借りぐらしのアリエッティ - 渡まち子

借りぐらしのアリエッティ

© 2010GNDHDDTW

◆小人の少女アリエッティのまなざしで人間の世界を照射する物語。日常のすべてが冒険に思えてくる。(70点)

 郊外の古い屋敷の台所の床下に住み、生活に必要なものは人間から借りて暮らす小人の一家。アリエッティは、ある日、人間に姿を見られてしまう。小人の種族では人間に姿を見られたら引っ越さなくてはいけない掟があった…。

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インセプション - 町田敦夫

インセプション

© 2010 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.

◆クリストファー・ノーランが夢を料理(70点)

 『メメント』では記憶を、『プレステージ』では魔術をテーマに特異な世界を構築してきたクリストファー・ノーラン監督が、次なる題材に選んだのは夢。レオナルド・ディカプリオを主演に迎え、観る者を潜在意識の迷宮へと誘いこむ。

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ガールフレンド・エクスペリエンス - 渡まち子

◆ヒロインは、セックスだけでなく恋人としての役割をもこなしていることから、充実した癒しの時間を売っているとも言える(60点)

 大都会NYで暮らす高級エスコート嬢の日々を、ドキュメンタリータッチで綴る異色作だ。スタイリッシュな映像で、ヒロインの繊細な感情を浮き彫りにしていく。2008年のNY。22歳のチェルシーは、エリートを相手に本物の恋人と過ごすような時間を提供して大金を稼いでいる。常に自分を磨きビジネスもコントロールするチェルシーは、自分の仕事を理解する恋人のクリスとの関係も良好だ。だがある時、心惹かれる男性客が現れて特別な感情を持ってしまう…。

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シュアリー・サムデイ - 前田有一

◆芸能人の戯れ(20点)

 芸能人のように人前に出る仕事をしていると、おのずと自我は肥大し、ときにはおかしな行動をとる人が現れる。空気の読めない主張をしてブログが炎上したり、高慢キャラで映画批評サイトを作ってみたり、刺青に彩られた菊の門をご開陳したりと、その行動内容は多岐に渡る。

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華麗なるアリバイ - 前田有一

◆古典ミステリの映画化だが賞味期限切れ(40点)

 私のようなミステリ好きにとっては、アリバイとか殺人だのといった単語がタイトルにあるだけで興味を引かれる。しかも聞くと本作は、アガサ・クリスティー原作ものだという。クリスティー原作の映画は数は多いが、どうも凡作ばかりの気がして少々心配だが、長編「ホロー荘の殺人」をかなり大胆にアレンジしたということで、それなりの期待を抱いて試写を見た。

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借りぐらしのアリエッティ - 前田有一

借りぐらしのアリエッティ

© 2010GNDHDDTW

◆高品質ではあれど、どうもスッキリしない(60点)

 スタジオジブリのアニメーション作品の質の高さはいまさら言うまでもないが、宮崎駿監督作品のとっつきにくさだけは別格だと私は思っている。ぱっと見そうはみえないものの、この監督の作品はきわめて作家性が強く、毎回解釈に頭を悩まされる羽目になる。それでも物語をおろそかにせず、若々しい感性と高い娯楽性を兼ね備えていたジブリ初期あたりまでの作品は良かったが、最近のものはどうもスッキリ楽しめないというのが私の大まかな印象である。

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エグザム - 前田有一

◆こんな会社があったら嫌だ(70点)

 英国発の傑作サスペンス『エグザム』は、しかし悲しいかな日本ではレイトショー公開である。内容は、非人道的な課題を押し付けるトンデモ企業の採用試験の様子を描いたもので、時節がらシャレにならないリアルさだ。やはりこういう映画こそ、大人が楽しむのにふさわしい。

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樺太1945年夏 氷雪の門 - 前田有一

◆ソ連に圧力をかけつぶされた、貴重な樺太史実映画(70点)

 すでに公開されている反捕鯨お笑いムービー「ザ・コーヴ」だが、いまだにとんでもない内部情報が次々と入ってくる。ウェブでの公開は残念ながら遠慮するが、よくこんなものがアカデミー賞を取れたものだと呆れる話ばかりである。

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レポゼッション・メン - 山口拓朗

◆クライマックスとなるユニオン社内での至近戦は、バイオレンス・アクションファンがヨダレを垂らすであろう壮絶さ(65点)

 舞台は近未来のニューヨーク。世の中には人工臓器が普及し、誰もが「お金さえ払えば」人工臓器を装着することができる。心臓や腎臓、肝臓あたりまでかと思えば、人工臓器メーカーのユニオン社は、眼球や鼓膜、膀胱、関節までラインアップしている。なかには、体のありとあらゆる臓器を人工臓器に替えている強者も。それほど高度な医療技術をもつ医師がどれだけいるのか? 臓器移植による拒絶反応はないのか? そんな疑問に答える気などさらさらなく、映画は人工臓器ビジネスがスタンダード化した世界を描く。

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恐怖 - 福本次郎

◆大脳の特定部位に電気的刺激を与えると、幽体離脱が起きる。幻覚なのか現実なのか、新たな進化のステージととらえる女医とその誘惑から逃れられない若い研修医の葛藤がホラー映画の常識を超えた衝撃を生む、はずだったが・・・。(40点)

 大脳の特定部位に電気的刺激を与えると、幽体離脱が起こる。意識は体内から乖離し、遠く離れた場所の情報を集めて戻ってくる。幻覚なのか現実なのか、人間の新たな進化のステージととらえる女医とその誘惑から逃れられない若い研修医。霊界と現世、生と死のはざまで繰り広げられる母娘の葛藤がホラー映画の常識を超えた衝撃を生む、はずだった。しかし、科学と心霊現象の混同が著しく、肉体と魂の定義も曖昧。何より死後の世界を真っ白な光でごまかしてしまったのがいけなかった。

