる（主にMっ気のある）男性向けの一本。ユマ・サーマンの魅力が大爆発、かわいい36歳のアイドル映画だ。 </p>]]></content:encoded>
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		<title>今、愛する人と暮らしていますか？</title>
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		<pubDate>Fri, 30 Oct 2009 09:47:09 +0000</pubDate>
		<dc:creator>映画ジャッジ</dc:creator>
				<category><![CDATA[トキメキたい2009]]></category>

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		<description><![CDATA[◆2夫婦が互いの相手と不倫してしまったら？（70点） 　「他人の奥さんはかわいく見える」という人は、他人から自分の奥さんがかわいく見られているという事実に案外気づいていない。 　建築会社の副社長ヨンジュン（イ・ドンゴン）と照明デザイナーのソヨ（ハン・チェヨン）は誰もが認めるセレブなカップル。一方彼らとビジネスでつきあう事になったファッションアドバイザーのユナ（オム・ジョンファ）とその夫でホテルマンのミンジェ（パク・ヨンウ）は、長い恋愛の末一緒になった仲良し庶民夫婦。ひょんな事から互いのパートナーに惹かれあってしまう両カップルの行く末は……？ 　六本木ヒルズのモーニングショーで公開されるこの映画。いいトコの奥様が集いそうなあの場所で、朝っぱらから不倫ドラマとはシャレが効いている。 　しかしこれ、なかなか出来が良い。コメディ要素を含む恋愛ドラマに強い韓国らしい一品で、私は大いに満足した。 　奇をてらった構成はなく、会話場面のバックには小音量でゆったりとした音楽が流れるなど、ライトユーザーへの配慮がうれしい。濡れ場はちょっとだけあるが、カメラマン（というかオトコ）の目線を感じさせない上品なもので、適度に観客をドキドキさせる。 　こうしたテレビドラマ風の見易さに、ちょっぴりフランス映画的な粋なムードをちりばめたカジュアルな作品。女の子（註：35歳以上既婚）同士で見に行くのにぴったりな良作といえるだろう。 　オンナとして燃えるような恋をせぬままお見合い結婚したセレブ妻の方はともかく、心も体も相性バッチリな庶民夫婦の方が浮気をするなんて説得力に欠けるかなと心配したが、そういう事もなかった。ああいうデートをしたら、まあああいうコトになっても不思議じゃないかもね、ってなものだ。 　イ・ドンゴン＆パク・ヨンウの男優二人は好感が持てるし、女優二人もそれぞれが魅力いっぱいで心奪われる。キャスティングもストーリーテリングも的確。見ていて何の違和感、ひっかかりもなく、ソーメンのようにするすると入ってくる。とても心地よい映画だ。 　さて、ありそうでたぶん現実にはほとんど無いダブル不倫。4つの鎖のどこかが本気になればいよいよ破滅も程近い。秘密だったはずの恋愛も、徐々にほころびを見せてくる。はたして誰がどの関係を知っていて、どこから先は知らないのか。いよいよ面白く、いや混乱してきたとき、突然クライマックスが訪れる。 　いったい誰と誰が一緒になるのか？　不倫が勝つのか、それとも元サヤか。その結論の見せ方がじつに良い。この部分は必見だ。 　見終わった後は、この結末について同行者との論議が大いに盛り上がるだろう。時間的にはランチを食べながら、という事になるが、それがまたなんとも健全でよいではないか。]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p class="score-palpitatio">◆2夫婦が互いの相手と不倫してしまったら？（70点）
<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B001CPPUQ6/judgepickup-22/"><img src="http://images-jp.amazon.com/images/P/B001CPPUQ6.09.MZZZZZZZ.jpg" alt="トキメキたい2009" class="img-left" /></a>
<p>　「他人の奥さんはかわいく見える」という人は、他人から自分の奥さんがかわいく見られているという事実に案外気づいていない。</p>
