低予算ホラーと舞台劇の映画化の悪いところがすべて出ている(35点)
低予算ホラーと舞台劇の映画化の悪いところがすべて出ている。孤独な女性アグネスは、恋人ピーターの「自分の体内に虫がいる」との言葉から、次第に狂気と妄想の世界へと取り付かれていく。この密室心理劇では、虫は一瞬顕微鏡で映るだけ。名手フリードキンならパラノイアという素材をもっと上手く使えるはずだ。結論が出ないのはまだしも、エンド・ロールの後の意味不明のシーンなど思わせぶりなマネはやめてほしい。妄想する恋人にどこまでつきあえるかという、ディープなラブ・ストーリーとして見るしかなさそうだ。
(渡まち子)