◆ヒース・レジャーの渾身の演技に圧倒される“ジョーカー映画”(70点)
これはバットマン映画ではない。これはジョーカー映画だ。
◆名曲の力が感動を生む傑作ミュージカル映画(90点)
「ビートルズを特別視しているのは日本人だけで、英米では単なる“解散したバンドの1つ”としか見られていない」と言われることがあるけれど、やっぱりそれは俗説だ。ツェッペリンやクイーンの曲をどうつないだってミュージカルは作れまい。いや、作れば作れるかもしれないが、少なくとも一般公開できる映画にはなるまい。
◆異色のアメコミヒーローをドンパチシーン満載で映画化(60点)
ご存じスタン・リー原作のコミックを映画化。科学者ブルース・バナー(エドワード・ノートン)は研究所の事故で大量のガンマ線を浴びて以来、怒りで心拍数が200を超えると巨大な緑色の怪物に変身する体質に――というのがハルク誕生の経緯なのだが、この説明をオープニングのタイトルバックだけで終わらせたのには驚いた。予備知識のない者にはさっぱり事情が呑みこめなかったはずだが、ハルクはもはやアメリカ人にとって、聖書やマザーグースと同様の基礎教養なのか?
◆パトリック・デンプシーの持ち味が生きる上々のデートムービー(60点)
「男女の友情は成立するのか」なんてことを中学生時代にまじめに討論した人は少なくないと思うが、大人になった今聞かれれば答えは簡単、イエスで、ノーだ。確かに友情が成立するケースもあるけれど、それはあくまで恋愛対象にならない(または恋愛対象にできない)相手との間で代用品的に成立させるもの。要するに恋愛の方が友情よりも上位概念なんですね。
◆低予算ながらもよくできたスリラー(65点)
永井豪が70年代に発表した漫画「ススムちゃん大ショック」は、突如子育ての本能を失った大人たちが、次々と我が子を殺し始めるという不気味な物語だった。当時小学生だった筆者は、しばらく親に背中を向けられなかったのを覚えている。