<span id="more-10367"></span>
<p>　建築会社の副社長ヨンジュン（イ・ドンゴン）と照明デザイナーのソヨ（ハン・チェヨン）は誰もが認めるセレブなカップル。一方彼らとビジネスでつきあう事になったファッションアドバイザーのユナ（オム・ジョンファ）とその夫でホテルマンのミンジェ（パク・ヨンウ）は、長い恋愛の末一緒になった仲良し庶民夫婦。ひょんな事から互いのパートナーに惹かれあってしまう両カップルの行く末は……？</p>
<p>　六本木ヒルズのモーニングショーで公開されるこの映画。いいトコの奥様が集いそうなあの場所で、朝っぱらから不倫ドラマとはシャレが効いている。</p>
<p>　しかしこれ、なかなか出来が良い。コメディ要素を含む恋愛ドラマに強い韓国らしい一品で、私は大いに満足した。</p>
<p>　奇をてらった構成はなく、会話場面のバックには小音量でゆったりとした音楽が流れるなど、ライトユーザーへの配慮がうれしい。濡れ場はちょっとだけあるが、カメラマン（というかオトコ）の目線を感じさせない上品なもので、適度に観客をドキドキさせる。</p>
<p>　こうしたテレビドラマ風の見易さに、ちょっぴりフランス映画的な粋なムードをちりばめたカジュアルな作品。女の子（註：35歳以上既婚）同士で見に行くのにぴったりな良作といえるだろう。</p>
<p>　オンナとして燃えるような恋をせぬままお見合い結婚したセレブ妻の方はともかく、心も体も相性バッチリな庶民夫婦の方が浮気をするなんて説得力に欠けるかなと心配したが、そういう事もなかった。ああいうデートをしたら、まあああいうコトになっても不思議じゃないかもね、ってなものだ。</p>
<p>　イ・ドンゴン＆パク・ヨンウの男優二人は好感が持てるし、女優二人もそれぞれが魅力いっぱいで心奪われる。キャスティングもストーリーテリングも的確。見ていて何の違和感、ひっかかりもなく、ソーメンのようにするすると入ってくる。とても心地よい映画だ。</p>
<p>　さて、ありそうでたぶん現実にはほとんど無いダブル不倫。4つの鎖のどこかが本気になればいよいよ破滅も程近い。秘密だったはずの恋愛も、徐々にほころびを見せてくる。はたして誰がどの関係を知っていて、どこから先は知らないのか。いよいよ面白く、いや混乱してきたとき、突然クライマックスが訪れる。</p>
<p>　いったい誰と誰が一緒になるのか？　不倫が勝つのか、それとも元サヤか。その結論の見せ方がじつに良い。この部分は必見だ。</p>
<p>　見終わった後は、この結末について同行者との論議が大いに盛り上がるだろう。時間的にはランチを食べながら、という事になるが、それがまたなんとも健全でよいではないか。</p>]]></content:encoded>
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		<title>007 カジノ・ロワイヤル</title>
		<link>http://www.cinemaonline.jp/dvd-ranking2009/palpitatio2009/10366.html</link>
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		<pubDate>Fri, 30 Oct 2009 09:46:36 +0000</pubDate>
		<dc:creator>映画ジャッジ</dc:creator>
				<category><![CDATA[トキメキたい2009]]></category>

		<guid isPermaLink="false">http://www.cinemaonline.jp/?p=10366</guid>
