サバイバル・オブ・ザ・デッド - 福本次郎

◆ゾンビを殺すのは簡単だが、もしそれが愛する家族だったらためらわずに止めを刺せるか。その問いに即答できない人間たちがゾンビを調教しようとする。緊急事態にもかかわらず、自分のプライドにこだわる人間たちの姿が滑稽だ。(50点)

 死人がよみがえって人間を襲うようになった世界、絶海の孤島では「ゾンビは殺すべき」派と「ゾンビを飼いならす派」の二派に分かれて壮絶な主導権争いが起きる。頭部を破壊しないと活動をやめないゾンビを殺すのは簡単だが、もしそれが愛する家族だったらためらわずに止めを刺せるか。その問いに即答できない人間たちがゾンビを鎖につないで調教しようとする。しかし、本筋はあくまで島で勢力を二分する男同士の確執、そこになんの思考や打算もないゾンビが敵味方を問わず歯をむき出しにしてくるからややこしい。そんな緊急事態にもかかわらず、自分のプライドにこだわる人間たちの姿が滑稽だ。

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ソウル・パワー - 福本次郎

◆1974年10月、アリ対フォアマン戦の前座として行われた音楽祭に携わった人々の当時の姿を通じて、時代の熱気を再現する。黒人による黒人のための音楽祭。公民権運動の総仕上げとして、ブラックパワーを世界に向けて誇示する。(50点)

 米国の黒人ミュージシャンが、“故郷”アフリカで大規模な音楽祭を開催する。黒人の黒人による黒人のための音楽祭。公民権運動という第二の奴隷解放を目指すムーブメントの総仕上げとして、ブラックパワーを世界に向けて誇示しようとするのだ。映画は、1974年10月、アリ対フォアマン世紀の一戦の前座として行われたこの音楽祭に携わった人々の当時の姿を通じて、70年代の熱気を再現する。次々と独立の熱狂に沸いた60年代は過ぎ、独裁と政争と腐敗がいまだ表面化する以前のアフリカ、そのまだわずかに残っていた希望の光がむなしく光る。

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ACACIA-アカシア- - 福本次郎

◆肉体は衰えても“闘魂”は燃え尽きていない。亡くしたものに心を痛める繊細な老人をアントニオ猪木が好演。息子に先立たれた老人と父に棄てられた少年が、喪失感を埋めるかのようにひかれあう姿を通じ、家族の絆とは何かを問う。(60点)

 かつて研ぎ澄まされた日本刀のようなオーラを放っていた背中は、今やダボダボのシャツの中で小さくなっている。それでもアントニオ猪木は圧倒的な存在感となってスクリーンを支配する。肉体は衰えても“闘魂”はまだ燃え尽きておらず、しかも亡くしたものに心を痛める繊細な老人を好演。映画は息子に先立たれた老人と父に棄てられた少年が、喪失感を埋めるかのようにひかれあっていく姿を通じ、家族の絆とは何かを問う。

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アウトレイジ - 渡まち子

アウトレイジ

© 2010「アウトレイジ」製作委員会

◆大量のセリフと怒号が飛び交うこの群像劇には、キタノ映画に初参加の俳優の顔触れが功を奏して、新鮮な“男の映画”の趣がある(65点)

 ヤクザ社会の下剋上をすさまじい暴力描写で描く、温故知新のキタノ映画だ。関東一円で勢力を張る巨大暴力団組織・山王会組長が、直参である池本組の組長・池本に直系でない村瀬組を締め付けるように命令する。池本にとって村瀬は兄弟分。池本はその厄介な仕事を配下である大友組の組長・大友に押し付ける。そのことが、非情なヤクザ社会で、裏切りと駆け引きの壮絶な権力闘争の幕を切って落とすことになる…。

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ダブル・ミッション - 佐々木貴之

◆ブライアン監督ならではのファミリー向けコメディーのテイストとジャッキーのカンフー仕込みの体当たりアクションが融合(70点)

 ジャッキー・チェンのハリウッド進出三十周年記念作品であるスパイ・アクション・コメディー。監督は、ファミリー向け作品を得意とするブライアン・レヴァント。

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クレイジー・ハート - 渡まち子

クレイジー・ハート

© 2009 Twentieth Century Fox

◆荒んだ人生を送る老シンガーをアメリカの原風景が優しく包み込む。名優ブリッジスが渋い。(70点)

 バッド・ブレイクはかつて一世を風靡したカントリー・シンガー。才能はあるが、今の彼は、酒びたりで新曲も書けず、かろうじて小さなステージを務めている。ある時、地方紙の女性記者ジーンと出会い、愛し合うようになるが…。

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ソフトボーイ - 町田敦夫

ソフトボーイ

© 2010「ソフトボーイ」製作委員会

◆A型人間は割を食う(70点)

 スポーツライター山際淳司の「たった一人のオリンピック」には、競技人口の少ないスポーツなら今からでもオリンピック選手になれるだろうとふと思い立ち、特に好きでもなかったボート競技を始めた大学生のことが書かれている。一方、『ソフトボーイ』で描かれるのは、県内に男子ソフトボール部を持つ高校が皆無であることに気づき、お気楽に全国大会出場を目指したお調子者の物語。佐賀県の高校で実際にあったエピソードを元にした、ギャグ満載の傑作青春ムービーだ。

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告白 - 前田有一

告白

© 映画「告白」フィルムパートナーズ

◆真っ黒な爽快感(95点)

 後世になれば、この映画は松たか子の代表作にして最高傑作と呼ばれることになるかもしれない。現時点(2010年6月)における、私が見た中で本年度ベストといえるこの映画を、本サイトで公開前に紹介できなかった事をたいへん申し訳なく思う。(Web以外の原稿等の締切が、70作品分以上集中する緊急事態でした、すみません)

