◆杉本が美裸体を惜しみなく曝け出して魅せつける(50点)
『花と蛇』二部作であらゆるハードな“SM責められ役”に挑戦して反響を呼び、これを機に“エロスのミューズ”、“エロスの女王”として世間に認知された杉本彩。そんな彼女が吸血鬼ヴァンパイアを持ち前の妖艶なムードを活かし、“性の獣”として演じ切った。
迷宮入り寸前の猟奇的殺人事件を追う星野刑事(津田寛治)。彼は、殺されたメイドの雇用主である美夜子ロジュンベルク(杉本彩)を尋ねる。古びた豪華な屋敷で聾唖の少女ブリギッテ(山口小夜)と暮らす彼女は、彼に犯人は黒沼右京(要潤)だと告げる。右京宅に侵入した星野は、全裸で拘束されている少女の首筋に喰らいついて吸血している右京を目撃する。やがて星野自身も右京の腹心たちに捕らえられてしまう。右京の正体は、幕末に美夜子の血を与えられ、肉体関係を築いたことで不老不死の身となった新撰組・沖田総司であった。星野と右京は、美夜子を巡って激しいバトルを繰り広げることとなる。
杉本彩が主役ということで激しいエロスの見せ場を期待したいところだが、下山天監督が修正に修正を重ねた結果、エロスは控えめなタッチとなった。作品自体もR-18から15となった。これは、下山監督の目標であった。それでも杉本が美裸体を惜しみなく曝け出して魅せつけるヴァンパイアのセックスが適度に散りばめられ、強烈な印象はないものの娯楽性を高める要素としては十分だと言える。
本作はエロスよりもアクション面に力を注いでいるとうな感じであり、津田寛治と要潤のソードバトルが最大の見所となる。二人が刀を片手にキレ味抜群の華麗なる立ち回りを披露し、ワイヤーを駆使したアクロバティックなアクションも取り入れて面白さをしっかりと発揮することに成功したのである。
吸血鬼映画ならではの首筋を噛みついて吸血するシーンは、官能的で甘美な印象がある。本作では、これを杉本のキャラクターと作品が持つ妖艶なイメージによって官能さとエロスの香りをより一層に引き立てて魅力的に描ききった。
(佐々木貴之)