ソウル・パワー - 福本次郎

◆1974年10月、アリ対フォアマン戦の前座として行われた音楽祭に携わった人々の当時の姿を通じて、時代の熱気を再現する。黒人による黒人のための音楽祭。公民権運動の総仕上げとして、ブラックパワーを世界に向けて誇示する。(50点)

 米国の黒人ミュージシャンが、“故郷”アフリカで大規模な音楽祭を開催する。黒人の黒人による黒人のための音楽祭。公民権運動という第二の奴隷解放を目指すムーブメントの総仕上げとして、ブラックパワーを世界に向けて誇示しようとするのだ。映画は、1974年10月、アリ対フォアマン世紀の一戦の前座として行われたこの音楽祭に携わった人々の当時の姿を通じて、70年代の熱気を再現する。次々と独立の熱狂に沸いた60年代は過ぎ、独裁と政争と腐敗がいまだ表面化する以前のアフリカ、そのまだわずかに残っていた希望の光がむなしく光る。

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ACACIA-アカシア- - 福本次郎

◆肉体は衰えても“闘魂”は燃え尽きていない。亡くしたものに心を痛める繊細な老人をアントニオ猪木が好演。息子に先立たれた老人と父に棄てられた少年が、喪失感を埋めるかのようにひかれあう姿を通じ、家族の絆とは何かを問う。(60点)

 かつて研ぎ澄まされた日本刀のようなオーラを放っていた背中は、今やダボダボのシャツの中で小さくなっている。それでもアントニオ猪木は圧倒的な存在感となってスクリーンを支配する。肉体は衰えても“闘魂”はまだ燃え尽きておらず、しかも亡くしたものに心を痛める繊細な老人を好演。映画は息子に先立たれた老人と父に棄てられた少年が、喪失感を埋めるかのようにひかれあっていく姿を通じ、家族の絆とは何かを問う。

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アウトレイジ - 渡まち子

アウトレイジ

© 2010「アウトレイジ」製作委員会

◆大量のセリフと怒号が飛び交うこの群像劇には、キタノ映画に初参加の俳優の顔触れが功を奏して、新鮮な“男の映画”の趣がある(65点)

 ヤクザ社会の下剋上をすさまじい暴力描写で描く、温故知新のキタノ映画だ。関東一円で勢力を張る巨大暴力団組織・山王会組長が、直参である池本組の組長・池本に直系でない村瀬組を締め付けるように命令する。池本にとって村瀬は兄弟分。池本はその厄介な仕事を配下である大友組の組長・大友に押し付ける。そのことが、非情なヤクザ社会で、裏切りと駆け引きの壮絶な権力闘争の幕を切って落とすことになる…。

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クレイジー・ハート - 渡まち子

クレイジー・ハート

© 2009 Twentieth Century Fox

◆荒んだ人生を送る老シンガーをアメリカの原風景が優しく包み込む。名優ブリッジスが渋い。(70点)

 バッド・ブレイクはかつて一世を風靡したカントリー・シンガー。才能はあるが、今の彼は、酒びたりで新曲も書けず、かろうじて小さなステージを務めている。ある時、地方紙の女性記者ジーンと出会い、愛し合うようになるが…。

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アウトレイジ - 福本次郎

アウトレイジ

© 2010「アウトレイジ」製作委員会

◆裏切りと駆け引き、ハッタリとだまし合い、銃弾と血がシュールなアートのように飛び交い、男たちの凄惨なバイオレンスがスクリーンを覆う。カネと権力というストレートな欲望をむき出しにしたヤクザの行動様式は潔さすら覚える。(60点)

 子分から親分、その上の大親分まですべてが腹に一物をもつ。油断しているとハメられ、弱点を見せると付け入られる。あらゆる権謀術数が渦巻く中、任侠や男気といった義理人情は微塵もない。誰が悪党で、誰が本当の悪党で、誰が一番の悪党か。裏切りと駆け引き、ハッタリとだまし合い、銃弾と血がシュールなアートのように飛び交い、男たちの凄惨なバイオレンスがスクリーンを覆う。カネと権力をひとり占めにしたいというストレートな欲望をむき出しにしたヤクザの行動様式はある種の潔さすら覚える。

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ケンタとジュンとカヨちゃんの国 - 渡まち子

◆映画のテイストはアメリカン・ニューシネマに近いが、それゆえに悲劇的な結末がデジャヴのようにまとわりつく(65点)

 希望と絶望がブレンドされた青春映画は、“今”をブチ壊したものだけがたどりつける場所を目指すロード・ムービーだ。孤児院で育ったケンタとジュンは、解体現場でひたすら壁を壊す“はつり”という不毛な仕事をこなしながら日々をやり過ごしている。安い賃金、過酷な労働、職場の先輩の陰惨ないじめ。怒りが沸点に達した彼らは、先輩の愛車を叩き潰し、ナンパしたブスな女の子・カヨちゃんを連れて、ケンタの兄がいる北海道に向けて逃避行の旅に出る…。

