キャタピラー - 福本次郎

◆手足だけでなく人間としての誇りまで奪われた男は、己の運命を呪い人生を憎む。旺盛な食欲と性欲が、死にきれなかった彼の希望なき未来を象徴する。映画は、傷痍軍人とその世話をする妻の姿を通じ、人間のエゴの正体に迫る。(70点)

 手足だけでなく誇りまで戦場で奪われてしまった男は、己の運命を呪い人生を憎む。食事も排せつも一人ではできず、その苛立ちは介護する妻に向けられ、まるで何かに復讐しているかのように彼女に辛く当たる。そんな主人公の、帝国軍人として潔く散れなかった後悔よりも、芋虫のようになってでも生きようとする “生”への執念がすさまじい。旺盛な食欲と疲れを知らぬ性欲が、死ぬべき時に死ねなかった彼の希望なき未来を象徴する。物語は、軍神と祭り上げられた傷痍軍人と妻の姿を通じ、人間のエゴの正体に迫る。

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きな子 ~見習い警察犬の物語~ - 渡まち子

◆落ちこぼれペアの奮闘は、思わず応援せずにはいられない(50点)

 思いがけずコンビを組んだ一人と一匹が困難を乗り越えて絆を結ぶ姿は、まるでバディ・ムービーのよう。失敗を相手のせいにせず、互いを補うことこそがパートナーと呼べる証だ。18歳の杏子は警察犬訓練士を目指して入所した訓練所で、ラブラドール・リトリーバーの子犬に出会う。身体が弱く警察犬にはなれないと言われたその子犬を、毛色から“きな子”と命名し、周囲の反対を押し切って「自分がきな子を警察犬にします!」と宣言する。その日から1人と一匹の奮闘の日々が始まった。だが、警察犬試験に何度も失敗するきな子と、きな子を訓練できない自分に失望し、杏子はとうとう訓練所を離れる決心をする…。

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ベスト・キッド - 福本次郎

ベスト・キッド

◆老人が少年にカンフー教える過程で、鍛える目的は己に克つことだと諭し、内面の成長を促すのが心地よい。格闘技を知らない主人公が、トレーニングで技を磨きたくましくなっていく様子が、肉体は嘘をつかないことを証明する。(50点)

 文化の違い言葉の違いそして肌の色の違い。古い伝統と新しい文明が入り混じる北京で、米国から来た少年は誰にも気持ちを理解されない孤独を覚える。自分を主張して周囲に存在をアピールしなければ生き残っていけない故国とは異なり、人間関係が最優先される世界で彼は異分子として徹底的に排除される。それは容赦のない暴力となって彼を襲うが、一方で眠っていた彼の本能を目覚めさせる。老人が少年にカンフー教える過程で、鍛える目的は敵を倒すのではなく己に克つことだと諭し、内面の成長を促すのが心地よい。何より、最初はまったく格闘技を知らなかった主人公が、トレーニングで体を作り技を磨き、みるみるたくましくなっていく様子が、肉体は嘘をつかないことを証明する。

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きな子 ~見習い警察犬の物語~ - 福本次郎

◆落ちこぼれ犬飼育係のヒロインが、犬に育てるには、犬の気持ちを理解してやる気を引き出さなければならないことを学んでいく。愛情を注ぎ、犬の技量の向上とともに訓練士も成長していく過程がほのぼのとしたタッチで描かれる。(50点)

 物覚えが悪く、運動能力も劣り、食も細い。警察犬としてはおよそ素質のない犬を自分で育てようとするヒロイン。「手のかかる子ほどかわいい」といわれるが、落ちこぼれ犬の面倒を見ているうちに彼女もまた、犬に接するには、犬の考えを理解してやる気を引き出さなければならないことを学んでいく。犬の信頼を得るために仕事として世話する以上の愛情を注ぎ、犬の技量の向上とともに訓練士も成長していく過程がほのぼのとしたタッチで描かれる。

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ヤギと男と男と壁と - 渡まち子

◆れっきとした実話がベースなのだが、いったいどこまでが本気…、いや、本当なのかと首をかしげたくなる(60点)

 マジですか?! 思わず確認したくなるのは、米軍に実在したという超能力部隊のお話。米ソにはスーパーナチュラルな力を軍事力として利用するため、研究を重ねてきた歴史があることは知られているが、こんなにも根が明るくノホホンとされては、戦争そのものがバカバカしくみえてくる。2003年、地方紙の記者であるボブは、離婚の痛手から立ち直るべく、スクープを求めてイラク戦争の取材に赴く。偶然クウェートで知り合ったリンという男が、以前取材した、米軍の超能力特殊部隊“新地球軍”所属の軍人と知り、イラクに行くというリンに同行することに。道中、リンは、80年代に設立された超能力部隊の驚くべき歴史を語り始める…。

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ベスト・キッド - 渡まち子

ベスト・キッド

◆壮麗な中国の景色をバックに武道の修行に励む図はそれだけで美しい(65点)

 1985年の同名映画のリメイクだが、舞台を中国に、空手をカンフーに、主人公の年齢を高校生から小学生に変更し、師弟関係と少年の成長を描くカンフー・サクセス・ストーリーだ。アメリカから北京に引っ越してきた12歳の少年ドレは、言葉や文化の違いから新しい環境になじめず地元の少年たちからいじめに遭う。必死に仕返しをしてもさらに手痛いメに遭うドレ。ある日、一見冴えない中年男に見えたアパートの管理人ハンがドレの窮地を救う。カンフーの達人のハンは、なりゆきでドレが出場することになった武術大会に向けて猛特訓を始めるが…。

