未知なる妊婦ワールド(50点)
少子化の憂いも吹っ飛ばすこのコメディは、出産をひたすらポジティブにとらえてみじんも暗さがない。仕事が生きがいの陽子は昇進が決まった矢先に突然の妊娠が発覚。うろたえつつ病院を訪れると、そこは未知なる妊婦ワールドが広がっていた。医師と患者の絆をもう少し描いてほしかったが、満月の夜に産気づくという言い伝えどおりクライマックスはまさに出産バトルで大騒動の共同作業となる。子育て放棄や虐待、産科医不足と、現実ではやるせない話題ばかりだが、ここでは“まずは産もう”という気持ちがすべてのスタート地点。観月ありさと松下由樹の名コンビのかけあいも絶妙だ。幸せオーラと俗に言うが、のほほんとした気持ちこそが新しい命への何よりの栄養なのだろう。彼女たちの子育て奮闘記も見てみたい。
(渡まち子)