		<description><![CDATA[◆リアル志向のスパイ映画に立ち返り大成功（80点） 　英国の紳士的なスパイの活躍を描く『007シリーズ』は、これまで色々なやり方でマンネリ打破に挑んできた。それは007が、イアン・フレミングによる原作からの根強いファンを多く抱えるとはいえ、すでに年間有数のビッグバジェットシリーズとなった以上、その期待にこたえつつも、常に若い新しいファンを取り込んでいかねばならない宿命にあるからだ。オジサン相手の古臭い古典と思われたら、そこでシリーズの命運は尽きるのだ。 　そのため、主人公のジェームズ・ボンド役を数作ごとに変更、リフレッシュしたり、話の展開を派手にするなど様々な試みが行われた。しかし、ボンドが宇宙にまで進出したり、VFX満載で人間離れした動きを見せるアクションシーンは、スパイムービーとしての本質を大きく逸脱しており、主演俳優の変更とてその手法自体がマンネリと化すなど、徐々に作品のパワーは失われつつあった。 　しかしそんなこのシリーズの迷走も、この『007／カジノ・ロワイヤル』で終わりだ。満を持して原作第一作目のタイトルをつけた本作のスタッフたちは、近年まれに見る入魂の作として、この最新作を仕上げてきた。 　細かい整合性は気にしない映画版らしく、現代を舞台にしつつも物語は、若き日のボンドが007になった直後、初事件を描くというもの。その任務とは、世界中のテロリストに軍資金を供給する男（マッツ・ミケルセン）の資金源を断つこと。イギリス諜報機関MI6は、男がモンテネグロのカジノ・ロワイヤルに現れるとの情報をつかむと、国家予算をつぎこんだ高額なカードゲームでボンドが大勝負を仕掛け、男を破産させるという計画を打ち立てた。 　冒頭、テロリストをジェームズボンドが追いかけるアクションシークエンスをみただけで、このシリーズのコンセプトが大きく変わったことが観客にわかる。ここでボンドから逃げまくる犯人を演じるのはセバスチャン・フォーカンという、役者ではなくパルクールの第一人者として知られる人物。 　パルクールとは、あらゆる障害物を肉体ひとつで乗り越えて走りまくる新しいスポーツ（？）で、映画ファンなら『YAMAKASI』や『TAXi2』といったフランス映画を想像してもらえば話が早い。階段を10段抜かしで駆け下り、壁は三角跳びで乗り越える。そんな数々の美技を披露するセバスチャン・フォーカンの身体能力と美しさは特筆もので、このシークエンスだけでも十分お金を払う価値がある。 　それにしっかりついていく新ジェームズ・ボンド役ダニエル・クレイグは、劇中何度も裸になることでわかるとおり、見るからにマッチョで若々しい。実際に動ける彼のような役者を使うことで、CGに頼らない本物のアクションシーンをたくさん入れることができたし、それこそがこの人選の大きな理由だったのだなと納得できる。本作のアクションは、それほど見ごたえがある。ちなみに初代ボンドのショーン・コネリーは、若いころにはコンテストにも出場したボディビルダーだったのだから、このマッチョぶりは原点回帰ともいえる。 　もちろん、ボンドならではのダンディな魅力も十分に味わえる。新人スパイということで、まだまだ荒削りな男くささ、ワイルドさを兼ね備えつつも、細身のタキシードの着こなしなど、惚れ惚れとするくらい洗練されていてセクシーだ。本作上映後の映画館からは、きっと背筋を伸ばしたサラリーマンが多数出てくるに違いない。いつもの背広を着ていても、気分だけはジェームズボンドという、心理的コスプレおじさんの微笑ましい姿というやつだ。 　本作に限らず、007シリーズにおける主演俳優のスーツの着こなしは、いつも大きな見所となっている。また、オープニングのタイトルデザインも、いつも奇抜でアイデアにあふれており、そうした部分にも注目してみるのも楽しい。 　ボンドが使う新発明アイテムの数々も、極力荒唐無稽さを抑えた、スパイ映画としてのワクワク感を高める程度のものとなっている。ボンドがスパイとなって初めて人を殺すシーンは、あの彼が動揺を見せるというショッキングな演出。このように、徹底してリアリティを重視した今回のコンセプトは、彼が本気になるロマンス（相手役はエヴァ・グリーン）の感動を大いに高め、結末をドラマティックに盛り上げる。 　『007／カジノ・ロワイヤル』は、まったく新しい、しかしスパイものとしての原点の面白さに立ち返った007映画だ。ヒーローもヒロインも美しく、世界中でロケをした映像は旅行気分をさえ感じさせる。この作品には、人々が娯楽映画に求めるものがすべてある。ここ最近の007映画の中ではもっとも風変わりだが、段違いに力の入った出来栄えであり、ジェームズ・ボンドらしい風格も感じられる。これがヒットすれば次回作以降も同様のものが見られるかと思うと、私としても応援したい気持ちを隠せない。]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p class="score-palpitatio">◆リアル志向のスパイ映画に立ち返り大成功（80点）