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ベスト・キッド - 小梶勝男

ベスト・キッド

◆予定調和的なハリウッドの娯楽作にジャッキー・チェンがピタリとはまって、気持ちがいい。上映時間は長すぎるが、端正な出来(69点)

 ジグソーパズルの最後の1ピースがピタリとはまるのは、気持ちのいいものだ。例え完成した絵が凡庸だとしても。

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キャタピラー - 渡まち子

◆若松監督にとって戦争を描いた本作は過去の歴史をより深く総括する、ある種の集大成と言える(70点)

 平和な田園風景を背景に、一組の夫婦の生き様から戦争の愚かしさを炙り出す強烈な反戦映画だ。太平洋戦争末期、シゲ子の夫・久蔵は、盛大な見送りを受けて戦地へと赴くが、手足を失い顔面が焼けただれた姿で帰還する。無残な姿ながら“生ける軍神”として祭り上げられる久蔵。戸惑いながらも軍神の妻として久蔵に尽くすシゲ子。四肢や言葉を失っても食欲と性欲が衰えず、勲章や自らを讃える新聞記事を誇りにする久蔵に、シゲ子は空虚なものを感じ始めていた。やがて二人に敗戦の日が訪れる…。

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ベスト・キッド - 前田有一

ベスト・キッド

◆傑作になりかけたが最後で台無し(65点)

 基本的に、映画はその時代の人々の興味のあることをネタにするものだ。私なら、1970年代のボディビルダー、アーノルド・シュワルツェネッガーやフランコ・コロンブ、マイク・メンツァーらの確執を描いた映画があったら喜んで見に行くが、そんなものを2010年の日本で公開しようとしても、銀座シネパトスですら見向きもしないだろう。

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キャタピラー - 前田有一

◆寺島しのぶの演技と明快な主張が見どころ(65点)

 この作品を語るとき、若松孝二監督は「反戦への思い」を常に強調していた。プロットは、戦場で負傷した夫が手も足も切断され、口もきけない「芋虫=キャタピラー」状態で戻ってくるというショッキングなもの。

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ヤギと男と男と壁と - 前田有一

◆自称「実話」のトンデモ軍隊話(60点)

 右だろうが左だろうが、極端に行き過ぎれば似たようなもの。まず、人は何か政治運動をはじめると、たいてい最後は自分の無力感に気づかされる事になる。ここで理想と現実の折り合いをつけ路線修正できればいいが、それができない一部の人間はどんどん先鋭、過激化し、やがて誰からも支持されなくなる。

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瞳の奥の秘密 - 福本次郎

◆上空からスタジアムを俯瞰するカメラが、容疑者が拘束されるまでをワンショットに収めるシーンは、迷宮で道標を見失ったような物語を一気に現実に引き戻す強烈なインパクト。登場人物の焦燥感や息遣いが映像に焼きつけられる。(80点)

 上空からスタジアムを俯瞰するカメラがそのままフィールドでプレーする選手の頭上をかすめたかと思うと、満員の観客席にいる2人の男をとらえる。
さらに彼らが追う容疑者と共にバックヤードを走った後高い通路から飛び降り、容疑者が拘束されるまでをワンショットに収める。この恐ろしく手間のかかった
シーンは、迷宮で道標を見失ったような物語を一気に現実に引き戻す強烈なインパクト。登場人物の焦燥感や荒い息遣いがテンションの爆発しそうな映像に焼き
つけられる。

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ヤギと男と男と壁と - 福本次郎

◆いい年した大人がばかばかしい事象に真剣に取り組む姿にこっけいさをにじませ、珍奇な信念の先に生みだされるパワーは美しさを感じさせる。自信を失った記者が奇天烈な男を取材するなかで、信じる力で真実を見い出していく。(60点)

 ユアン・マクレガーがジェダイ戦士の講釈を受ける、このシーンだけでつかみはOK。ジョージ・クルーニーの大きく見開いた目でじっと見つめられる
と、魂の奥をのぞきこまれるような不安に襲われ、本当に命が奪われてしまうのではと思わせる。いい年した大人があまりにもばかばかしい事象に真剣に取り組
む姿にこっけいさをにじませ、その半面、珍奇な信念の先に生みだされるパワーは美しさすら感じさせる。映画は自信を失った新聞記者が奇天烈な男を取材する
なかで、疑うより信じる力で真実を見い出していく過程を描く。

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瞳の奥の秘密 - 渡まち子

◆殺人事件が浮き彫りにするのは壮絶な愛と哀しみ。サスペンスとしてもドラマとしても一級の傑作。(95点)

 刑事裁判所を退職したベンハミンは、25年前の未解決事件を題材に小説を書き始める。1974年に起こった残忍な殺人事件は、政治の力でもみ消され、ベンハミンを苦しめたが、事件を思い出すことで封印された愛が蘇ってくる…。

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ベスト・キッド - 岡本太陽

ベスト・キッド

◆「ジャケットかける、ジャケットとる」?(70点)

 「ワックスかける、ワックスとる」ではなく、「ジャケットかける、ジャケットとる」になった84年のリメイク版『ベスト・キッド(原題:THE KARATE KID)』。物語の舞台も中国・北京に移し、異国の地で12歳のアメリカ人の主人公ドレ・パーカー(ジェイデン・スミス)は“カンフー”に魅せられる。「え、空手じゃないの?」と疑問を抱く人も少なくないだろうが、物語の中で主人公の母親が言う様に、そのあたりの事情は「Whatever(どうでもいい)」なのだ。

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