◆余裕ある大人向けコメディ(65点)
セックス・アンド・ザ・シティに夢中になる女子(参考年齢平均38歳)を見ていると、たしかに少々イタい。だが、セックス・アンド・ザ・シティの女性観を必死に叩く、余裕のない人たちの姿はもっとみっともない。なにごとも、ゆったりした心構えで楽しみたい。そんな大人のたしなみを理解したカップルなどにこの作品は、なかなか楽しい時間を与えてくれる。
◆余裕ある大人向けコメディ(65点)
セックス・アンド・ザ・シティに夢中になる女子(参考年齢平均38歳)を見ていると、たしかに少々イタい。だが、セックス・アンド・ザ・シティの女性観を必死に叩く、余裕のない人たちの姿はもっとみっともない。なにごとも、ゆったりした心構えで楽しみたい。そんな大人のたしなみを理解したカップルなどにこの作品は、なかなか楽しい時間を与えてくれる。
◆懊悩が深く静かに確実に胸の奥に巣食っていく姿を、トビー・マグワイヤは、大きく見開いた目で演じる。その上で頬がこけ指輪が回るくらいやつれた肉体をさらすという外見的な変化を見せ、言葉にできない苦悩を饒舌に表現する。(60点)
戦場での過酷な経験が帰還兵の精神を蝕んでいく。生きて妻子のもとに帰れた喜びよりも、自らの手を血で染めた記憶が重く彼の心にのしかかる。“国に命を捧げた英雄”が決して言えない秘密を抱え、懊悩が深く静かにかつ確実に胸の奥に巣食っていく姿を、トビー・マグワイヤは、大きく見開いた目で演じる。その上で主人公のトラウマを、げっそりと頬がこけ指輪が回るくらいまでやつれた肉体をさらすという実際に身を削った外見的な変化で見せ、言葉にできない苦悩を饒舌に表現する。
◆華やかな消費を送ることが生きている証のようなヒロインが、欲望のおもむくままに暴走し、アブダビにまで飛んで傍若無人の限りを尽くす。人生を貪欲に迷いなく楽しもうとする突き抜けた哲学はもはや見事としか言いようがない。(40点)
どれほど景気が後退しようとも摩天楼の輝きはまったく色あせず、世界の中心としての魅力を放ち続けるニューヨーク。そこで、高級車に乗りコンドミニアムに住み華やかな消費を送ることが生きている証のヒロインが、欲望のおもむくままに暴走する。あまりにもバブリーなゲイカップルの結婚式に始まり、家事をまったくせずファッション誌のグラビアのような暮らし、さらに今回は中東・アブダビにまで飛んで傍若無人の限りを尽くす。わがままし放題なのに周りはひれ伏す、そんな彼女を見て同性の観客は日ごろのうっぷんを晴らし、溜飲を下げているのだろうか。
◆本作はオリジナルよりも、すさまじい体験を経たサムと家族が、本当の絆を見出すホームドラマの要素に重点を置いている(60点)
戦争がもたらす癒えない傷と、兵士を支える家族という普遍的なテーマを扱う人間ドラマである。米軍海兵隊の大尉サムは学生時代から優秀な青年だ。一方、サムの弟のトミーは問題ばかりおこし、今も刑務所に服役中。だが兄弟はとても仲が良かった。弟の出所と入れ替わるように兄はアフガニスタンに旅立つが、ある時、サムの訃報が妻グレースのもとに届く。絶望の淵に沈むグレースと二人の幼い娘たちを支えたのは、厄介者だったはずのトミーだった。グレースとトミーの距離が確実に縮まったその時、死んだはずのサムが生還する。グレースは喜ぶが、戻ってきたサムは驚くほど別人になっていた…。
◆大人気ドラマの劇場版の続編だが、雰囲気はゴージャスでも、物語に新鮮味が感じられない(50点)
仕事も恋も遊びも貪欲なあの4人が再び登場。浮世離れしたセレブ・ライフと下世話な本音トークに笑いがこみ上げる。結婚式ドタキャンという事件を乗り越えてようやく結ばれたキャリーとミスター・ビッグ。2年目の結婚記念日を迎えるが、どうやら倦怠期のムードだ。一方で、ミランダとシャーロットもそれぞれの問題で頭を悩ませていた。そんなとき、中東の都アブダビへの豪華旅行に招待されたサマンサが3人に一緒に行こうと提案する。夢のようなバカンスではしゃぐ4人だったが、キャリーは元カレのエイダンと偶然に再会し…。
◆ナタリー・ポートマンも菩薩である(70点)
スザンネ・ビア監督のデンマーク映画『ある愛の風景』(04)を、『マイ・レフト・フット』のジム・シェリダン監督がリメイク。よき夫、よき父、よき海兵隊将校である兄のサム(トビー・マグワイア)は、厄介者の弟トミー(ジェイク・ギレンホール)が出所するのと入れ替わりにアフガニスタンに出征し、乗っていたヘリを撃墜される。自堕落だったトミーは、悲しみに沈む兄嫁のグレース(ナタリー・ポートマン)と2人の姪を支える中で次第に更生していくが、彼らの間に絆が芽生え始めた頃、死んだはずのサムが別人のようになって生還し……。