<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B0026R9HX6/judgepickup-22/"><img src="http://images-jp.amazon.com/images/P/B0026R9HX6.09.MZZZZZZZ.jpg" alt="トキメキたい2009" class="img-left" /></a>
<p>　英国の紳士的なスパイの活躍を描く『007シリーズ』は、これまで色々なやり方でマンネリ打破に挑んできた。それは007が、イアン・フレミングによる原作からの根強いファンを多く抱えるとはいえ、すでに年間有数のビッグバジェットシリーズとなった以上、その期待にこたえつつも、常に若い新しいファンを取り込んでいかねばならない宿命にあるからだ。オジサン相手の古臭い古典と思われたら、そこでシリーズの命運は尽きるのだ。</p>
<span id="more-10366"></span>
<p>　そのため、主人公のジェームズ・ボンド役を数作ごとに変更、リフレッシュしたり、話の展開を派手にするなど様々な試みが行われた。しかし、ボンドが宇宙にまで進出したり、VFX満載で人間離れした動きを見せるアクションシーンは、スパイムービーとしての本質を大きく逸脱しており、主演俳優の変更とてその手法自体がマンネリと化すなど、徐々に作品のパワーは失われつつあった。</p>
<p>　しかしそんなこのシリーズの迷走も、この『007／カジノ・ロワイヤル』で終わりだ。満を持して原作第一作目のタイトルをつけた本作のスタッフたちは、近年まれに見る入魂の作として、この最新作を仕上げてきた。</p>
<p>　細かい整合性は気にしない映画版らしく、現代を舞台にしつつも物語は、若き日のボンドが007になった直後、初事件を描くというもの。その任務とは、世界中のテロリストに軍資金を供給する男（マッツ・ミケルセン）の資金源を断つこと。イギリス諜報機関MI6は、男がモンテネグロのカジノ・ロワイヤルに現れるとの情報をつかむと、国家予算をつぎこんだ高額なカードゲームでボンドが大勝負を仕掛け、男を破産させるという計画を打ち立てた。</p>
<p>　冒頭、テロリストをジェームズボンドが追いかけるアクションシークエンスをみただけで、このシリーズのコンセプトが大きく変わったことが観客にわかる。ここでボンドから逃げまくる犯人を演じるのはセバスチャン・フォーカンという、役者ではなくパルクールの第一人者として知られる人物。</p>
<p>　パルクールとは、あらゆる障害物を肉体ひとつで乗り越えて走りまくる新しいスポーツ（？）で、映画ファンなら『YAMAKASI』や『TAXi2』といったフランス映画を想像してもらえば話が早い。階段を10段抜かしで駆け下り、壁は三角跳びで乗り越える。そんな数々の美技を披露するセバスチャン・フォーカンの身体能力と美しさは特筆もので、このシークエンスだけでも十分お金を払う価値がある。</p>
<p>　それにしっかりついていく新ジェームズ・ボンド役ダニエル・クレイグは、劇中何度も裸になることでわかるとおり、見るからにマッチョで若々しい。実際に動ける彼のような役者を使うことで、CGに頼らない本物のアクションシーンをたくさん入れることができたし、それこそがこの人選の大きな理由だったのだなと納得できる。本作のアクションは、それほど見ごたえがある。ちなみに初代ボンドのショーン・コネリーは、若いころにはコンテストにも出場したボディビルダーだったのだから、このマッチョぶりは原点回帰ともいえる。</p>
<p>　もちろん、ボンドならではのダンディな魅力も十分に味わえる。新人スパイということで、まだまだ荒削りな男くささ、ワイルドさを兼ね備えつつも、細身のタキシードの着こなしなど、惚れ惚れとするくらい洗練されていてセクシーだ。本作上映後の映画館からは、きっと背筋を伸ばしたサラリーマンが多数出てくるに違いない。いつもの背広を着ていても、気分だけはジェームズボンドという、心理的コスプレおじさんの微笑ましい姿というやつだ。</p>
<p>　本作に限らず、007シリーズにおける主演俳優のスーツの着こなしは、いつも大きな見所となっている。また、オープニングのタイトルデザインも、いつも奇抜でアイデアにあふれており、そうした部分にも注目してみるのも楽しい。</p>
<p>　ボンドが使う新発明アイテムの数々も、極力荒唐無稽さを抑えた、スパイ映画としてのワクワク感を高める程度のものとなっている。ボンドがスパイとなって初めて人を殺すシーンは、あの彼が動揺を見せるというショッキングな演出。このように、徹底してリアリティを重視した今回のコンセプトは、彼が本気になるロマンス（相手役はエヴァ・グリーン）の感動を大いに高め、結末をドラマティックに盛り上げる。</p>