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トイ・ストーリー3 - 福本次郎

◆無邪気な子供の想像力の中で命と物語を与えられ、その使命を果たすおもちゃたち。彼らの冒険と人間との関係のなかで、持ち主の思い出がしみついたおもちゃは心を持っていると思わせるほど、豊かな感情が描き込まれている。(70点)

 見渡す限りの平原で列車強盗と闘う保安官が宇宙人に囚われる・・・。無邪気な子供の想像力の中で命と物語を与えられ、その使命を果たすおもちゃたち。持ち主が成長するにつれ役割を終えた彼らはゴミとなるか、物置に放り込まれるか、いずれにしてもおもちゃは持ち主が大人になったら必要とされなくなる。そんな、自分たちが「価値のないもの」のレッテルを張られてしまったと誤解するおもちゃたちが哀れだ。彼らの冒険と人間との関係のなかで、持ち主の思い出がしみついたおもちゃは心を持っているのではと思わせるほど、豊かな感情が描き込まれている。

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必死剣鳥刺し - 福本次郎

必死剣鳥刺し

© 2010「必死剣鳥刺し」製作委員会

◆あくまでも寡黙。死ぬべき時に死ねずいまだに生きている居心地の悪さと、救ってもらった恩義、その板挟みになりながらも個を捨て忠義を全うする道を選ぶ武士の魂を、豊川悦司がわずかに背中に感情の一端をのぞかせて表現する。(50点)

 あくまでも寡黙、胸に秘めたる義憤は奥歯をかみしめてこらえる。乱れた世の中に心を痛め、その元凶を取り除くことに自らの最期をゆだねた侍が、運命のいたずらに命をもてあそばれる。死ぬべき時に死ねずいまだに生きている居心地の悪さと、救ってもらった恩義、その板挟みになりながらも個を捨て忠義を全うする道を選ぶ武士の魂を、豊川悦司がわずかに背中に感情の一端をのぞかせる演技で表現する。不可解な人事とその奥に隠された怨念、己の理想に背く命令への苦悩、組織のために捨て石にされる悲哀、そして決して口にできない愛。だれよりも強い正義感を持ちながらも、汚泥にまみれた現実に押しつぶされていく主人公が哀れなほど美しい。

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恐怖 - 渡まち子

◆本当に怖いのは学問や名声より“見えない何かを知りたい”という欲望を膨らませて、家族やついには自分まで使ってタブーの領域に踏み込んでいく母親の狂気(55点)

 世界が認めるジャパニーズ・ホラーの特徴は、何か分からないものが迫ってくる、核のない恐怖を描く点にあるが、本作もその系譜につながる作品だ。脳科学の研究者である太田夫妻は、戦前の満州で行なわれた脳の人体実験のフィルムに映った真っ白で不気味な光を目にするが、二人の幼い娘も偶然にその光を見てしまう。17年後、死への誘惑に取りつかれた姉・みゆきが失踪。姉の行方を捜す妹のかおりは、違法の脳実験を繰り返す母親・悦子と再会する。狂気の母親と二人の姉妹を待ち受けているのは、恐ろしい“もうひとつの現実”だった…。

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Beautiful Islands ビューティフル アイランズ - 福本次郎

◆次第に水浸しになるサンマルコ広場、即席の高架歩道を組み立ている間にも海水は街中に侵入し、市民はゴム長靴にはきかえて対応する。水没しつつあるベネチア、もはや慣れっこになっているのかその光景は日常の延長のようだ。(50点)

 ゴンドラに乗った歌手がギターの伴奏で高らかに歌いあげ、宮殿をそのまま改装し本物の美術品に囲まれたホテルのロビーからは歴史の重みが醸し出され、カーニバルの季節には仮面に素顔を隠した男女がダンスに興じる。そんな中世の街並みと雰囲気を残す水の都にも警報と共に高潮が押し寄せる。次第に水浸しになるサンマルコ広場、街の人々が即席の高架歩道を組み立ている間にも海水は街中に侵入し、ホテルや商店まで蝕むが、市民はゴム長靴にはきかえて対応する。水没しつつあるベネチア、もはや彼らには慣れっこになっているのか、その光景はどこか日常の延長のようだ。破滅は突然やってくるのではなくじわじわと予兆をはらんで忍び寄ってくる、危機感の希薄さが逆にその恐ろしさを増幅する。

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ハングオーバー 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い - 福本次郎

ハングオーバー 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い

© 2009 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved

◆泥酔した挙句しでかしたのは冗談で済まされることなのか、それとも命が狙われるような致命的な失敗なのか。コメディタッチの中にも時折リアルな暴力を盛り込んで、笑うのが後ろめたいという不思議な感覚を味あわせてくれる。(60点)

 泥酔し、二日酔いの頭痛をかかえたまま朝目覚めると、あるべきものが消えていてないべきものが存在する。何が起きたのかまったく覚えておらず、状況を解明するために残された手がかりを集め、失われた記憶の断片を手繰り寄せる。自分たちがしでかしたのは冗談で済まされるのか、それとも命が狙われるような致命的な失敗なのか、映画はコメディタッチの中にも時折リアルな暴力を盛り込んで、本来笑うべきシーンに不吉な予感を漂わせ、腹の底から笑うのが後ろめたいという不思議な感覚を味あわせてくれる。

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