◆愛しているはずなのに、ぎこちない接し方をしてしまう父親。胸の内をうまく伝えられず父親を誤解する息子。映画は、青空に陽光が降り注ぐ南国の明るい風土とは裏腹に、出自を知ってしまった少年の苦悩を拗ねた視線で表現する。(50点)
わが子として愛しているはずなのに、どこかぎこちない接し方をしてしまう。言いつけを守らないときはつい暴力をふるう。そんな、反抗期をむかえた息子の扱いに悩む父親の姿がリアルだ。一方の息子も、胸の内をうまく伝えられず父親を誤解してしまう。そしてすれ違いを繰り返し、お互いの心情に鈍感な父と息子がついに決定的な衝突をしてしまう。映画は、青空に陽光が降り注ぐ南国の明るい風土とは裏腹に、出自を知ってしまった少年の苦悩を拗ねた視線で表現する。その、いつか親に見捨てられるのではないかという、押しつぶされるような切迫感は、戦争で日本に見捨てられて米国の領土となった沖縄の記憶に刻まれた悔しさに起因しているのか。
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◆“パラレルライフ”という強引な理論をテーマにするのはよいのだが、説得力を持たせるディテールに乏しく、謎が謎を呼ぶような展開になっていない。もう少し緻密な構成で脚本を組み立てないと、この手のサスペンスは苦しい。(40点)
リンカーンとケネディ、2人の米国大統領の経歴と死亡状況の共通点から、映画は見る者を“パラレルライフ”に導こうとする。そして現在、殺人犯として取り調べを受ける老教授もまたその存在を数学的に証明しようとする。強引な理論をテーマにするのはよいのだが、この作品は説得力を持たせるディテールに乏しく、謎が謎を呼ぶような展開にしたつもりなのだろうが、結局辻褄が合わずストーリーが破たんしている。もう少しリンカーン=ケネディ以外にも例をあげ、緻密な構成で脚本を組み立てないとこの手のサスペンスは成立しない。
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◆クライマックスの夜の遊園地を舞台にしたアクションは、とにかく見応え抜群(80点)
ルーベン・フライシャーがメガホンを取ったゾンビ・アクション・コメディー。
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◆ゾンビに支配される世界に順応しようという開き直りが映画を明るい印象にする。もちろん、残酷描写はゾンビ映画の王道を行くのだが、主人公のある種間抜けなキャラクターが、かつてないコミカルでユニークな雰囲気を醸し出す。(50点)
ゾンビに脅えて暮らすより、積極的にゾンビ殺しを楽しもう。国中いたるところでゾンビが群れをなし人間の肉を求めてさまようようになった世界、安全な場所が少ないのならばその境遇に順応しようという開き直りが映画を明るい印象にする。もちろん、血しぶきが舞い脳漿が吹き出し内臓が引きちぎられる残酷な描写はゾンビ映画の王道を行くのだが、主人公のある種間抜けなキャラクターと相まって、かつてないコミカルでユニークな雰囲気を醸し出す。
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◆現実には遠い存在である大統領を、庶民的、若さ、女性という3つの要素でぐっと観客に近付けている(55点)
公人である大統領の、私人としての顔を描きながら、やんわりと社会風刺するヒューマンドラマ。半年後に任期を終えるキム大統領は応募したロトで大金が当たるが、公約で全額寄付を宣言していたので、大いに悩む。チャ・ジウクは最年少で大統領に。男やもめの彼は、朝鮮半島をめぐる一触即発の危機と同じくらい、初恋の相手との再会に動揺する。ハン・ギョジャは韓国初の女性大統領。超多忙な妻を支える優しい夫は、ストレスから青瓦台のルールを破り、支持率低下を招いてしまう。責任をとって離婚を切り出すが…。
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◆これほど陽性のゾンビ映画は初めてで、大いに楽しんだ(65点)
ゾンビものなのに妙にさわやかなところが魅力的。ホラー、コメディー、ラブストーリーと、複数のジャンルを盛り込むこの映画は、ゾンビ映画というより青春ロード・ムービーと呼びたい。人類の大半がゾンビと化したアメリカ。オタクで引きこもりの青年コロンバスは、生き残るために独自の32のルールを作って実践していた。故郷へ向かう旅の途中で、ゾンビを殺しまくるマッチョな男タラハシーや、詐欺師姉妹ウィチタとリトルロックらと出会う。4人は、ゾンビがいないと噂されるLAの遊園地“パシフィックランド”を目指すのだが…。
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◆いわゆる難病モノなのだが、病魔と闘う子供たちではなく、ある意味本人たちより心を痛めている彼らの父親にスポットを当てる。感情に訴える湿っぽさよりもアクティブさを強調し、サクセスストーリーとしての爽快感が得られた。(60点)