<p>　『007／カジノ・ロワイヤル』は、まったく新しい、しかしスパイものとしての原点の面白さに立ち返った007映画だ。ヒーローもヒロインも美しく、世界中でロケをした映像は旅行気分をさえ感じさせる。この作品には、人々が娯楽映画に求めるものがすべてある。ここ最近の007映画の中ではもっとも風変わりだが、段違いに力の入った出来栄えであり、ジェームズ・ボンドらしい風格も感じられる。これがヒットすれば次回作以降も同様のものが見られるかと思うと、私としても応援したい気持ちを隠せない。 </p>]]></content:encoded>
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		<title>暗いところで待ち合わせ</title>
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		<pubDate>Fri, 30 Oct 2009 09:45:53 +0000</pubDate>
		<dc:creator>映画ジャッジ</dc:creator>
				<category><![CDATA[トキメキたい2009]]></category>

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		<description><![CDATA[◆田中麗奈の演技力と魅力によって傑作となった（75点） 　一人暮らしする盲目の女性の家に、犯罪者が侵入して一方的な同居生活をはじめる。そんな斬新で実感の伴う魅力的な設定を持つミステリの映画化。原作の乙一は17歳という若さでデビューした人気作家で、この原作も彼が23歳のころに出したものだ。 　ヒロインは事故で視力を失った若い女性ミチル（田中麗奈）。やがて最愛の父（岸部一徳）も死に、住み慣れた一軒家で一人暮らしをすることになる。そんなある日、家のすぐ前の駅のホームで、男が突き落とされ死亡する事件がおきる。そしてその直後、警察から追われる在日中国人のアキヒロ（チェン・ボーリン）がミチルの家に忍び込み、彼女の知らぬままその部屋の片隅に息を潜めて座り込むのだった。 　盲目のヒロインが知らぬうちに、殺人事件の容疑者と同居するという奇妙な物語だ。侵入者はしかし彼女の暮らしを乱すことはせず、もちろん危害も加えない。ただ身を潜め、殺人現場の線路を毎日見つめるのみだ。 　アキヒロがやがて、ミチルを見守る存在になっていく過程が面白い。まだ光を失って間もない彼女のあぶなっかしい暮らしぶりを、冷や冷やしながらアキヒロは見ている。実はこの二人、アキヒロは職場でいじめをうける事で、ミチルは光ある世界と断絶される事で、ともに「一人ぼっち」という共通点を持っている。 　視力を失って以来外部との交流を断ち、引きこもるミチル。そんな孤独な彼女の姿に自分と同じものを見て、心の中で応援するアキヒロ。やがて二人がそれぞれ成長を遂げる展開は、心を奥底から暖かくしてくれる感動的なものだ。原作の魅力はおおむね表現できているが、二人が食卓に座るまでの過程の描き方と、ラストの処理をうまくすれば、なお完璧であった。 　何より絶賛したいのが田中麗奈で、これはもう原作で描かれるミチルそのものだ。盲目者としての演技はもちろん、その穏やかな性格、視力がない分純粋に人間の中身をみつめ、受け入れる優しい心を完璧に表現している。髪型や薄めのメークなど、見た目もしっかりと役作りしており、プロ意識を感じさせる。観客は彼女のおかげで、このヒロインに強く感情移入することができる。田中麗奈にとって本作の演技は過去最高であり、作品の出来の良さも考慮すれば、間違いなく代表作と呼ばれる事になろう。 　相手役のチェン・ボーリンも、ムードあるいい役者で文句はない。ただ、この部分はやはり原作の設定どおり、日本人のいじめられっ子でいったほうがよかった。いまどき外国人ハーフというだけでイジメられるというのは考えにくい。となると結局、彼の性格をややゆがんだものに設定するほかはなく、この物語の重要ポイントである「アキヒロへの共感」が観客に起こりにくくなってしまう。また、重要な場面でカタコトの日本語が出てくるのも違和感がある。 　じんときたのは、別れた父の葬儀に来ながら娘に合わせる顔がなく、そのまま帰ろうとする母親に田中麗奈が叫ぶシーン。