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孤高のメス - 前田有一

孤高のメス

© 2010「孤高のメス」製作委員会

◆娯楽性の高さを主張しないつくり(55点)

 映画「孤高のメス」の原作者・大鐘稔彦は現役医師で、「輸血不可」の教義を持つ新興宗教団体の患者を、無輸血手術で救った実績などで知られている。その小説の映画化となれば、これは「かつてないリアルな医療シーン」を見せ場に持ってくることは最低限のハードル。そして幸い、それはほぼ達成された。医療映画ファンにバカにされない程度のリアリティは、なんとか確保されているといえるのではないか。

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アウトレイジ - 福本次郎

アウトレイジ

© 2010「アウトレイジ」製作委員会

◆裏切りと駆け引き、ハッタリとだまし合い、銃弾と血がシュールなアートのように飛び交い、男たちの凄惨なバイオレンスがスクリーンを覆う。カネと権力というストレートな欲望をむき出しにしたヤクザの行動様式は潔さすら覚える。(60点)

 子分から親分、その上の大親分まですべてが腹に一物をもつ。油断しているとハメられ、弱点を見せると付け入られる。あらゆる権謀術数が渦巻く中、任侠や男気といった義理人情は微塵もない。誰が悪党で、誰が本当の悪党で、誰が一番の悪党か。裏切りと駆け引き、ハッタリとだまし合い、銃弾と血がシュールなアートのように飛び交い、男たちの凄惨なバイオレンスがスクリーンを覆う。カネと権力をひとり占めにしたいというストレートな欲望をむき出しにしたヤクザの行動様式はある種の潔さすら覚える。

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アイアンマン2 - 福本次郎

◆電気鞭をしならせてレースカーをぶった斬るミッキー・ロークと、しなやかな身のこなしで屈強な男たちをぶちのめすスカーレット・ヨハンソン。魅力的な敵役と謎の美女という新たな登場人物を得て、主人公は追い詰められていく。(60点)

 半裸の上半身にエネルギー発生装置を身につけた上に高圧電流が流れる鞭をしならせて、復讐を誓った男を演じるミッキー・ロークがいかにもロシアの荒くれ者の雰囲気を醸し出す。一方、黒いボディスーツに身を包み、打撃から関節技まで蛇のようなしなやかな身のこなしで屈強な男たちをぶちのめしていくスカーレット・ヨハンソンは、さながら高度に洗練された戦闘マシン。数多のスーパーヒーローものの続編の定石通り、魅力的な悪役と謎の美女という新たなキャラクターを得て、主人公は追い詰められていく。

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ケンタとジュンとカヨちゃんの国 - 渡まち子

◆映画のテイストはアメリカン・ニューシネマに近いが、それゆえに悲劇的な結末がデジャヴのようにまとわりつく(65点)

 希望と絶望がブレンドされた青春映画は、“今”をブチ壊したものだけがたどりつける場所を目指すロード・ムービーだ。孤児院で育ったケンタとジュンは、解体現場でひたすら壁を壊す“はつり”という不毛な仕事をこなしながら日々をやり過ごしている。安い賃金、過酷な労働、職場の先輩の陰惨ないじめ。怒りが沸点に達した彼らは、先輩の愛車を叩き潰し、ナンパしたブスな女の子・カヨちゃんを連れて、ケンタの兄がいる北海道に向けて逃避行の旅に出る…。

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サバイバル・オブ・ザ・デッド - 岡本太陽

◆今回のロメロ作品はゾンビ西部劇だ!(70点)

 『ドーン・オブ・ザ・デッド』や『ザ・クレイジーズ』等ジョージ・A・ロメロ監督作のリメイクがチラホラ見当たる昨今。彼の作品に影響を受けた映画監督は数多くいるが、若い世代にはゾンビ映画の巨匠の生み出した世界観を体現するのは難しく、リメイクものはどれも芳しくない印象。それを余所見に巨匠は70歳の今もなおゾンビ映画にこだわり作品を作り続ける。そして新しく彼のライフワークの仲間入りを果たしたのが『サバイバル・オブ・ザ・デッド(原題:SURVIVAL OF THE DEAD)』。各地で議論を巻き起こした前作『ダイアリー・オブ・ザ・デッド』のその後を描く。

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アイアンマン2 - 渡まち子

◆悩めるヒーローが多い昨今のアメ・コミ映画の中、この“のんきさ”は捨てがたい(65点)

 大ヒットしたアメコミ・ヒーロー映画の続編は、相変わらずド派手な作りで、娯楽映画の王道を行く。“アイアンマン”であることをメディアに公表したものの、勝手なヒーロー行為が問題視されてしまった天才科学者兼兵器産業のCEOトニー・スターク。アイアンマンの正当性を主張して、国家が求めるパワード・スーツ没収令を断固拒否した彼の前に、アイアンマンと互角の力を持つ敵ウィップラッシュが現われた。彼の武器は金属を一撃で真っ二つにするほどのパワーを持つ“エレクトリック・デス・ウィップ”。一方、トニーはパワードスーツのエネルギー源である、胸に埋め込んだリアクター(特殊電池)の悪影響により苦しみ始めていた…。

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サバイバル・オブ・ザ・デッド - 佐々木貴之

◆西部劇的面白さとゾンビ映画ならではの面白さが最大限に発揮された(70点)

 ゾンビ映画界の名匠ジョージ・A・ロメロ監督の最新作で前作『ダイアリー・オブ・ザ・デッド』(07)の四週間後を舞台に、ゾンビの生存と戦争がテーマとなっている。

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