愛する子供たちが死の病に冒されたとき、両親はその運命を受け入れられるか。担当医も匙を投げる症状なのに、父親はすがるような思いで最先端理論の実用化を目指す。いわゆる難病モノなのだが、映画は病魔と闘う子供たちではなく、ある意味本人たちより心を痛めている彼らの父親にスポットを当て、愛情の深さを行動で示す姿を描く。主人公がパートナーを見つけ、カネを借り、起業して新薬を開発する一面と、なんとか子供たちの命を救いたいという願いが一体となる様子は、感情に訴える湿っぽさよりもアクティブさを強調し、ビジネスにおけるサクセスストーリーとしての爽快感が得られた。
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◆子供の命を救うという目的のため、数々の障害をクリアしていく主人公の現実主義に感服する(60点)
いわゆる難病ものの実話だが、子供の命を救うという目的のため、数々の障害をクリアしていく主人公の現実主義に感服する。エリート・ビジネスマンのジョンには、筋力が低下していく難病・ポンペ病に冒された2人の幼い子供がいた。平均寿命9年といわれるこの病に治療薬はない。あきらめきれないジョンは、ポンペ病の権威のストーンヒル博士の研究に着目。やがて二人は共同で製薬会社を立ち上げるが、彼らの前には多くの困難が待ち受けていた…。
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◆二時間弱のドラマを気楽に楽しめるのが何よりもよろしい(60点)
人気韓流スターのチャン・ドンゴンが四年ぶりに主演した本作は、三人の韓国大統領の素顔に迫った人間ドラマであり、社会風刺を効かせたコメディー作品でもある。
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◆難病ものというよりも経済映画、バディ映画として観たい(65点)
92年作品の『ロレンツォのオイル/命の詩』は、難病の息子を持つニック・ノルティとスーザン・サランドンの夫婦が、「まだ効果が証明されていない」と渋る医師を説得して新薬を試させるという物語だった。日本だったら「功名心にはやる医師が親の反対を押し切って新薬を試す」ということはあっても、その逆はあまり考えられないので、大いに文化の違いを感じたものだ。『小さな命が呼ぶとき』も、『ロレンツォ~』と同様、実話をもとにした物語。ただしこちらの父親は、我が子の治療薬を開発するためだけに、なんと製薬会社を作ってしまう。
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◆アクションあり、ロマンスあり、笑いありの健全ホラー(70点)
映画ライターがどんな映画でも観るかというと、決してそんなことはないわけで、たとえば私はホラーは観ない。理由は簡単、夜ひとりでトイレに行けなくなっちゃうから。今回はそんな恐がりでも安心して観にいけるゾンビ映画をご紹介しよう。何たってこれ、登場人物が不気味なゾンビに食い殺される不健全な映画ではなく、登場人物がゾンビをジャンジャンぶっ殺していく健全な(?)作品。おまけにアクションあり、ロマンスあり、胸を打たれるシーンありの痛快コメディなのですよ。
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◆気持ちのいい連中が活躍する、万人むけ大ヒットゾンビ映画(75点)
ゾンビ映画といえば、娯楽映画のド定番。予算の大小にかかわらず面白いものが作れるし、コメディから恋愛、アクション、サスペンス、セクシー、そしてもちろんホラーと、どんなジャンルの要素も包み込む懐の深さがある。これはもう、ホラーではなく「ゾンビ」というジャンルで捉えたほうがよほどわかりやすい。
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◆笑いもスプラッターもきっちり楽しめるホラー・コメディー(72点)
ゾンビは元々、ブードゥー教の呪術師によって魂を抜かれ、奴隷化された人々だった。このブードゥー・ゾンビは、早くからベラ・ルゴシ主演の「恐怖城」(「ホワイト・ゾンビ」)(1932)などでスクリーンに登場している。ゾンビ自体は自分の欲望を持たず、「支配者」の言いなりになって働くという点で、我々が悪い意味での「共産主義」をイメージするときの、「人民」に近いといえるだろう。
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◆ルールに従って行動すれば、ゾンビのいる世界でもうまくやっていけるさ!(55点)
「新しいゾンビ映画だ!観なきゃ!」と思ってルーベン・フライシャー監督のハリウッド映画『ゾンビランド(原題:ZOMBIELAND)』を観ると、「ふむふむ、ユーモアも利いてて、展開も軽快で、なかなか面白いかも」となる。でも待てよ、この映画は新作のはずだが、どこかで見覚えがある。バランスも良いのに、一体どうして? その理由は、この映画がいろんなゾンビ映画の要素を含んだミックスゾンビ映画だからだ。
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