彼女が&#34;見た&#34;母親は、喪服ではなく思い出の中の白い服を着ている。交互にそれが写されるこの場面の演出は、田中麗奈の真に迫る演技力のおかげもあって強烈な感動を呼ぶ。 　本作は、日本映画としてはかなり上質の部類に入る。ストーリーの面白さと語り口のテンポの良さも、乙一の特徴をそのまま受け継いでいる。孤独な二人の心温まる交流劇。オススメだ。]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p class="score-palpitatio">◆田中麗奈の演技力と魅力によって傑作となった（75点）
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<p>　一人暮らしする盲目の女性の家に、犯罪者が侵入して一方的な同居生活をはじめる。そんな斬新で実感の伴う魅力的な設定を持つミステリの映画化。原作の乙一は17歳という若さでデビューした人気作家で、この原作も彼が23歳のころに出したものだ。</p>
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<p>　ヒロインは事故で視力を失った若い女性ミチル（田中麗奈）。やがて最愛の父（岸部一徳）も死に、住み慣れた一軒家で一人暮らしをすることになる。そんなある日、家のすぐ前の駅のホームで、男が突き落とされ死亡する事件がおきる。そしてその直後、警察から追われる在日中国人のアキヒロ（チェン・ボーリン）がミチルの家に忍び込み、彼女の知らぬままその部屋の片隅に息を潜めて座り込むのだった。</p>
<p>　盲目のヒロインが知らぬうちに、殺人事件の容疑者と同居するという奇妙な物語だ。侵入者はしかし彼女の暮らしを乱すことはせず、もちろん危害も加えない。ただ身を潜め、殺人現場の線路を毎日見つめるのみだ。</p>
<p>　アキヒロがやがて、ミチルを見守る存在になっていく過程が面白い。まだ光を失って間もない彼女のあぶなっかしい暮らしぶりを、冷や冷やしながらアキヒロは見ている。実はこの二人、アキヒロは職場でいじめをうける事で、ミチルは光ある世界と断絶される事で、ともに「一人ぼっち」という共通点を持っている。</p>
<p>　視力を失って以来外部との交流を断ち、引きこもるミチル。そんな孤独な彼女の姿に自分と同じものを見て、心の中で応援するアキヒロ。やがて二人がそれぞれ成長を遂げる展開は、心を奥底から暖かくしてくれる感動的なものだ。原作の魅力はおおむね表現できているが、二人が食卓に座るまでの過程の描き方と、ラストの処理をうまくすれば、なお完璧であった。</p>
<p>　何より絶賛したいのが田中麗奈で、これはもう原作で描かれるミチルそのものだ。盲目者としての演技はもちろん、その穏やかな性格、視力がない分純粋に人間の中身をみつめ、受け入れる優しい心を完璧に表現している。髪型や薄めのメークなど、見た目もしっかりと役作りしており、プロ意識を感じさせる。観客は彼女のおかげで、このヒロインに強く感情移入することができる。田中麗奈にとって本作の演技は過去最高であり、作品の出来の良さも考慮すれば、間違いなく代表作と呼ばれる事になろう。</p>
<p>　相手役のチェン・ボーリンも、ムードあるいい役者で文句はない。ただ、この部分はやはり原作の設定どおり、日本人のいじめられっ子でいったほうがよかった。いまどき外国人ハーフというだけでイジメられるというのは考えにくい。となると結局、彼の性格をややゆがんだものに設定するほかはなく、この物語の重要ポイントである「アキヒロへの共感」が観客に起こりにくくなってしまう。また、重要な場面でカタコトの日本語が出てくるのも違和感がある。</p>
<p>　じんときたのは、別れた父の葬儀に来ながら娘に合わせる顔がなく、そのまま帰ろうとする母親に田中麗奈が叫ぶシーン。彼女が&quot;見た&quot;母親は、喪服ではなく思い出の中の白い服を着ている。交互にそれが写されるこの場面の演出は、田中麗奈の真に迫る演技力のおかげもあって強烈な感動を呼ぶ。</p>
<p>　本作は、日本映画としてはかなり上質の部類に入る。ストーリーの面白さと語り口のテンポの良さも、乙一の特徴をそのまま受け継いでいる。孤独な二人の心温まる交流劇。オススメだ。 </p>]]></content:encoded>
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