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サバイバル・オブ・ザ・デッド - 岡本太陽

◆今回のロメロ作品はゾンビ西部劇だ!(70点)

 『ドーン・オブ・ザ・デッド』や『ザ・クレイジーズ』等ジョージ・A・ロメロ監督作のリメイクがチラホラ見当たる昨今。彼の作品に影響を受けた映画監督は数多くいるが、若い世代にはゾンビ映画の巨匠の生み出した世界観を体現するのは難しく、リメイクものはどれも芳しくない印象。それを余所見に巨匠は70歳の今もなおゾンビ映画にこだわり作品を作り続ける。そして新しく彼のライフワークの仲間入りを果たしたのが『サバイバル・オブ・ザ・デッド(原題:SURVIVAL OF THE DEAD)』。各地で議論を巻き起こした前作『ダイアリー・オブ・ザ・デッド』のその後を描く。

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サバイバル・オブ・ザ・デッド - 佐々木貴之

◆西部劇的面白さとゾンビ映画ならではの面白さが最大限に発揮された(70点)

 ゾンビ映画界の名匠ジョージ・A・ロメロ監督の最新作で前作『ダイアリー・オブ・ザ・デッド』(07)の四週間後を舞台に、ゾンビの生存と戦争がテーマとなっている。

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パリ20区、僕たちのクラス - 佐々木貴之

◆ドキュメンタリータッチで描いたことによって観る者にドラマであることを忘れさせ、作品の世界へと没頭させる(70点)

 08年度カンヌ国際映画祭でパルムドールを獲得したローラン・カンテ監督・脚本の人間ドラマ。

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アウトレイジ - 小梶勝男

アウトレイジ

© 2010「アウトレイジ」製作委員会

◆暴力をテーマに、ヤクザ同士の潰し合いを描いた北野武監督作。よく出来たB級バイオレンス映画(77点)

 北野武監督は、テレビ番組のインタビューで、「どつき漫才」を例に出し、暴力は笑いと同じだと語っていた。漫才でどつかれれば笑いが起こるが、どつかれる方が流血すれば、暴力として恐怖を呼ぶことになる。見せ方によっては、「どつく」という行為は、暴力にもお笑いにもなる。また別の番組では、暴力は描写が過剰過ぎるとホラーになってしまうとも語っていた。ホラーは恐怖だが、血しぶきが過剰に飛び散るスプラッター映画は時として笑いに転化する。笑いにも恐怖にも狂気にも成り得る暴力を、いかに斬新に、痛みが伝わるように表現するか。本作は、エンタティンメントであると同時に、北野武監督による暴力論であるとも言えるだろう。

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サバイバル・オブ・ザ・デッド - 小梶勝男

◆モダン・ゾンビの祖、ジョージ・A・ロメロのゾンビ・サーガ最新作。これまでの作品に比べ、緊迫感は薄れたが、人間同士の戦いをメーンに新しい切り口に挑戦している(79点)

 すでに70歳を超えるジョージ・A・ロメロの新作を見ることが出来るのはとても嬉しい。「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」の製作は1968年。それから42年がたち、ロメロの生んだ(ブードゥーではない)モダン・ゾンビは世界中で様々に進化し、増殖してきた。その間、ロメロも常に新しいゾンビ映画を、一種のサーガとして作り続けてきた。本作はロメロの6本目のゾンビ映画だ。これまでの作品と大きく違うのは、人間とゾンビの戦いではなく、人間同士の戦いがメーンとなっていることだろう。人間もゾンビも、「攻撃してくる者」「戦う相手」として、同じように描かれている。

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クレイジー・ハート - 岡本太陽

クレイジー・ハート

© 2009 Twentieth Century Fox

◆崖っぷちのカントリーシンガーが再起を図る(65点)

 俳優としても活躍するスコット・クーパーの映画監督デビュー作『クレイジー・ハート(原題:CRAZY HEART)』。低予算の非常に小さな映画でありながらも、演技派の俳優たちが集い、彼らの技が物語の中で絶妙に映える。本作はアメリカ南西部の広大な自然を背景に、老年期に差し掛かろうとしているジェフ・ブリッジス扮するカントリーシンガーのミュージシャンとして、そして男としての葛藤を丁寧に描きだす。

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パリ20区、僕たちのクラス - 岡本太陽

◆カンヌ映画祭で審査員全員一致でパルム・ドールを受賞したあの映画!(85点)

カンヌ映画祭で審査員全員一致でパルム・ドールを受賞したあの映画!(85点)

 教師と生徒を描く映画は多い。例えば、『青春の輝き』や『デンジャラス・マインド』、最近では『フリーダム・ライターズ』等、挙げれば切りがない。 2008年のカンヌ映画祭でパルム・ドールを受賞したフランス映画『パリ20区、僕たちのクラス(仏題:Entre Les Murs)』も学校が舞台だが、この映画は上に挙げた様な作品とは随分とアプローチが違う。普段こういった映画では学校外での教師と生徒の生活も描かれるのだが、この映画では彼らの学校内での姿しか映されないのだ。

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